弁証法とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 人文 > 哲学 > 弁証法 > 弁証法の意味・解説 

べんしょう‐ほう〔‐ハフ〕【弁証法】


弁証法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/30 02:00 UTC 版)

弁証法(べんしょうほう、: διαλεκτική: dialectic)矛盾を解消し高い次元へと発展する働き。哲学用語だが評論では、「矛盾の解消」対立項の折衷」などの意味で用いられることも多い。


注釈

  1. ^ 意識は意識外の物を対象とする。一般に真理は対象の方に、確実性は意識の方にあると常識は考える。意識の経験は対象と意識の分裂態における経験である。
  2. ^ 悟性の立場を通り意識の経験は対象と意識との一致する自覚の状況に進み、真理と確実性とは合致し、意識は他の意識ではなく自己自身の意識である。
  3. ^ エヴァリッド・ヴァシーリエヴィチ・イリエンコフ(ロシア語: Э́вальд Васи́льевич Илье́нков, ラテン文字転写: Evald Vassilievich Ilyenkov、1924年2月18日—1979年3月21日)。ソビエト連邦の哲学者。マルクス主義哲学を研究。チェルヌイシェフスキー賞受賞者。著書に『カール・マルクスの「資本論」における抽象的なものと具体的なものの弁証法』、『偶像と理想について』。訳書にヘーゲル『大論理学』(ローゼンターリ、シトコフスキーとの共訳)。1979年に自殺。イリエンコフ『資本論の弁証法(カール・マルクスの「資本論」における抽象的なものと具体的なものの弁証法)』花崎皋平訳、合同出版、1979年、pp.369-377

出典

  1. ^ 高山岩男『辨證法入門』弘文堂、1949年、p.3
  2. ^ ディオゲネス・ラエルティオス 著、加来彰俊 訳『ギリシア哲学者列伝(下)』岩波書店、1994年、114-118頁。ISBN 4-00-336633-6 
  3. ^ プラトン『パイドロス』藤沢令夫訳、岩波文庫、1967年、p.111
  4. ^ 高山岩男『辨證法入門』弘文堂、1949年、p.15
  5. ^ 高山岩男『辨證法入門』弘文堂、1949年、p.8
  6. ^ カール・マルクス『資本論』第1巻、前文
  7. ^ イリエンコフ『資本論の弁証法』花崎皋平訳、合同出版、1979年、p.7



弁証法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/13 03:04 UTC 版)

