事件・不祥事・問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 15:31 UTC 版)
中古車の架空販売 トヨタ自動車が全額出資する大阪トヨタ自動車(旧大阪トヨペット)が、2004年、国産中古車を社員名義で自動車登録を行い、販売実績を引き上げる架空販売を行なっていた。大阪府警察は2006年10月10日、社員ら4名を電磁的公正証書原本不実記録、および供用の疑いで逮捕した。 北米トヨタでのセクハラ 詳細は「北米トヨタ自動車セクハラ訴訟事件」を参照 過労・サービス残業問題 詳細は「過労死#日本の事例」を参照 トヨタ自動車中国広告問題 詳細は「トヨタ自動車中国広告問題」を参照 日本国内でのリコールの放置 1988年にモデルチェンジしたハイラックスについて、2004年8月に熊本県内でハイラックスのハンドル操作が利かなくなる交通事故が発生した。 2005年8月に熊本県警察は、車軸の欠陥が存在していたにもかかわらず、販売済の車両についてリコールを行わなかった、として同社を家宅捜索。同社に1988年12月のモデルチェンジ以降に販売店から5件のリレーロッドが折れる事故が報告され、96年頃の社内調査で強度不足が発覚していたこと、新規生産分は改良品に切り替えたが市場に出回った分は放置していた事が県警調査で明らかになった。翌2006年7月、 熊本県警は業務上過失傷害の疑いでトヨタ自動車の品質保証部門の歴代三部長を書類送検した。2007年6月に、松尾邦弘元検事総長がトヨタ自動車株式会社社外監査役に就任した。2007年7月13日、熊本地方検察庁は(1)96年時点でロッド欠損などの不具合を報告する販売店からの報告は4件だけだった。(2)菊池市の事故まで人身事故はなかったなどの理由から、リコールしなければならない状況だったとは言えないとして3名を不起訴処分(嫌疑不十分)とした。 アメリカでの大規模リコール 「トヨタ自動車の大規模リコール (2009年-2010年)」を参照 2010年2月22日、米ABCは南イリノイ大学のデビッド・ギルバート教授が行ったトヨタ車を急加速させる実験の映像を流し、車両に問題があることを示す報道を行ったが、翌月にトヨタ自動車側は報道された不具合は発生し得ないと指摘、それを受けABC側は同年3月12日に、該当の報道は映像に操作を施した捏造であったと認めた。 2010年4月14日、アメリカ消費者団体専門誌「コンシューマー・リポート」で特定の運転状況下で横転する危険性を指摘され、全世界でレクサスGX460の販売を一時停止し、4月19日に全世界で約1万3,000台を対象に、車両安定制御装置ソフトウェアの修正を発表、同様にプラドも約2万1,000台を対象に実施した。 2010年6月21日、中国の広州にあるデンソー系の電装(広州南沙)有限公司にて待遇改善を求めてストライキが発生し、トヨタの広州工場に対する自動車燃料噴射装置などの部品の供給が停止した。 2010年8月13日、米高速道路交通安全局(NHTSA)は、電子系統に異常がなく、事故のほとんどが運転者の人為的なミスによるものであると報告、2011年2月8日に、米運輸省は、NHTSAと米航空宇宙局(NASA)による10ヶ月の共同調査の結果を踏まえて、電子制御装置に欠陥はなかったと発表した。NASAは電子制御装置に異常は見られず、NHTSAは加速ペダルと運転席フロアマットの欠陥は問題は確認されたものの、急発進事故のほとんどが運転手のミスと確認された。ワシントン・ポストなど各新聞は、トヨタ叩きは政治的に引き起こされたヒステリーだったと議会などを批判した。一方、米消費者団体は政府の調査は不十分とした。 2014年3月19日、アメリカ合衆国司法省とトヨタ自動車は、リコール問題の最終的な和解案に合意。トヨタ側が12億ドルを和解金の支払いとリコールに対する約束事項の遵守を負うこととなった。巨額の賠償金もさることながら、折りしもゼネラルモーターズでも大規模なリコール問題が生じたタイミングであり、アメリカにおけるリコール問題処理の模範になるものとして注目され、日本国内でも連日報道されて大きな話題となった。 紛争地域でのトヨタ車人気 トヨタのハイラックスやランドクルーザーやハイエースは、走行性能・耐久性・修理のし易さに優れているので、中東の紛争で非常に愛用される。1980年代のチャドの内戦で政府軍・反政府軍ともにハイラックスのテクニカルで戦ったため、「トヨタ戦争」と呼ばれた。 ISIL もトヨタの車両を愛用していることから「トヨタはイスラミック・ステートのスポンサー」と揶揄されたことで、アメリカ合衆国財務省がトヨタ自動車に説明を求めた。これに対してトヨタの米国法人は、テロ活動の恐れがある購入希望者に、自動車を販売しない厳格な規定を採用しているとし、一方で中古車の販売や自動車窃盗など、全ての経路を断つことは「どのメーカーでも不可能だ」と反論している。 実際はアメリカ合衆国国務省が、シリア自由軍への救援物資のリストにトヨタ車が含まれており、これが横流し・略奪されてISILの手に渡っていたことが判明した。トルコ・ヨルダン・イラクなどからも調達できるルートが存在しているとされる。 日本国外における法的トラブル 1990年1月1日から2006年5月22日の間に、北米の関連会社Toyota Motor Credit Corporationが、アフリカ系アメリカ人(黒人)とヒスパニック系アメリカ人に対し、白人に対して融資する際の年率(APR)より高い値を設定し、人種差別を基に不当に利益を上げていたとして、カリフォルニア州中央行政裁判所、およびサンフランシスコ郡高等裁判所に起訴された。 2006年9月20日に、フォード・モーター、ゼネラルモーターズ、ダイムラー・クライスラー、ホンダ、日産自動車と共にカリフォルニア州検事総長のビル・ロッキヤー(英語版)によってオークランド地方裁判所に地球温暖化の対策を講じてこなかったとして起訴された。 2019年11月18日には、ゼネラル・モーターズ、フィアット・クライスラー・オートモービルズ、日産自動車と共に、現行の基準値を緩和した連邦政府案よりも厳格な排ガス基準 (ZEV規制) をカリフォルニア州が導入するのを禁止するトランプ政権の取り組みへの支持を打ち出したため、カリフォルニア州は同社の新車購入を2020年から全面的に停止すると発表した。同規制を導入している州はアリゾナ、マサチューセッツ、ニューヨーク、オレゴン、メリーランドなど10州にのぼる。 米国籍役員による違法薬物の密輸 2015年6月、アメリカ国籍の同社初の女性役員(チーフコミュニケーションオフィサー=広報トップ)が、アメリカから麻薬成分を含む鎮痛剤オキシコドン57錠を、ネックレスと虚偽申告をした上で箱の二重底に隠して宅配便で密輸した疑いで、警視庁に麻薬及び向精神薬取締法違反容疑で逮捕された。同年6月30日に被疑者の役員が辞表を提出してトヨタに受理され7月1日に辞任が発表された。7月8日、本人に違法性の認識が薄かったことや既に役員を辞任したことが考慮され不起訴処分で釈放された。いくつかの米メディアは背後でキャロライン・ケネディ駐日アメリカ大使が被疑者の役員辞任を条件に釈放を働きかけたこと、2月に発生した類似事件でも米国人釈放に関与していたことを報じている。女性役員は2022年6月20日付でトヨタに復帰し、北米トヨタのシニアメディアアドバイザーに就任した。 所得税の源泉徴収漏れ 世界ラリー選手権のラリー用車両の開発などに絡んで同社が2014年度から2016年度までに海外企業などに支払った20億円超について、名古屋国税局の税務調査で所得税の源泉徴収漏れを指摘されていたことが、2017年10月に判明。本来一定割合を天引きして日本で納税すべきだったところ、海外子会社がある現地で納税していた。これ以外に海外で定年を迎えた出向者への退職金などで源泉徴収漏れを指摘されたという。こうした一連の経理上のミスは海外取引の増加や複雑化などが背景にあるとみられる。 パワーハラスメントによる社員の自殺 2019年11月、トヨタ自動車の男性社員(当時28歳)が2017年に自殺したのは、上司からパワーハラスメントを受け適応障害を発症したのが原因だったとして、豊田労働基準監督署が労災認定していたことが分かった。 遺族の代理人弁護士によると、男性は東京大学大学院を卒業後にトヨタ自動車に入社。入社2年目の2016年3月から本社の車両設計部門に配属されたが、上司から「死んだ方がいい」「なめてんのか」「学歴ロンダリングだ」と言われるなどのパワハラを日常的に受けるようになり、個室に呼ばれ「発言を録音してないだろうな。携帯電話を出せ」と言われたとも相談していたが、同年6月頃には精神疾患を発症した。翌月から3ヶ月間休職し、別のグループに異動して職場に復帰したが、席は同じ上司のすぐ近くだった。2017年10月30日、男性は社員寮の自室で自殺した。 トヨタ自動車は当初、社内調査を踏まえパワハラと自殺との因果関係は否定したが、2019年9月に豊田労働基準監督署は遺族の主張に沿う形で労災を認定した。