姫の屋敷に住む人物
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姫(ひめ) 本作のヒロイン。全ての異形の者の上に君臨する王の娘であり、第2王女。年齢は17歳。兄弟間の骨肉相食む王位継承権争いの渦中にいる。長いストレートの金髪にティアラをつけ、やや細めの身体をロンググローブ、タイトドレス、オーバーニーブーツ、という黒ずくめのゴシック・ファッションで包んだ美少女。本名をリリアーヌというが、この名を嫌い誰にも呼ばせようとしない。最終話「怪物王女」ではリリアーヌ・フォン・フェニックスと名乗っている。 気心強く誇り高く、常に堂々とした態度を崩さず、本心を下々に晒すのを良しとしない気高い性格。人(怪物)の死や不幸に対しては理解と憐憫の情を持ち、他者の苦しみや悲しみを理解する懐の深さも備えるが、一時の感情によって大局を見誤ることはなく、ゆえに冷徹かつ残酷な行動を取ることもしばしばである。人間を捕食対象とする怪物達の事情も理解しているため、基本的には彼らの捕食行動について黙認する意思を示しているが、自らや自らの配下、人間界への影響が大きすぎる場合には容赦なく鉄槌を下す。知略・策謀にかけては天才的であるが、それはあくまでも防御のためにのみ用いており、自ら悪用は決してしない潔癖さを備えている。危機に及んでは極めて好戦的な一面を見せるが、通常時は争いごとを好まず読書や紅茶(特に後述の紗和々が淹れたアールグレイ)を楽しむ生活を送っている。「ふふん」と言う独特の笑い方が口癖。 武器はレイピアから銃(コルトM1851)、モーニングスターにチェーンソーまで幅広く使いこなす。また、臨機応変にその場にある道具を武器にして戦うなど技量も高いが、身体能力は人間と大して変わらない。不死鳥の力を身につけてからは浄化の炎も使えるようになる。 戦闘時の移動は大型トラックと、プライベートの移動にはアニメ版では赤の高級車と使い分けているが、自分では運転せず、主にフランドルやリザが運転している。なお、トラックは紺色と赤のものが登場しているが、紺色は第3話でリザに横転させられ、赤色は第23話でセブランたちの手で爆破された。 静岡県笹鳴町(ささなきちょう)に住んでおり、丘の上にある大きな屋敷で暮らしている。なお、笹鳴町のモデルは静岡県浜松市中区佐鳴台とされている。 ヒロを蘇生させた主人であり、彼女の死は血の戦士であるヒロの死にほぼ等しい(一応は他の王族から血を貰うことで生き延びられる)。作中での過去の経緯や表現から、王国の庶民や人々からは広く愛されていると思われるが、彼女自身は「王座になど興味はない」と宣言している。 かつて領地に後述の死霊を放たれて壊滅させられ、親衛隊である「血の騎士団」を全滅させられており、フランドル以外のほぼ全てを失って笹鳴町の屋敷に疎開して来た。物語開始時の手勢は寂しいものだったが、その性格や能力を評価する者達が集まって終盤では人狼・吸血鬼・神族を含む兄弟姉妹間でも稀に見る重厚な布陣を敷いている。 『ナイトメア』では、ヒロ、リザ、令理と共に別荘で記憶喪失の状態で目覚め、王位継承権争いの渦中にいる。 日和見 日郎(ひよりみ ひろ) 主人公。通称:ヒロ。笹鳴学園中等部に通う中学2年生の少年。フランドルの曳く荷車(リアカー)とワゴン車の衝突事故の巻き添えにより(テレビアニメ版では建設中のビルの破断したクレーンから落下していく鉄骨の下に立っていた姫を守ろうとして下敷きになり)死亡するが、「良い死体だ」と資質と素質を見込まれた姫に生き血を与えられて(テレビアニメ版では命の炎を吹き込まれて)蘇生した。その夜の狼男との遭遇戦で、姫の見込み通り身を挺して彼女を守り、その資質を認められ、改めて「血の契約」により姫の下僕かつ血の戦士となった。 お人好しで、困っている人を見捨てておけない。転校初日にいじめの標的にされるなど気弱で奥手な性格。時にトラブルメーカーとなり、結局は姫などの手を煩わせる一面があるが、仲間の危機にはその身を挺してでも守るといった強さも見せる。その人柄から、姫を始めリザ、令裡やシャーウッドに信頼されていく。当初は困惑の中で姫を守る戦いに巻き込まれていたが、姫の人となりを知るにつれ、彼女への想いを深めて自発的に姫を守る行動を取るようになり、姫との生き血で繋がった絆を日々深めている。 