三段論法とは? わかりやすく解説

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三段論法

読み方:さんだんろんぽう
別表記:3段論法シロジズムシロギズム
英語:syllogism

三段論法とは、三段論法の意味

三段論法とは、2つ前提から1つ結論推論する方法。たとえば「(1)人間はいずれ死ぬ」「(2)私は人間だ」「(3)つまり私はいずれ死ぬ」という推論様式

三段論法の語の由来・語源

「三段論法」の語は英語の syllogismシロギズム) の漢訳語として明治初期考案され言葉とされる。英語の syllogism は、ギリシア語の syllogismos(シュロギスモス)を語源とする。三段論法(syllogismos)は古代ギリシア哲学において、とりわけアリストテレスによって確立定式化された。

三段論法の語のかんたんな例

三段論法は、(1)大前提と、(2)小前提から、(3)結論、を論理的に導き出す方法である。結論が「真」であるためには、大前提小前提がともに「真」でなくてはならない
  1. 人文学教養として価値がある
  2. 論理学人文学基礎である。
  3. ゆえに論理学教養として価値がある
  1. 本件課長級上の者しか扱えない
  2. 私は課長級上ではない
  3. ゆえに本件は私には扱えない
  1. ドルヲタなら握手券を買うべきだ
  2. 君はドルヲタ
  3. たがって君は握手券を買うべきだ

三段論法の類語と使い分け方

三段論法の「類語というと語弊があるかもしれないが、論理的に推論を行う方法を指す語としては「論理的思考ロジカルシンキング)」、ふたつの命題から第3あらたな命題導き出すという意味では「弁証法」などが、三段論法に近い概念といえる

ロジカルシンキング」は「論理的に考えてゆくこと」を意味し特定の論理的技法を指すものではない。三段論法もロジカルシンキング具体的手法のひとつといえる。「弁証法」は、アリストテレス定式化した弁証法に限れば「三段論法」と同一視し得る。一般的に弁証法というとヘーゲル確立した「ある命題と、それに矛盾対立する命題を、より高い次元において矛盾なく本質的に綜合する」という発展プロセスを指すことが多い。このヘーゲル弁証法は、三段論法とは別物である。

さんだん‐ろんぽう〔‐ロンパフ〕【三段論法】

読み方:さんだんろんぽう

論理学で、大前提小前提および結論からなる間接推理による推論式例えば、「人間は死ぬ」(大前提)、「ソクラテス人間である」(小前提)、故にソクラテスは死ぬ」(結論)の類。


三段論法

「A ならば B である。C ならば A である。ゆえに C ならば B である。」という推論方法をいう。


三段論法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/12 06:26 UTC 版)

三段論法(さんだんろんぽう、: συλλογισμός, シュロギスモス[注釈 1]: syllogismus: syllogism)は、論理学における論理的推論の型式のひとつ。典型的には、大前提、小前提および結論という3個の命題を取り扱う。これを用いた結論がであるためには、前提が真であること、および論理の法則(同一律無矛盾律排中律、および充足理由律)が守られることが必要とされる[1]

アリストテレスの『オルガノン』(『分析論前書』『分析論後書』)によって整備された。

語義

ギリシャ語の原語はもともと言語依拠段階的推論法というような意味合いであり、3段と限定されてはいない。そのように限定されるかのような誤解を招く邦訳語であるが、古代ギリシアが確立したものが3段構成だったために、欧米文明へ向けての開化という実際目的に即した訳語が作られた。インド固有の三段論法では5段構成である。

構成

3つの項(概念)と3つの命題

古代ギリシアに由来する西洋の三段論法は、

  • 大概念[注釈 2] - 結論において述語(P[注釈 3])となる概念(項)。
  • 小概念[注釈 4] - 結論において主語(S[注釈 5])となる概念(項)。
  • 媒概念[注釈 6] - 大前提・小前提で上2つの概念(項)との関係性が示される媒介的な概念(項)。中項(M[注釈 6])。

