細胞の種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/02 19:36 UTC 版)
細胞は、普通それらの起源によって分類される: 自己由来の細胞:自己由来の細胞は、それらが再移植される同じ個体から得られる。自己由来の細胞は、拒絶反応および病原体の伝播の問題が最も少ないが、場合によっては、利用できない場合もある。例えば、遺伝病では、適切な自己細胞は利用できない。また、重度のやけどを患っている患者は、緊急を要するので自己細胞を培養している時間がない。老人または高齢者は、じゅうぶんな細胞が得られない場合がある。さらに、この方法では、細胞は患者から採取する必要があるため、外科手術によって、ドナーの採取部位の感染または慢性の疼痛を引き起こす懸念もある。自己由来の細胞は、治療に使用する前に採取した細胞を、培養しなければならないが、これには時間がかかる。最近、骨髄および脂肪からつくられる間葉系幹細胞の使用が増えている。これらの細胞は、骨、軟骨、脂肪および神経を含む様々な組織の細胞の型に分化することができる。脂肪からは、多数の細胞を容易かつ迅速に単離することができるメリットがある。 同種異系細胞:自分自身からとった細胞を使うためには、スピード、コストなどを考え現実的ではないため、別のヒトからとった細胞を必要となる前にあらかじめ用意することが考えられている。それは同種異系細胞であり、同じ種のドナーの体に由来する細胞を使う、ということである。インビトロの研究のためのヒト細胞の使用にはいくつかの倫理的制約があるが、ヒト包皮からの真皮線維芽細胞の使用は免疫学的に安全であり、したがって皮膚の組織工学のための有望な選択肢であると考えられている。 異種細胞:ほかの種の生物、例えばブタから採取した細胞の使用も考えられている。これらは、異種細胞であり、別の種の個体から単離される。特に、心臓血管インプラントの構築を目的とした実験では、動物細胞がかなり広く使用されている。。 同系または同起源の細胞は、双子、クローン、またはモデル生物など、遺伝的に同一の生物から単離される。 一次細胞とは、生物に由来する細胞。二次細胞は、細胞バンクに由来する細胞。 幹細胞は、培養で分裂する能力を有する未分化の細胞であり、異なる形態の特殊化細胞を生じる。さらに幹細胞は、その供給源により、「成体」、「胚」由来の幹細胞に分けられる。また、第一のクラスは多分化能であり、続いて多能性である。胚の最も初期の段階で得られるいくつかの細胞は、全能性である。胚性幹細胞(ES細胞)の使用に関連して依然として大きな倫理的議論が存在するが、iPS細胞が代替するだろう。これらの幹細胞は、病変組織または損傷組織の修復に有用だろうし、新しい器官を育てるために使用され得ると考えられる。
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細胞の種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/12/16 01:13 UTC 版)
柔組織細胞は、光合成とその産物の貯蔵、輸送細胞においては師部輸送等の役割を持つ細胞である。維管束の木部と師部を除き、葉は主にこの柔組織からなる。表皮等の柔組織は、光の透過やガス交換の調整等に特化しているが、他は、植物の組織においては特別な細胞ではなく、生涯に渡って全能性を保持する。柔組織細胞は、小分子を輸送できるように、薄く透過性のある一次壁を持ち、細胞壁は、蜜の分泌や、草食動物による捕食を防ぐ二次代謝産物の生産等の幅広い生化学機能を担っている。葉緑体を多く含み、光合成に大きな寄与をしている柔組織細胞は、同化組織細胞と呼ばれる。ジャガイモの塊茎や豆果の子葉の大部分を占める細胞のような、貯蔵機能を持つものもある。 厚角組織細胞は、成熟細胞で一次壁のみを持つ。柔組織細胞同様に分裂組織から誘導されるが、すぐに別方向に分化を始める。色素体は発達せず、小胞体やゴルジ体等の分泌器官が一次壁を急速に増殖させる。一次壁は通常、3つ以上の細胞が接触する角の部分で最も厚く、2つの細胞が接触する面の部分で最も薄いが、壁の厚みについては、別のケースもありうる。 双子葉植物では、厚角組織の細胞壁にはペクチンとヘミセルロースが多く、例えばフキ属では、セルロースはわずか20%程度しか含まれない。厚角組織細胞は、通常は非常に細長い形で、端は横方向の細胞壁で区切られる。このタイプの細胞の役割は、植物の成長軸を支持することと、組織に柔軟性と抗張力性を与えることである。一次壁は組織を硬くするためのリグニンを欠くため、若い茎や葉柄しか支えることができないが、これらの組織の成長時には周囲の細胞とともに伸びることができる。セロリの繊維の一部も厚角組織である。 厚壁組織細胞は、機械的な支持を担う硬くて丈夫な細胞である。厚壁異形細胞(石細胞)と繊維の2つの種類に大別できる。これらの細胞は二次壁を発達させ、一次壁の内側に沈着させる。二次壁にはリグニンが多く含まれるため硬い。二次壁は水を透過しないため、これらの細胞はやがて、代謝の維持のために必要な物質の十分な交換を行うことが出来なくなる。通常、これらの細胞は組織が成熟すると死に、細胞質は失われて空になる。 厚壁組織細胞の役割は、消化管を傷付けることによる幼虫等の捕食動物の忌避、物理的保護(モモやその他の多くの果物では、厚壁組織細胞でできた硬い組織が壁孔を形成している。)等である。繊維の役割は、草本植物の葉や茎に、耐荷重性や抗張力性を付与することである。厚壁繊維は、水や栄養素の輸送(木部)や光合成産物の輸送(師部)を行わないが、陸上植物の進化の初期段階で、これらの組織から分化したと考えられている。
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