細胞への侵入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 02:05 UTC 版)
「エプスタイン・バール・ウイルス」の記事における「細胞への侵入」の解説
EBVはB細胞と上皮系細胞に主に感染できる。これら二つの細胞への侵入機構は異なっている。 B細胞に侵入する際、EBVの膜糖タンパク質であるgp350はB細胞の補体レセプターであるCR2(complement receptor 2)に結合する(CR2はCD21としても知られている)。そして、EBVの膜糖タンパク質であるgp42がB細胞のMHC(HLA)クラスⅡ分子に作用する。これはウイルスのエンベロープと細胞膜とのフュージョンを引き起こし、EBVがB細胞内に侵入することを許してしまう。CR2(CD21)陰性の細胞、例えば未成熟B細胞は補体レセプターCR1(complement receptor 1)またの名をCD35を発現しているが、これがもう一つのEBV膜タンパク質gp350/220の接着因子として働き、CR2(CD21)陰性の細胞への感染も可能としている。EBVの感染はCR1(CD35)の発現を低下させる。 上皮系細胞への侵入に関しては、EBVのBMRF-2が上皮系細胞のβ1インテグリンに作用する。そしてEBVのgH・gL複合体が上皮系細胞のαvβ6・αvβ8インテグリンに作用する。これはウイルスのエンベロープと細胞膜とのフュージョンを引き起こし、EBVが上皮系細胞内に侵入することを許してしまう。B細胞への侵入とは異なり、EBVのgp42はEBVの上皮系細胞への侵入を妨げてしまう。 EBVは細胞内に侵入すると、ウイルスカプシドは分解されウイルスゲノムは宿主の細胞核に輸送される。
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