新聞 制作過程

新聞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/17 17:09 UTC 版)

制作過程

輪転印刷機による印刷の様子

新聞の制作過程は、おおむね下記のようになっている。

  1. 企画・構想
  2. 取材・撮影
  3. 記事執筆
  4. 原稿チェック
  5. 校閲 - レイアウト後の場合がある
  6. レイアウト - 見出し制作・価値判断も行われる
  7. 編集・割付・組版
  8. 校正
  9. フィルム・刷版制作
  10. 印刷
  11. 梱包・発送

新聞の製作は、まず記者が取材を行い記事を書くところから始まる。その日に起こった事件を速報しニュースとする場合は直接取材・撮影を行うが、特集記事や調査報道などの場合はまず企画を立て、それに基づいて調査や取材を行う。政府や企業からはプレスリリース記者会見が行われ新聞に情報が提供されるが、この他に独自の取材も行われる。新聞社の編集局内には政治部社会部、文化部、経済部など様々な部署が存在し、それぞれ決められた分野の取材を行い記事を作成する[44]。こうした記者作成の自社記事の他に、自社の取材の及ばない部分を中心に通信社から配信される記事を利用することも行われる[45]

出来上がった原稿はチェックと推敲を受けたのちに編集会議にかけられ、整理部によって紙面の編集やレイアウトがなされる。その後さらに校閲が行われ、校了するとデータが印刷工場に送られる[46]。印刷された新聞は工場から発送されて新聞販売店やスタンドへと送られる。日本の場合、販売店から新聞配達が行われ、各家庭へと新聞が届けられることがほとんどである[47]

新聞印刷

スピードが要求される新聞印刷では一般印刷業界に先駆けて新技術が導入されたが、多色印刷には制約となり一般印刷業界よりも導入が遅れた[32]

1868年に『タイムズ』紙が巻取紙方式の輪転印刷機を採用して以来、新聞の印刷は大量・高速印刷が可能な輪転印刷機によって行われている[32]。20世紀前半の新聞印刷では、活字組版から紙型を作り、鉛を鋳込んで鉛版を作り、凸版輪転機にかける方法が唯一の紙面制作方式だった[32]

新聞の製作・印刷過程は、20世紀後半以降技術革新によって大幅に機械化・効率化が進んだ[48]。1980年代初頭に感光性樹脂板が開発され、1980年代後半にはCTSが導入された[32]。日本では1970年代以降、コスト削減を目的として全国紙の新聞印刷工場の地方分散が進められた[49]。2000年代に入ると高コストの印刷工場の別会社化が急速に進められ、2006年には全国紙の印刷はすべて別会社となった。また同時に、全国紙の地方紙への委託印刷も盛んに行われるようになった[50]

世界の現況

新聞は世界中で発行されているものの、普及率は地域的に大きく差があり、アメリカやヨーロッパ諸国、日本といった先進諸国では普及率が高く、発展途上国ではあまり普及が進んでいなかった[51]。しかし、2000年ごろから経済成長の続くアジア、なかでもインド中国で新聞販売数が増加し、2007年には新聞の発行部数の1位が中国、2位がインドとなった[52]。なかでもインドは経済成長によって新聞の販売数は増加傾向にあり、インターネットによって押されている他国の新聞業界とは対照をなしている[53]。インドの新聞業界の特徴としては公用語である英語の他に、各地方の言語での新聞出版が非常に盛んであることで、なかでも北部インドの主要言語であるヒンディー語での新聞発行は比率・部数とも増加している。ただし英語新聞も割合こそ減少しているものの部数自体は増加している[54]

アメリカやヨーロッパでは新聞の収入の8割が広告からのものとなっており[55]、販売収入が主力となっている日本とは異なる収益構造を持っている。インターネットの普及を受けてアメリカやヨーロッパでは発行部数の漸減が続いており、なかでも減少傾向の激しいアメリカにおいては2009年に『ニューヨーク・タイムズ』が巨額の赤字を出し、本社社屋の売却などのリストラを進めている[56]ほか、2009年にはボストンの『クリスチャン・サイエンス・モニター』紙が日刊紙の発行を取りやめオンライン専業へと移行する[57]など、新聞社の規模縮小や廃業が相次ぐようになっている。ヨーロッパにおいては無料紙が急伸し、2007年には欧州の日刊紙の総発行部数の23%を占めるまでになった[58]


