屋台 東南アジアの屋台

屋台

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/26 04:07 UTC 版)

東南アジアの屋台

ロティ・チャナイの屋台、マレーシア

日本では屋台は祭りの軽食や、あるいは夜の簡易酒場といった位置づけになりがちなのに対し、東南アジアでは屋台は庶民の生活により密着した存在である。昼食から営業し、持ち帰り用、あるいはその場で簡単な椅子とテーブルを備え本格的な料理を供する場合が多い。お互いの店舗で厳しい競争にさらされていることが多いため、一般的に値段が安く、味も満足のいく場合が多い (en:Mamak stall)。

タイの屋台

タイには、本格的な食事を提供する屋台から、簡易屋台まで様々な種類がある。タイ料理としては、ガイ・ヤーン(タイ風焼き鳥)、サテ豚肉牛肉)、トムヤムクン空心菜炒めや、ご飯ものとしてはカオカムー(豚足煮込みご飯)、カオマンガイカオ・パットゲーン(タイカレー)、麺類としてはパッタイバミー(汁有、無し)、クァイティオ(太麺、細麺等)、サラダ類としてはソムタムヤムウンセンがある。中華料理としては、肉まんバクテー、揚げ餃子点心焼売など)、チャーハンインド料理としてはカレーナンタンドリーチキンがある。ケバブなどの中東料理もある。簡易屋台でも果物、ガイ・ヤーン、生絞りジュースなど様々なものが売られているが、特徴的なもので食用の昆虫や焼きおにぎりのようなものなど、イーサーン料理を起源とするものもある。

マレーシアの屋台

ナシゴレンミーゴレン、ナシアヤム、アヤムゴレン、ソトアヤムなどのマレーシア料理ラクサなどのニョニャ料理、カレー、ナン、ロティなどのインド料理、チャーハン、点心、バクテーなどの中華料理などが挙げられる。簡易な屋台ではスイカパイナップルパパイヤなどの果物、オレンジココナッツリュウガンなどのジュースや豆乳などの飲料、クルプックや焼き鳥、サテなど様々なものが売られている。

シンガポールの屋台

屋台を室内に集めたフードコートのようなホーカーセンターがある。

インドネシアの屋台

バッソ(牛肉団子)を売るカキリマ
移動式屋台のパン屋

カキリマ (kaki lima) と呼ばれる屋台では麺料理、サテ(鶏肉のサテアヤム、山羊肉のサテカンビン、パダン風のサテパダンなど)、マルタバッ (martabak)、ソトアヤムピサンゴレン(pisang goreng、揚げバナナ)、ブブカチャン・ヒジャウ(bubur kacang hijau、緑豆粥)、魚介料理などを販売している。カキリマの本来の意味は「5フィート」で、歩道の幅を指し、食べ物やその他の物品を歩道で販売する事を表す言葉である。

屋台の営業時間は食べ物の種類によって異なる。早朝から営業する屋台はブブアヤム(bubur ayam、鶏粥)、緑豆粥など。正午から営業するのはラクサ、ゴレンガン(gorengan、揚げ物各種)、ソマイ(siomay、ピーナッツソースで食べる魚の焼売)、バタゴル (batagor)、トゲゴレン (toge goreng)、麺料理、ソトアヤム、かき氷の屋台である。午後4 - 5時からの営業はミーゴレン、ナシゴレン、サテ(サテアヤム、サテカンビン)、マルタバッ、ピサンゴレンの屋台などである。都会の夜を繁華街の歩道で営業するカキリマが街を賑やかにする。

移動式屋台は、荷車・改造した自転車・オートバイに乗った物売りである。パンを始め、麺料理、ミー・パンシッ(mi pangsit、ワンタン麺)、バーワン、トゲゴレン、鶏粥、ソマイを売る。移動式屋台は、独特の掛け声やを叩いて販売料理を宣伝する。

ジョグジャカルタ市の繁華街マリオボロ通り (Jalan Malioboro) には地面の上にマットを広げたレセハン (lesehan) という屋台があり、主にグドゥッを商う。ジャワ語で「レセハン」とは床に座るという意味である。ストリートミュージシャン必ず[要出典]現れ、客から貰う小銭を期待して歌を歌う。

また、同市で夕方から営業するワルン (warung) はアンクリンガン (angkringan) と言う。コーヒーなどの飲み物とスナックや、セゴクチン(segå kucing、ネコご飯の意)という数口分のご飯とおかずを販売する。アンクリンガンはジャワ語でリラックスして座るという意味で、ジョグジャカルタの薄暗いところで世間話をする場所である。

ホットドッグプレッツェルの屋台、ニューヨーク

ベトナムの屋台

フォーバインミー(サンドイッチ)、ホビロン(孵化前のアヒルの卵)、オクニョイ(タニシの詰め物)など、種類が豊富である。揚げ春巻きも人気があるが、生春巻きは屋台によっては衛生上の注意が必要である。


  1. ^ a b 上原佑貴, 後藤春彦, 佐久間康富「都市空間における露店の意義の再考 原宿表参道における出店の実態から」『都市計画論文集』第36巻、公益社団法人 日本都市計画学会、313-318頁。 
  2. ^ 露店営業を行うにあたって”. 大阪府. 2022年11月19日閲覧。
  3. ^ 露店等営業取扱要領”. 京都府. 2022年11月19日閲覧。
  4. ^ a b c d 屋台関係法令等(参考条文)”. 福岡市. 2022年11月19日閲覧。
  5. ^ a b 原田信男 編『江戸の食文化:和食の発展とその背景』小学館、2014年、ISBN 9784096266182、pp.124-129.
  6. ^ a b 天ぷらの話”. 油屋の歴史40. 東京油問屋市場. 2013年3月7日閲覧。
  7. ^ なぜ現在の福岡・博多に屋台が生き残り、人気の観光資源になったのか!?~屋台の文化と歴史〜 フクリパ
  8. ^ a b 福岡市屋台基本条例施行規則福岡市 2020年3月5日閲覧
  9. ^ 詐欺:組関係隠し露店 容疑で8人逮捕 京都府警 毎日新聞 2015年5月29日
  10. ^ 五輪へ向け暴力団排除強化 警視庁と東京都、屋台撤去も”. 共同通信社 (2019年5月3日). 2019年5月3日閲覧。
  11. ^ 屋台の歴史”. 八戸屋台村 みろく横丁. 有限会社 北のグルメ都市. 2020年12月16日閲覧。2012年2月15日 (水) 02:37 (UTC) の版加筆差分での表現を修正・変更。
  12. ^ 竹内香苗 (2014年4月10日). “観光にも最適!ブラジルのフェイラ(露天市)”. 竹内香苗のブラジルだより. ニッケイ新聞. 2014年6月13日閲覧。






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