九龍の九姉弟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/27 09:39 UTC 版)
「BLACK BLOOD BROTHERS」の記事における「九龍の九姉弟」の解説
九龍の血統の始祖「導主アダム」と、「直接血の繋がりを持つ」姉弟。その多くは九龍の血統の直系で、カーサやダールのように数百年以上生きてきた古血から転化した者も存在する。「姉弟の順番を分かりやすくする」という理由から、長姉カーサから末っ子ワインまで、名前の頭文字は五十音順のア段で統一されている。 カサンドラ・ジル・ウォーロック 声 - 沢城みゆき 愛称はカーサ。「黒蛇カーサ」の異名を持つ、500年の時を生きる古血。真っ白な肌と長い黒髪、黒いルージュが特徴の美貌の女性。性格はジロー以上にひねくれ者で、自分の想いに素直になれない。また、アリスやコタロウの前では子供っぽい意地悪を発揮することが多い他、自分にとって不快な出来事があると手近にいる者に暴力を振るう悪癖があり、ジローやケインはしょっちゅう殴られていた。元々属していた「魔女モーガン」の血統において「始祖モーガンの再来」と呼ばれるほどに優れた魔術の使い手で、他者に変身するなど多彩な魔術を使う。アリスとは古い親交を持ち、後にジローを加えて行動を共にしていたが、香港聖戦にて九龍の血統に転化した。 元はジプシーにおいて「巫女姫」と呼ばれた才能豊かな魔術の使い手であり、その才能に目をつけた「魔女モーガン」の血統の長に強制的に吸血鬼に転化させられ、さらにその際「他の血統の血を混ぜることで複数の血統の力を持たせる」という禁術で「混血」にされた過去を持つ。その結果、始祖の再来と呼ばれるほどの魔術の使い手となったが、同時に「血」を何よりも神聖視する吸血鬼の間では混血の「忌子」として忌み嫌われる立場になった。そんな彼女が唯一心を許す友人がアリスであり、またアリスも彼女のことを「一番の親友」と称していた。護衛者であるジローよりもはるかに古くからアリスの身の安全を守っており、年若く未熟なジローをよくからかっていた。ジローにとっては護衛者としての師と呼べる人物。しかし、一方でアリスがジローを転化したことで、自分とアリスが「違う」ことを痛感させられており、100年の間に鬱屈した想いを徐々に募らせていった。 香港にやってきた時に自分の「血」を引くリズ・スネークと転化前のアダム・王と出会い、アリスと別れて彼等を生涯に渡って守ることを誓う。更にアダムの希望で「混血」である自分が辿ってきた人生の全てを精神感応で共有する。この結果、アダムは始祖となり、彼女が500年に渡って受けてきた様々な不遇やアリスとジローへの鬱屈した想いが九龍の血統を産み出したとも言える。智謀に優れ、香港聖戦においては九龍王の副将として、敗戦後は血族の長として、姉弟の長女として九龍の血統の指揮を執る。九龍の血統に転化した後もアリスとジローには複雑な感情を抱いており、香港聖戦時は彼女がアリスの遺灰を守ったことで、アリスはコタロウとして転生することが出来た。また、特区に侵入した時に出会ったミミコを気に入り、機会があれば「娘」として血族に加えようと考えていたが、最終的には九龍の血統の未来をミミコに託した。 ジローに対しては最初は前述の通り苛立ちを覚えていたが、いつからかそれが興味に代わり、遂には恋愛感情のような感覚に代わっていた模様。そのため、その嫌がらせや暴力、あまたジローに対する反応は屈折した愛情表現ともとれる。 最終決戦ではジローやケイン達と激戦を繰り広げるがアダムを守りきれず、弟達の死に次々と立ち会う事となる。その後、ワインに自分の血を渡して別れるとジローと最後の勝負を行うが、ワインを逃がすための囮となって敗北し、ジローの腕の中で永遠の眠りについた。 ザザ 声 - 鳥海浩輔 姉弟の参謀を務める長男。姉弟の中では最も長い時を生きる古血。