株式会社 設立

株式会社

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/22 00:54 UTC 版)

設立

日本

日本での株式会社の設立方法には、発起人(ほっきにん)が全額出資する発起設立と、発起人が一部を出資し、残りの株式を引き受ける者を募集する募集設立の2種類ある[35]。いずれの場合も、発起人が、株式会社の目的、商号、本店所在地、設立に際しての出資額、発起人の氏名(名称)・住所等を記載した定款を作成する[36]。発起人及び募集設立の場合の引受人は、引き受けた株式についてその全額の出資を履行しなければならない[37]。そして、本店所在地において設立の登記をすることによって株式会社が成立する[38]。専門職として、明治5年に司法書士が創設され、株式会社の設立などの業務を行う。

旧商法の下では、株式会社の設立に際して最低1000万円の資本金を必要とする規制があったが、2003年(平成15年)2月の新事業創出促進法の一部改正で一定の条件で資本金1円で会社設立が可能となる「最低資本金規制特例制度」が制定された後、2006年(平成18年)5月の会社法の施行に伴い、最低資本金制度は廃止された[39]。持分会社も、社員となろうとする者が定款を作成し、本店所在地で設立の登記をすることによって成立する[40]

アメリカ

アメリカでは株式会社を表すため、会社名の後にInc.をつける。アメリカのコーポレーションは、設立人 (incorporator) が基本定款(articles of incorporationやcertificate of incorporation) を手数料とともに州務長官等の州の機関に提出することによって設立される[41]。設立人は出資者でなくてもよく、弁護士などが設立人となることも多い[42]。基本定款には、コーポレーションの名称、存続期間(通常は「永久」)、目的(通常は「すべての適法な事業」)、発行可能株式数、登録事務所、取締役の人数(州によって設立時取締役 (initial directors) の氏名)、設立人の氏名、住所等が記載される[42]。一方、発起人 (promoter) は、自ら出資したり、他の出資者を募ったりして資金を調達し、また各種の設立準備行為を行う役割を担う[43]

かつてはすべての州に最低資本金(1,000ドルとするのが最も典型的であった)の制度があったが、現在では、ほとんどの州で廃止されている[44]。設立人又は設立時取締役が最初に開く会合(又はそれに代わる書面による合意)で、株式引受けの申込みに対する承諾、株式の発行、取締役・執行役員の選任、その他事業を始めるための契約の承認、附属定款 (bylaws) の承認などが行われる[45]


注釈

  1. ^ これに対し、出資者が事業の所有者とならないものとして、協同組合一般社団法人相互会社がある。神田 (2009:1, 25)。
  2. ^ 取締役会設置会社では、取締役会が株主総会の日時、場所、議題等を決定した上、代表取締役等が招集する(会社法298条4項)。
  3. ^ 旧商法260条等。なお有限会社では取締役会は設置されていなかった(旧有限会社法26条参照)。
  4. ^ ただし、定款によって、定足数は3分の1以上の割合と、議決に必要な表決数は過半数以上の割合と定めることができる(会社法341条)。旧商法では議決に必要な表決数は3分の2の特別多数決とされていた(旧商法257条、343条)。
  5. ^ 日本法でも、取締役は善良な管理者の注意義務(善管注意義務)を負うこととされているのに加え(会社法330条民法644条)、忠実義務を負うと定められている(会社法355条)。最高裁判所判例は、忠実義務は善管注意義務を敷衍し、かつ一層明確にしたものであるとするが(最高裁昭和45年6月24日大法廷判決・民集24巻6号625頁・最高裁判例検索システム 2014年8月20日閲覧)、学説では両者は別の概念であるとする見解が有力である。神田 (2009:203-204)。
  6. ^ 日本の新会社法では「責任追及等の訴え」と名付けられている(会社法847条)。
  7. ^ 日本の会社法上は業務の適正を確保するための体制と呼ばれている。
  8. ^ 累積投票でD人の取締役が1度に選任される場合に、ある株主がn人の取締役を選任させるために必要な株式数xは、全株式数をSとすると、で計算することができる。Hamilton (2000:267-268)。
  9. ^ 一方、公開会社では株主割当て以外の方法でも(新株引受権を与えなくても)、株主総会の特別決議なく、取締役会の判断で新株を発行できる(会社法201条)。
  10. ^ 旧法では、株式を自由に譲渡することができる公開会社と、株式の譲渡に取締役会の承認を要することを定款で定めた閉鎖会社に分かれていたが(旧商法204条1項)、新会社法では、全株式について株式会社の承認を要する旨定めることができるほか(会社法107条1項1号)、種類株式の一種として譲渡制限株式を発行することができる(会社法108条1項4号)との整理がされた。
  11. ^ 三角合併の利点は、買収会社にとっては対象会社の債務を子会社が承継するため親会社自ら承継しなくてよいと同時に、対象会社の株主にとっては子会社の株式ではなく市場価値のある買収会社(親会社)の株式を受け取れる点にある。Hamilton (2000:620)。
  12. ^ ただし、アメリカの会社法で大きな影響力を持つデラウェア州法では、合併にしか株式買取請求権を認めていない。Kraakman et al. (2004:140)。

