映画 映画の概要

映画

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/23 14:26 UTC 版)

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オーストラリアの映画館の内部。正面に大きなスクリーンがあり、多数の客席があり、(この写真には写っていないが)客席の後ろには「映写室」がある。上映時には、まず室内が暗くなり、映写室から強烈な光を放つ装置を用いてスクリーン上への投影が始まり、室内が暗いこともあり、観客は次第に作品の世界に没入してゆくことになる。
インド・ムンバイの映画館の外観。メトロ・シネマ

なお、本来の語義からははずれるものの、フィルムではなくビデオテープなどに磁気記録撮影されたものや映画館で上映される動画作品全般についても、慣例的に「映画」と呼ばれている。https://sirstevemedia.com/entertainment

映画館が普及して以降、一般的に映画というと専用施設(映画館等)の中でスクリーンに投影(投射)して公開する作品を指すことが多い。20世紀に大きな発展を遂げた表現手段であり、映画は今や芸術と呼ぶべき水準に達している。また、古来からの芸術である絵画彫刻音楽文学舞踊建築演劇に比肩する新たな芸術として「第八芸術」ないし、舞踊と演劇を区別せずに「第七芸術」とも呼ばれる[2]。また、映像やストーリー、音楽など様々な芸術の分野を織り交ぜてひとつの作品を創造することから「総合芸術」の一種としても扱われる。

さまざまな呼び方

「映画」や「活動写真」

映画

「映画」という語の本来の意味は「画を映すこと」あるいはそうして「映された画」ということである。そのため、近世末期においては写真と同義に用いられていた[3]。そこから転じて、「(スクリーンなどに)画像を映し出すこと」や「映し出される画像」、さらに長いフィルムに撮影された「動きのある画像」に対しても用いられるようになっていった。

なお、『日本国語大辞典第二版』における「映画」の項目には、以下のように記載されている。

  1. カメラなどで映し撮ること。また、その画像。
  2. 明治時代、幻灯で映写する画像やフィルムのこと。
  3. フィルムにより高速度(標準一秒間に二四こま)で撮影した画像を映写幕に連続投影し、見る者に連続した動きを見ているような感じを与える仕組み。活動写真。キネマ。シネマ。ムービー。
活動写真

「活動写真」は英語「motion pictureモーション・ピクチャー」の直訳語で、元来は幻灯機のことを指すが、後に意味が変じて、映画を指すようになった。

シネマ

「シネマ」は、フランス語の「cinémaシネマ」のカタカナ表記である。フランス語のcinémaは、「cinématographe(シネマトグラフ)」の短縮形であり[4]、1.シネマトグラフのフィルムを制作し、レアリゼ(=上映、上演)するアート(技術、芸術)[4]、2.スクリーン上にあたかも現実が動いているかのように(フィルムを使って)投影すること[4](=日本語で言う「映画の上映」)、3.上映を行う場所[4](=映画館)、4.フィルムの配給を行う産業[4](映画の配給会社)、を意味する。フランスでは同国の伝統をふまえて、フランスのリュミエール兄弟が開発したcinématographeシネマトグラフという概念やその技術(の延長上)というとらえかたで「cinemaシネマ」という言葉や概念が使われているわけである。語源はギリシア語の「κινηση[5](「動く」という意味)」。なお、フランス語でもfilmフィルムという用語もあり、シネマトグラフを実現するための、薄くて細長い物体も当然「film フィルム」と呼ぶが、個々の「映画作品」という意味でも「film フィルム」という。アメリカでは、アート作品を(フランス風に)「シネマ」と呼び、娯楽作品は(英語風に)「ムービー」と区別して呼ぶ傾向がある。

キネマ

戦前の日本では、映画は「キネマ」とも呼ばれた。当時から続く映画雑誌(『キネマ旬報』(キネマ旬報社)など)にこの名前が残っている他、懐古的な情緒が好まれる時にも用いられる。

映画の歴史

19世紀後半に写真技術が発展すると、やがてそれを利用して動く写真の開発が始まり、1893年にトーマス・エジソンが1人でのぞき込んで楽しむキネトスコープを発明するなど、1890年代にはいくつかの映画の原型が考案されていた[6]。そうした中、1895年にフランスのリュミエール兄弟がスクリーンに動く写真を投影して公開した。これが現代にまでつながる映画の起源とされている[7]

スクリーンに上映する映画は登場と同時に世界中で反響を呼び、開発の翌年には各国で上映されるようになった[8]。草創期の映画は単に事実を記録した映像に過ぎなかったが、それでも新奇さから各地の見世物で大当たりを取り、映画館が相次いで各地に設立された[9]20世紀に入るとストーリーを持つ映画の制作が始まり、盛んに映画作品が作られるようになった[10]

映画表現において大きな画期となったのは、1920年代の「トーキー」の登場、それに続いて行われたいわゆる「総天然色」映画の登場が数えられよう。これらはそれぞれ、それまでの映画の形式を最終的には駆逐するにいたった。例えば、今では「トーキー」以前の形式である「サイレント」が新たに発表されることはほぼない。また、今「モノクローム」で撮影された映画が発表されることは極めてまれである。

20世紀前半に行われたこれらの映画技術の進展とは異なり、20世紀後半の映画技術の発展は映画表現の多様性を増す方向に作用した。

戦後、普及した映画の撮影技法には、例えば「特殊撮影」「アニメーション」「コンピュータ・グラフィクス」が挙げられる。これらの新たな撮影技法は、それ以前の方法を駆逐することによって普及したのではなく、それが登場する以前の撮影技法と共存しつつ独自の分野を成す形でそれぞれの発展を遂げている。