見田石介」の記事における「弁証法」の解説

見田石介は、ヘーゲルマルクス研究通して、弁証法を、思惟歴史、自然のすべてに通ず一般的法則だと認識した。 この点は、見田石介著作集第1巻所収分析的方法ヘーゲルおよびマルクス弁証法的方法」に続く付録ヘーゲルマルクス1974年10月5日講演レジメ全文)の冒頭で以下のように記述されている。 ヘーゲルは、時代的制限もあり、ことにその観念論立場制限があったが、自然、社会思考の諸過程深く研究することによって、それらを支配している弁証法の諸法則を発見し、これをはじめて包括的に叙述するという業績なしとげた。 — 「見田石介著作集第1巻255頁 この点は、28歳最初に上梓した「ヘーゲル哲学への道」では、以下のように記述されている。 ヘーゲルの弁証法は、かかる限られた世界のみの法則ではなく思惟歴史、自然のすべてに通ず一般的法則である。 — 「見田石介著作集補巻19付録ヘーゲルマルクス1974年10月5日講演レジメ全文)は見田石介著作集編者見田逝去後遺族許諾得て著作集収録した草稿であり、遺稿である。 科学発展の歴史明確に区切る事は出来ないが、見田脳裏には、これら三つ領域存在し、弁証法はそれら三つ領域支配する一般的法則だと認識していた。 しかし、見田は、この認識証明せず、言いっ放しのまま逝った。 この一言断言しまた、見田ヘーゲル理解誤解断言するのに、6年地道な努力要したが、その過程発見した見田限界原因は、彼が、科学者では無かった事にある。 そして、もう一つ限界は、彼が、大阪市立大学資本論初め対面し最晩年業績でも、ヘーゲル資本論対置させながら、資本論絶対視する誤った立場取った事が原因で、ヘーゲルマルクス批判的に継承し乗り越えられなかった点を、残念ながら指摘せざるを得ない科学者は、先行研究の上にそれを乗り越え独創付け加えて初めて、自己の存在意義主張し得る。 神秘的観念論ヘーゲル ヘーゲル哲学研究生涯捧げた見田石介は、ヘーゲル観念論としての側面を、その最初著作最晩年論文の中で、以下のように、説明している。 見田石介は、ヘーゲルを「神秘的観念論者」だったと理解していた。 しかし、見田石介は、ヘーゲル観念論としての理解していたのではなくヘーゲル論理学核心たる弁証法の理解においては、むしろ、ヘーゲル唯物論者だったから、弁証法を、発見できたと理解していた。 ヘーゲル哲学への道(28歳1934年清和書店発刊) 以上がその先哲学区別されヘーゲル哲学特質優越点であるが、一方またヘーゲル哲学はその観念論という点に於いて、それらのいずれとも共通点をもっていることは勿論である。それどころか、彼の哲学は、それ以前一切観念論有した矛盾綜合したものとして、哲学史に於ける最も大規模な観念論であり、従って一切観念論もっている神秘性荒唐無稽さも、ここでは極度に誇張され現われている。 彼に於いては存在』は思惟から独立した存在ではなく存在本性思惟であり、存在は本来思惟の外化であるに過ぎないそれ故認識とは本来思惟であるところの実体が、自己自身自己の対象として疎外し、この自己の他有のうちに再び自己自身認めることとなる。それ故にこそ思惟対象対す絶対的な到達両者絶対的な合一が可能であったのである。この点は存在意識から独立であり、認識永久にそれに近接してゆくが、それへの絶対的到達不可能だとする唯物論立場とは反対である。 見田石介見田石介著作集補巻」(大月書店1977年4月27日43頁) へーゲル論理学と『資本論』(66歳) へーゲルの観念論は、現実事物思想とみ、思想あたかも現実事物あるかのようにとりあつかうまった神秘的な観念論であったヘーゲルの弁証法は、ほかにも事情があったが、なによりもこうした現実事態たんなる思想とを混同する観念論によって制限され歪められたものとなったのである見田石介見田石介著作集第1巻」(大月書店1976年10月12日111頁) なお、上に述べたように、見田石介は、ヘーゲルを「神秘的観念論者」だったと理解していたが、これは、彼が、資本論研究する以前からの理解である。 また、先に述べた見田石介が、ヘーゲル唯物論者だったと理解していた部分以下の通りであり、この部分は、見田石介が、ヘーゲル神秘的観念論者だと述べた、そのすぐ後に記述されている。 ヘーゲルは、「哲学的思惟」すなわち真に科学的な思惟本性謙虚なものであって、「個人的な意見をすてて、実在そのもの自己のうえに君臨させることにある」(『小論理学』上、115ページ岩波書店ということいっているが、じっさいかれの観念論そのうちに、唯物論的な要素をふくんでいたのである。 これでこそ、へーゲルは論理学革命をおこなうことができたのであり、また観念論立場たちながら、弁証法の諸法則の偉大な洞察者、発見者となることができたのである見田石介見田石介著作集第1巻」(大月書店1976年10月12日112頁) マルクスは、資本論第一巻と書き第二版への〕で以下のように、ヘーゲル弁証法の「神秘化」に言及しているが、これは、マルクスが、ヘーゲル観念論者だと理解した上で言及であるからマルクスもまたヘーゲルを「神秘的観念論者」だと理解していた事になる。 弁証法がヘーゲルの手のなかでこうむっている神秘化は、彼が弁証法の一般的な運動形態をはじめて包括的意識的な仕方叙述したということを、決しさまたげるものではない。弁証法はヘーゲルにあってはさか立ちしている。神秘的な外皮のなかに合理的な核心発見するためには、それをひっくり返さなければならないマルクス資本論第一巻a』(日本共産党中央委員会付属社会科学研究所資本論翻訳委員会訳、新日本出版社1997年12月5日29頁) へーゲルから学ぶべきよき点 見田石介ヘーゲル哲学への道」の序文のみに着目して見田石介が、この最初入門書著作で、紹介しようとしたと、本人述べた内容を、本人記述従い整理すると、以下の五点になる。 序──ヘーゲルから何を学ぶべきか──(1925頁) 二(へーゲルから学ぶべきよき点、2225頁) ヘーゲルから学ぶべきものは、弁証法である。ただ弁証法に尽きていると言ってよい。 対立物の同一或は相互浸透の法則矛盾22頁) 発展歴史法則23頁) 否定の否定法則24頁) あらゆる観念論者のうちにあって、彼ほど客観的であったものはないと言える。彼は多く唯物論論者よりも更に唯物論的であった。(2425頁) 合理主義25頁) (出典および頁数:見田石介著作集 補巻大月書店1977年4月27日第1刷発行見田石介の「誤解見田石介は、1934年に、弱冠28歳著したヘーゲル哲学への道(清和書店発刊)」で、「序──ヘーゲルから何を学ぶべきか」、「初期宗教研究」に続く「精神現象学近世哲学に於ける精神現象学』」において以下のように、「ヘーゲル哲学特質優越点」を概説しているが、この部分には、彼のヘーゲル理解根幹をなす「神秘性」が現れ、この理解は、その次に示すように、最晩年66歳に著した「へーゲル論理学と『資本論』」では、「まったく神秘的な観念論」として現れている。 見田石介自身が、「一切観念論もっている神秘性荒唐無稽さ」と述べているように、見田石介が、ヘーゲル観念論特質を、「神秘的」と述べたのは、実は、見田石介の「誤解であって見田石介自身認めているように、観念論は、すべて、唯物論立場からは、「神秘的」なのである。 以上がその先哲学区別されヘーゲル哲学特質優越点であるが、一方またヘーゲル哲学はその観念論という点に於いて、それらのいずれとも共通点をもっていることは勿論である。それどころか、彼の哲学は、それ以前一切観念論有した矛盾綜合したものとして、哲学史に於ける最も大規模な観念論であり、従って一切観念論もっている神秘性荒唐無稽さも、ここでは極度に誇張され現われている。彼に於いては存在』は思惟から独立した存在ではなく存在本性思惟であり、存在は本来思惟の外化であるに過ぎないそれ故認識とは本来思惟であるところの実体が、自己自身自己の対象として疎外し、この自己の他有のうちに再び自己自身認めることとなる。それ故にこそ思惟対象対す絶対的な到達両者絶対的な合一が可能であったのである。この点は存在意識から独立であり、認識永久にそれに近接してゆくが、それへの絶対的到達不可能だとする唯物論立場とは反対である。見田石介見田石介著作集補巻」(大月書店1977年4月27日43頁) へーゲルの観念論は、現実事物思想とみ、思想あたかも現実事物あるかのようにとりあつかうまった神秘的な観念論であったヘーゲルの弁証法は、ほかにも事情があったが、なによりもこうした現実事態たんなる思想とを混同する観念論によって制限され歪められたものとなったのである。「へーゲル論理学と『資本論』」(見田石介見田石介著作集第1巻」、大月書店1976年10月12日111頁)