出典

  1. ^ 『有斐閣 法律用語辞典 [第3版]』(法令用語研究会 編、有斐閣、2006年、ISBN 4-641-00025-5)109頁目「会社」の項、654頁目「社団法人」の項
  2. ^ Kraakman et al. 2004, pp. 1, 5–6, 15)
  3. ^ Kraakman et al. 2004, p. 15
  4. ^ Kraakman et al. 2004, pp. 6–7
  5. ^ Kraakman et al. 2004, p. 7
  6. ^ Hamilton 2000, p. 46
  7. ^ 神田 (2009:25)
  8. ^ Kraakman et al. 2004, p. 8
  9. ^ a b Kraakman et al. 2004, p. 9
  10. ^ 神田秀樹 2009, p. 25
  11. ^ Kraakman et al. 2004, pp. 8–9
  12. ^ 日本の株式会社につき、会社法104条、アメリカのコーポレーションにつき、Hamilton 2000, p. 47。
  13. ^ 日本の会社法580条
  14. ^ 神田 (2009:28)。
  15. ^ Kraakman et al. 2004, p. 10
  16. ^ 日本の株式会社につき、神田秀樹 2009, p. 26、吉原和志 et al. 2004, p. 77、会社法127条参照。
  17. ^ 吉原和志 et al. 2004, p. 78
  18. ^ Kraakman et al. 2004, p. 11。日本につき、会社法2条17号参照。
  19. ^ a b Kraakman et al. 2004, p. 11
  20. ^ 岩田 (2007:44)。
  21. ^ 神田 (2009:26)。Kraakman et al. (2004:11-13)。
  22. ^ 神田 (2009:25)、Kraakman et al. (2004:13)。
  23. ^ 神田 (2009:1-3)。
  24. ^ 岩田 (2007:32-33)。
  25. ^ 岩田 (2007:16, 37-38)。
  26. ^ 岩田 (2007:11-12, 22)。
  27. ^ 岩田 (2007:37, 42-43) 参照。
  28. ^ 岩田 (2007:35)。
  29. ^ 岩田 (2007:28-31)。
  30. ^ a b International Encyclopedia (1968:396-97)。
  31. ^ International Encyclopedia (1968:397)。
  32. ^ Hamilton (2000:62)、International Encyclopedia (1968:398-99)。
  33. ^ Hamilton (2000:63-64)、International Encyclopedia (1968:399)。
  34. ^ International Encyclopedia (1968:400)。
  35. ^ 会社法25条1項。
  36. ^ 会社法26条29条
  37. ^ 会社法34条63条
  38. ^ 会社法49条
  39. ^ 概要・第2の1(1)。旧商法168条の4参照。
  40. ^ 会社法575条579条
  41. ^ Hamilton (2000:78)。
  42. ^ a b Hamilton (2000:82)。
  43. ^ Hamilton (2000:115-116)。
  44. ^ Hamilton (2000:88)。
  45. ^ Hamilton (2000:107)。
  46. ^ 神田 (2009:160)。
  47. ^ 神田 (2009:161)。
  48. ^ 神田 (2009:63)、Hamilton (2000:164)。
  49. ^ 会社法296条1項、2項。
  50. ^ 会社法296条3項、297条
  51. ^ 神田 (2009:165)、会社法295条
  52. ^ 会社法309条
  53. ^ Hamilton (2000:254-56)。
  54. ^ 会社法326条2項、327条1項。
  55. ^ 神田 (2009:191-92)。
  56. ^ Hamilton (2000:232-33, 402)。
  57. ^ Hamilton (2000:238-39)。
  58. ^ Hamilton (2000:319)。
  59. ^ Hamilton (2000:239-40, 388-89)。
  60. ^ Hamilton (2000:412-16)、Kraakman et al. (2004:21-31)。
  61. ^ Kraakman et al. (2004:34)。
  62. ^ Kraakman et al. (2004:34-36)、日本につき会社法329条
  63. ^ Kraakman et al. (2004:37)、日本につき会社法332条1項。
  64. ^ Kraakman et al. (2004:37)、日本につき会社法339条341条
  65. ^ Kraakman et al. (2004:41) 参照。
  66. ^ Kraakman et al. (2004:42)。日本につき神田 (2009:171)、会社法298条2項。
  67. ^ Hamilton (2000:397-99, 404-05, 411)、Kraakman et al. (2004:42-43)。
  68. ^ Kraakman et al. (2004:41-44, 46)。
  69. ^ Hamilton (2000:241-)、Kraakman et al. (2004:47)。
  70. ^ Kraakman et al. (2004:47)。日本の株主提案権につき神田 (2009:168-169)。
  71. ^ Kraakman et al. (2004:38-39)。
  72. ^ Hamilton (2000:410)、Kraakman et al. (2004:50)。
  73. ^ Hamilton (2000:414-15)、Kraakman et al. (2004:51)。
  74. ^ Kraakman et al. (2004:52)。
  75. ^ 神田 (2009:203-204)、Kraakman et al. (2004:52)。
  76. ^ 神田 (2009:204-210)、Kraakman et al. (2004:52)。
  77. ^ 神田 (2009:238)。
  78. ^ 黒沼悦郎「ディスクロージャー制度の多様化」『ジュリスト』第1368号、有斐閣、2008年12月、 28頁。
  79. ^ 神田 (2009:193, 205-06)、概要・第2の3(2)。