という3つの項(概念)の内、2つの組み合わせ(関係性)をそれぞれ表現する、

  • 大前提[注釈 7] - 大概念/述語(P)と、媒概念/中項(M)の関係性を示す命題文
  • 小前提[注釈 8] - 小概念/主語(S)と、媒概念/中項(M)の関係性を示す命題文
  • 結論[注釈 9] - 小概念/主語(S)と、大概念/述語(P)の関係性を示す命題文

という3つの命題によって構成される、演繹的な推論規則である。

このように、(「量化」的な変動性を持つ)ある個物的/基体的な「小概念」と、抽象的/類的な「大概念」の関係性を、両概念との関係性を示すことが可能な「媒概念」(中項)を介しつつ提示/規定するのが、三段論法という手法の目的である。(「媒概念」(中項)を介さずに、すなわち「大前提」「小前提」を経ずに、端的に「結論」の「小概念」と「大概念」の関係性のみを命題として提示する場合、それは推論ではなく単なる「定義文」となる。)

このように、概念間の関係性を規定・整理する「概念の整理整頓術」としての論理学において、その推論形式の最小型となるのが三段論法である。

以下に「定言的三段論法」の例を示す。

  • 大前提:全ての人間は死すべきものである。
  • 小前提:ソクラテスは人間である。
  • 結論:ゆえにソクラテスは死すべきものである。

(なお、これが今日に至るまでに伝統的なものになっているが、アリストテレスがその著『分析論後書』において例示している、定言命題を欠いて仮言命題一本のみの「三段論法」とは形式が異なる。)

命題の4つの型

三段論法を構成する各命題は、「全称 - 特称」「肯定 - 否定」の区別の組み合わせによって、AEIOの4つの「型」に分類される。

記号 意味 量子化表現 命題の例
A 全称肯定判断
Barbara

Celarent

Darii

Ferio

Barbari

Celaront
2
Cesare

Camestres

Baroco

Festino

Cesaro

Camestros
3
Datisi

Disamis

Bocardo

Ferison

Darapti

Felapton
4
Calemes

Dimatis

Fresison

Bamalip

Fesapo

Calemos

オイラー図による表現

上記の19式(24式)を、より直感的に分かりやすい「オイラー図」で表すと、以下のようになる。

「M」(中項)は青、「S」(主語)は赤、「P」(述語)は緑で表現されている。「弱勢式」の項目は背景を灰色で示している。

AAA EAE AEE AII IAI AOO OAO EIO AAI EAO AEO
1
Barbara

Celarent

Darii

Ferio

Barbari

Celaront
2
Cesare

Camestres

Baroco

Festino

Cesaro

Camestros
3
Datisi

Disamis

Bocardo

Ferison

Darapti

Felapton
4
Calemes

Dimatis

Fresison

Bamalip

Fesapo

Calemos

詳細

包含タイプ

AAA-1(Barbara)

AAA-1

第一格のAAA、すなわち「MaP SaM SaP」の三段論法。

入れ子」式に、主語(S)が述語(P)に包含されるパターン。

以下のようになる。

大前提:「全てのM」は、Pである。 (MaP)
小前提:「全てのS」は、Mである。(SaM)
結論:ゆえに()、「全てのS」は、Pである。(SaP)


具体例。(M=人間、S=ギリシア人、P=死ぬ存在)

大前提:「全ての人間」は、「死ぬ存在」である。 (MaP)
小前提:「全てのギリシア人」は、「人間」である。(SaM)
結論:ゆえに(∴)、「全てのギリシア人」は、「死ぬ存在」である。(SaP)
AAI-1(Barbari) : 弱勢式
AAI-1

第一格のAAI、すなわち「MaP SaM SiP」の三段論法。

上記の「AAA-1」と同じ形だが、結論の主語(S)だけを不必要に特称にしてしまっている「弱勢式」。

以下のようになる。

大前提:「全てのM」は、Pである。(MaP)
小前提:「全てのS」は、Mである。(SaM)
結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pである。(SiP)


具体例。(M=人間、S=ギリシア人、P=死ぬ存在)

大前提:「全ての人間」は、「死ぬ存在」である。(MaP)
小前提:「全てのギリシア人」は、「人間」である。(SaM)
結論:ゆえに(∴)、「あるギリシア人」は、「死ぬ存在」である。(SiP)