1970年代からはVTRが普及したが、フィルムとビデオとの基本的な表示方式の違いから映画は35mmフィルムによる撮影が一般的であった。21世紀に入った頃から商業作品もデジタルビデオカメラで撮影され、フィルムを使わずコンピュータ上で編集される例が増加している。詳しくはデジタルシネマを参照。




  1. ^ 『岩波国語辞典第三版』岩波書店、1983年、『広辞苑第六版』岩波書店、2008年他。
  2. ^ 1911年『第七芸術宣言』(リッチョット・カニュード)
  3. ^ ダグロン原著、柳河楊江訳述、柳川春三訳『写真鏡図説』1867年
  4. ^ a b c d e Larousse
  5. ^ ギリシア語ラテン翻字: kinein
  6. ^ 「学問のしくみ事典」p246-247 VALIS DEUX著 吉村作治監修 1996年1月20日初版発行 日本実業出版社
  7. ^ 「新版 ハリウッド100年史講義 夢の工場から夢の王国へ」p22 北野圭介 平凡社新書 2017年7月15日初版第1刷
  8. ^ 「学問のしくみ事典」p246-247 VALIS DEUX著 吉村作治監修 1996年1月20日初版発行 日本実業出版社
  9. ^ 「新版 ハリウッド100年史講義 夢の工場から夢の王国へ」p28-32 北野圭介 平凡社新書 2017年7月15日初版第1刷
  10. ^ 「学問のしくみ事典」p246 VALIS DEUX著 吉村作治監修 1996年1月20日初版発行 日本実業出版社
  11. ^ これらはアメリカにおいて広く鑑賞されたが、日本にも数多く輸入され、特にホームドラマは日本の生活文化に無視できない影響を与えた。ただし、この種のものが今日の日本で新しく撮影・製作されることはまれである。
  12. ^ これらの作品は、劇場では公開されずに、直接ネットにより配信される。Netflixでは、ストーリーのある作品のうち、複数エピソードにわたるものを「テレビ番組・ドラマ」(英語ではTV Shows)と呼び、1エピソードだけのものを「映画」(英語ではMovies)と表記しているため、Netflixの"オリジナル映画"のほとんどは、日本では単発ドラマあるいは二時間ドラマのジャンルに属する、テレビ映画であるとも言える。これらの"オリジナル映画"が映画祭に出品されることが増えて論議を引き起こしている。カンヌ映画祭では、これらの"オリジナル映画"を審査対象から外すため、2018年度からはフランスの映画館で上映された作品のみを審査対象とすると決定し論争となったカンヌ映画祭のネットフリックス作品除外で論争続く” (2017年5月18日). 2017年11月11日閲覧。
  13. ^ デジタルシネマを支えるNTTの技術
  14. ^ 「世界地誌シリーズ5 インド」p75 友澤和夫編 2013年10月10日初版第1刷 朝倉書店
  15. ^ a b c 「今夏の売上は好調:映画業界は不況にもファイル交換にも強い?」WIRED VISION、2008年9月3日付配信
  16. ^ 西周成著『映画 崩壊か再生か』、アルトアーツ/星雲社、ISBN 978-4-434-15949-7、2011年、41-42頁。
  17. ^ a b UIS Statistics”. UNESCO Institute for Statistics. UNESCO. 2019年5月3日閲覧。
  18. ^ INDIAN FEATURE FILMS CERTIFIED DURING THE YEAR 2018”. Film Federation of India (2018年8月31日). 2019年5月3日閲覧。
  19. ^ a b c d Statistics Of Film Industry In Japan”. Eiren. Motion Picture Producers Association of Japan. 2019年2月11日閲覧。
  20. ^ Mexican Film Institute. (2017). Statistical yearbook of Mexican Cinema. Mexico City: Mexican Film Institute.
  21. ^ Percentage of GBO of all films feature exhibited that are national”. UNESCO Institute for Statistics. 2019年5月7日閲覧。
  22. ^ McNary, Dave (2019年1月3日). “2018 Worldwide Box Office Hits Record as Disney Dominates” (英語). Variety. https://variety.com/2019/film/news/box-office-record-disney-dominates-1203098075/ 2019年1月22日閲覧。 
  23. ^ a b c d e f g Leading film markets worldwide in 2018, by gross box office revenue (in billions U.S. dollars)”. Statista. 2019年3月24日閲覧。
  24. ^ “Another Record Year for China's Box Office, But Growth Slows”. Caixin Global. Caixin. (2019年1月2日). https://www.caixinglobal.com/2019-01-02/another-record-year-for-chinas-box-office-101365697.html 2019年5月6日閲覧。 
  25. ^ Value of the film industry in India”. Statista (2018年). 2019年5月6日閲覧。
  26. ^ a b c d e 2017 THEME Report”. MPAA. Motion Picture Association of America. 2019年5月7日閲覧。
  27. ^ “German Box Office 2017: Revenues Rebound to $1.2 Billion”. The Hollywood Reporter. (2018年1月4日). https://www.hollywoodreporter.com/news/german-box-office-2017-revenues-rebound-12-billion-1071532 
  28. ^ Culture: Feature films”. UNESCO Institute for Statistics. 2019年5月7日閲覧。
  29. ^ 1本の映画を制作するために関わっている主な職種とは?”. 東京映画・俳優&映像芸術専門学校. 2020年8月9日閲覧。
  30. ^ ハイビジョン特集 カラー映像記録 よみがえる昭和初期の日本 - NHK名作選(動画・静止画) NHKアーカイブス
  31. ^ 京都市メディア支援センターマキノ省三先生像
  32. ^ 『ブリタニカ国際大百科事典小項目事典』、「映画」
  33. ^ 『やっぱり世界は文学でできている』(光文社p.115f)。





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