シティ・マサチューセッツ
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「ウィザーズ・ブレイン」の記事における「シティ・マサチューセッツ」の解説
二重(デュアル)No.33 … 『双剣』 シティ・マサチューセッツにある「ファクトリー」のエージェントである《魔法士》の少年。エピソードIIIの主人公。外見年齢は14歳、実年齢は2歳(エピソードIII開始時点)で、肉体年齢と実年齢の差は12歳ほど。誕生日は2196年6月15日。愛称は「ディー」。 〔ウィザーズ・ブレイン・ファクトリー〕で偶然誕生した規格外の先天性《魔法士》の1人で、通常ではありえない2つのI-ブレインを持つ〈騎士〉。そのため〈悪魔使い〉の“並列”と同等の能力を持ち、これを活用するため、特製の二本一組の騎士剣『陰』と『陽』を使う。また、側頭骨に特殊な通信素子が埋め込んであり、同じ素子が埋め込んであるクレアとはI-ブレインの相互リンクが可能。これにより、レーダー役のクレアが見つけた“敵”とディーが戦う、という体制で任務活動していた。遺伝子的な繋がりはないものの、同じ「ファクトリー」で生まれたクレアやイルとは姉弟と言える関係。 外見は銀髪銀眼の西洋系の少年。後ろ髪を一房だけ伸ばしてうなじで結わえている(いわゆるローテール)。人形のように端正で男女が曖昧な風貌で、甲高いハスキーなアルト声も相まって、よく少女と間違えられる。また普段は「ファクトリー」のエージェントの白い制服を着用しており、後に「白騎士」とも呼ばれるようになる。 他人を傷つけることに対して酷く臆病であり、初登場時は敵や犯罪者でも傷つけることが出来ず、そのためエージェントとしては任務に失敗し続けており、処分も検討されていたが、クレアのフォローにより何とか生き長らえていた。任務失敗をフォローする“最後の任務”として、マサチューセッツの機密データを盗み出した犯人を単独で追うことになり、生まれて初めてスラム街を訪れセラとマリアの母娘や祐一と出会う。そしてマリアが“犯人”だと気づかないまま、セラに想いを寄せるようになり、セラのために強くなろうと決意するが、その決意は“犯人”を思わぬ形で傷つけ、セラから母を奪う結果となる。その後「貴重な《魔法士》サンプル」として捕らわれたセラを救うためにシティ・マサチューセッツから離反し、クレアとも決別(エピソードIII)。以降はセラを守るために強くあろうとし、しかしセラから母を奪った罪の意識を抱え、思い悩んでいた。 マリアの死の遠因となった〔賢人会議〕を追ってメルボルン跡地に行き、セラと祐一と共にモスクワ軍のメルボルン侵攻に巻き込まれる。その際、モスクワ軍の捕虜となり“兄”イルと初対面、彼や彼を慕う一般兵の話からイルが持つ“人間としての強さ”を垣間見る。直後に〔賢人会議〕と組んでディーの救出に来たセラと再会、セラを守るために意図せず初めて人を殺し罪の意識で思い悩むが、自身の「きっと自分よりもセラの方が大事なんだ」という気持ちを再確認し、セラを守る為ならば人を殺す事も厭わないと自らに誓う。また、戦いの最中に騎士剣『陰』を損傷したため、祐一のために作られた騎士剣『森羅』を利用して修復され、『森羅』は事実上ディーの騎士剣となった。その後、第一次メルボルン脱出作戦の際セラを守るべく『森羅』の能力を解放、脳への深刻なダメージとカール・アンダーソンの犠牲を代償に、モスクワ軍のA級《魔法士》数人を瞬殺し、さらにモスクワ自治軍陸士隊五百名前後を死傷させるという“甚大な”戦果を挙げた。そして遂に、どんな理由であれ自らが人を殺める行為を罪と認め、その罪を未来永劫背負う覚悟を決め、“本当の強さ”を手に入れた(エピソードV)。 以降はセラの居場所をつくるために〔賢人会議〕に参入、高い性能を持つI-ブレイン(〈騎士〉の能力である“自己領域”“身体能力制御”を同時発動できる特性)と彼自身の戦術、さらに騎士剣『森羅』の存在によって「〔賢人会議〕で最も危険な戦力」と見做されている。 上記の強さと『森羅』を手に入れ、「最強騎士」になる(3代目)。ただしディーの殲滅能力は〈騎士〉以外にこそ真価を発揮するため、祐一と戦った場合は、経験や純粋な〈騎士〉能力(I-ブレイン)の差で敗北する。 千里眼(クレアヴォイアンス)No.7 … 『千里眼』 ディーと同じく「ファクトリー」のエージェントである《魔法士》の少女。外見年齢は17歳、実年齢は4歳(エピソードIII開始時点)で、肉体年齢と実年齢の差は13歳ほど。誕生日は2194年7月2日。愛称は「クレア」。 