AAI-4(Bamalip)

AAI-4

第四格のAAI、すなわち「PaM MaS SiP」の三段論法。

「AAA-1」とは逆に、主語(S)が述語(P)を包含してしまうパターン。したがって、主語(S)の観点から見れば、常にその一部だけが、述語(P)(の全体)に該当することになる。

以下のようになる。

大前提:「全てのP」は、Mである。(PaM)
小前提:「全てのM」は、Sである。(MaS)
結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pである。(SiP)


具体例。(M=人間、S=死ぬ存在、P=ギリシア人)

大前提:「全てのギリシア人」は、「人間」である。(PaM)
小前提:「全ての人間」は、「死ぬ存在」である。(MaS)
結論:ゆえに(∴)、「ある死ぬ存在」は、「ギリシア人」である。(SiP)

一部重複(絶対)タイプ

AII-1(Darii)

AII-1

第一格のAII、すなわち「MaP SiM SiP」の三段論法は、以下のようになる。

大前提:「全てのM」は、Pである。(MaP)
小前提:「あるS」は、Mである。(SiM)
結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pである。(SiP)


具体例。(M=ウサギ、S=ペット、P=有毛生物)

大前提:「全てのウサギ」は、「有毛生物」である。(MaP)
小前提:「あるペット」は、「ウサギ」である。(SiM)
結論:ゆえに(∴)、「あるペット」は、「有毛生物」である。(SiP)
AII-3(Datisi)
AII-3

第三格のAII、すなわち「MaP MiS SiP」の三段論法は、以下のようになる。

大前提:「全てのM」は、Pである。(MaP)
小前提:「あるM」は、Sである。(MiS)
結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pである。(SiP)


具体例。(M=ウサギ、S=ペット、P=有毛生物)

大前提:「全てのウサギ」は、「有毛生物」である。(MaP)
小前提:「あるウサギ」は、「ペット」である。(MiS)
結論:ゆえに(∴)、「あるペット」は、「有毛生物」である。(SiP)

IAI-3(Disamis)

IAI-3

第三格のIAI、すなわち「MiP MaS SiP」の三段論法は、以下のようになる。

大前提:「あるM」は、Pである。(MiP)
小前提:「全てのM」は、Sである。(MaS)
結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pである。(SiP)


具体例。(M=ウサギ、S=有毛生物、P=ペット)

大前提:「あるウサギ」は、「ペット」である。(MiP)
小前提:「全てのウサギ」は、「有毛生物」である。(MaS)
結論:ゆえに(∴)、「ある有毛生物」は、「ペット」である。(SiP)
OAO-3(Bocardo) : 否定形
OAO-3

第三格のOAO、すなわち「MoP MaS SoP」の三段論法は、以下のようになる。

大前提:「あるM」は、Pではない。(MoP)
小前提:「全てのM」は、Sである。(MaS)
結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pではない。(SoP)


具体例。(M=ネコ、S=哺乳類、P=有尾生物)

大前提:「あるネコ」は、「有尾生物」ではない。(MoP)
小前提:「全てのネコ」は、「哺乳類」である。(MaS)
結論:ゆえに(∴)、「ある哺乳類」は、「有尾生物」ではない。(SoP)

IAI-4(Dimatis)

IAI-4

第四格のIAI、すなわち「PiM MaS SiP」の三段論法は、以下のようになる。

大前提:「あるP」は、Mである。(PiM)
小前提:「全てのM」は、Sである。(MaS)
結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pである。(SiP)


具体例。(M=ウサギ、S=有毛生物、P=ペット)

大前提:「あるペット」は、「ウサギ」である。(PiM)
小前提:「全てのウサギ」は、「有毛生物」である。(MaS)
結論:ゆえに(∴)、「ある有毛生物」は、「ペット」である。(SiP)

AAI-3(Darapti)

AAI-3

第三格のAAI、すなわち「MaP MaS SiP」の三段論法は、以下のようになる。

大前提:「全てM」は、Pである。(MaP)
小前提:「全てのM」は、Sである。(MaS)
結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pである。(SiP)


具体例。(M=正方形、S=菱形、P=長方形

大前提:「全ての正方形」は、「長方形」である。(MaP)
小前提:「全ての正方形」は、「菱形」である。(MaS)
結論:ゆえに(∴)、「ある菱形」は、「長方形」である。(SiP)

一部重複(可能性・不明)タイプ : 全て否定形

EIO-1(Ferio)

EIO-1

第一格のEIO、すなわち「MeP SiM SoP」の三段論法は、以下のようになる。

大前提:「全てのM」は、Pではない。(MeP)
小前提:「あるS」は、Mである。(SiM)
結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pではない。(SoP)


具体例。(M=宿題、S=読書、P=楽しみ)

大前提:「全ての宿題」は、「楽しみ」ではない。(MeP)
小前提:「ある読書」は、「宿題」である。(SiM)
結論:ゆえに(∴)、「ある読書」は、「楽しみ」ではない。(SoP)
EIO-2(Festino)
EIO-2

第二格のEIO、すなわち「PeM SiM SoP」の三段論法は、以下のようになる。

大前提:「全てのP」は、Mではない。(PeM)
小前提:「あるS」は、Mである。(SiM)
結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pではない。(SoP)


具体例。(M=宿題、S=読書、P=楽しみ)

大前提:「全ての楽しみ」は、「宿題」ではない。(PeM)
小前提:「ある読書」は、「宿題」である。(SiM)
結論:ゆえに(∴)、「ある読書」は、「楽しみ」ではない。(SoP)
EIO-3(Ferison)
EIO-3

第三格のEIO、すなわち「MeP MiS SoP」の三段論法は、以下のようになる。

大前提:「全てのM」は、Pではない。(MeP)
小前提:「あるM」は、Sである。(MiS)
結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pではない。(SoP)


具体例。(M=宿題、S=読書、P=楽しみ)

大前提:「全ての宿題」は、「楽しみ」ではない。(MeP)
小前提:「ある宿題」は、「読書」である。(MiS)
結論:ゆえに(∴)、「ある読書」は、「楽しみ」ではない。(SoP)
EIO-4(Fresison)
EIO-4

第四格のEIO、すなわち「PeM MiS SoP」の三段論法は、以下のようになる。

大前提:「全てのP」は、Mではない。(PeM)
小前提:「あるM」は、Sである。(MiS)
結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pではない。(SoP)


具体例。(M=宿題、S=読書、P=楽しみ)

大前提:「全ての楽しみ」は、「宿題」ではない。(PeM)
小前提:「ある宿題」は、「読書」である。(MiS)
結論:ゆえに(∴)、「ある読書」は、「楽しみ」ではない。(SoP)

EAO-3(Felapton)

EAO-3

第三格のEAO、すなわち「MeP MaS SoP」の三段論法は、以下のようになる。

大前提:「全てのM」は、Pではない。(MeP)
小前提:「全てのM」は、Sである。(MaS)
結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pではない。(SoP)


具体例。(M=、S=植物、P=動物

大前提:「全ての花」は、「動物」ではない。(MeP)
小前提:「全ての花」は、「植物」である。(MaS)
結論:ゆえに(∴)、「ある植物」は、「動物」ではない。(SoP)
EAO-4(Fesapo)
EAO-4

第四格のEAO、すなわち「PeM MaS SoP」の三段論法は、以下のようになる。

大前提:「全てのP」は、Mではない。(PeM)
小前提:「全てのM」は、Sである。(MaS)
結論:ゆえに()、「あるS」は、Pではない。(SoP)


具体例。(M=花、S=植物、P=動物)

大前提:「全ての動物」は、「花」ではない。(PeM)
小前提:「全ての花」は、「植物」である。(MaS)
結論:ゆえに(∴)、「ある植物」は、「動物」ではない。(SoP)

AOO-2(Baroco)

AOO-2

第二格のAOO、すなわち「PaM SoM SoP」の三段論法は、以下のようになる。

大前提:「全てのP」は、Mである。(PaM)
小前提:「あるS」は、Mではない。(SoM)
結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pではない。(SoP)


