祈らぬ者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 21:27 UTC 版)
祈らぬ者(ノンプレイヤーキャラクター)と呼ばれる存在。祈る者、つまり冒険者(プレイヤーキャラクター、PC)に敵対する存在でもある。 ゴブリン 声 - 竹田海渡、小倉大輔、虎島貴明、高橋信、若山晃久、森嶋秀太、葉山翔太、渡邉允瑠 本作に登場する怪物のうち、最下級とされる小鬼。エルフ語では「オルク」と呼ばれている。 成体でも人間の子供程度の身体に膂力と知能しか持っておらず、単体ではあまり強くないうえに討伐報奨金も低く玄人からは獲物扱いされないため、新人冒険者などには侮られることが多い。しかし、動きが素早いうえに悪知恵が利き、暗闇でも見える目と高い嗅覚を持って絶えず闇間から徒党を組んで襲いかかるため、実は最も多くの新人を殺害している存在でもある。 性格はきわめて残忍かつ身勝手で、自分たちの悦楽のために標的とした人物を拷問したり食料としたりするほか、女性の場合は強姦する(場合によってはその後に殺害するか、もしくは後述の「孕み袋」にする)などの行為を好む。 自分たちの群れを攻撃してきた冒険者や村人には、鬱憤を晴らすために苛烈な報復を行う。しかし連帯感があっても友愛や義理はほぼ皆無で、殺された仲間については嘲りの念しか抱かない。 「略奪する」という発想しか持たず自分たちで新たなものを作り出すことはないが学習能力は持っているため、身動きの取りやすい短剣や棍棒を装備して自分たちで毒を作ったり遺跡の罠を活用したり、船を用いて水路を移動したりするなどの行動を取る。生命力が高く、不衛生な場所でも活動できるうえ、致命傷を負っても死ぬ直前まで襲いかかったり、死んだフリをして奇襲をかけたりする。そういった生態から、ゴブリンスレイヤーには「奴ら(ゴブリン)は馬鹿だが、間抜けじゃない」と評されており、侮ることを厳に戒められている。 単独行動中の数匹程度ならば腕自慢の村人でも追い払うことは可能であり、それで自信を付けた若者が冒険者を志すことも少なくない。しかし、数十匹の群れともなれば村1つを滅ぼすこともあり得る。後述のホブゴブリンやゴブリンシャーマンに率いられた群れはさらに危険性が高く、ゴブリンロード、またはオーガや闇人などの別種族に率いられて組織化した場合、街でも陥れかねないほどの脅威的な存在となる。 性別は雄しか存在せず繁殖には人間やエルフなどの別の人型種族の女性を必要とする。それらは「孕み袋」と呼ばれ、道具扱いされる。誕生する際にはすべてが母体の要素を受け継がずゴブリンとなるほか、妊娠期間は人間よりきわめて短く成長も早いため、1つの巣に3 - 4人も孕み袋がいれば、短期間のうちに軍勢ができるほどの危険性がある。子供の個体といえども危険であるうえ、相手への恨みを決して忘れず知恵を付けていくため、ゴブリンスレイヤーは一切の躊躇無くゴブリンの子供も処分している。 只人の王国においては軍隊がゴブリン討伐に赴くことはない。これは国がその脅威を認識していないのではなく、それ以上に脅威となる怪物や勢力が数多いためと、冒険者を用いることで十分対処可能と目されているためである。国は国営機関でもある冒険者ギルドを用いて依頼斡旋や派遣業務を行うことにより、その支援としている。渡り 巣穴をさまざまな理由で追われ、渡り歩くはぐれゴブリンたちのこと。多くは食いはぐれてやせ細っているが、中には傭兵の真似事のようなことをしている個体もいる。渡りを続けながら知恵と経験を積んだゴブリンは、巣穴の長や用心棒となる。 ホブゴブリン 声 - 山根雅史 ゴブリンのうち、先祖返りによって大型の肉体を手に入れた上位種あるいは変異種。戦闘力は通常のゴブリンなど比ではなく、多少の戦闘技術も身に付けている。しばしば巣穴の長や用心棒となっている。 ゴブリンシャーマン 声 - 中西尚也 ゴブリンのうち、妖術を身につけた呪文使い。多数のゴブリンのみならずホブゴブリンを従えることもあるうえに知能が高く、冒険者を罠にかけることもある。危険性の割りに知名度が低く、下級の冒険者が知らない場合も多い。