細胞毒性試験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/02 08:37 UTC 版)
細胞毒性試験では主に培養細胞を用いて、毒性を細胞の生死、すなわち生存率もしくは死亡率により評価する。細胞の性質(浮遊性か固着性か)や目的(例えば医薬品の開発にはハイスループットスクリーニングが要求される)にも応じて様々な方法が開発されている。大きく分けると、細胞数を直接計数する方法、増殖可能な細胞からできたコロニーを数える方法と、特定の物質を光学的方法または放射標識化合物により定量して間接的に生存・死亡率を見積もる方法がある。 原理として最もよく利用されるのは、細胞膜の破壊の有無である。トリパンブルーなどの色素は生細胞には入らないが、死細胞には入って染色する。これにより顕微鏡下で生・死細胞を計数する(ハイスループットスクリーニングにはあまり向かない)。また死細胞の細胞質から漏出する物質を用いることもあり、代表的な方法としては乳酸脱水素酵素(LDH)の活性を測定するものがある。 次に生細胞が持つ機能や物質を利用する方法がある。生細胞の還元力を利用するものにMTTアッセイなどがある。生細胞にMTTなどのテトラゾリウム塩が取り込まれ、これが還元されてホルマザンとなり発色する。このほかにスルホローダミンBなどを使う方法がある。また生細胞のみが持つATPを定量することで生存率を求めることができる。ATP量はルシフェラーゼによる発光で知ることができる。 放射標識化合物を使う方法としては、トリチウム標識チミジンなどの生細胞への取り込みを測定する方法がある。 この他、細胞の増殖を見るコロニー形成法も用いられる。 アポトーシスに対しては、これを特異的に検出する方法がある。
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