具体例。(M=有用、S=ウェブサイト、P=参考情報

大前提:「全ての参考情報」は、「有用」である。(PaM)
小前提:「あるウェブサイト」は、「有用」ではない。(SoM)
結論:ゆえに(∴)、「あるウェブサイト」は、「参考情報」ではない。(SoP)

分裂(排反)タイプ : 全て否定形

EAE-1(Celarent)

EAE-1

第一格のEAE、すなわち「MeP SaM SeP」の三段論法は、以下のようになる。

大前提:「全てのM」は、Pではない。(MeP)
小前提:「全てのS」は、Mである。(SaM)
結論:ゆえに(∴)、「全てのS」は、Pではない。(SeP)


具体例。(M=爬虫類、S=ヘビ、P=有毛生物)

大前提:「全ての爬虫類」は、「有毛生物」ではない。(MeP)
小前提:「全てのヘビ」は、「爬虫類」である。(SaM)
結論:ゆえに(∴)、「全てのヘビ」は、「有毛生物」ではない。(SeP)
EAO-1(Celaront) : 弱勢式
EAO-1

第一格のEAO、すなわち「MeP SaM SoP」の三段論法。

上記の「EAE-1」と同じ形だが、結論の主語(S)だけを不必要に特称にしてしまっている「弱勢式」。

以下のようになる。

大前提:「全てのM」は、Pではない。(MeP)
小前提:「全てのS」は、Mである。(SaM)
結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pではない。(SoP)


具体例。(M=爬虫類、S=ヘビ、P=有毛生物)

大前提:「全ての爬虫類」は、「有毛生物」ではない。(MeP)
小前提:「全てのヘビ」は、「爬虫類」である。(SaM)
結論:ゆえに(∴)、「あるヘビ」は、「有毛生物」ではない。(SoP)

EAE-2(Cesare)

EAE-1

第二格のEAE、すなわち「PeM SaM SeP」の三段論法は、以下のようになる。

大前提:「全てのP」は、Mではない。(PeM)
小前提:「全てのS」は、Mである。(SaM)
結論:ゆえに(∴)、「全てのS」は、Pではない。(SeP)


具体例。(M=爬虫類、S=ヘビ、P=有毛生物)

大前提:「全ての有毛生物」は、「爬虫類」ではない。(PeM)
小前提:「全てのヘビ」は、「爬虫類」である。(SaM)
結論:ゆえに(∴)、「全てのヘビ」は、「有毛生物」ではない。(SeP)
EAO-2(Cesaro) : 弱勢式
EAO-2

第二格のEAO、すなわち「PeM SaM SoP」の三段論法。

上記の「EAE-2」と同じ形だが、結論の主語(S)だけを不必要に特称にしてしまっている「弱勢式」。

以下のようになる。

大前提:「全てのP」は、Mではない。(PeM)
小前提:「全てのS」は、Mである。(SaM)
結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pではない。(SoP)


具体例。(M=爬虫類、S=ヘビ、P=有毛生物)

大前提:「全ての有毛生物」は、「爬虫類」ではない。(PeM)
小前提:「全てのヘビ」は、「爬虫類」である。(SaM)
結論:ゆえに(∴)、「あるヘビ」は、「有毛生物」ではない。(SoP)

AEE-2(Camestres)

AEE-2

第二格のAEE、すなわち「PaM SeM SeP」の三段論法は、以下のようになる。

大前提:「全てのP」は、Mである。(PaM)
小前提:「全てのS」は、Mではない。(SeM)
結論:ゆえに(∴)、「全てのS」は、Pではない。(SeP)


具体例。(M=爬虫類、S=有毛生物、P=ヘビ)

大前提:「全てのヘビ」は、「爬虫類」である。(PaM)
小前提:「全ての有毛生物」は、「爬虫類」ではない。(SeM)
結論:ゆえに(∴)、「全てのヘビ」は、「有毛生物」ではない。(SeP)
AEO-2(Camestros) : 弱勢式
AEO-2