  80. ^ Hamilton (2000:416)、Kraakman et al. (2004:52)。
  81. ^ 岩田 (2007:49-58)、Hamilton (2000:417-18)。
  82. ^ 神田 (2009:187-188)、Hamilton (2000:267-270)。
  83. ^ Hamilton (2000:268)。
  84. ^ 神田 (2009:188)。会社法342条
  85. ^ Hamilton (2000:268-69)。
  86. ^ Kraakman et al. (2004:55-56)。日本につき神田 (2009:169)、会社法308条1項。
  87. ^ Kraakman et al. (2004:62-63)。
  88. ^ Kraakman et al. (2004:66)。日本につき会社法429条参照。
  89. ^ 神田 (2009:119)、吉原ほか (2004:1-3)。
  90. ^ 神田 (2009:119)、吉原ほか (2004:1-2)。
  91. ^ 神田 (2009:119, 121)、吉原ほか (2004:2-3)。
  92. ^ 神田 (2009:122-23)、吉原ほか (2004:2-3)、Hamilton (2000:210-11)。
  93. ^ 吉原ほか (2004:12)、Hamilton (2000:211)。なお神田 (2009:123)。
  94. ^ 吉原ほか (2004:4)。
  95. ^ Hamilton (2000:216-218)。
  96. ^ 吉原ほか (2000:4-5)、Hamilton (2004:218)。
  97. ^ 吉原ほか (2004:5)、Hamilton (2000:215)。
  98. ^ 吉原ほか (2004:21-24)。
  99. ^ 神田 (2009:126-27)、吉原ほか (2004:20)、Kraakman et al. (2004:146)。
  100. ^ 吉原ほか (2004:21)。
  101. ^ 神田 (2009:127)。
  102. ^ 参照:神田 (2009:127-28)。
  103. ^ Kraakman et al. (2004:146)、神田 (2009:124)。
  104. ^ Kraakman et al. (2004:146-45)。日本につき、神田 (2009:124-25, 131-32)、会社法37条113条3項、201条により読み替えられる199条2項。
  105. ^ Kraakman et al. (2004:145)。
  106. ^ 神田 (2009:133)。会社法202条参照。同法199条2項、309条2項5号。
  107. ^ Kraakman et al. (2004:148)。
  108. ^ 神田 (2009:135)、会社法199条3項、201条1項参照。
  109. ^ 日本につき、神田 (2009:78)、吉原ほか (2004:11-12)。会社法108条1項1号、2号参照。アメリカにつき、Hamilton (2000:204-06)。
  110. ^ 神田 (2009:77)、吉原ほか (2004:11-12)。
  111. ^ 日本につき、神田 (2009:76-77)、吉原ほか (2004:14)。会社法107条1項3号、108条1項6号、7号参照。アメリカにつき、Hamilton (2000:207)。
  112. ^ 神田 (2009:74-75)。
  113. ^ 神田 (2009:287)、吉原ほか (2004:57)。
  114. ^ 吉原ほか (2004:2)。
  115. ^ 吉原ほか (2004:59)。
  116. ^ 神田 (2009:287)、会社法676条参照。
  117. ^ 神田 (2009:288)。
  118. ^ 吉原ほか (2004:121)、Kraakman et al. (2004:193)。
  119. ^ 吉原ほか (2004:121-22)、Kraakman et al. (2004:194-95)。
  120. ^ Hazen-Ratner (2006:11-14)。
  121. ^ Hazen-Ratner (2006:111-12)。
  122. ^ Kraakman et al. (2004:113)。
  123. ^ 吉原ほか (2004:127-28)。
  124. ^ Hazen-Ratner (2006:125-26)。
  125. ^ 神田 (2009:308)。
  126. ^ 神田 (2009:310)。
  127. ^ 神田 (2009:314)、Hamilton (2000:615)、Kraakman et al. (2004:134)。
  128. ^ 神田 (2009:315)。
  129. ^ Hamilton (2000:619-620)。
  130. ^ 神田 (2009:315-318)。
  131. ^ Kraakman et al. (2004:134)。日本につき、会社法309条2項12号。
  132. ^ Kraakman et al. (2004:140)。日本につき、神田 (2009:321)、会社法785条以下、797条以下、806条以下。アメリカにつき、Hamilton (2000:627-31)。
  133. ^ Kraakman et al. (2004:141)。
  134. ^ 神田 (2009:309)。
  135. ^ Hamilton (2000:626)。
  136. ^ Kraakman et al. (2004:145)。日本につき、神田 (2009:310)、会社法467条1項1号、2号、309条2項11号。アメリカにつき、Hamilton (2000:625)。
  137. ^ Kraakman et al. (2004:140)。日本につき、神田 (2009:310)、会社法469条470条。アメリカにつき、Hamilton (2000:626, 630)。
  138. ^ 神田 (2009:331)。
  139. ^ Kraakman et al. (2004:136-37)。
  140. ^ 神田 (2009:310)、Kraakman et al. (2004:158)。
  141. ^ Hamilton (2000:435-36)。
  142. ^ 岩村充 (2005年12月5日). “LBO(レバレッジド・バイアウト)を巡って”. 2009年4月8日閲覧。[リンク切れ]
  143. ^ Hamilton (2000:417, 437, 440-41)。
  144. ^ Hamilton (2000:437-38)。
  145. ^ Kraakman et al. (2004:166-67)。






株式会社と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

「株式会社」に関係したコラム

  • 株式売買を行う日本国内の証券会社の一覧

    個人投資家が株式投資を行う場合、証券会社を通じて株式売買を行うのが一般的です。証券会社は、株式などの有価証券の売買をはじめ、店頭デリバティブ取引や有価証券の管理を主な業務としています。日本国内の証券会...

  • FXのQ&Aサイト一覧

    FXのQ&Aサイト一覧FX(外国為替証拠金取引)業者の提供するQ&Aサイトの一覧です。Q&Aサイトでは、FXの初心者向けへのQ&Aや、FX業者の提供するサービスの内容、操作方法などのQ&Aなどが用意さ...

  • FXの取引をスマホで行える業者の一覧

    FX(外国為替証拠金取引)の取引をiPhoneやAndroidなどのスマホ(スマートフォン)で行うには、スマホで取引できる専用のアプリケーションが必要です。スマホのWebブラウザを利用して取引できる場...

  • 日本国内のFX業者のレバレッジ比較

    2012年5月現在、日本国内のFX業者のレバレッジの比較一覧です。レバレッジの倍率は「金融商品取引業等に関する内閣府令」により、2011年8月から最大25倍まで(個人の場合)に規制されています。なお、...

  • FXのくりっく365とは

    FX(外国為替証拠金取引)のくりっく365とは、株式会社東京金融取引所(金融取)の運営するFX(外国為替証拠金取引)の名称です。くりっく365は、2005年7月から取引が開始されました。くりっく365...

  • 日本国内のFX業者の法人向けレバレッジ比較

    2012年5月現在、日本国内のFX業者の法人向けレバレッジの比較一覧です。レバレッジの倍率は個人の場合、「金融商品取引業等に関する内閣府令」により、2011年8月から最大25倍までに規制されています。

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

株式会社のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



株式会社のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの株式会社 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2022 GRAS Group, Inc.RSS