骨などを組み合わせたトーテムを好んで作るのが特徴。 ゴブリンライダー オオカミに騎乗したゴブリンの騎兵。余裕のあるゴブリンの群れはオオカミを番犬として飼い慣らしているうえ、大規模な群れになると騎乗して突撃してくる場合がある。ちなみに、食糧事情が悪化するとオオカミは即座に餌とされてしまう。 小鬼王(ゴブリンロード) 声 - 井上和彦 ゴブリンのうち、統率力に特化して進化した個体。ゴブリンとしては異常に高い知性と統率力を持ち、多数の上位種をも擁する大規模な群れを作るうえ、祈る者たちの共通語を理解して話すことさえある。ゴブリンたちにとっては白金等級に該当する存在にして戦闘力や魔力ではなく統率力に特化した個体であるため、小鬼王に率いられたゴブリンたちは統率のとれた軍として驚異的な力を発揮し、捕らえていた女性たちを板に括り付けた「肉の盾」を用いて敵の攻撃を思いとどまらせる、ゴブリンライダーで敵の側面を突くなどといった戦術も用いる。 作中に登場した個体はかつて冒険者に見逃されたゴブリンが経験を積みながら成長したもので、100匹近いゴブリンたちを率い、辺境の街を襲う拠点として牧場を狙うが、事態に気づいたゴブリンスレイヤーが目撃した大量の足跡から存在を推測され、彼の呼びかけに応じた冒険者たちに迎撃されたうえ、自分の策をゴブリンスレイヤーにことごとく読み切られて群れは全滅する。最後は再起を謀って自分だけ逃走するが、逃げ帰ろうとした巣は別行動していたゴブリンスレイヤーによって既に滅ぼされており、自身も待ち伏せされて一騎討ちとなる。一対一の戦闘では優勢でゴブリンスレイヤーを追い詰めるも、女神官の《聖壁(プロテクション)》に動きを封じられ形勢逆転、これまで同様に嘘の命乞いで油断させて隙を突こうとするが、ゴブリンの悪辣さを知り尽くしている女神官には通用せず、身動きとれないままゴブリンスレイヤーに刺されて倒される。 小鬼英雄(ゴブリンチャンピオン) 声 - 山根雅史 ホブゴブリン以上に大型に成長し、より戦闘経験を経たゴブリンの戦士。小鬼王同様に白金等級に該当する存在。小鬼王ほどの高い知性と統率力はないが、強力な筋力や防御力を持っているため、単純な戦闘力だけなら小鬼王や熟練した冒険者たちさえ上回る。戦闘の際にはさらに残忍となり、他のゴブリンを巻き添えに攻撃することや盾にすることすらいとわない。 ゴブリンロード軍に存在した個体は、重戦士と女騎士の連携によって倒された。アニメ版では1体が追加されたが、そちらは槍使いとの一騎打ちで討ち取られている。 地下水道に現れた個体はゴブリンスレイヤーたちを一室に追い詰め、ゴブリンスレイヤーに致命傷を負わせるも決死の反撃で首を絞め上げられ、片目をえぐり取られる。布に血で目のような落書きを描いて報復を宣言していたが、決戦の場となった祭祀場の天井を崩されて手下もろとも生き埋めにされて倒される。 小鬼聖騎士(ゴブリンパラディン) 声 - 森川智之 雪山の城砦に巣食うゴブリンを統括するゴブリンの聖騎士。甲冑を着てマントを纏い、令嬢騎士から略奪した宝剣と盾を装備する。覚知神によるものか知識も相応に持っており、数々の冒険者との闘いで剣技を学習しているため、只人の騎士にこそおよばないものの剣と盾を巧みに使い、攻撃する。 その剣技によりゴブリンたちをまとめ上げ、近隣の村々から娘を攫っては孕み袋として酷使してゴブリンの数を50体以上も増やし、令嬢剣士を捕縛したうえ、只人の叙勲式を真似た儀式で統括力の向上を目論むが、ゴブリンスレイヤーたちの活躍によって儀式の要だった聖職者役のシャーマンを討たれ失敗する。アジトへの侵入と儀式をぶち壊しにされたことに激怒し、大勢の手下と共にゴブリンスレイヤー一行を追い詰めるも、最後はゴブリンスレイヤーとの一騎討ちの最中、合図を受けた令嬢剣士の呪文によって敗れる。それまでの行動により、城砦の豊富な鉱石資源から金属精錬を試み、武具を生産してゴブリンたちに装備させて軍隊の結成を目論んでいた可能性が示唆されている。 小鬼邪神官(ゴブリンプリースト) 死の迷宮を根城にするゴブリンたちの首魁。奇怪な手の文様の入れ墨を施されたゴブリンたちを率い、王妹を生贄に魔神の復活を謀る。