御霊と勝又の一派
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 05:28 UTC 版)
「アライブ-最終進化的少年-」の記事における「御霊と勝又の一派」の解説
御霊(みたま) ”あの方”と呼ばれる存在。能力者同士の“湖の戦い”終結後、南米らしき密林の中で死亡した妊婦に宿っていた胎児の骸に宿った生命体。全ての能力者の根源であり、頂点に立つ存在。基本的に服を嫌い、パンツとシーツに包まった姿が常。 13、19巻の表紙を飾っている。 “アクロの心臓”を求めて勝又と共に行動しているが、彼に肩入れしている訳ではない。養育する恵には「タマちゃん」と呼ばれている。成長速度は異常で、生まれて二年しかたっていないにも関わらず、小学生程度の体格を持ち、身体はその成長に追いついていない。見た目こそは愛らしい少女だが、性格は純粋かつ残忍無垢。 心臓が還らない現状に業を煮やし、恵を伴い出奔。“アクロの心臓”=広瀬を取り戻す為に「彼のかつての友」である恵と太輔とともに雨宮の一軒家で同棲する中で、人間の営みを垣間見る。食べ物に対する好き嫌いはないようで、縁日のわた飴や焼きたての茄子に舌鼓を打つ。 その正体は地球とは異なる惑星で生み出された肉体から精神を分離して統合するプログラム。人はいまだ進化が可能と捉え、地球の住民の精神体をも一つに統合して宇宙に飛び立つ事こそが救いと考えている。 最終決戦において、太輔ら多くの能力者に拒絶された上、恵の想いに触れて考えを改める。全人類に広大な宇宙と御霊の記憶を見せた後、かつての惑星の仲間と広瀬の精神体を引き連れて新たな進化の旅へと向かった。 巻末の収録漫画では、NY在住時の勝又や同棲中の太輔に対して度々、暴力を振るっていたことが発覚。何故かタモリに拘っている。 勝又 重喜(かつまた しげき) 元刑事で、超常の力を持つ仲間のリーダー格。“心臓の欠片”保有者の一人。御霊の指令を受け、世界に何らかの変革をもたらそうとしている。 広瀬の心を開け放ち、己の得た力に戸惑う能力者達を見つけ、仲間に引き入れている。己が目的の為なら手段を問わず、脅威となる太輔を執拗にマーク。太輔ら幼馴染三人の絆を引き裂き修復不能にまで導いた張本人。自らの大儀の為に仲間すら切り捨てる非情さを持つ一方、想定外の事態に狼狽する事も多い。 第二部現在、ニューヨークで恵や御霊と共にマンションで暮らしている。 真の目的は、“アクロの心臓”を強力に仕立て上げ、肉体の限界を迎えた御霊にぶつけることで互いに対消滅をさせる事だった。想定外の事態に自分の考えが傲慢であったことに気づいた際、落ちてきた瓦礫に頭を潰され死亡。多くの人命を自らの為に踏み躙り、人の情を弄んだその結末は滑稽そのものだった。 少年犯罪に関わるうちに、ある種の虚無感を覚えていた内面が描写されている。第一部冒頭の時点で出産を控えている娘がいるが、家族のその後の安否は不明。 ジャン・レノの似顔絵を描いた原作者の河島正が「勝っつんのモデル」とコメントしていたところから、モデルはジャン・レノであるとされている。洗脳・操作 “心臓の欠片”所有者共通の能力。対象者の頭部に触れることで、その者の心を自在に操る。洗脳そのものは強力であるものの、完全とはいえない様。 又、他者の”心の穴”=深いトラウマを自然に認識してしまうという精神的に苦痛そのものの能力も共通する。 ”心臓の欠片”ありきの能力故に、”欠片”が強奪されると、自身は死に洗脳も解ける。 梟(ふくろう) 人語を理解し、喋ることが出来る。死んだ猫に乗り移りもしたが、能力の詳細は不明。”あの方”=御霊に作られ、勝又の補助として“アクロの心臓”回収を任務とする。“アクロの心臓”により暴走した広瀬に消される。 広瀬 雄一(ひろせ ゆういち) 太輔の親友。通称「ヒロ」。気弱だったが能力者となった事で人格が豹変、幼馴染の恵を連れ去り軟禁。勝又と行動を共にする。 1、9、20、21巻の表紙を飾っている。20巻は単独掲載。 母子家庭でアパートに二人暮らし。 表向きは平和主義者。「人が嫌がる事はしたくない」理由で虐めに対する抵抗もなくそれが恐喝と暴行へと状況を悪化させている。覚醒後、常習犯だった上級生全員を虐殺。連行された警察で勝又の尋問のふりをした洗脳によって、内面の狂気を表層化していく。 温厚、意志薄弱で主体性がなく、実は幼稚で自尊心は相当強い。性格と小柄で端麗な容姿故か小学校から現在に至るまで虐めを受け孤立している。自らを常にかばう太輔への感謝と強い劣等感、加えて恵に対する慕情に苛まれている。母親の代替として恵に独占感情を向けるが、彼女に再三拒絶されたことで心に大きな闇が出来、それが彼の能力を暴走させることとなってしまう。 第一部終盤、太輔と共にマグマの中に消えたと思われたが、第二部で“アクロの心臓”と完全同化し、マグマの中で眠っていることが判明。米軍基地たるプラットホーム襲撃での戦闘で“アクロの心臓”として覚醒、由紀恵の”心臓の欠片”を強奪し消息を絶つ。以後はほぼ純粋な破壊衝動として、世界主要各国の都市を襲撃、甚大な被害をもたらす。 終盤で「かつての友」を求めて東京へ向かい太輔たちとの最終決戦を行うが敗北。精神体となって旅することを自ら御霊に志願し、悠久の時へと旅立った。 巻末の収録漫画では度々、腹黒い一面を覗かせている。無 物体の有無に関わらず、任意の空間を穴を開けたように抉ることが出来る。“アクロの心臓”を取り入れてからは、元々の威力が格段に上昇した。その威力は凄まじく、山を一瞬で抉り取るほど。第二部では“アクロの心臓”として実体が無くなった為、あらゆる兵器を無効化した。 能力覚醒の切っ掛けとなった「心の穴」とは、終わりの見えない虐めと唯一の救いである「ただ二人の友達」=太輔と恵との関係の変質を見抜いた事で、自身の日常の崩壊=居場所を喪失した事に起因している。 由良 匠(ゆら たくみ) 勝又一派の能力者。蓬髪つなぎ姿の芸術家。 6、8、15巻の表紙をかざっている。6巻は単独掲載、15巻は実質メイン。 太輔が最初に戦った能力者であり、彼の事は割と気に入っている為か助言することも多い。 独特の美学に基づき行動する浮世離れした男。観察力に長けている一方、他人から自分に対しての「評価」を恐れる人間らしい部分もある。第一部終盤“湖の戦い”で片腕を喪失したものの、“死”に対する恐怖から生き残った能力者の一人。絵がとても上手い。 第二部でNYを放浪中に恵と再会。米軍と交戦中だった太輔らに加勢する事で危機を救う。 「心臓を見る事」を求め、太輔ら手塚一家による米軍の海上基地襲撃に同行したが、D2に右胸を撃たれ、心臓に触れた後右腕を失い消滅。 回想の森尾と華音との対話シーンでは互いの内面に踏み込んだ会話をしており、彼らとの間に絆があった事が伺える。 インターミッションを含む複数の短編に出ており、作者のお気に入りの登場人物だったよう。圧搾空気 超高密度の空気を圧縮したシャボン玉のような球体を自在に操り、触れた物を粉砕する。また、由良に割る意思がなければ、割れることも無い。しかし、シャボン玉に攻撃することで人為的に割ることも出来る。 森尾 健一郎(もりお けんいちろう) 勝又一派の能力者。自意識過剰で常に余裕を崩さない一方、社会性が欠如している面々の中では比較的常識人。 襲撃した太輔に付けられた顔の火傷が治らず、彼を怨む。パイロットになるのが夢だったが、彼の夢想感は夢を叶えるために前進するのではなく、夢をただ見ているという楽なスタンスに幸せを覚えるというもの。湖の戦いにより“内なる欲求”に飲み込まれ、自らの能力で死亡。風 風を自在に操り、カマイタチなどを起こせる。また、風に舞って空を飛んだり、空気圧なども作ることが出来る。 岡田 剛(おかだ ごう) 勝又一派の能力者。肥満体で女性受けとは程遠い自身の容姿に強烈な劣等感を抱いている。猜疑主義者でグループ内でも孤立しがち、特に華音との仲は険悪。能力特有の弱点ゆえに、卑怯な戦法に頼る。元々は心優しい少年だったものの、人間という生き物特有の欺瞞・醜さに触れて性格が歪んでしまった。 第一部終盤の決戦により、勝又の命令で密かに恵に「契約」を交わし、太輔らの足枷とする役目を果たした。後に自らに掛けた“死神との約束”=死神を一番愛している事が嘘であると認め、首を狩られ死亡。由良のスケッチで裸を晒しているが、露出狂だったかは不明。死神の約束 対象に「約束」と称し契約を交わし、契約を破った者を死に至らしめる。死神は約束を交わしたものにしか見えない。又、能力者に対しては使用不可能。 御館 華音(みたち かのん) 勝又一派の能力者。相当自己中心的で、情緒不安定な赤毛の女。常に一番でいないと気がすまない。奈美の弟・悟を殺した宿敵。 端麗な外見を持つが、昔は地味な見た目と肌荒れで学校で酷い虐めに遭っていた。岡田と同様、自身の存在に劣等感を持っていた。能力覚醒による反動で無邪気な残虐さを表出させる。あらゆる価値観を超越しようと、一旦は“アクロの心臓”を取り入れるが、器が小さかったため決壊し、死亡。音波 固有振動数の合う物質を爆破する事の出来る能力。主に金属物質などを媒介とし、人体を直接爆破することは出来ないが、“アクロの心臓”を取り入れた後は、どんな物質でも爆破出来るようになった。 麻生 英雄(あそう ひでお) 勝又一派の能力者。カトリック系孤児院の出身。人間の生を罪と捉え、贖罪と魂の安らぎと称して人を死に至らしめる牧師。 格闘術の嗜みもあり石化の能力よりも、飛躍した身体能力を十二分に制御しての戦法を得意とする(おそらく、格闘術だけで比べれば奈美以上)。湖の戦いで“内なる欲求”に飲まれ、自らの能力で死亡。石化 手で触れた物を石に変える能力。人間の場合、完全に石になるまで十数分かかる。 長谷川 論(はせがわ ろん) 勝又一派の能力者。麻生神父のいた孤児院出身で、彼とは常に一緒に居る子供。孤独感からか、人に遊んでもらいたがる。 第一部の決戦で洗脳された麻生神父の救出を太輔らに懇願。洞察力は相当鋭い様で、勝又を拒絶。現在はその場に居合わせた雨宮と行動を共にしている。肉体の流体化 自身の肉体を透明な液体状にすることが出来る。 ハン 勝又一派の能力者。元舞台女優だったが、能力故に元の身体は現在ない。摺り足気味に歩く癖がある。 勝又の命令でマクファーソンの指揮する特殊部隊に潜入。“アクロの心臓”の海没に成功、詩人の奪還を行おうとするが失敗。指揮官のマクファーソンによって正体を看破、殺害された。同居していた恵をからかう等、陽気な人柄だった様。人体遷移 他者の体に乗り移る能力。また、その際相手の知識及び思考などを読み取ることが可能。ただし、その人物特有の無意識下の癖を模倣する事は不可能。 ミケーレ 通称「ミッキー」。陽気朗らかな人となりで日本語は適当に発音する白人の大男。恵と勝又達と共にマンションで暮らしている。 恵の願いで太輔に彼女の無事を伝えた。後に勝又に洗脳による“叶太輔の捕縛”の命を受け、太輔達の前に立ちはだかるが米軍の介入によって失敗。後に再び洗脳された事で覚醒した広瀬から“心臓”の奪還を試みるも阻止され死亡。彼の死も勝又の計画の範疇だった。重力操作 物質の重量を自在に操る能力。また、指定した場所の重力を局部的に変化できる。 ルドガー・ファンベルト 勝又一派の能力者。黒いフードを被った、虚ろな目をしている男。 相対した者の能力を鏡のように写すことで、その相手(能力者)の「『生』の意味」を知ろうとしている。 勝又に洗脳され、ミケーレと共に心臓奪還に向かうが失敗。自分たちが捨て駒であったことを悟り、勝又と袂を分かつ。最終決戦に向かう太輔の前に出没、彼の出した結論に満足した。論以外の勝又一派の能力者で唯一、生き残った能力者。能力の複写(コピー) 相対した能力者の能力を行使できる能力。
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