細胞の形態・構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 07:57 UTC 版)
古細菌の外観は細菌と似ている。0.5から数マイクロメートル程度の大きさを有し、球菌、桿菌またはディスク状など様々な形が見られる。大きさは最大の球菌で直径10数μm程度である。珍しい形として、Haloquadratum walsbyiは、極薄の四角形の紙片状、高度好塩菌には他に三角菌(Haloarcula japonica )もいる。Thermofilum pendensは極細の針状(最大長~100μm)、ThermoplasmaやFerroplasmaは、強固な細胞壁を持たないために、一部の種は定まった形を持たず、アメーバのような形になることもできる。また複数の細胞が集合して大規模な融合細胞を形成するものも存在する。この例としてはThermococcus coalescensが知られている。 古細菌は原核生物であるため、通常細胞内の膜系を発達させず、細胞内の目立つ構造物と言えばDNAとリボソーム、ガス泡、PHBの顆粒くらいである。これらを含む細胞質を細胞膜がつつみ、その外側を細胞壁が覆う。一般に細胞壁は細菌よりも薄く、機械的強度も弱い。細胞表面には、鞭毛や線毛、繊維状の付属構造を持つ場合がある。なお、細胞内の膜系に関しては、ThermoplasmaやIgnicoccusといった例外も存在する。Ignicoccusは、外細胞膜と内細胞膜、その間の巨大な疑似ペリプラズムに特徴づけられる。外側の膜にATP合成酵素があり、疑似ペリプラズムにおいてもATPが利用可能な点で、グラム陰性細菌と異なる。内部はフィラメントや網構造が非常に入り組んで観察される。 細胞よりも高次の構造も乏しく、殆どの種は単独か原始的な群体を持つに過ぎない。Methanosarcinaは接着物質を使用し、小荷物様の群体を形成する。他のメタン菌の中には、シースと呼ばれる鞘の中に複数の細胞が鎖のようにつながった形態をとるものがある。シート形成や網目状のネットワークを形成するものもある。何れにせよその形態の多様性は限定されており、形態により古細菌を特徴づけるのは困難である。古細菌を特徴付けているのは、ほとんどが分子生物学的知見による。
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