寛解
「寛解」とは、病気の症状が消失している状態のことを意味する表現である。
「寛解」とは・「寛解」の詳しい解説
「寛解」とは、「病気の症状がない、あるいは検査によって得られた数値などに異常が見られない状態」を意味する医学用語である。英語においては「remission」と表現される。例えば、原因となる細胞を取り除くのが難しく再燃の恐れが高い「がん」や、再発の可能性が高い「うつ」などの精神疾患などは、一時的に症状が治まったことで「治癒(完治)した」と誤認されやすく、「寛解」という表現が使われる。また、反対に「自分は治らない病気になってしまった」といった誤解や、治療を諦めてしまうことのないように、「治療を継続すれば症状を抑えて生活できる」という意味で、「寛解」と表現することもある。言葉の定義や、実際にどのような治療を行い、生活していくのかについては個人差が大きく、医師の判断によるところがある。「寛解」の対義語として、抑えられていた症状が再び悪化することを、「再燃」あるいは「増悪(ぞうあく)」という。激しく憎しみを抱くことを意味する「憎悪(ぞうお)」は、漢字・読みが似ているため誤認・誤用されることがあるが、誤りである。「増悪」は「寛解」とセットで用いられることも多く、「寛解と増悪を繰り返す(症状がよくなったり、悪くなったりする)」という表現などがある。
「寛解」の発音・読み方
「寛解」は「かんかい」と読む。「寛解」の語源・由来
「寛解」という表現は、「寛(ゆるやか・くつろぐ)」と「解(しばりつけていたちからをとりのぞく)」という二つの漢字の意味を合わせた、熟語として生まれたと考えられる。「寛解」と「完治」の違い
「完治」が「病気が完全に治った状態」を意味するのに対して、「寛解」は「完治の手前の状態だが、また再度症状が発生する恐れがある状態」を意味する。例えば、がんの場合は治療によって症状が治まったとしても、他の部位にがん細胞が転移している可能性が否定できず、後々再発する可能性があるため、「完治」とは表現せず「寛解」とすることが一般的である。「寛解」に関連する用語の解説
「完全寛解とは」とは
「完全寛解」とは、がん治療などにおいてよく用いられる医学用語であり、「治療によって、がん細胞などが消失している状態」を示す。「寛解」よりも更に安定した状態を意味するが、「治癒(完治)」とは異なるため、再発する可能性は否定できず、また病気の種類によっては服薬やカウンセリングなど、なんらかの治療を継続することもある。英語においては「complete remission」と表現する。
「寛解期」とは
「寛解期」とは、治療によって病気の症状がゆるやかになった、あるいは症状がおさまっている時期のことを意味する。
「寛解状態」とは
「寛解状態」とは、「寛解」と同様に、「病気の症状が落ちついていること・検査によって異常が見つからない状態」を意味する。
「寛解導入療法」とは
「寛解導入療法」とは、「完全寛解」を目標とした化学療法における、第一段階の治療を意味する。一般的には副作用等も大きな強い治療であることが多い。「寛解導入療法」を終えた後は、やや緩やかな「強化療法」などを経て、検査をしても異常がない「寛解状態」を目指す。その後更に、再発を防ぎ「寛解」を維持するための「寛解維持療法(地固め療法、維持療法)」を行うなどして、将来的な「完全寛解」を目指すことになる。
「寛解」の使い方・例文
「寛解」という言葉は医学用語のため、主に、医師や医療従事者が患者に対して使う言葉である。ただ、病気や症状、あるいは個人差が大きいため、そもそも「寛解」の意味や、「寛解後にどのような憎悪が起きる可能性があり、どういった治療をするのか」や「寛解を維持するために必要なこと」などは異なるため、主治医によく確認することが望ましい。個人が「寛解」という言葉を使う場合は、寛解を目指して治療中であるという人に対して「寛解期になったら美味しいものを食べに行こうね」や「焦らずに寛解を待とう」といった使い方ができる。寛解
「寛解」とは、病気の症状が落ち着いて安定した状態のことを意味する表現。
「寛解」とは・「寛解」の意味