戦闘においては、もともと武芸の心得がないので基本的に体当たりや身代わりが中心であったが、慣れてくるに従い得物として斧をよく使用している。姫が危機に晒されると血の戦士として覚醒し、そうなるとまさに「怪物化」して、勇敢かつ献身的に「姫を護るため」にのみ行動するようになる。 怪物の王族たちからは、「特別な血の戦士」と見なされている。シャーウッドからは「最強の血の戦士になる」と評されており、そのことは姫も承知しているらしい。また、ギリアムからはある種の「予感」を向けられている。「聖火王女」にて姫に不死鳥の炎の力を与えられ、炎の戦士として覚醒する。 フランドル 姫の第一の家来である人造人間。メイド服を着た童女の姿をしており、車がぶつかっても逆に車がはじかれ、片手でチェーンソーを受け止める無敵に近い防御力と怪力を持つが、動きは鈍い。大木を武器として振り回すことが多い。「ふが」以外の言葉は発せないが、その言葉にも複雑な意味があるようで、王族や他の人造人間とは会話が成立している。自重は原作「交渉王女」のリザ及び同アニメ版での姫のセリフによると数トン。動力は電気であり、充電式。1か月あたりの消費電力は日本の一般家庭の電気代に換算して30万円弱とのことである。人造人間として最も小型化に成功した王国科学技術の粋を集めたボディである。しかし、そのために機能が制限されている面もあり、最も基本的な家政婦としての仕事、情報機器の操作や自動車の運転はこなせるものの、他の人造人間に見られる特殊能力は備えていない。時々見当外れな行動を取っては、姫に叱責されることもある。ずっと呆けたような表情であるが、感情がないわけではなく、その勤めの必要上、そのようにしているだけの様子である。充電時には鼻提灯を出したりする。 テレビアニメ版の番外編では、暴走して怒りなどの感情を見せており、取扱説明書(かなり分厚いらしく、姫もシャーウッドもまともには読んでいなかった)も存在する設定となっていた。 日和見 紗和々(ひよりみ さわわ) ヒロの姉。姓は長らく明言されなかったが、オフィシャルファンブックでは「日和見」と表記されており、テレビアニメ版第1話と原作最終話にて「日和見」と名乗っている。姫の屋敷で住み込み家政婦として働いており、料理の腕は姫も認める一級品。屋敷が怪物に襲われても全く気付かず眠り続けるなど、その図太い神経と酷くズレた性格は、数々の騒動の後も姫の正体やヒロの身体の異常に一切の疑問を持たないほど。男が誰しも振り向く巨乳の持ち主であり、驚いたときなど彼女の胸が揺れる際は小さく「ぽよん」「ぽよ…」などの擬音語が用いられる。 両親はすでに事故で亡くなっており、紗和々が高校を卒業するまではヒロと離れて暮らしていた。怪物の存在に気付いていないという設定上、住み込みにもかかわらず作中に登場しないことが多い。テレビアニメ版では出番が増えている。 パフェが好物。テレビアニメ版では商店街の喫茶店でパフェを食べているシーンがよく見られる。 リザ・ワイルドマン 軽いクセのあるショートヘアとヘソ出しTシャツが特徴的な少女。人狼族の戦士で、狼男であるヴォルグ・ワイルドマンを父に、人間を母に持つ半分人間(ハーフブリード)。兄を姫に謀殺されたという誤解から姫を襲うが、後に事情を知り和解。真犯人である王族を探すため、姫の元に身を寄せている。 混血の人狼であるため肘から先までしか変身できないが、戦闘能力は同族の中でもかなり高い。狼の耳は普段は髪の毛に隠れている。単純で粗暴な面もあるが、誇り高く純粋な性格をしており、犬扱いはご法度。ヒロの優しい性根を好んで四六時中遊び相手に付き合わせている一方、姫からは格好のからかい対象として扱われている。令裡とは天敵同士ということもあって反りが合わず、顔を合わせると罵詈雑言の応酬をしていたが、キニスキーとの戦いで共に行動してからは関係に変化が見られるようになった。終盤では人狼族の元老院の法廷で堂々と「令裡は戦友だ」と表明するほどになっている。 人狼の血ゆえか、オフロードバイクや水上オートバイなど、スピード感のある乗り物を好む。自称「笹鳴峠最速」。ハーフとはいえ人狼の例に漏れず、満月の夜には身体能力が格段に上がるが、逆に月食や新月の夜は格段に戦闘能力が低下する。