〔ウィザーズ・ブレイン・ファクトリー〕で偶然誕生した規格外の先天性《魔法士》の一人で、《魔法》が使えない代わりに圧倒的な情報収集能力を持つI-ブレインを持ち、中でも通常の眼にあたる機能が優れている(360度全てを見渡せる他、やろうと思えば世界の全てを見渡せる広域的な視界を持つ)ため、そこから千里眼と呼ばれている。また、世界に3隻しかない雲上航行艦の一つ[FA-307]のマスターでもある。 身長は155㎝、褐色の髪と“ガラス玉のような”金色の目を持つ少女。しかし優れた“千里眼”を持ったことが原因で、特別な異常のなかった視力が成長過程で完全に退化してしまい、現在では現実世界そのものの光景を直接見ることができない。そのためノイズメイカーの影響下ではまともに歩くこともできず、ヘイズに所謂「お姫様抱っこ」で持ち運ばれている場面もある。人前では基本的に、目元を隠すアイマスクを着用している。登場以前は包帯を思わせるものだったが、初登場(エピソードIII開始)時に、呪術風の奇妙な模様を刺繍したものを新調した。サングラスをしているときもあるが、デザインが大人向けなのでセラやヘイズからは似合わないと言われている(本人は自分には大人向けのデザインのほうが似合うと思っている)。何か考え事をする際、額に人差し指をあてる癖がある。 「ファクトリー」で《マザーコア》の突然変異として生まれ人権のない道具であった彼女にとって、「ファクトリー」のエージェントとして生きることは苦痛であり、同じ「ファクトリー」で生まれた“弟”のディーを愛し、ディーの存在そのものが彼女にとって生き甲斐だった。気の弱い彼を常に案じ、何かと彼の世話を焼き、彼に頼られることを喜び、失敗続きのディーの弁護のためにマサチューセッツ上層部と頻繁に揉めていた。 ディーがセラと知り合ってからはディーへの執着を強め、嫉妬心からセラとマリアの身元を洗い、マリアの正体に気づく。ディーに課せられた任務の“犯人”を発見したことで、ディーの心を取り戻せると思っていたが、予想に反しディーがマサチューセッツから離反してまでセラを選んだため、なりふり構わずディーを取り戻そうとし、セラやディーと死闘を演じることになる。その際、ディーのI-ブレインと相互リンクをするための通信素子から、ディーとの接続許可を永久に放棄した。その後も〔賢人会議〕に加わったディーを庇い続け、ディーに会うためだけにシティ・ニューデリーでの任務に出動するが、そこでシティの現状やディーの成長などを知り、《魔法士》の人権が論じられるように衝撃を覚え、さまざまな葛藤を経てマサチューセッツから離反。その際に交流を持ったセラへ対して一定の理解を示すようになり、また不思議な縁からヘイズと行動を共にするようになる。ヘイズに好意を抱いているが、彼への態度はかなりのツンデレ。 作者は当初、視力どころか目そのものが退化しているという設定で考えていた。しかし目は必要という担当編集者と激論を重ね、最終的にはイラストレーターである純珪一の、目のあるクレアのイラストを見て考えを改めたというエピソードを作者がインタビューで語っている。 セレスティ・E・クライン … 『光使い』 マサチューセッツのスラム街に住んでいた金髪碧眼の少女。エピソードIIIのヒロイン。外見年齢、実年齢ともに10歳(エピソードIII開始時点)で、肉体年齢と実年齢の差はない。誕生日は2188年5月12日。セレスティは「空の向こう」を意味し、両親が話し合いの末に決めたもの。愛称は「セラ」。 世界で唯一確認された“自然発生した《魔法士》”で、確率的にはごく稀とされる《魔法士》能力遺伝の世界唯一の実例として、学術的にきわめて重要な存在とされる。しかし初めて能力を使った4歳のとき、その能力の発覚を危惧した母により、間に合わせのプロテクトで記憶と能力を封印された。そのため、自身が〈光使い〉であることはおろか《魔法士》であることも知らずに過ごしていた。 金髪碧眼の白人少女。普段は髪をポニーテールにまとめている。誰に対しても丁寧語で応じるが、表情に乏しく淡々とした事務的な口調であるため、かえって威圧的な印象を与える。しかし根は心優しく、母のために家事全般をこなしており、中でも料理が得意。長らく母から粗末に扱われたため、母からの愛情に飢えている。多くの場面で本音を飲み込み感情を押し殺しており、特に笑うのが苦手。母マリアを嫌っているが、本心では母を愛し、母との関係がうまく行っていない事を気に病んでいた。 “最後の任務”でスラムを訪れたディーと出会い、彼を気に入って協力する内にだんだんと惹かれていく。しかしディーが探している“犯人”が母だとは気づいていなかった。その後“犯人”が母だと判明したことで、逃亡生活を余儀なくされたものの、記憶を失った母の本心を知る機会となり、束の間の幸福を得る。