細胞への近接
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/11 00:44 UTC 版)
ウイルスが細胞に侵入する方法は、ウイルスの種類によって異なる。裸のカプシドを持つウイルスは、宿主細胞にある付着因子(英: attachment factor)に付着し、宿主細胞の膜に穴を開けてウイルスゲノムを挿入することで細胞内に侵入する。 ウイルスがエンベロープ型ウイルス (英: enveloped virus) の場合、ウイルスの侵入はより複雑になる。エンベロープ型ウイルスの場合、ウイルスは宿主細胞の表面にある付着因子に付着し、その後、融合現象が起こる。融合現象とは、ウイルス膜と宿主細胞膜が融合してウイルスが侵入することである。ウイルスは、ウイルスが結合できる受容体を保持している細胞である感受性細胞 (英: susceptible cell) に付着 (英: attachment) - または吸着 (英: adsorption) することでこれを行う。ウイルスエンベロープ(ウイルス外被)上の受容体は、細胞膜上の相補的な受容体と効果的に結合する。この結合により、2つの膜は相互に近接した状態を保ち、表面タンパク質間のさらなる相互作用を促進する。これは、細胞が感染する前に満たさなければならない最初の要件でもある。この必要条件が満たされると、細胞は感染しやすくなる、または感受性になる。この挙動を示すウイルスには、HIVや単純ヘルペスウイルスのような多くのエンベロープ型ウイルスが含まれている。 この基本的な考え方は、エンベロープを持たないウイルスにも当てはまる。よく研究されている例は、バクテリオファージ (または単にファージ) として知られる細菌に感染するウイルスがある。典型的なファージは、細菌表面の受容体に付着するために使用される長い尾を持っている。
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