公開会社_(日本法)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 公開会社_(日本法)の意味・解説 

公開会社 (日本法)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/13 13:57 UTC 版)

公開会社(こうかいがいしゃ)とは、日本の会社法では、株式会社のうち発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定め(譲渡制限規定)を設けていないものをいう(会社法2条5号)。

日本の会社法の公開会社の定義は上場会社か否かを基準にしていないが、これは日本では非上場株式会社の大部分が定款で全株式に譲渡制限規定を設けているという事情による[1]

会社法上の規定

会社法上の公開会社に関する主な規定には次のようなものがある。

  • 発行可能株式総数の定め
    公開会社の設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の4分の1を下ることができない(会社法37条3項)。また、公開会社が定款を変更して発行可能株式総数を増加する場合や公開会社でない株式会社が定款を変更して公開会社となる場合には、定款の変更後の発行可能株式総数は当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の4倍を超えることができない(会社法113条3項)。公開会社における募集株式の発行の決定は原則として株主総会決議を必要とせず取締役会の発行権限の濫用を防ぐためである[2]
  • 議決権制限株式の発行数
    種類株式発行会社が公開会社である場合、議決権制限株式の数が発行済株式の総数の2分の1を超えるに至ったときは、株式会社は、直ちに、議決権制限株式の数を発行済株式の総数の2分の1以下にするための必要な措置をとらなければならない(会社法115条)。「必要な措置」は議決権制限株式の発行数を減少させるか、他の種類株式の発行数を増加することで議決権制限株式の数の割合を発行済株式の総数の2分の1以下にする措置をいう[3]
  • 取締役会等の設置義務
    公開会社は取締役会を設置しなければならない(取締役会設置会社、会社法327条1項1号)。また取締役会設置会社であるため監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除いて監査役を置かなければならない(監査役設置会社、会社法327条1項2号本文)。
  • 取締役の資格等
    公開会社では広く人材を求めることができるようにする必要があるため取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができない(会社法331条2項本文)[4]。定款に取締役の資格を株主だけに限定する規定を置くことが禁止されているのであって、取締役を株主から選任することができないわけではない[4]。なお、公開会社でない株式会社では株主が経営者であることも多いため定款で取締役の資格を株主に限定することができる(会社法331条2項)[4]
  • 取締役の任期
    取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までで、定款又は株主総会の決議によって任期を短縮することはできる(会社法332条1項)。監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く公開会社でない株式会社では、定款によって、取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することができるが(会社法332条2項)、公開会社ではより短期に株主による新たな信任を得るべきとされるためである[5]

出典

  1. ^ 江頭憲治郎『株式会社法 第4版』有斐閣、2011年、7頁
  2. ^ 青竹正一『法律学の森 新会社法 第3版』信山社、2010年、64頁
  3. ^ 青竹正一『法律学の森 新会社法 第3版』信山社、2010年、99頁
  4. ^ a b c 青竹正一『法律学の森 新会社法 第3版』信山社、2010年、230頁
  5. ^ 青竹正一『法律学の森 新会社法 第3版』信山社、2010年、234頁

参考文献

関連項目


「公開会社 (日本法)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「公開会社_(日本法)」の関連用語

公開会社_(日本法)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



公開会社_(日本法)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの公開会社 (日本法) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS