賭博堕天録カイジ 和也編
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「賭博黙示録カイジの登場人物」の記事における「賭博堕天録カイジ 和也編」の解説
兵藤 和也(ひょうどう かずや) 声 - 山口勝平(パチンコ・スロット版) 兵藤和尊の次男。作中で年齢は明かしていないが、推定で20才前後。母親が外国人のためハーフである。 帝愛グループの関係者からは名前で呼ばれることはなく、「坊ちゃん」と呼ばれている。 スーツを着て、茶髪にサングラスというホスト風の容貌。性格は父親似のサディストな面もあるが、本人は一部否定をしている。カイジの暴言に分かりやすく不快感を示したり、その暴言が策だと知ると素直に感心してうなずくなど、年相応の面が描かれている。また場における状況判断や、身内、他人に関わらず、傍観するゲームでは最後まで中立の立場を貫くなど、ある種の冷静沈着さも持ち合わせている。 付き合う人間に金持ちや貧乏人といった隔たりはなく、気に入った人間に対しては特にフランクな振る舞いを好む。『和也編』では自身がプロデュースするレストランへとカイジを食事に誘い、自分と同じテーブルで同じ料理を出し、和也みずからボトルを持ってカイジのワイングラスに酒を注ぐなどの描写が見られる。また、カイジに胸ぐらを掴まれ言いがかりをつけられたり、逆に気安く抱きつかれたりといったシーンも描かれたが、その際にもやり返すことや拒絶等もせず、しばらくされるがままにさせていた。更には父親とは違い部下からの口答えを許し、進言も聞き入れるといった部分もある。 「17歩」の最中、当初は自身の正体をカイジには隠す形で登場。勝負の途中にカイジに友好的な態度で無金利で金を貸すと提案し、それに乗ったカイジに要求されるがままに次々と気前よく札束を積んでいたが、やがてカイジが支払える想定の金額を超えた際には、自分が帝愛の兵藤会長の息子だということを明かし、ここから先に金を貸す条件として、あらかじめ身体の各部位に保険金をかけた「欠損事故ルーレット」(ルーレットを回し止まった部分に書かれている身体の部位を事故と称し欠損させ、その代わりその部位にかけられている保険金を受け取ることが出来る)を持ち出し、最終的にカイジに貸し付けた金はこの方法で回収することになるが‥と重圧をかけ、カイジの覚悟を聞く。 その後「17歩」の中盤から立会人を務める。終盤まで村岡の不正を黙認し、同じくカイジの策をイカサマとはせず正攻法と認め、最終的には公平な審判を下す。その後、カイジへの賞金の支払いを渋った村岡から金(足りない分は土地と建物の権利証)を取り立ててカイジに勝ち金を保証した。先程の勝負やカイジの策に感心した和也は、好意により、その日のうちに土地と建物の権利書を現金で買い取ると申し出てカイジを車に乗せ、その車中でカイジに勝負を申し込む。 幼い頃から父親の威光により自分に媚びる人間に囲まれて育つが、その内心ではお世辞やおべっかを嫌う。自分は父親というフィルターを通して必要以上にチヤホヤされているだけであり、その実、誰も和也個人を好きでいるわけではないはずである…と、どこかドライな考えを持つ。和也が4歳の時、家族で出かけたクルージング時に起きた事故で兄とともに海に投げ出された際に、直前まで自分を見ていたはずの母親が和也には目もくれず、兄を優先して助けたため、自分は見捨てられたのだと誤解。幼い心に傷を残す。(実際にはそれは和也の思い違いではあったが誤解が解けることなく、その3年後に母親は事故で死亡。) 様々な要因から疑心暗鬼になり、人の心が見えず、孤独と空しさを味わってきたことに加え、かつて友人と思っていた相手全員に裏切られて以降、人の善意や美点が信じきれなくなる。また、それ故に人の真実の姿を渇望している面と、人の本質は私益と保身を軸に裏切りや人を出し抜くことが自然な状態だと頑なに達観(諦観)している面がある。 その内、「金なんて無い方がいい」と考えるようになり、金に飽かして派手に遊びまわるようになる。やがて「和也プロデュース」と称し、多重債務者や、時には同級生を誘い、勝者には1千万円の賞金、敗者には死の制裁が行われるギャンブルを開催するようになった。 そして『和也編』より約1年前、「作家になって自力で名声を得る」という生きる為の目標を掲げ、自らの体験を基にした小説「愛よりも剣」を書き上げる。レストランに立ち寄った際、その小説をカイジに読むように渡すが、和也の期待とは裏腹に、胸糞悪い・あまりに救いのない結末だと批難され評価は散々なものであった。更に小説内で描かれた凄惨なゲームはかつて和也を裏切ったとある男女に対し実際に課した罰であることをカイジに告白するも、それによりますます価値観の違いが高まる結果になってしまう。このままでは埒が明かないと、当初はカイジの前ではやる予定のなかった友情確認ゲーム「救出」で、カイジと自分、どちらの考え方が正しいのかの実験を提案する。 紆余曲折あり、カイジが裏切られたチャンとマリオを救い出したことにより友情確認ゲームは幕を閉じ、倉庫に移動。当初の予定通り自身の考案した「ワン・ポーカー」での勝負を開始する。 ガチンコの勝負で負けたことは一度もない。第一に強運の持ち主であり、その強運はとにかく箍が外れており、相手がその運を見誤ることもしばしば。しかし、カイジを相手にしたワン・ポーカーでは強運だけに限らず、追い詰められ、ここぞというタイミングでダブルダウンを引きピンチを迎えてしまう。その際には策を巡らせブラフを使い、見事ピンチを脱し自力で巻き返すことに成功した。その様子を見ていたカイジに「覚醒した」と評される。 ワン・ポーカーにて、イカサマなしでカイジに二度も勝利するが、一度目はカイジの命をライフに換算することを提案し、二度目は二人分の命をライフに換算して延長戦を認めてほしいというチャンやマリオの懇願に折れ、一度しか使えない自分の分の救命システムを使いカイジを助けてしまう。 自身が認めた度重なる延長戦により再びピンチを迎え、やがて負けの可能性が濃厚に見え始めたことで不安を覚え、ギリギリまで迷い考えあぐねいた結果、ついにはイカサマを使用してしまう。 そのイカサマは引き当てたカードの手札をたった一枚入れ替えるという簡単なものであったが、和也は今までの人生の中でイカサマというものを使用したことがなく、いざ、イカサマを使用するとなると相手に対する罪悪感や疚しさゆえに手が震えてしまい、その迷いや感情の機微をカイジに悟られる結果となってしまった。 最終的に心のうちを読まれ、イカサマをするための装置をカイジも作動させたことを和也が知っている(であろう)ことをカイジに逆手に取られ、双方の陣営全員の命を賭けた勝負に敗北。既に自分の救命システムをカイジのために使ってしまったことで、救出網を的確な位置で止めること以外での救命手段を失う。最終的に落下するが、下で待ち受けていたカイジたちによる救命策により一命を取り留める。 落下のショックにより気絶。以降の動向は不明。『24億脱出編』にて、実家に滞在中のカイジによる推測シーンでは、「和也は落下のショックから未だに目を覚ましていない」とのイメージ映像が描かれた。 光山(みつやま) 飲食店を経営する中年男性。年齢は40才過ぎ。チャンとマリオの雇い主。 経営は苦しく自転車操業をしている多重債務者であり、借金を返済できなくなったため、自身の腎臓を売ることになったが、B型肝炎を患っていたため臓器を売ることが出来ないと判断され、危うく地下強制労働施設送りになりそうだったところを、和也に身柄を1000万円で買われ、チャンとマリオと共に「救出」ゲームに挑むことになった。人生経験豊富なため、必要と有らば濡れ衣を着せられても敢えて受け入れるなど柔軟性がある。 来日して貧窮していたチャンとマリオに食事や仕事を提供した心優しい人間であり、救出ゲームでは3人での完走を固く誓っていたが、ゲームの最終局面で、和也の策略をきっかけに強烈な疑心暗鬼に陥ってしまい、最後はチャンとマリオを見殺しにして1人無傷で約7000万円を獲得する道を選び、さらには自身の行動を正当化しようとするほどに人間性を捨て去ってしまった(和也に「男らしい弱者」と皮肉られた)。そして見捨てられたチャンとマリオ、そしてその一部始終を見ていたカイジらの軽蔑の視線に気まずさを感じながらも、手中に収めた金を持って無言でその場から去っていった。 その後『24億脱出編』では、アパートにて、身の回りの荷物を取りに来たチャンとマリオと出くわし、彼らに対し餞別だと100万円ずつを渡そうとするが、そのパフォーマンスじみた仕草に逆に反感を買われ、彼らから相手にされずその人間性を徹底的に軽蔑される。 しかし二人が立ち去った後、餞別を渡さなくて済んだことを喜び、チャンとマリオを内心では見下した目で見ていた様子が描かれている。 のちに母の日のプレゼントを買おうとデパートを訪れたマリオを目撃する。既にチャン、マリオとは袂を別っており、帝愛に協力するつもりであり、4億、6億の金を手にした(と思われる)二人のことを羨ましく、憎らしく思っている。 チャン(張博文/チャン・ボーウェン) 光山の下で働く中国人。光山の借金返済に協力して「救出」ゲームに挑む。 貧しい農村の出身。次男だったが中国政府の一人っ子政策で無戸籍状態(黒孩子)となっており、人間扱いされない労働生活を送っていた。戸籍を購入することと、家族を養うために日本に渡って出稼ぎすることを目指し、なけなしの金で買った日本語教材で必死に日本語を覚え、裏ルートで来日した。3人の中でも機転が利き、戦術を築いて活路を作ることが出来る。 光山に裏切られ殺されかけたところを助けてくれたカイジの仲間となり、共に打倒・和也を目指すことになった。 普段は冷静な性格だが、時に感情的になり、『ワン・ポーカー』の最中には黒服の高崎と言い合いになったこともある。 『24億脱出編』ではカイジ・マリオの2人と共に帝愛から勝ち金の24億円を持ち去り逃亡。3人の中で唯一の運転免許所持者であるため逃走車の運転手を務めている。 また、非常に生真面目でしっかり者なため、暴走しがちなカイジやマリオを咎めたりなど、3人の逃亡劇におけるカイジの右腕的役割を担う存在である。 マリオ・ガルシア 光山の下で働くフィリピン人。3人の中では一番若い。年齢は20歳前後。光山の借金返済に協力して「救出」ゲームに挑む。 ゴミの海「スモーキーバレー」の中で生計を立てる、貧民層最下のスカベンジャー出身。兄の一件(後述)で金に対して嫌悪感を抱くと同時に、未来を切り開くための希望も抱いている。 光山に裏切られ殺されかけたところを助けてくれたカイジの仲間となり、共に打倒・和也を目指すことになった。 『24億脱出編』ではカイジ・チャンの2人と共に帝愛から勝ち金の24億円を持ち去り逃亡。 周りに合わせる穏やかな性格で、やや弱気な面やズレた感性もあるが、警察の職務質問を回避するためにとっさにひったくり行為をしてチームの危機を回避するなどの勇気と機転を見せた。 社長 本名不明。帝愛グループ傘下で高利貸しを行っている強面の男性。 腎臓の売買ルートを持っており、借金が返せない債務者からは腎臓を摘出して換金するという凶悪な回収を行っている。1000万円を貸し付けていた光山がB型肝炎だったため、腎臓だけでは貸し付けた金を回収できず困っていたところ、和也が同額で身柄を買いたいと言ったのを承諾した。 アントニオ マリオの兄。「正しい人間はいつか報われる」という、楽観的かつ良心的な人生観を持っていた。ホセじいさんを殺そうとしたペドロを止めようしたところ、誤ってペドロを殺してしまう。ホセじいさんの金はマリオに託し、ペドロとホセじいさんの死と向き合って弔おうと決意したが、その後、深夜に外を徘徊していたところ、崩れてきたゴミの山の下敷きとなり死亡。その人生観は弟のマリオが最終的に友情確認ゲームで仲間を救う拠り所となっており、自分のときは報われなくとも弟の中で息づいているが、それが仇となって光山に裏切られることとなった。 ペドロ 生まれた時からのスカベンジャーの暮らしですっかり気力を失った青年。ホセじいさんの金を狙って殺すと同時に、それを見咎めたアントニオと揉み合いになり、結果的に彼により殺される形となる。 ホセじいさん スカベンジャーの老人。 若い頃、バブル景気の日本に出稼ぎした経験があり、その時の話を自慢すると同時にマリオとアントニオに日本語を教えていた。日本で稼いだ資金の残りをアントニオとペドロのどちらかに託すことになった際、前々から親切にしてくれていたアントニオを選んだが、ペドロに殺された。 和也の中学生時代の元同級生グループ(仮称) 和也の(形式上の)友人。和也と豪遊していく中で友好な交友関係を築いていたが、不良グループが現れた際に威圧に怯え、和也を裏切り売ったことで、金の関係だとは分かってはいても、友情が深まっているのでは‥と淡い期待を抱いていた和也に対し、実際には彼を金づる同然の扱いしかしていなかったというギャップと事実を突きつけることとなってしまう。 不良連合J・F・K(ふりょうれんごうジェイ・エフ・ケイ) 和也の中学時代、同級生と宴会をやっている最中に現れた、暴力団も一目置く愚連隊。「J・F・K」とは、「ジャパン・不良・ケンカ同盟」の略称。 現金目当てに和也を拉致したが、その店から出る寸前に駆けつけた帝愛のボディーガードたちに制裁を受ける。この件が和也の心に癒えない傷と恐怖・トラウマを植えつけ、人格形成に大きな影響をきたす原因となった。
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