女房詞とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 言葉 > 言葉 > > 女房詞の意味・解説 

にょうぼう‐ことば〔ニヨウバウ‐〕【女房詞】

読み方:にょうぼうことば

室町初期ごろから、宮中仕え女房が、多く衣食に関して用いた一種隠語。のち、将軍家仕え女性、さらに町家女性にまで普及し現代一般語になったものもある。省略言い換え行ったものが多い。「おでん(田楽)」「おひや(水)」「かもじ(髪・かずら)」など。御所詞(ごしょことば)。→文字言葉


女房言葉

(女房詞 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/08 21:44 UTC 版)

女房言葉(にょうぼうことば、女房詞)とは、室町時代初期頃から宮中に仕える女房が使い始め、その一部は現在でも用いられる隠語的な言葉である。語頭に「お」を付けて丁寧さをあらわすものや、語の最後に「もじ」を付けて婉曲的に表現する 文字詞 もじことばなどがある。女中詞(じょちゅうことば)とも[1]

省略形や擬態語擬音語比喩などの表現を用いる。優美で上品な言葉遣いとされ、主に衣食住に関する事物について用いられた。のちに将軍家に仕える女性侍女に伝わり、武家町家の女性へ、さらに男性へと広まった。

有職故実書海人藻芥』や『日葡辞書』・『日本大文典』などのキリスト教宣教師による日本語本にも一部が記されている。

女房言葉の事例

語頭に「お」が付く

  • おかか(の削り節)
    • 「お」+「鰹節」の「か」を2回重ねたものか。
  • おかき(欠餅)
    • 当初は「鏡餅」を砕いて焼いて食べたことから。
  • おかず(御菜)
    • 惣菜は数々取り揃えるものであることから。
  • おかべ(豆腐
  • おかちん( 江戸時代
    • 「お」+餅を意味する古語「搗飯(かちいい)」が訛った「かちん」。内親王が初経を迎えると「赤のおかちん」を食べて祝った。
  • おから
  • おこわ(強飯:こわめし)
  • おさつ(薩摩芋:さつまいも
  • おじや(雑炊)
    • 「じやじや」という煮える時の音からというが、語源不明。
  • おすもじ(寿司
  • おだい(
    • 「御台盤」の略語。食器を載せる脚付きの台の意から、転じてご飯の意になった。
  • おつけ(吸い物味噌汁)、おみおつけ(味噌汁)
    • 「付け」は飯に付けて出すもののことを言う。本来は吸い物の意であったが、味噌汁のことを、味噌の女房言葉である「おみ」と合わせて「おみおつけ」というようになり、それが略されて特に京阪神で「おつけ」で味噌汁の意としても使われるようになったものである。
  • おでき(できもの
  • おでん味噌田楽、煮込み田楽)
    • おでんは本来は豆腐などを串に挿して味噌などを付けて焼く田楽の意であるが、焼かずに煮て調理する煮込み田楽が普及し、煮込み田楽の意で使われるようになった。
  • おなか(
  • おなら(
    • 「鳴らす」から来た語。
  • おにぎり・おむすび(握り飯)
  • おはぎ(牡丹餅)
    • 小豆の粒を萩の花に見立てた表現。
  • おはぐろ
    • 元は「歯黒め」と言った。
  • おひや(
    • お冷。冷水のこと。
  • おひろい(歩行)動詞「拾う」から変化。
  • おまる(便器
    • 「放る(まる、ほまる)」は排泄を意味する動詞(例:放屁)。あるいは、衛生を保つ魔除けの「丸」の意味か。
  • おまわり
    • 副食物。
  • おめぐり
    • 副食物。主食を取り巻くように皿を並べることからか。
  • おまん(饅頭
  • およる(寝るの尊敬語)「御夜」の動詞化。

言葉によっては、が付く場合もある。

語尾に「もじ」が付く(文字詞)

  • おくもじ(奥さん)
    • 「奥様」+文字
  • おくもじ(漬物苦労
    • 「お」は接頭語「御」
    • 「九献(くこん)」の「く」+文字→お酒
    • 「茎(くき)」+文字→漬物
    • 「苦労」+文字→苦労
  • おめもじ(御目にかかる)
    • 「御目にかかる」の「おめ」+文字
  • かもじ
    • 母または妻「かか」+文字、付け髪の場合は「髪文字」
  • くろもじ(植物名及びそれで作った楊枝)
  • こもじ(鯉)
    • 「鯉(こい)」の「こ」+文字
  • しゃもじ(杓子)
    • 「杓子(しゃくし)」の「しゃ」+文字
  • すもじ(寿司)
    • 「寿司(すし)」の「す」+文字
  • そもじ
    • 「そなた」の「そ」+文字
  • にもじ(大蒜)
    • 「大蒜(にんにく)」の「に」+文字
  • はもじい
    • 「恥ずかしい」の「は」+文字
  • ひともじ(ねぎ
    • 当時「葱」と書いて「き」と一音で読んでいたことから
  • ひもじい
    • 「空腹である」という意味の「ひだるい」の「ひ」+文字
  • ふたもじ(にら
    • 「葱(き)」が一文字であるのに対し、「韮(にら)」が二文字であることから。
  • ゆもじ(浴衣
    • 「浴衣(ゆかた)」の「ゆ」+文字

その他

  • あおもの(菜)
  • あか(小豆)
  • こうこ(たくあん
  • こん(
  • いしいし(団子
  • 青物(野菜
  • なみのはな、波の花(
  • なす、ナス(旧名は奈須比)
  • みずのはな、水の花、水の華(鮎、鱸)
  • へちま(糸瓜、旧名はいとうり→とうり)
  • くのいち(女の漢字、女性の忍び
  • まけ(月経

脚注

  1. ^ 女中詞』 - コトバンク

典拠・資料

関連項目

外部リンク


女房詞

出典:『Wiktionary』 (2021/08/14 01:46 UTC 版)

名詞

にょうぼうことば

  1. 隠語一種宮廷奉仕する女官(wp)使用した上品さ、優美さを醸成させることを目的として使用された。時代が下るにつれて武家侍女(wp)や、ついには町人女性にまで浸透ていった特徴として、接頭に「お」をつける(お冷)、語尾に「文字」をつける(杓子しゃもじ)などが挙げられる

関連語

参考文献


「女房詞」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



女房詞と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「女房詞」の関連用語

1
お‐いたみ デジタル大辞泉
100% |||||

2
にゃく デジタル大辞泉
100% |||||

3
100% |||||

4
100% |||||

5
100% |||||

6
100% |||||

7
100% |||||

8
100% |||||

9
い文字 デジタル大辞泉
100% |||||

10
に文字 デジタル大辞泉
100% |||||

女房詞のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



女房詞のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの女房言葉 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryの女房詞 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS