雰囲気
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/28 06:01 UTC 版)
コミュニケーションと雰囲気
雰囲気を形作るものには人間の相互作用も含まれる[41]。会話における雰囲気は、話者交換時の振る舞いにより変化し、表情に大きな影響を受ける[58][59]。コミュニケーションの場においては、言葉・表情・視線・頷きなどを通して、本人が関わる会話だけでなく他者同士の会話からも、雰囲気を容易に読み取ることが可能である[16][17]。また、人は次に生じうる雰囲気を意識的・無意識的に予測しながらコミュニケーションをおこなっている[17]。雰囲気をうまく読み取れていないと捉えられた言動は「空気が読めない(KY)」と揶揄的に表現される[16]。陽気な雰囲気は生の実感や帰属意識を高める一方、嘲笑の雰囲気は集団の境界を高め
、そのような空気
は魂に栄養を与えることもあれば、吸い取ることもある
[60]。
学級・授業や会社のオフィスにおいても雰囲気は重要とされ、関連する研究がなされている[61][33][18]。教育研究においては、学級風土研究や学級雰囲気が学習の動機づけに及ぼす影響についての研究などが中心的に行われてきた[62]。学級の雰囲気についての心理学的研究は、雰囲気を測定の対象とするもの(学級風土研究)が主流であったが、それらの研究においては雰囲気そのものについての概念的理解が不足しており、参与を重視し雰囲気を記述的に書き留める質的研究においても、「場の全体性と見込まれ雰囲気」が対象化・客観化され、場・事物・他者が「雰囲気の伝達に必要な諸特徴や諸要素」として扱われるようになってしまっていると木下 (2017, pp. 192f) は指摘する。また学級崩壊などの問題を考える上では、行動の背景にある授業の雰囲気が重要であると岸ら (2010, p. 46) は指摘する。授業における雰囲気についての研究は、授業中の教師と児童の発話研究が中心であり、そのほか児童や第三者に雰囲気を評定させる研究なども行われている[61]。さらに大久保ら (2013, p. 29) は、教師の非言語行動と雰囲気の形成との関連についても焦点を当てる必要があると述べる。
出典
- ^ 空気感と訳されることもある[2]。
- ^ 気分や調子と訳されることもある[3]。
- ^
雰囲気者、不下啻交中諸雰気蒸気之自レ地升騰者上、気之原質亦不レ一
。 - ^ 以下本記事では、この意味における雰囲気を中心に記述する。
- ^ イギリスの神学者・自然哲学者(1614年 - 1672年)[7][8]。
- ^
命題10。Atmos-Sphæraあるいは巨大な蒸気の球体が月という物体を直接取り巻いている
。[9][10] - ^ イタリアの哲学者(1958年生)。
- ^ たとえば、人間の存在が希薄「夜中の学校」などと組み合わせる場合や、「逃走した容疑者」についてなど客観的な情報を求める場合には、「ムード」の語は不自然となる[15]。
- ^ ambianceの接頭辞ambi-は両側から包むことを意味するが、Roquet (2016) がカレン・ピンカス(Karen Pinkus)を引きつつ述べるところによると、これは2つの目・2つの耳のよる視覚・聴覚を示しており、あらゆる方向から取り囲む(in the round)ことを意味する雰囲気(atmosphere)や環境(environment、「環世界」も参照)に比して、人間の知覚作用を強調していると考えられる。
- ^ 「ンイ」を含む語の発音の変化の例としては、全員(ぜいいん)や原因(げいいん)なども挙げられる[21]。
- ^ たとえば、前提が肯定的雰囲気を持つ場合、肯定的結果の受容が容易になる[25]。
- ^ オーストリア出身の哲学者(1905年 - 1991年)。トマス・アクィナスや後期フッサールの影響を受け、独自の現象学的心理学を提唱した[27][28]。
- ^ Herbert Lehmann。ドイツの地理学者(1901年 - 1971年)。専門は地形学など[35]。
- ^ アメリカの文化人類学者(1940年生)。ランドスケープ・アーキテクチャー、記号論、社会政策などを専門とする[37]。
- ^ シュミッツの雰囲気概念は感情を指すのに対し、ベーメの雰囲気概念はより日常語のそれと近く、両者の間には相違点も見られる[43]。
- ^ ドイツの民俗学者(1939年生)[64]。
- ^ Erzählforschung。口承文芸研究や説話研究とも訳されるが、口承文芸や民間説話だけでなくインタビュー、巷の話題、ナラティブ、ライフ・ヒストリー、戦争の経験談など、あらゆる種類の
人々の語り
を扱う[65]。 - ^ ハンガリーの民俗学者・口承文芸研究者(1920年 - 2014年)[68][69]。
- ^ ドイツの民俗学者(1907年 - 1993年)。専門は語り研究・聖人崇敬の研究など。『ドイツ民俗学地図』への貢献でも知られる[70]。
- ^ ドイツの文学史家・作家(1845年 - 1896年)。サガの研究などによって知られる[73]。
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- ^ レーマン 2007/2019, p. 96, 訳注1.
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- ^ 岡山 2017, p. 44.
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- ^ 櫻井 2012, p. 46.
- ^ 片上ら 2016, pp. 144f.
- ^ 片上 2016.
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