格好だけ聖職者を真似たゴブリンなら小鬼聖騎士の手下にもいたが、こちらは神官の遺体から「血抜き」を行い、血液を触媒に利用するという外道な手段によって実際に《聖壁》の奇跡を用いることができる。 その奇跡の力を媒介するものを女神官の浄化によって消滅させられて敗れ、残された大量のゴブリンたちもゴブリンスレイヤーに頼まれた剣の乙女が率いる神官戦士たちの軍団によって殲滅される。 トロル 巨人(トロル)。小鬼英雄よりも大きな巨体と腕力を持っているが、知能は小鬼以下で本能の赴くままに行動する。極稀に小鬼と協調して行動する個体も存在し、主に門番や盾役として行動する。 巨大鼠(ジャイアントラット) 人間の子供の大きさほどある巨大な鼠で、街の下水道などに大量発生する。群れで行動するが個々の攻撃力は低いため、ギルドは福祉も兼ねた新人冒険者向けの依頼として掲示しているが、生命力が高いうえにゴブリンと違って雌も存在するために繁殖率や成長率がきわめて高いうえ、病原体を保菌している群れで襲いかかるため、新人冒険者でも油断すると重傷を負わされることはおろか捕食されることすらある。 大黒蟲(ジャイアントローチ) 人間の子供の大きさほどある巨大なゴキブリで、巨大鼠と同環境での生息や群れ、病原体といった理由から、時には新人冒険者すら捕食対象にする。巨大鼠以上にグロテスクな外見や動き、群れで襲いかかるおぞましさから、上級冒険者すら生理的に遭遇したくないと評され、短時間ながら羽を広げて飛びかかる姿はしばらく夢に出るほどであり、絶対遭遇したくないモンスターの上位に挙げられている。 竜牙兵(ドラゴントゥースウォリアー) 竜の牙より作り出された兵士。ボーンゴーレムに近い存在。単純な戦闘以外にも盾を持って特定の誰かを守らせる、救助した人物を街まで運ばせる、踊らせるなど、幅広い命令が可能。高位の魔術師が、あるいは蜥蜴人が祖霊の力を借りて作り出す。 オーガ 人喰鬼(オーガ)。銀等級冒険者一党でも苦戦を強いられる強力な怪物。只人を圧倒する肉体と筋肉、只人の言葉も理解して流暢に喋れるほどの知力に加え、眼を潰されてもすぐに回復可能な再生能力を持つため、肉弾戦で胴体を真っ二つにされて大量の血液を失わない限り、負けることはない。盾で身を守ろうとした冒険者を盾ごと粉砕したり、冒険者との一騎打ちでは百日間無傷で勝利するなど、数々の逸話でその強さが伝えられている。オーガ(兄) 声 - 各務立基 第2巻に登場。魔神将の部下。使用可能な呪文は《火球》。古代遺跡を根城にゴブリン軍を編成し、背後から秩序の軍勢を襲おうとしていたが、ゴブリンスレイヤーたちによって手下であるゴブリンたちを皆殺しにされ、計画を妨害される。ゴブリンスレイヤーたちをあと一歩のところまで追い詰めるも、最後はゴブリンスレイヤーの用いた転移の巻物による海水の高圧水流噴射で両断され、敗れる。 オーガ(弟) 第9巻に登場。魔神王勢力残党に唆され、兄の仇であるゴブリンスレイヤーへの復讐を企ててゴブリンの群れを指揮し、遠方へ配達に向かうゴブリンスレイヤーと牛飼娘を襲わせて冬の廃村へ誘い込むが、知恵を駆使して逃げ回るゴブリンスレイヤーに翻弄される。業を煮やし、捕えていた他の冒険者を人質にゴブリンスレイヤーを誘い出して正面から殺害しようとするが、窮地に駆け付けた彼の一党と、彼の地形を利用した戦術の前に敗れる。得物としていた戦鎚は戦利品として持ち帰られ、辺境の街のギルドに飾られている。 沼竜(アリゲイタ) 水の都の地下水路でゴブリンスレイヤーたちが遭遇した巨大な白いワニ。ゴブリンスレイヤーたちを追い払おうとする一方、ゴブリンたちの船を襲っている。正体は剣の乙女の使徒(ファミリア)であり、地下水路を守りながら巨大鼠なども駆除していた。感覚を剣の乙女と共有しているため、ゴブリンと戦っている時の感覚も彼女に伝わってしまう。剣の乙女と神官戦士団が「死の迷宮」から脱出するゴブリンスレイヤーたちを救援に向かった際にも、彼女に同伴している。 大目玉(ベム) 声 - 高橋伸也 水の都の地下水路に繋がる祭祀場で、巨大な鏡を守っていた怪物。