並外れて強力な視経侵攻によって他者に憑依することができ、その力で次々に他人の肉体を渡り歩くことから、かつては「人渡り(マン・ウォーカー)」、現在はそれが転じた「ウォーカーマン」や「運命を作る者(フェイト・メーカー)」の名で呼ばれる。その能力と策謀で過去に幾度と無く人間社会、吸血鬼社会に混乱を招いており、策謀家として夜の世界に悪名を轟かせている。姉弟の中でも重要なポジションに位置するが、なぜかカーサには蔑ろにされることが多く、彼女の気まぐれや好き嫌いに辟易している。一方、彼自身も掴み所のないお調子者で、真面目なのかふざけているのか良く分からず、悪ふざけが過ぎてカーサに殴られることが多い。 元の体は既に消滅しているらしく、一応「本体」としている肉体はある(これに対し一時的に憑依している肉体は「端末」と呼ばれる)ようだが、それも取り替えることが可能。血によって自身を定義する吸血鬼でありながら血さえ持たない精神のみの存在であるなど吸血鬼としても異質の存在であり、その由来には謎が多い。第二次世界大戦中には、何らかの目的を持って竜飼ウォルフの血族を利用してロンギヌスの槍を入手し、豪王の血統の誕生に深く係わっている。「端末」を使用している際には「ミスター・シューズ」や「靴大人(ハーイターレン)」など靴にちなんだ偽名を名乗ることが多い。 カーサやリズと共にアダムが始祖となる瞬間に立会い、その姿に歓喜の涙を流しながら絶対の忠誠を誓う。九龍の血統を「変革」をもたらす「革命」であると真剣に考えている。 特区インパクトの際にセイの肉体を乗っ取ることに成功し、真祖混沌の直系としての絶大な力を手に入れた。その力を用いて目覚めの時を迎えたコタロウの時間を停止させ、特区を対象を「九龍の血統以外」に逆転させた結界で封鎖した。香港聖戦の最大の敗因は「人と吸血鬼の協力」であるとし、それを実現した陣内を高く評価すると共に危険視している。同時に戦略家として強いライバル心を持っており、死してもなお「葛城ミミコ」という形で立ち塞がってくる彼との完全決着を望む。一方で行動が全く読めない「賢者」の存在は鬼門になっており、特区を脱出して世界規模でのゲリラ戦を展開する作戦もコタロウの脱走で頓挫してしまう。 実は『名無し』の血統の一つの始祖で、マーベリックは彼と同族である。「血」の束縛から逃れるために血族や身体を捨てて幾星霜も彷徨い続けた。最終決戦では真祖混沌の力を存分に発揮してジロー達を苦しめるが、サユカとセイの連携攻撃からアダムを庇って致命傷を負う。死亡する寸前だったマーベリックの身体に乗り移るも、短時間で巨大な力を行使してきた反動で精神そのものも消耗しきっており、カーサと最後の別れを済ませた後に消滅した。 なお、アニメ版ではどの体(情報屋、夜会メンバー、鎮圧チーム等)でも声優は常に鳥海で固定されていた。アニメ化された範囲では女性や他の兄弟の体に入るシーンがないため、この設定がどこまでおよぶのかは不明。 ダール・ディーン かつてはアラビアの古い血統「舞姫バサラ」の三世であった1000年近い時を生きる古血。赤銅色の肌を持つ、ケイン以上の巨漢。二振りの曲刀を使う剣術の達人で、聖騎士ペンテウスと並び吸血鬼最強の剣士として知られる。並外れた実力と英知に富み慈愛に満ちた精神から「聖人」「アラビアの賢人」とも呼ばれていた。香港聖戦では赤ん坊だったワインを守るために戦線を離脱しており、それが九龍の血統の敗因の一つとまで言われている。 姉弟の中では最もカーサとの付き合いが長く、以前から不遇な境遇に生きるカーサに何かと目を掛けており、彼が九龍の血統に転化したことにも深く関わっている。九龍の血統に染まった後は、破壊や殺戮に躊躇いを持たない反面、知己の者達と対立する自身の立場に葛藤することもあり、盟友であったペンテウスの娘であるジャネットには複雑な感情を抱いている。 特区インパクトではジロー、ジャネット、ケインを圧倒し、あのゼルマンを相手にして一歩も引かない戦いを繰り広げた。最終決戦でもジローやケインを苦戦させており、一度はザザと共にコタロウの再奪取に成功している。その後は「真銀刀」破壊のためにマーベリックと共に陽動作戦を展開するが、アダムの危機に戦線を離脱するもアダムの死には間に合わず、悔恨の叫びを上げる。