「寛解」とは、漢字で寛解と書くことができる。また、緩解と書くこともある。寛解は医療用語で、病気の症状が一時的に良くなったり、消えたりした状態のことを意味する。寛解後に、そのまま病気が治ることもあれば、再発する場合もある。寛解は完治とは違い、完全に病気が治ったわけではない。寛解後も病気が再発しないように薬を飲んだり、検査を定期的に受けたりする必要がある。うつなどの病で「寛解」という言葉は使用されることが多い。うつ病とは、気分障害の一つで、気分の落ち込みなどの精神症状とともに、不眠や食欲不振などの身体症状が現れることで、日常生活に大きな支障が生じる病気のことである。うつ病での寛解は、これらの精神症状や身体症状が一時的に良くなったり、消えたりすることをいう。うつ病は、診断を受けてから1年以内に寛解する割合は7割だといわれている。この7割の中で、そのまま回復し完治する人もいれば、症状が再燃する人もいる。また、1年以内に寛解しなかった残りの3割の人には、部分寛解の傾向がみられる。部分寛解は症状が良くなっている部分と、変わらず出続けている部分がある。うつ病は、完治までの期間や、症状が人それぞれで、寛解してからも再発する確率が高い病気である。寛解しても薬を飲むことをやめず、数年かけてゆっくりと治す気持ちでいることが大切である。
また、「寛解」はがんでも用いられる。がんとは、悪性腫瘍のことで、がんが発生した細胞の種類によって、癌腫や肉腫、血液がんなどに分類される。癌腫は上皮細胞に発生するがんで、肺がんや乳がん、胃がん、大腸がん、子宮がんなどが挙げられる。肉腫は非上皮性細胞に発生するがんで、骨肉腫や軟骨肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、血管肉腫などがある。また、血液がんは血球に発生するがんで、白血病や悪性リンパ腫、骨髄腫などが挙げられる。がんでの寛解とは、一時的あるいは永続的に腫瘍が縮小や消失していることをいう。したがって、寛解後にそのまま完治することもあれば、腫瘍が再び増えたり、別の部位に転移したりすることもある。がんは現在、日本人の2人に1人がなるといわれているとても身近な病気である。
「寛解」の読み方
寛解・緩解ともに、寛解と読む。「寛解」の熟語・言い回し
寛解状態とは
寛解状態とは、病気の症状が一時的に軽快したり、消失したりして、病状が安定した状態のことをいう。
寛解するとは
寛解するとは、病気の症状が良くなり、薬などによってコントロールできていることをいう。
寛解期とは
寛解期とは、治療によって、病気の症状が軽減されたり治まったりしている期間のことをいう。
非寛解とは
非寛解とは、治療を続けているにもかかわらず、症状が良くなったり無くなったりしないことをいう。
「寛解」の使い方・例文
・私は、去年乳がんと診断されたが、大学病院で治療を続けた結果、現在は寛解状態となっている。・「寛解」という言葉の意味が分からなかったため、医療用語集で調べた。
・仕事関係で上手くいかず、去年うつ病と診断されたが、薬を飲み続けて今は寛解状態となった。
・症状が良くなり医師に寛解と診断されてから、早いもので1年が経った。
・先日病院でうつ病と診断されたため、これから薬を服用して、まずは寛解を目指す。
・私の祖父が今年の初めに胃がんと診断されたが、治療を頑張った結果、寛解状態にまで回復した。
・うつ病で寛解状態だと完治したと勘違いされやすい。
・寛解状態になったため、薬を飲むのをやめたら、病気が再燃してしまった。
・末期がんと診断されてしまい、寛解すら難しい状態である。
・病気で入院中だが、寛解状態になれば退院できるため、治療を頑張ろうと思う。
かん‐かい〔クワン‐〕【寛解/緩解】
寛解
【概要】 治療の結果(時には無治療で)病気の勢いがゆるんだ(=弱まった)状態を言う。特に悪性腫瘍などでは見えなくなっても「治った」とは断定できない。
【詳しく】 完全寛解(complete remission)とは外見上でも検査でも病気があるとは判定できない状態。まだ認知できる病気が残っている場合は、部分寛解(partial remission)と言う。長期間観察しても再発しなければ、恐る恐る(!?)治癒という。悪性腫瘍では治癒という言葉は使いにくく、寛解状態と維持することが目的になることが多い。遺伝子レベルで腫瘍の残存を調べることができるものもある。エイズの場合はカポジ肉腫、悪性リンパ腫などの治療で使う言葉。治験の場合は治験ごとに寛解判定基準を作って判定する。
《参照》 治験

寛解
寛解(かんかい)
寛解
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