※この「弁証法」の解説は、「見田石介」の解説の一部です。
「弁証法」を含む「見田石介」の記事については、「見田石介」の概要を参照ください。


弁証法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/19 04:02 UTC 版)

許萬元」の記事における「弁証法」の解説

弁証法を三つ法則 (「量から質への転化、またはその逆」・「対立物の相互浸透」・「否定の否定」)に集約する見方唯物弁証法)や正反合図式批判し、弁証法の本質論として、内在主義歴史主義総体主義三位一体論提起した許萬元の弁証法の理論には次のような特徴がある。 1 弁証法の三大特色 ヘーゲルが弁証法の創始者としてゼノン・ヘラクレイトス・プラトンをあげていること(『哲学史講義』)に着目してヘーゲル出自異な三つの弁証法(内在的弁証法・生成の弁証法・総体性の弁証法)を一つ統一した考え、弁証法の三大特色として、内在主義歴史主義総体主義指摘した内在主義とは対象自己運動として把握すること、歴史主義とは過程否定性に真理をみること、総体主義とは有機的体系肯定性に真理をみることである。三つ特色ヘーゲルにもマルクスにも共通するが、内容異なっている。 2 弁証法の二大機能 「論理的なものの三側面」の規定ヘーゲル小論理学』)に着目して、弁証法の二大機能として、理性否定作用理性肯定作用指摘した理性否定作用歴史主義原理である。また、理性肯定作用総体性の原理である。 3 矛盾論 概念自己運動矛盾同等性を主張し矛盾2種類あることを指摘した否定的理性必然性にもとづく「闘争矛盾」と肯定的理性必然性にもとづく「調和矛盾」である。 4 ヘーゲルマルクスの弁証法の違い ヘーゲルマルクスの弁証法の違いは、観念論唯物論かという前提だけでなく、内的な構造にも違いがあることを指摘した前提違いは、内在主義内容の違い対応する内的構造違いは、歴史主義総体主義統一仕方違い対応するヘーゲル弁証法統一構造は、「論理的なものの三側面」に示され、「絶対的総体主義にもとづく歴史主義」である。これに対してマルクスの弁証法は「絶対的歴史主義にもとづく総体主義」である。 5 即かつ対自考察法 「即自対自」の論理には、存在潜在態顕在態という存在論的意味だけでなく、対象内在的考察という認識論的味があることを指摘した。即かつ対自考察法は、弁証法における学的認識重要な特徴である。これが、レーニンの「認識論としての弁証法」という問題を解く鍵である。 6 概念自己運動 概念自己運動は、現実動的必然的性格対応する。これは、ヘーゲルにおいてではなく反映論同一性立場に立つ唯物論において、はじめて実現される指摘した

※この「弁証法」の解説は、「許萬元」の解説の一部です。
「弁証法」を含む「許萬元」の記事については、「許萬元」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「弁証法」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

弁証法

出典:『Wiktionary』 (2021/08/15 00:25 UTC 版)

名詞

弁証 べんしょうほう

  1. 哲学において真理接近到達)することを目的として提唱され方法一つで、少なくとも二人論者を必要とし、ある程度時間をかけて段階的に目標向かって進む方法。(近代哲学においては、単なる方法というよりも、方法についての理論方法論)という側面濃厚に持つ。)

発音(?)

ベ↗ンショーホー

語源

哲学用語としてのドイツ語 Dialektik, 英語 dialectic訳語。その基は, 古典ギリシア語 διαλεκτική (ディアレクティケー)。

関連語


「弁証法」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



弁証法と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「弁証法」の関連用語

弁証法のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



弁証法のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの弁証法 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの見田石介 (改訂履歴)、許萬元 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryの弁証法 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS