細胞への取り込み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/07 14:08 UTC 版)
高分子医薬品の細胞への取り込みはエンドサイトーシスと呼ばれる細胞自身が有する高分子取り込み機構が利用される。エンドサイトーシスにはクラスリン経路、カベオラ経路、マクロピノサイトーシス、トランスサイトーシスなどが知られている。免疫細胞にはファゴサイトーシスと呼ばれるμmのサイズの粒子を取り込み機構があるが免疫細胞以外は行うことができない。 クラスリン経路 クラスリン経路はコレステロールの細胞内取込機構として知られている。コレステロールはLDL(低密度リポ蛋白質)という直径22nmの粒子としてLDL受容体を介したエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれる。細胞内在時に小胞がクラスリン分子によって包まれる。エンドサイトーシス小胞は選別の場である初期エンドソームに融合する。初期エンドソームの管状部分は小胞として出芽し、直接または回収エンドソームを介して積荷を細胞膜へ戻す。初期エンドソームは多胞体を経て後期エンドソームに成熟する。分解される膜タンパク質は腔内小胞に取り込まれる。リソソームに融合して消化が起きる。エンドソームの成熟の各段階はトランスゴルジ網とつながっており、新たに合成されたリソソーム蛋白質が供給される。 カベオラ経路 クラスリンを介さないで内在化するエンドサイトーシスとしてカベオラが知られている。カベオラはほとんどの細胞の細胞膜に存在し、深く陥入したフラスコ上の凹みである。カベオラは脂質ラフトから作られ、カベオリンという膜内在蛋白質が膜の湾曲を安定化している。カベオラは内在化すると初期エンドソームへ、あるいはトランスサイトーシスすることが知られている。 マクロピノサイトーシス クラスリンを介さないエンドサイトーシス機構であり、ほぼすべての動物細胞でみられる。マクロピノサイトーシスは増殖因子やインテグリン、アポトーシスを起こした細胞の残骸や一部のウイルスなどの特異的リガンドなどによる細胞表面受容体の活性化に応じて誘導される。マクロピノサイトーシスは分解専用の経路で後期エンドソームやエンドリソソームと融合しリサイクルはしない。 トランスサイトーシス 極性を有する上皮細胞や内皮細胞はトランスサイトーシスという輸送経路が存在する。エンドサイトーシスされると識別エンドソームに行き、そこで振り分けが行われる。分解経路では後期エンドソームを経てリソソームと融合する。トランスサイトーシス経路では、回収エンドソームを経てトランスサイトーシスされる。
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細胞への取り込み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 06:43 UTC 版)
高分子医薬品の細胞への取り込みはエンドサイトーシスと呼ばれる細胞自身が有する高分子取り込み機構が利用される。エンドサイトーシスにはクラスリン経路、カベオラ経路、マクロピノサイトーシス、トランスサイトーシスなどが知られている。免疫細胞にはファゴサイトーシスと呼ばれるμmのサイズの粒子を取り込み機構があるが免疫細胞以外は行うことができない。 クラスリン経路 クラスリン経路はコレステロールの細胞内取込機構として知られている。コレステロールはLDL(低密度リポ蛋白質)という直径22nmの粒子としてLDL受容体を介したエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれる。細胞内在時に小胞がクラスリン分子によって包まれる。エンドサイトーシス小胞は選別の場である初期エンドソームに融合する。初期エンドソームの管状部分は小胞として出芽し、直接または回収エンドソームを介して積荷を細胞膜へ戻す。初期エンドソームは多胞体を経て後期エンドソームに成熟する。分解される膜タンパク質は腔内小胞に取り込まれる。リソソームに融合して消化が起きる。エンドソームの成熟の各段階はトランスゴルジ網とつながっており、新たに合成されたリソソーム蛋白質が供給される。 カベオラ経路 クラスリンを介さないで内在化するエンドサイトーシスとしてカベオラが知られている。カベオラはほとんどの細胞の細胞膜に存在し、深く陥入したフラスコ上の凹みである。カベオラは脂質ラフトから作られ、カベオリンという膜内在蛋白質が膜の湾曲を安定化している。カベオラは内在化すると初期エンドソームへ、あるいはトランスサイトーシスすることが知られている。 マクロピノサイトーシス クラスリンを介さないエンドサイトーシス機構であり、ほぼすべての動物細胞でみられる。マクロピノサイトーシスは増殖因子やインテグリン、アポトーシスを起こした細胞の残骸や一部のウイルスなどの特異的リガンドなどによる細胞表面受容体の活性化に応じて誘導される。マクロピノサイトーシスは分解専用の経路で後期エンドソームやエンドリソソームと融合しリサイクルはしない。 トランスサイトーシス 極性を有する上皮細胞や内皮細胞はトランスサイトーシスという輸送経路が存在する。エンドサイトーシスされると識別エンドソームに行き、そこで振り分けが行われる。分解経路では後期エンドソームを経てリソソームと融合する。トランスサイトーシス経路では、回収エンドソームを経てトランスサイトーシスされる。
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