巨大な目玉に無数の触手が生え、その先端に小さい目玉が付いた見るからに混沌の眷属。「名前を呼んではならない存在」と言われていたところにゴブリンスレイヤーが適当に名付けてしまう。《分解(ディスインテグレート)》の術で攻撃し、《解呪(ディスペル)》で相手の術を妨害する難敵となるが、ゴブリンスレイヤーの起こした粉塵爆発によって倒される。 魔神の信徒 水の都の地下で魔神復活を謀っていた人物。生贄をさらうためにゴブリンを大量に呼び出していたが、ゴブリンスレイヤーたちに計画を妨害されてうろたえていたところを勇者一行に倒される。 アニメ版では、似たような状況で邪神官(声 - 野瀬育二)らが勇者たちに滅ぼされるシーンが描かれている。 闇人(ダークエルフ) 闇人の邪教徒の男性。 邪悪な神々より託宣(ハンドアウト)を授かり、呪物を用いて暗躍する。最終的にゴブリンの軍勢を率い、神話の時代の千の手の巨人(ヘカトンケイル)を召喚して収穫祭を襲撃しようとするが、巨人は勇者に、ゴブリンの軍勢と自身はゴブリンスレイヤーに撃退される。 作中において使用した術は《分解》。闇人は森人と同様に能力において只人を凌駕しており、その技量も含めて実力的にはゴブリンスレイヤーを圧倒するが、知略方面においては数を頼みとするゴブリンを分散させて運用するなど想像力の働かせ方が甘いうえにからめ手や計算外の事態に弱いなど粗も多く、ゴブリンスレイヤーには「素人(ヌーブ)め」と評されている。 種族の中には人間と共存する道を選んだ者もおり、水の街では只人を相手に店舗を構えている者も存在する。 樋嘴(ガーゴイル) 石の体と翼を持ち、飛行する石像の魔物。混沌に属する魔術師に使役されることが多い。石像でありながらも羽ばたくことで空を飛んでいるため、それを阻害すると墜落する。 魔神王 いわゆる魔王のような存在。勇者が1人ではなく複数存在するように、魔神王も複数存在する。世界の存亡に関わる存在は定期的に出現するらしく、一般に最上位の白金等級冒険者とは、魔神王とその軍勢を倒すことを期待されている存在である。勇者によって討伐されたため、現在は空位。10年前にも「六人の英雄」が倒した1体がいる。 魔神将 魔神王の配下の中でも特に力を持つ者たちで、詳細は不明だが複数存在する。魔神王の復活を目論んでおり、配下を操って暗躍している。 ブロブ 外伝『イヤーワン』に登場。強酸性の粘液の塊のような魔物。洞窟の天井などにへばりつき、下を通った生物を目がけて落下して取り付き、肉を溶かして捕食する。兜などをかぶっていれば脱ぎ捨てることで逃れることができるが、そうでない場合は致命傷となりうる。 当初はロックイーターに追われて鉱山に沸いたものと思われていたが、ロックイーターの通り道から見つかる金を目当てにした人間を狙って共生している可能性が、半森人の軽戦士によって指摘されている。 岩喰怪虫(ロックイーター) 外伝『イヤーワン』に登場した、岩のような甲殻を持った巨大な百足の如き魔物。その名の通り、岩を喰らいながら岩盤の中を移動する。 岩のみならず、途中で見つけた生物は人間であれ強酸性のブロブであれ捕食するが、通り道に金鉱脈が見つかることがあり、採掘する人の手で住処を追われる個体も存在する。 鉱山のブロブ退治に赴いた若い戦士の一党を襲い、半妖精の野伏を捕食して鉱人の戦士の片腕を奪った後、銅等級から白磁等級まで50人を超える徒党が送り込まれ、死傷者を多数出す激戦の末に討伐される。 氷の魔女 9巻に登場。北の雪山の冬を長期化させ、王都でも問題になる異常な冬の元凶である1人。雪男(サスカッチ)を率いて冷気を操る吸血鬼であり、髪も肌も衣裳も装身具も白いが、瞳だけは血のように赤い。 別行動中のゴブリンスレイヤーと牛飼娘がオーガ(弟)の報復から逃げているために不在の状況であったが、女神官たち残る4人に加え至高神の託宣を受けた新米戦士・見習聖女、そして父の仇討ちを願う白兎猟兵と対決。女神官の《小癒》・白兎猟兵の銀の矢・見習聖女の《聖撃》の連続攻撃で倒される。
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