最後は特区に上陸してきた古血の戦士団と激戦を繰り広げた末に戦死した。 ナブローシュカ・バラライコフ 通称ナブロ。暗殺者の血統である「老牙ニザリ」の血族において、転化間もない頃から天才と呼ばれた暗殺者。端整な顔立ちだが表情に乏しく、服装もかなり奇抜である。オレンジ色の髪とレイピアの使い手であることから「橙蜂(オレンジ・ビー)」の異名を持つ。転化して100年少々と古血としてはいまだ若いが、高等魔術「霧化(フォグ・ラン)」と自らの気配を消す陰形の術を完全にマスターしており、香港聖戦の折にはダールと戦闘中の隙を突いたとはいえ遥かに格上の古血である聖騎士ペンテウスをも暗殺した。 冷静沈着かつマイペースな性格。自ら天才を名乗るナルシストで、殺しを芸術に例えるなど、独特の価値観に従って生きているが、暇潰しに自分の価値観を弟達に教え込もうとする悪癖があり、口答えしようとした者(主にヤフリー)を容赦なく蹴り飛ばしている。一方で表には出さないものの、他の姉弟と同じく血族のことを第一に考えており、身内に対して甘い一面を見せることもある。 最終決戦では航空機で特区に到着したジローを迎撃し、結界を利用した戦術で追い詰めるが、真銀を溶かし込んだ銀刀と「血」を暴走させたジローの力によって重傷を負わされる。アダムの血を与えられる事で回復の兆しを見せるも、ジローの攻撃からアダムを守るための盾となって致命傷を受け、敗戦後、カーサを戦場から離脱させた後に力尽きた。 ハンス・李(ハンス・リー) 刀を使った居合いの使い手。前髪を長く伸ばした小柄な青年。吸血鬼への転化時期はヤフリーと然程変わらないが、ヤフリーにとっては敵わない実力者。寡黙で生真面目な性格だが、兄達の軽口や悪ふざけを素直に受け止めてしまうなど、真面目すぎるがゆえにどこかずれたところがある。 人種的には中国人とドイツ人のハーフ。冷戦時代の香港で東ドイツ出身の母と中国政府高官の父の間に生まれ、東ドイツで育った。冷戦末期の情勢の中で母と妹を相次いで亡くし、ベルリンの壁崩壊後、西側に入国した際にウォーカーマンと出会い、彼と共に父親の居る香港へ渡った。 最終決戦ではカーサ達の援護を行う形でジローやケインを相手に奮戦し、最後はアダムに迫るジローを足止めするため、捨て身で銀刀の柄を破壊して戦死した。 マーベリック・ベンク 陽気な性格のムードメイカー的存在。茶色の巻き毛と鳶色の瞳をした優男。個性の強い姉弟の間を取り持つ苦労人である。温厚な気性から実戦には向かず、戦いにおいては主にザザの命を受け、工作や汚れ仕事を請け負っている。また、九龍の血統に染まった時点で100年以上の時を生きた吸血鬼であり、「視経侵攻」と侵攻対象の精神支配の技量はかなりのもので、姉弟の中ではザザ、カーサに次ぐ実力の持ち主。 アメリカ出身。元は歴史の中で血統の名を失った「名無し」の血統に属する吸血鬼で、植民地時代にアメリカ大陸に渡った女吸血鬼の手で転化し、彼女と世界中を旅してきた。各地で色々と惨めな扱いをされていたため、故国アメリカに戻ったものの、既に「豪王」の血統が根付いために居づらくなっていた。そうした境遇から九龍の血統に転化する以前より吸血鬼社会の秩序や価値観に対する反発を抱いていた。 実はザザの血族で、本人はその事に薄々感づいていた。最終決戦ではダールと共に陽動作戦を行うが、レジスタンスに発見されたヤフリーとワインを逃がすために限界を超えて血を酷使し続け、ザザに身体を譲り渡した後に死亡した。 ヤフリー・趙(ヤフリー・チャオ) 声 - くまいもとこ 姉弟の実質的な末の弟。目元にタトゥーを入れたパーカー姿の少年。聖戦末期に人間から転化した純血の九龍の血統。転化してからの時が浅く、短気で気が強い性格だが、古血と渡り合えるほどの実力は持たない。若くして転化したため、(本人は否定しているが)姉や兄達への依存心が強いと同時に、彼女達との実力差にコンプレックスを抱いている。姉弟の中ではザザと並んでいじられることが多く、ナブロのスパルタ教育の最大の被害者。