また、逃亡生活と前後して〈光使い〉のプロテクトが解除され、母から《魔法》の使い方の手ほどきを受ける。しかしディーを取り戻そうとするクレアの思惑で、母マリアが死亡。その原因がディーにあることをクレアから知らされるが、ディーへの好意は変わらず、“いつか母の仇を取るため”にディーの傍に居続けることになる(エピソードIII)。しかしそのために、ディーを逃亡生活に巻き込み、“姉”のクレアを始めとする全てを捨てさせてしまったことなどを気に病んでいた。 その後、〔賢人会議〕の事件に巻き込まれた際に祐一からディーの覚悟を聞かされ、自身も「(人を殺す重責をディーに忘れさせないために)彼の罪を決して許さず、その為いかなる状況であっても絶対に人を殺さない」ことを誓う。そして他に安全な居場所がなく、母の死の遠因となったサクラの人間性を見極めるためもあって〔賢人会議〕に参入する(エピソードV)。〔賢人会議〕参入後は、真昼の指導もありマサチューセッツにいた頃とは見違えるほど人として、《魔法士》として成長。母のように〈騎士〉と直接対決できるほどの力は未だないにせよ、完璧な精度で対象を傷つけずに無力化したり、クレアの操る[FA-307]との戦闘で見事勝利するほどの力を身に付けている。しかし彼女の“不殺の誓い”は彼女自身と祐一しか知らず、シンガポールの騒動後〔賢人会議〕に加わった元軍人の《魔法士》たちからは不審の目を向けられている。 メインキャラクターの中では見た目がエドと同齢くらいなので、それ相応に扱われることが多いが、彼女は自然発生の《魔法士》であるため実は年長組(戦後に生まれた先天性《魔法士》の中では最年長)である。 マリア・E・クライン セラの母。29歳(エピソードIII開始時点)。エピソードIIIのキーパーソン。誕生日は(推定2168年)8月21日。「マリア・E・クライン」は偽名で、本名は「レノア・ヴァレル」。 第三次世界大戦で名を馳せた後天性《魔法士》の一人で〈光使い〉。大戦当時の祐一が「命を賭けなければ勝てない相手」と評する優れた〈光使い〉だったが、大戦中のI‐ブレインの酷使によりフリーズアウト現象が起きており、余命は少なく、頻繁に頭痛や吐き気に襲われるようになっている。そのため〈光使い〉として活動するにはかなり無理をする必要があるが、その優れた能力は健在。 短く切り揃えた金髪に菫色の瞳の白人女性。娘のセラを何より大事に思っているが、自身が死んだ後、残される娘に悲しい想いをさせたくないとの考えから、“娘を放置して遊び歩く母親失格の女”を演じ、セラを突き放すような態度をとり続けていた。そうと知らないセラは「自分は母に嫌われている」と思い込んでいた。しかし真実は、ただ生きるだけでも厳しい時代に娘を産み、そのことで最愛の娘に恨まれるのではないかという恐れを抱き、問い詰められないよう娘を避けていた。 シティ・ロサンゼルス出身で、I-ブレイン埋め込み手術が成功し〈光使い〉となった三名の一人。雪の親友、祐一の旧友。大戦中に自らが兵器として人を殺すことに疑問を抱き、退役を希望するも叶わず、止むを得ず軍から脱走する。当時《魔法士》の脱走は軍事機密の漏洩に等しく、機密を守るべく存在記録のほとんどを抹消された。その後、名を変え身を潜めていた町で知り合った男性と結婚、マリア・E・クラインとなり、娘のセラを出産する。スイスで暮らしていたが、夫の死後、セラを連れて転々とした末、シティ・マサチューセッツの第一階層に拠点を構えた。死期が迫っていることに気づいており、娘のために少しでも多くの遺産を残そうと、〔賢人会議〕からの依頼でマサチューセッツの機密データを盗み、ディーと対決する。同じ頃、娘を託すため祐一に手紙を送り彼をシティ・マサチューセッツへ招いた。任務で自分を追うディーが娘と知り合い、互いに好意を持ち合っていると気づくものの、それすら利用して更なる機密データの奪取に成功。しかし“犯人”の正体に気づいていなかったディーの攻撃で、D3のひとつを情報解体された際に影響を受けて脳を損傷し、部分的な記憶喪失になる(自分に娘がいるのは分かっていても、目の前にいるセラがその娘だと思い出せない、など)。そのせいで目の前のセラが娘だと認識できないまま、娘へ対する本心をセラに明かし、セラと“母娘ごっこ”を演じて束の間の幸福を得た。先の対決で“犯人”の正体を知ったディーの助けで逃亡、1ヶ月ほど潜伏するものの、ディーを追うクレアによって潜伏先は既に特定されており、最後はマサチューサッツ軍の銃撃からセラを守って死亡する(エピソードIII)。
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