作家論・業績とは? わかりやすく解説

作家論・業績

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 03:02 UTC 版)

杉浦康平」の記事における「作家論・業績」の解説

杉浦康平活動1950年代後半に始まる。当時は「商業デザイン」という名称が定着してたようにアドヴァタイジングデザイン表現主流だった。それに対して杉浦20代後半新世代は、文化活動主題にしたヴィジュアルデザイン鉱脈果敢に掘り起こしたのである。 その旗手としてリーダシップ遺憾なく発揮したのが杉浦であり、わが国旧弊デザイン風土新風送り込むことになる。膨大な数にのぼるブックデザインと“柔らかい地図”という新機軸打ち出した時間軸変形地図」をはじめとするダイアグラムインフォグラフィックス)がその双璧だ。後者の「地図」は、ダイアグラムをヴィジュアルコミュニケーション・デザインの一翼を担う存在としてわが国定着させるうえで重要な布石となった杉浦の際だったクリエイティビティバックグラウンドに、東京藝術大学建築学んだことと、少年時からの音楽への格別関心がある。総合芸術である建築学んだことは、〈内から〉の三次元的で理知的なデザイン思考はぐくむことに。また、あのパウル・クレー彷彿させずにはおかない秀でた音楽的感性は、若手登竜門であった日宣美展(日本宣伝美術会主催1955年)でグランプリ日宣美賞」を受賞したLP JACKET」をはじめ、「ストラヴィンスキー特別演奏会」、「第1回東京現代音楽1960」ほかの音楽関連ポスターおよびレコードジャケットなどに多く清新な世界結晶させる。 そして、1960年代後半の西ドイツ・ウルム造形大学での二度にわたる指導体験経て、自らの血脈宿るアジア美意識喚起され杉浦は、“表紙は顔である”とする独自のコンセプトもとづいて目次記事内容響き合う表紙デザイン雑誌試みる。『SD』『都市住宅』や『季刊銀花』が代表例である。 雑誌続いて1970年代より縦組による明朝体活字美しさ引き出ブックデザイン本格的に展開。くわえて書物三次元性を踏まえ外回りだけの意匠ではなく本文組を起点とするトータル理路きわめる造本設計究め同時代デザイナー指標となる方法論次々と切り開くとともに折から日本社会ブックデザインへの関心の高まり牽引する。『伝真言院両界曼荼羅』の壮麗な伽藍のような重層的構造はその白眉である。 グラフィックデザインとされるポスター制作点数少なくなるものの、それでも「第8回東京国版画ビエンナーレ」や「伝統現代技術——日本グラフィックデザイナー12人展」など、印刷システム精通した杉浦ならではといってよい、特異な製版技術駆使した意欲作を機会あるごとに発表していることは注目される上記した音楽的感性は、流動し転調繰り返しながらも互いに照応するかたちへの鋭い眼差しへと結びつく。“視知覚の則“を見極めようとする古今東西各種図像への傾倒なかんずく1970年代半ば以降本格化する、マンダラはじめとするアジア図像群がはらむイコノロジーへの、破格スケールをともなう精査探究がそれだ。もとよりウルム体験した価値観齟齬(そご)とアジア諸国取材旅行得た認識深まりあずかっており、アジア宇宙観知覚論、文字論、ノイズを含む音楽論…へとさらなる深化遂げてきた。そして近年は「多主語的なアジア」をキーワードとして、思考新しい道ひらいている。(また、「一即二、多即一」という東洋的語法で、自らの造形思考要約している。)欧米厳密な二進法世界観とは異なる、数えきれないほどの〈幽かなる存在〉が宇宙森羅万象満たしているという固有の根源への洞察である。 このような一連の探究成果は、松岡正剛との共著『ヴィジュアルコミュニケーション』や、自著日本のかたち・アジアカタチ』を嚆矢(こうし)とする〈万物照応劇場シリーズなどの幾多著作共著を含む)の、奔流のような刊行へと結実している。 また、これら著作とともに企画構成した展覧会公演カタログポスター関連書にはアジア固有の世界観が、「京劇」を始めとして、独特の形や色彩帯び類いないデザイン手法映し出されており、国内外多くクリエイター影響与え続けている。 1970年80年代には、アジア目を向けた写真家加藤敬、管洋志ほか)の作品集編集構成展覧会デザイン積極的に行っている。 1980年代から杉浦独自の活動国際的に注目されグローバルな広がり見せようになった。そして、講演展覧会企画構成とおしてアジア各地クリエイターとの密接な交流深めている。私たち文化の〈共通する根〉への熱いまなざしは、心あるアジア精鋭たちの共感呼び杉浦は彼らを結び合わす精神的支柱となっていることを銘記したい。(臼田捷治)

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作家論・業績

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 14:49 UTC 版)

横尾忠則」の記事における「作家論・業績」の解説

幅広い作風ジャンル超えて活動油絵オフセット印刷、テクナメーションや立体など技法多様である。また先行する作品引用模写の形で作品取り入れることも多い。絵を描くことを愛だと表現し理論状況分析によって制作する立場とらないまた、興味をもった対象膨大な量をコレクションする。それは作品のモチーフになり、時に引用される1980年代後半から滝を描き続けたときは膨大な滝のポストカード収集しコレクション自体作品化した。2000年からの「暗夜光路シリーズでは、故郷西脇市幼少時によく通った模型付近にあるY字路集中して描いた何度もインド訪れている。宇宙人霊的な存在について言及もあり作品評価の際にも関連指摘される本人霊感強く心霊会話することが出来と言うきっかけ1970年代宇宙人に、首のところへ送受信装置埋め込まれ、それにより霊界との交信可能になったという(『大霊界丹波哲郎世界』の対談より)。それらに関するいくつかの著書出している。 1978年出版されインド神秘家Osho講話録「究極の旅」邦訳で、次のような推薦文書いている。禅の思想坐禅通してのみ体感できるのであるが、それでも尚、体感できないのが禅である、Osho生まれながら人間悟った存在者であるということ体感させる方法と、そのプロセスを「十牛図」によって説き明かし、とてつもない世界導引してくれる、読者は今そのスタート台から一歩足を踏み出している自分発見しているはずだ、と述べている。 メディア型美術家評されるほど、各種メディアへの登場頻度が高い。自身公式サイトにて発表している、ひと言風の日記「YOKOO'S VISION横尾忠則 昨夜今日・明日)」は更新頻度高く訪問数も高い。 『週刊少年マガジン』表紙や、マイルス・デイビスアルバムアガルタ』、1974年 オノヨーコと虹のワンステップフェスティバルの大ポスターはほとんどの駅に張り出された、サンタナアルバムロータスの伝説』『アミーゴ』などのジャケット1979年貴ノ花1981年千代の富士化粧廻し宝塚歌劇団フェスポスター、マツダ・コスモスポーツの海外向けカタログなどもデザインしている。 また、多く異なジャンル作家交流持ち共同仕事をしている。岡本太郎谷内六郎高倉健三島由紀夫らを敬愛している。 2005年資生堂3月発売した発毛促進剤薬用アデノゲン」のテレビコマーシャル対し、「アイデアコンセプトが私の作品類似している。広告作り手主体性モラル問いたい」と抗議直後資生堂CM放映をやめた。類似していると指摘した横尾自身の作品とは、鏡面床の空間大量の滝のポストカードビニール差込み壁面3面展示するものであった。この件に関してアンディ・ウォーホル荒木経惟など、数多く芸術家実践してきた手法であり、インスタレーションの手法としては一般的である。 1990年の「GOKAN」というエキジビションで、テレビCMを手がけたタナカノリユキは、底を鏡面にした作品をすでに発表している。 横尾は滝のポストカードだったのに対してCM商品対象になる人物たちのモノクロ顔写真である。 などのことから、模倣という指摘疑問をもつ声も挙がっている。また、タナカノリユキ模倣否定している。

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