監視しているコタロウには終始振り回されっぱなしで、ゲームはボロ負け、「視経侵攻」で作戦を読み取られるなどした挙句、コタロウに脱走されてしまう。 元は九龍城に住んでいたストリートギャングで、大人達からのリンチで死に掛けていたところをリズに助けられた過去がある。最終決戦ではラウやワインと共に「真銀刀」の破壊に赴くが、途中で脱落する。その後はワインと合流するもレジスタンスに発見されてしまう。最後は追っ手からワインを守り抜いた末に彼女をカーサに託して灰になった。 ラウ・王(ラウ・ウォン) アダムの実の弟(異母兄弟)。姉弟で唯一の「人間」であり結界や真銀も効果がない。顎に傷跡があるダークスーツの男性。剣の達人で、ハンス、マーベリック、ヤフリーの師でもある。庶子ゆえに幼い頃から不遇だった自分を何かと助けてくれたアダムに心酔し、絶対視している。また、人間の身でありながら、始祖となった兄は勿論、姉弟達のことも家族として受け入れる度量の広さがある。性格は豪胆であり、戦いにおいては手段を選ばない冷徹さを持つ。 九龍の血統に転化しなかったのは人間の立場で兄に協力するためで、米軍特殊部隊「赤い牙」の戦術顧問「フォックス」を名乗り、身体をザザに預けて「カンパニー」に潜り込んでいた。特区インパクトにおける姉弟達の襲撃に合わせ、九龍王の墓所にて陣内を射殺し「真銀刀」を奪取、特区の結界を破壊する。 最終決戦では、「龍脈」の要に撃ち込まれた「真銀刀」を回収するために再び墓所に侵入するが、待ち伏せていたリンスケに致命傷を負わされる。最後は身に付けていた手榴弾のピンを抜いて「真銀刀」もろとも自爆し、姉弟最初の戦死者となる。 ワイン・王(ワイン・ウォン) 姉弟における一番末の妹。アダムの実の娘であるダンピール。幼い容姿と優しい心の持ち主で、すべての兄や姉から愛されている。本心は戦いや争いを望んでおらず、愛する兄や姉の無事を祈っている。一方で頑固な部分があり、一度決めたことは必ずやり遂げようとする。気配を消す魔術や化身など、カーサから教わった幾つかの魔術を使うことができる。特区インパクトの半年前、単身特区に潜入して九龍王の遺灰の在処を突き止める。その際、ミミコ、コタロウと出会っており、ミミコには心を開いたがコタロウとは全く打ち解けなかった。 アダムがまだ人間だった頃、リズとの間にできた子供であり、「導主」の血統であるが、「九龍の血統」の血は受け継いでいない。ミミコを九龍の血統に転化するためにシンガポールに向かうカーサ達に強引に付いて行った際に、自分が九龍の血統の血を継いでいないことを知り、自らの出生に思い悩む。実はカーサの「曾孫」になるが、カーサは「お姉ちゃん」と呼んで欲しかったので出生の秘密を黙っていた。 最終決戦ではラウやヤフリーと共に「真銀刀」の破壊作戦に参加し、変化の術でレジスタンス達を惑わしながらラウを墓所まで守り通した。敗戦後、父や兄達の死に絶望し、カーサと共に心中するつもりだったが、カーサとの別れ際に九龍の血統が戦う理由を諭され、またミミコから「導主の血族が生きていける場所を作る」という約束を受け、血を絶やさない為に一人生きていく道を受け入れる。その後はカーサの形見である「血」を持って、いずこかに姿を消した。 リズ・スネーク アダムの妻でワインの母親である女吸血鬼。故人。「混血」であるカーサの「血」で転化した吸血鬼の「娘」で、カーサにとっては真の意味での「血族」となる。自分の血統を知らないまま世界中を放浪し、マーベリックと同じく色々と惨めな目に遭ってきた。訪れた香港の地も安住の地になり得ないと判ると、高名な風水師の血を吸ってから香港を旅立とうと考えてアダムと出会い、深く愛し合うようになる。その後、アダムを探しにきたカーサと出会って2人を結ぶ架け橋となり、九龍の血統が産まれる最大の要因となる。香港聖戦の最中にワインを産み落としたのと引き換えに命を落とす。
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