減価償却とは? わかりやすく解説

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減価償却

読み方:げんかしょうきゃく

減価償却とは

減価償却とは、有形固定資産減価償却資産)の取得かかった金額を、一定の方法で各年分必要経費として配分することである。減価償却の対象となるのは、耐用年数1年以上であり取得価額10万円以上の資産である。耐用年数1年未満のもの、あるいは取得価額10万未満資産についてはその取得要した金額全額を、その年分必要経費として計上する

また、取得価額10万円以上20万円未満資産については、耐用年数分を均等に必要経費として配分できる他に、3分の1必要経費にすることもできるまた、青色申告をしている場合には、全額必要経費として充当するともできる

関連サイト減価償却資産の耐用年数等に関する省令e-Gov

げんか‐しょうきゃく〔‐シヤウキヤク〕【減価償却】

読み方:げんかしょうきゃく

使用または時の経過などによって生じ有形固定資産価値減少分を見積もり耐用年数割り当て費用として配分する会計上の手続き


減価償却

読み方げんかしょうきゃく

車などの有形固定資産取得原価
耐用年数に応じて費用配分する手続きのことを減価償却といいます

減価償却を行うには二つ理由あります
1.有形固定資産流動化させ、減価償却費発生させることで
  製品など転化し販売されることで売掛金などとして回収されます。
2.減価償却費支出のともわない費用なので、  その分だけ企業資金確保しておくことができる。


減価償却


減価償却

※「大車林」の内容は、発行日である2004年時点の情報となっております。

減価償却

読み方げんかしょうきゃく
【英】: depreciation

(1) 定義:減価償却は、米国公認会計士協会用語集によれば次のように定義されている。〈有形資本資産tangible capital assets)の原価もしくはその他の基本的価額から残存価額salvage value)(もしあれば)を控除した価額組織的かつ合理的な方法で、その設備資産グループのこともある)の推定耐用年数estimated useful life)にわたって配分することを目的とする会計方式である。その年度の減価償却費この方式によってその年度に配分され合計計上額の該当部分である。〉
(2) 減価償却の意義わが国企業会計審議会意見書は、「減価償却の最も重要な目的は、適正な費用配分を行うことによって毎期損益計算正確ならしめることである」と述べている。減価償却を資金的な面からみれば、収益から控除されることによって固定資産投下され資金回収されること、すなわちそれだけ運転資本working capital)が増えるころから、減価償却は利益留保とともに内部資金調達internal financingないしは自己金融の手ということができる。
(3) 減価償却費計算基礎減価償却の計算基礎となるのは次の三つである。(i) 取得原価acquisition value またはoriginal cost):一般的にはその固定資産購入代金付帯費用輸送費、保険料金利など)を加えた額。(ii) 残存価額salvage value):固定資産耐用年数到来時において予想されるその資産売却処分または利用価額をいう。わが国では税法上、営業権特許権などの無形固定資産についてはその性質ゼロその他の減価償却資産については取得原価の 5 %としている。(iii) 耐用年数useful life):その固定資産使用可能の推定年数をいう。わが国では法定詳細に定められているが、米国連邦税法ではガイドライン基準年数)を示すにとどまり実際の適用年数税務署長認定ゆだねている。
(4) 減価償却費計算方法:ある会計年度経費として計上すべき減価償却費算定するために、多く用いられているのは次ののである。(i) 定額法straightline method):毎期均等に一定額を減価償却費として費用化する方法で、一定額は次式で計算される

定額法計算が簡単であるうえ、損益変動少なくする。(ii) 算術級数法(sum-of-years'-digit method):わが国では行われないが、米国では 1954 年国税徴収法Revenue Code of 1954)で認められている。この方法は耐用年数期間にわたって等差級数的に減少する分数年々の減価償却率とするもので、定額法よりも初期多く償却できる。例え耐用年数10 年場合、10/55、9/55、……、2/55、1/55、という具合である。(iii) 定率法(declining balance method):固定資産年々未償却残高一定率を乗じた価額減価償却費とする方法で、この一定率は次の算式求められる