  1. ^ 「メディアとジャーナリズムの理論 基礎理論から実践的なジャーナリズム論へ」p14 仲川秀樹・塚越孝著 同友館 2011年8月22日
  2. ^ 「新版 マス・コミュニケーション概論」p201 清水英夫・林伸郎・武市英雄・山田健太著 学陽書房 2009年5月15日新版初版発行
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  5. ^ 「新版 マス・コミュニケーション概論」p201 清水英夫・林伸郎・武市英雄・山田健太著 学陽書房 2009年5月15日新版初版発行
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  11. ^ 「新版 マス・コミュニケーション概論」p54 清水英夫・林伸郎・武市英雄・山田健太著 学陽書房 2009年5月15日新版初版発行
  12. ^ 「メディア学の現在 新版」p250-251 山口功二・渡辺武達・岡満男編 世界思想社 2001年4月20日第1刷
  13. ^ 「メディア学の現在 新版」p224-225 山口功二・渡辺武達・岡満男編 世界思想社 2001年4月20日第1刷
  14. ^ 「新版 マス・コミュニケーション概論」p218 清水英夫・林伸郎・武市英雄・山田健太著 学陽書房 2009年5月15日新版初版発行
  15. ^ 「新版 マス・コミュニケーション概論」p216-217 清水英夫・林伸郎・武市英雄・山田健太著 学陽書房 2009年5月15日新版初版発行
  16. ^ 社会学小辞典p.169
  17. ^ 社会学小辞典p.406
  18. ^ 「新版 マス・コミュニケーション概論」p219 清水英夫・林伸郎・武市英雄・山田健太著 学陽書房 2009年5月15日新版初版発行
  19. ^ 「新版 マス・コミュニケーション概論」p220 清水英夫・林伸郎・武市英雄・山田健太著 学陽書房 2009年5月15日新版初版発行
  20. ^ 社会学小辞典p.406
  21. ^ 社会学小辞典p.169
  22. ^ 「メディア社会」p97 佐藤卓己 岩波書店 2006年6月20日第1刷
  23. ^ 「メディア社会」p97 佐藤卓己 岩波書店 2006年6月20日第1刷
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  25. ^ 北岡敬『そこが知りたい【事始め】の物語』雄鶏社
  26. ^ a b 樺山紘一『図説 本の歴史』
  27. ^ 朝日新聞2010年9月17日国際面より
  28. ^ 1921年まで存在した。同名の『ライプツィガー・ツァイトゥイングドイツ語版』(1946年 - 1948年)は、ソ連占領下で作られた別の出版物である
  29. ^ 「歴史の中の新聞 世界と日本」門奈直樹 p14(「新聞学」所収)日本評論社 2009年5月20日新訂第4版第1刷
  30. ^ 「ジャーナリズムの社会的意義と新しいメディア」鈴木謙介 p131(「新聞学」所収)日本評論社 2009年5月20日新訂第4版第1刷
  31. ^ 「ニュー・ジャーナリズム」マイケル・シュッドソン(「歴史の中のコミュニケーション メディア革命の社会文化史」所収)p174 デイヴィッド・クロウリー、ポール・ヘイヤー編 林進・大久保公雄訳 新曜社 1995年4月20日初版第1刷
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  33. ^ 吉見俊哉『メディア文化論』ISBN 978-4641121904
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  35. ^ 「ニュー・ジャーナリズム」マイケル・シュッドソン(「歴史の中のコミュニケーション メディア革命の社会文化史」所収)p177-183 デイヴィッド・クロウリー、ポール・ヘイヤー編 林進・大久保公雄訳 新曜社 1995年4月20日初版第1刷
  36. ^ 「ニュー・ジャーナリズム」マイケル・シュッドソン(「歴史の中のコミュニケーション メディア革命の社会文化史」所収)p187 デイヴィッド・クロウリー、ポール・ヘイヤー編 林進・大久保公雄訳 新曜社 1995年4月20日初版第1刷
  37. ^ 「ニュー・ジャーナリズム」マイケル・シュッドソン(「歴史の中のコミュニケーション メディア革命の社会文化史」所収)p177-187 デイヴィッド・クロウリー、ポール・ヘイヤー編 林進・大久保公雄訳 新曜社 1995年4月20日初版第1刷
  38. ^ 「図説 本の歴史」p97 樺山紘一編 河出書房新社 2011年7月30日初版発行
  39. ^ 「新聞とジャーナリズム」桂敬一 p118(「新聞学」所収)日本評論社 2009年5月20日新訂第4版第1刷
  40. ^ 「新聞とジャーナリズム」桂敬一 p118(「新聞学」所収)日本評論社 2009年5月20日新訂第4版第1刷
  41. ^ 「歴史の中の新聞 世界と日本」門奈直樹 p13(「新聞学」所収)日本評論社 2009年5月20日新訂第4版第1刷
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  43. ^ [1]
  44. ^ 『新訂 新聞学』 p178 桂敬一・田島泰彦・浜田純一編著 日本評論社 2009年5月20日新訂第1刷
  45. ^ 『新訂 新聞学』 p179 桂敬一・田島泰彦・浜田純一編著 日本評論社 2009年5月20日新訂第1刷
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  58. ^ 「メディア激震 グローバル化とIT革命の中で」p44 古賀純一郎 NTT出版 2009年7月2日初版第1刷
  59. ^ 「新版 マス・コミュニケーション概論」p111-112 清水英夫・林伸郎・武市英雄・山田健太著 学陽書房 2009年5月15日新版初版発行
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