物語中盤からは高校にも通っており、弁当を分けてもらったりと女生徒からの人気を集めている。 嘉村 令裡(かむら れいり) 純血種の誇り高き吸血鬼の少女。年齢は不明。ヒロが通う笹鳴学園の高等部に属し、美貌と上品な物腰から学園のアイドル的存在である。長い黒髪と特別あつらえの黒いセーラー服がトレードマーク。学園の少女達から「令裡さま」と慕われる立場を気に入っている。一般的な吸血鬼一族としての弱点を踏襲しており、日光に弱い身体を押して通学しているが、それが祟って突然倒れてしまうことも。“儀式”と称し、自分を好いている女子から血を貰っては糧としている。また、古の作品に倣ってトマトジュースを飲んでいる場面も見られる。アニメ版「血統王女」で姫に語った内容によれば、十字架やニンニクなどの「カビの生えた撃退法は無意味」との事だが、「年増王女」で福引の景品である餃子の皮三十枚で紗和々が作った大量の餃子はノーダメージとは行かなかったらしく、顔を歪めて退散した後、どこからか持参したガスマスクを装着して戻ってきた。原作では黒い下着を着用しており、それが見えてしまうシーンが多いが、テレビアニメ版ではどんな時でも見えてしまわないような修正描写が施されている。 かつて吸血鬼としての高い能力を活かし、策略を持って姫の生き血を狙うも失敗。その時、大胆かつ豪放そして慈悲深い行動によって自らを破った姫には一目置いており、共闘も辞さないようになった。元々同族間でも孤高を好んでいたが、行きがかり上、キニスキーと敵対したことにより理不尽にも吸血鬼の社会から追放される立場となってからは、住み処(町外れの廃教会)を失くしたために姫の屋敷に居候する。ヒロのことはからかい半分ではあるが、その純粋さを気に入ってもいる。当初はリザと反目していたが、次第に仲が深まりつつある。なお、口にする血にはこだわりがあるようで、処女の血にしか興味がないようである。元来、非情で冷酷な性質をもつ吸血鬼でありながら、ツェペリ殺害の件をキニスキーに問い詰めようとしたり、学園の生徒を守るために神族に戦いを挑むなど、優しい一面も持つ。 「聖火王女」でキニスキーが完全に死を迎えたのちは吸血鬼社会からの追放も解かれているが、その後も自らの意思で姫達のもとに留まっている。 戦闘力はかなり高く、飛行能力を生かした諜報や探索をすることも多い。「決戦王女」にてギリアムがソード・ビーイングで切りつけた際、脚で防御し剣の動きを止めるなど、吸血鬼の回復能力の高さを生かした戦い方なども見せる。 南久阿(なくあ) 神族。日本各地に古くから土着し、その地域に住む人間たちから生け贄や供物を受ける代わりにその土地を鎮守する、いわゆる土地神、産土神。見た目は黒髪ロングヘアーの少女。山野に隠れて生息していたが、生息地を追われて笹鳴学園に落ち延びてきた。校舎内に自らの領域を作り上げ、配下の大蜘蛛を操って夜に校舎に立ち入る生徒を捕食し始めた。それが姫達に知られるところとなり、その行為について姫は黙認するものの、南久阿の行為を良しとしない、元々学園をテリトリーとする令裡とリザに征伐されることとなったが、かろうじて生き延びた。その報復に捨て身の戦法で姫一派を別荘ごと二千年前の世界に封じ込め、神罰と宣言する。しかしフランドルの機転によってその居所を曝かれ、姫に対して生命の危機を与えた罪から、姫のチェーンソーの前に斃れる。 この戦いの末に力の大半を失うも消滅まではせず、ひっそりと土地神の仕事を続けていた様子で、邪神族が街を襲う事件において姫と共闘し、その戦いの後に姫の館の敷地内に彼女を祀る祠が建てられた。それ以来、屋敷の中で気ままに姿を見せる。姫に敗北して以降は生贄を求めず、祠へのお供えを力の元としている。 「怪談王女」では、物知り博士からアトラック=ナクアと呼ばれており、その者達のライフワークである現実の世界と夢とも言われる邪神の世界を繋ぐ橋造りを行っていることが判明。姫達に「かなり完成を急いでいる」ことも話した。 同作者の漫画作品『南Q阿伝』では狂言回しとして登場している。ただし同一人物であるかどうかは不明。
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