この方法も耐用年数初期のうちに多額の減価償却が行われるため、早期固定資産への投下資本過半額を回収することができる。(iv) 生産高比例法(unit-of-production method):資産有用性usefulness)が時間の経過よりも資産生産ないし産出高によってより適切に測定できるような場合用いられる。したがってこの方法を適用できる固定資産範囲は、鉱業資産航空機自動車など限られる算式次のとおりである。

生産高比例法石油・ガス鉱業でも多く用いられるが、ある鉱業資産から生産される期待される数量推定値は年によって変化するので、ある鉱業資産上の減価償却費算出するには一般に次の算式使われている。

(5) 個別減価償却と総合(またはグループ)減価償却:石油・ガス生産のように資産項目が多い場合資産売買頻繁な場合、また単一項目の除却転用売却その他の異動場合個々資産ごとの償却計算余分な時間と金がかかり実際的でない総合グループ償却は、似たような特性または同一目的のために使用される資産項目グループとしてまとめ、減価償却はそのグループ合計に対して行われるグループ減価償却引当金グループ内の資産期待耐用年数残存価額加重平均して算出する

減価償却

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/11 17:49 UTC 版)

減価償却(げんかしょうきゃく、: depreciation)とは、企業会計における購入費用の認識と計算の方法。長期間にわたって使用される固定資産の取得(設備投資)に要した支出を、その資産が使用できる期間にわたって費用配分する手続きである。

英語では、有形固定資産にかかるものを depreciation、無形固定資産にかかるものを amortization という。

概要

減価償却の本質

減価償却とは、一般に有形固定資産(固定資本)の価値の減価を測定し、その減価を帳簿から差し引くことをいう[1]

これらの減価原因には次のようなものがある。

  • 物質的減価(物理的摩滅) - 使用による損耗(wear and tear)や時の経過による自然損耗[2]
  • 機能的減価(経済的減価) - 旧式化や陳腐化による減価(depreciation due to obsolescence)及び不適合[1][2]
  • 災厄的減価 - 事故や災害による減価[1]

一部、特許権、商標権や漁業権ソフトウェアなど各種権利の無形固定資産についても、減価償却を行うことがある。

なお、「償却」には、資産の原価を将来に渡って費用配分する、という意味がある。会計用語では、特に有形固定資産(Tangible assets)を償却することを「減価償却」(Depreciation)と呼び、無形固定資産(Intangible assets)を償却することを単に「償却」(Amortization)と呼んで区別している。
一方、貸倒損失を「貸倒償却」と呼ぶことがあり、減価償却や償却、貸倒償却を含めた広義の「償却」(Amortization)もあるので注意が必要である。

非減価償却資産

固定資産であっても減価償却しないものがある。減価償却しないものは非減価償却資産と呼ばれ、非減価償却資産は以下の様な時間によっても価値が減少するとは限らないものが該当する。

また、株式などの有価証券も、減価償却資産とされない。

減価償却の計算要素

減価償却の計算の3要素として、取得価額、耐用年数残存価額の3つがある[4]

取得価額
減価償却資産の取得に関連して支出した費用で、資産の購入代価のほか、引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税などの付随費用を含める[4]。具体的には税法で取得価額に算入する範囲が規定される[4]
耐用年数
建物、車両、運搬具、工具、器具、備品等のように一資産の種類ごとに定められている個別耐用年数と、機械装置のように設備の種類ごとに定められている総合耐用年数がある[4]
残存価額
減価償却資産が耐用年数を経過して本来の用役が困難になった場合に、売却で得られるべき見積価額(処分価額)あるいは転用で得られるべき利用価額をいう[4]。残存価額も税法で資産の種類別に画一的に規定されている[4]

4つの減価償却方法

減価償却は、定額法、定率法、級数法(年数総和法)、生産高比例法の4つの方法がある。

いずれの方法も対象資産の取得価額から残存価額を引いた要償却額に対して、それぞれの方式ごとに異なった割合での比率によって、償却期間に配分される。減価償却は対象資産の取得月に起算され、月割りでの計算が行なわれる。

取得原価(Cost)にはその資産の代金だけでなく、運賃、手数料、保険料、登録料などの付随する全ての費用が含まれる。

多くの資産は耐用年数の期間だけ使用した後でも、まだ便益に供することが可能な状態であるために、そういった資産を耐用年数分の使用後に売却処分した場合に得られると予想される金額を残存価額(Salvage value)として設定している。取得原価から残存価額を差し引いた要償却額に対してだけ償却期間を通じた費用配分が行なわれる。