第二格のAEO、すなわち「PaM SeM SoP」の三段論法。

上記の「AEE-2」と同じ形だが、結論の主語(S)だけを不必要に特称にしてしまっている「弱勢式」。

以下のようになる。

大前提:「全てのP」は、Mである。(PaM)
小前提:「全てのS」は、Mではない。(SeM)
結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pではない。(SoP)


具体例。(M=有蹄生物、S=人間、P=ウマ)

大前提:「全てのウマ」は、「有蹄生物」である。(PaM)
小前提:「全ての人間」は、「有蹄生物」ではない。(SeM)
結論:ゆえに(∴)、「ある人間」は、「ウマ」ではない。(SoP)

AEE-4(Calemes)

AEE-4

第四格のAEE、すなわち「PaM MeS SeP」の三段論法は、以下のようになる。

大前提:「全てのP」は、Mである。(PaM)
小前提:「全てのM」は、Sではない。(MeS)
結論:ゆえに(∴)、「全てのS」は、Pではない。(SeP)


具体例。(M=爬虫類、S=有毛生物、P=ヘビ)

大前提:「全てのヘビ」は、「爬虫類」である。(PaM)
小前提:「全ての爬虫類」は、「有毛生物」ではない。(MeS)
結論:ゆえに(∴)、「全ての有毛生物」は、「ヘビ」ではない。(SeP)
AEO-4(Calemos) : 弱勢式
AEO-4

第四格のAEO、すなわち「PaM MeS SoP」の三段論法。

上記の「AEE-4」と同じ形だが、結論の主語(S)だけを不必要に特称にしてしまっている「弱勢式」。

以下のようになる。

大前提:「全てのP」は、Mである。(PaM)
小前提:「全てのM」は、Sではない。(MeS)
結論:ゆえに()、「あるS」は、Pではない。(SoP)


具体例。(M=有蹄生物、S=人間、P=ウマ

大前提:「全てのウマ」は、「有蹄生物」である。(PaM)
小前提:「全ての有蹄生物」は、「人間」ではない。(MeS)
結論:ゆえに(∴)、「ある人間」は、「ウマ」ではない。(SoP)

補足

なお上に示した「定言三段論法」のほか、その発展として

がある。

J・S・ミルは『論理学体系』(1843年)において、因果関係の論証において従来の三段論法には以下のような欠陥があると指摘する[2]。これは大前提(1)に論点先取の問題があり学術的推論において慎重を期すべき点を指摘するものである。すなわち

  • (1)すべての人間には寿命がある。(2)Cは人間だ。(3)よってCには寿命がある

大前提(1)は、寿命のない人間の例が、これまでに一つも知られていないことから導かれたものであり、寿命のない人間が見つかれば(1)は成立しない。このため「Cに寿命がない」ならば(1)は成立せず、(1)が成立するには「Cに寿命がある」ことが前提になり、結局「Cに寿命がある」ことを前提として「Cに寿命がある」ことを導き出している。

脚注

注釈

  1. ^ 原義は「推論術」といった程度の意味。
  2. ^ : major term
  3. ^ : predicate
  4. ^ : minor term
  5. ^ : subject
  6. ^ a b : middle term
  7. ^ : major premise
  8. ^ : minor premise
  9. ^ : conclusion
  10. ^ 結論(S-P)を特称化(大小対当)したもの。

出典

  1. ^ エス・エヌ・ヴィノグラードフ、ア・エフ・クジミン『論理学入門』西牟田久雄、野村良雄訳、青木書店(青木文庫)1973年、157頁
  2. ^ 岡本慎平「推論と規範-J.S.ミル『論理学体系』における生の技芸とその構造について-」(哲學63号 73-87 2011.10.25)広島大学学術情報リポジトリ[1]P.78

関連項目

外部リンク


三段論法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 04:14 UTC 版)

推論」の記事における「三段論法」の解説

詳細は「三段論法」を参照 ふたつ(以上)の命題前提)から、ひとつの命題結論)を導く。前提一つ上の全称命題を含む事が典型的

※この「三段論法」の解説は、「推論」の解説の一部です。
「三段論法」を含む「推論」の記事については、「推論」の概要を参照ください。

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「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
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