豊田社長は男性社員の自殺が報道された後の2019年11月、「ニュースで初めて知った。取り返しのつかないことになってしまい、心からお詫びします」と、遺族を訪ねて頭を下げたほか、和解成立時の2021年4月にも大阪市内で遺族と面会し、謝罪した。和解したのは4月7日付だが、和解金の金額は非公表である。 販売店での車検不正 2021年3月30日、愛知県の販売会社であるネッツトヨタ愛知(愛知トヨタ自動車の子会社)のプラザ豊橋店にて、車検に必要な点検や整備の一部を省略していたことが発覚したことを受け、中部運輸局は同店の指定整備事業の取り消しと検査員7人の解任の行政処分を行なった。 7月20日、トヨタは直営販売会社であるトヨタモビリティ東京でも同様の不正があったと発表した。同社が運営するレクサス高輪店で、過去2年間で全体の3分の1に当たる565台について、基準値に満たすよう数値の書き換えや一部の検査を行わないといった車検不正が行われていた。トヨタモビリティ東京はネッツトヨタ愛知の不正発覚後に自主点検を行なっていたが不正を見つけ出せず、同年6月17日の関東運輸局からの監査で初めて発覚した。 8月、こうした事態を受け、トヨタは自社のホームページから最短45分で車検を済ませる「45分車検」の記述を削除した。 9月、山梨県の販売会社であるネッツトヨタ山梨は、本社セイリア店にて不正車検が行われていたことを発表した。山梨運輸支局の監査で指摘を受けて調査したところ、2019年8月から2021年8月までに本社セイリア店で車検整備を行った260台の車両で不正が行われていたことが発覚した。 9月29日、関東運輸局はトヨタモビリティ東京のレクサス高輪店に対し、指定自動車整備事業の指定取消処分を行った。同日、トヨタは一連の不正車検問題を受けて全国のトヨタ・レクサス販売店4852拠点を総点検し、販売店11社12店舗で不正車検が行われていた事を発表した。発覚した12件のうち、総点検を含めトヨタ社内で見つけたのは8件。残りの4件は国土交通省各運輸支局からの監査で判明した。 10月20日、関東運輸局はネッツトヨタ山梨の本社セイリア店に対し、指定自動車整備事業の指定取消処分を行った。また、新たに不正が発覚した各県の販売店に対し、各地方運輸局は6店舗に車検業務停止の行政処分、4店舗に文書警告または口頭注意を行なった。 顧客情報の無断利用 2021年8月、トヨタは販売会社9社において、顧客の同意を得ずに個人情報を取得し、「TOYOTA/LEXUSの共通ID」の登録に使用していたと公表した。これらの販売会社は車両注文書やアンケートなどへ記載された個人情報3318名分について、営業スタッフが顧客の同意を得ないままトヨタへ提供し、IDを登録していた。登録された情報には、氏名、生年月日、性別、住所、電話番号、車両の所有情報が含まれており、トヨタはこれらのIDおよび個人情報を同社が保有するサーバーから削除した。トヨタは販売店にID取得数のノルマは課していなかったが、評価指標として奨励しており、このことが不正の一因になったとしている。 同年9月には、さらに別の販売会社27社が5797人分の個人情報を無断で登録していたことが分かったと発表した。 自動運転オペレーターのトヨタ社員を書類送検 2022年1月6日、警視庁はバスのオペレーターでトヨタ自動車の男性社員(39歳)を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)で書類送検した。男性社員は東京パラリンピックが開かれていた2021年8月26日午後2時ごろ、選手村を通る区道で、トヨタの電気自動車「eパレット」(定員20人)を走らせた際に北薗新光選手に接触し、左足に2日間の怪我を負わせた。北薗選手は事故後、試合を欠場した。(東京パラ選手村バス事故 オペレーターのトヨタ社員 書類送検 - YouTube) 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は事故から1日半後に公表したことにより、トヨタが最高位スポンサーだから配慮したのではといった指摘がされたが、忖度を否定した。3月4日、東京地方検察庁は男性社員を不起訴(起訴猶予)とした。
※この「事件・不祥事・問題」の解説は、「トヨタ自動車」の解説の一部です。
「事件・不祥事・問題」を含む「トヨタ自動車」の記事については、「トヨタ自動車」の概要を参照ください。
- 事件不祥事問題のページへのリンク