理論上の減価償却

企業会計原則注解」[注20]では固定資産の減価償却の方法として、

  1. 定額法 固定資産の耐用期間中、毎期均等額の減価償却費を計上する方法
  2. 定率法 固定資産の耐用期間中、毎期期首未償却残高に一定率を乗じた減価償却費を計上する方法
  3. 級数法(年数総和法) 固定資産の耐用期間中、毎期一定の額を算術級数的に逓減した減価償却費を計上する方法
  4. 生産高比例法 固定資産の耐用期間中、毎期当該資産による生産又は用役の提供の度合に比例した減価償却費を計上する方法

が例示されている。前者の3つは時間に基づいて減価償却するのに対して、生産高比例法は活動量に基づいて減価償却する方法である。また、定率法と級数法は加速度的償却法である。なお、日本では、無形固定資産の減価償却については定額法だけが認められている。

以下では、取得額をA0、耐用年数をu、残存価額をAu、償却率r とする。

定額法

定額法(Straight-Line method, SL)は、毎年一定の額を償却してゆく償却法。毎年の減価償却費を平準化できるという特徴がある一方、使用により、維持修繕費が逓増する場合には、耐用年数後半において費用負担が増大するという欠点がある。年間の減価償却費は、取得原価と残存価額との差額を耐用年数で除して求める。

償却率r を求める場合、原理的には、Au = (1-u r )A0 より、

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(2022年10月)

日本における減価償却の計算方法

各期に計上される費用を減価償却費: Depreciation Expense)という。全体の支出額(取得原価)を各年度の費用として配分することにより、各年度における損益とキャッシュ・フローとの差異が生じることになる。

取得した資産の実際の使用可能な寿命をあらかじめ知ることは困難で、たとえば建物のように使用の限界時期が明確でない物もある。本来ならば、減価償却における耐用年数(: the Estimated useful life)は、なんらかの科学的統計的な手法により見積られるべきであるが、実務上は、法人税法において資産の種類ごとに定められた耐用年数を用いられており、これを法定耐用年数という。

減価償却の会計処理にあたっては、各期の減価償却費に相当する額だけ、固定資産を減額する必要がある。そのため、貸借対照表の「固定資産の部」において、各資産は取得原価から減価償却累計額(: Accumulated Depreciation)を控除する形で表示される。

減価償却は、あらかじめ定められた償却法と耐用年数により、各資産毎の年間の償却額を算出する。ただし、その会計期間の期中に取得(または使用を中断)した資産の場合は、年間償却額を月割計算した額となる。

なお、法人税法の規定によれば、耐用年数を超えて使用する場合でも償却可能限度額(日本の場合、有形固定資産では取得額の95%)を超えて償却することはできない。会計基準においては、この点について特別な規定はない。

平成19年度税制改正により、平成19年4月1日以降の新規取得に関しては備忘価額の1円まで償却が可能となった。また、平成19年3月31日以前取得の資産に関しても、平成19年4月1日以降に開始する事業年度から1円まで償却が可能となった。なお無形固定資産については、償却方法は定額法限定で、残存価額がゼロとなるまで償却する。

日本における税法上の減価償却

日本では、平成19年税制改正において制度改正がされたため、取得日が平成19年3月31日以前、平成19年4月1日以後とで方法が異なる。そのため税法上では6種類の償却方法が存在する。

  • 平成19年3月31日以前に取得をした減価償却資産についての償却方法
    • 旧定額法
    • 旧定率法
    • 旧生産高比例法
  • 平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産についての償却方法
    • 定額法
    • 定率法(250%定率法)
    • 生産高比例法

なお、法人税法における建物の償却法については、平成10年4月より、新築・増築については旧定率法並びに定率法を用いることは認められなくなっている。

減価償却の方法

旧定額法(平成19年3月31日以前)

1. 次の計算式で求められる金額を償却限度額とする。

償却限度額=(取得価額 − 残存価額)×旧定額法の償却率

ここで、残存価額については

残存価額=取得価額×減価償却資産の耐用年数等に関する省令(耐用年数省令)別表第十一に規定されている残存割合[5]

上記計算式で求められる金額を用い、旧定額法の償却率は耐用年数省令別表第七で規定された値を用いる[6]

2. 償却累積額が、取得価額の95%相当額に到達する事業年度の償却限度額は、取得価額の95%相当額を越えた部分を控除した額とする。

3. 2.の事業年度の翌年度以後は、次の計算式で求められる金額を償却限度額として、残存簿価1円まで償却することができる。

償却限度額=(取得価額 − 取得価額の95%相当額 − 1円)×各事業年度の月数/60
旧定率法(平成19年3月31日以前)

1. 次の計算式で求められる金額を償却限度額とする。

償却限度額=期首帳簿価額×旧定率法の償却率

ここで、旧定率法の償却率は耐用年数省令別表第七で規定された値を用いる[6]

2. 償却累積額が、取得価額の95%相当額に到達する事業年度の償却限度額は、取得価額の95%相当額を越えた部分を控除した額とする。

3. 2.の事業年度の翌年度以後は、次の計算式で求められる金額を償却限度額として、残存簿価1円まで償却することができる。

償却限度額=(取得価額 − 取得価額の95%相当額 − 1円)×各事業年度の月数/60
旧生産高比例法(平成19年3月31日以前)

1. 次の計算式で求められる金額を償却限度額とする。

償却限度額={(鉱業用減価償却資産の取得価額 − 残存価額)/その資産の耐用年数(注)の期間内におけるその資産の属する鉱区の採掘予定数量}×その事業年度におけるその鉱区の採掘数量
(注)その資産の属する鉱区の採掘予定年数がその資産の耐用年数より短い場合には、その採掘予定年数。

ここで、残存価額については

残存価額=取得価額×耐用年数省令別表第十一に規定されている残存割合[5]

上記計算式で求められる金額を用いる。

2. 償却累積額が、取得価額の95%相当額に到達する事業年度の償却限度額は、取得価額の95%相当額を越えた部分を控除した額とする。

3. 2.の事業年度の翌年度以後は、次の計算式で求められる金額を償却限度額として、残存簿価1円まで償却することができる。

償却限度額=(取得価額 − 取得価額の95%相当額 − 1円)×各事業年度の月数/60
定額法(平成19年4月1日以後)

次の計算式で求められる金額を償却限度額とし、残存価額が1円になるまで償却を行なう。

償却限度額=取得価額×定額法の償却率

ここで、定額法の償却率は耐用年数省令別表第十で規定された値を用いる[7]

定率法(平成19年4月1日以後)

1. まず、次の2つの式で調整前償却額と償却保証額の金額を求める。

調整前償却額=期首帳簿価額×定率法の償却率
償却保証額=取得価額×耐用年数に応じた保証率

ここで、定率法の償却率、耐用年数に応じた保証率はそれぞれ耐用年数省令別表第十で規定された値を用いる[7]

2. 調整前償却額と償却保証額の金額を比較し、当期の償却限度額を求める。

(1) 調整前償却額≧償却保証額の場合
償却限度額=調整前償却額
(2) 調整前償却額<償却保証額の場合
償却限度額=改定取得価額×改定償却率

ここで改定取得価額には期首簿価を用い、改定償却率には耐用年数省令別表第十で規定された値を用いる[7]。また、残存簿価1円まで償却できる。

生産高比例法(平成19年4月1日以後)

次の計算式で求められる金額を償却限度額とする。

償却限度額=(鉱業用減価償却資産の取得価額/その資産の耐用年数(注)の期間内におけるその資産の属する鉱区の採掘予定数量)×その事業年度におけるその鉱区の採掘数量
(注)その資産の属する鉱区の採掘予定年数がその資産の耐用年数より短い場合には、その採掘予定年数。

米国における加速原価回収制度

米国では1980年代からのレーガン税制により従来の減価償却(Depreciation)の概念を放棄して、加速原価回収制度(Accelerated Cost Recovery System…ACRS)という新制度が導入された[8]。この制度で従来の減価償却制度における固定資産のもつ有用期間である耐用年数とは直接的な関係のない、人為的・政策的にこれよりも短く改められた償却期間が用いられることになった[8]。具体的には1981年の改正で償却資産を4つに区分し、その償却期間を3年から最高18年までの期間に大幅に短縮した[8]

ACRSは1986年の公平・簡素・経済成長のための税制改革法(Tax Reform Act for Fairness, Simplicity and Economic Growth)で「修正加速原価回収制度」(Modified Accelerated Cost Recovery System…MACRS)として一部緩和されたが、加速原価回収制度は基本的に残されている[8]

政策的側面

政策面では、機械設備の有用期間としての耐用年数よりも人為的に短い償却期間を用いる耐用年数の政策的短縮(特別償却)を行ったり、償却計算方法として通常の償却方法よりも多額の減価償却を計上する加速効果をもつ計算方法を用いる加速償却などがとられることがある(両者を含めて広義の加速償却と称することがある)[8]

特別償却や加速償却は会計原則の取得原価主義による制約を受ける[8]。第2次大戦後には先進工業国を中心に加速償却政策がとられたが、1960年代以降、より投資刺激の効果が強い投資引当金や投資税額控除による政策に転換した[8]

社会的側面

減価償却は、一企業的には合理的な手法であるが、マクロ経済には思わぬ影響を及ぼす。

上述のように、10億円のビルが建設されたとする。ビル建設を発注した企業の収益は、それまで1億円だったものが3億円になるとする。また、建設を発注した企業は、10年定額法で毎年1億円ずつ償却していくとする。

建設を発注した企業は、ビルが建設された年に、10億円の建設投資をして収益が3億円であるから、この年は差し引き現金7億円の出超となる。ところが、会計上は、1億円だけを費用として計上するため、会計上の利益は3 - 1 = 2億円である。また、発注企業により支出された10億円は、建設会社や家計に入り、乗数効果をもたらす。この10億円のうち1億円だけが経費なので、経済全体では9億円の会計上の利益がもたらされる。

しかし、翌年はもうビルを建設しないとすると、建設を発注した企業は、収益3億円に対し減価償却費1億円を計上する。減価償却は会計上の費用であるため、実際は3億円の入超でありながら会計上の利益は2億円となる。この企業の収益は3億円であるから、その他の会社・家計は、その収益に対応して合計で3億円の出費を計上することになる。結果として、経済全体では、2 - 3 = -1億円の会計上の損失がもたらされる。

このような歪みが生まれるのは、投資をする側にとっては、単年度の投資費用すべてが経費にはならないのにたいして、投資を受注する側にとっては、単年度の利益がすべて収益となるためである。

ケインズ経済学では、これを基に設備投資が景気に与える影響を説明している。設備投資が活発な時期は、会計上の利益が増大し、社会全体がすべて利益を上げられているような錯覚が生まれ好景気となる。逆に、設備投資が低調な時期は会計上の出費が増大し、社会全体が損失を出しているような錯覚が生まれ不景気となる。

脚注

注釈

  1. ^ 2009年時点において、実際には市場価値が減少しているが、税法上の減価償却資産とされていない。

出典

  1. ^ a b c 村田直樹「減価償却の会計史」『経済集志』第87巻、日本大学経済学部、49-62頁。 
  2. ^ a b 小林正人. “減価償却とは:定額法と定率法”. 駒澤大学. 2022年10月23日閲覧。
  3. ^ 阿部徳幸・松嶋康尚共著 『減価償却の実務がスラスラわかる本』 中経出版 2008年4月初版発行 ISBN 9784806129325
  4. ^ a b c d e f 畠中 瞳「減価償却の計算要素」『商経論叢』第35巻第4号、九州産業大学商学会、49-62頁。 
  5. ^ a b 減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第十一”. e-Gov. 2020年1月25日閲覧。
  6. ^ a b 減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第七”. e-Gov. 2020年1月25日閲覧。
  7. ^ a b c 減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第十”. e-Gov. 2020年1月25日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g 小森瞭一「戦後フィシカル・ポリシーとしての加速償却政策」『經濟學論叢』第58巻第1号、同志社大学経済学会、71-72頁。 

関連項目

外部リンク


減価償却

出典:『Wiktionary』 (2018/06/18 07:23 UTC 版)

名詞

(げんかしょうきゃく)

  1. (簿記, 会計) 固定資産使用する期間わたって、その価値一定の規則に従って費用として配分していくこと。

翻訳

有形固定資産無形固定資産では異なる用語を用い場合がある。


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