ワシントンD.C. インディアン部族

ワシントンD.C.

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インディアン部族

この地に先住したインディアン部族はコノイ族、デラウェア族、ナンチコーク族、ポウハタン族ショーニー族、サスケハンナ族など。そのことごとくがアメリカ政府に虐殺され、19世紀には他州へと強制移住させられた。この地に残ったインディアン部族はすべて「絶滅部族」とみなされ、保留地 (Reservation) を没収されていて、部族単位では存在しないことになっている。

1944年にワシントンD.C.に結成された「アメリカインディアン国民会議 (National Congress of American Indians)」は、インディアン寄宿学校で白人同化教育を受けた、全米のインディアンたちによる初の本格的なロビー運動組織である。彼らは「大声でほえまくる赤い番犬」と呼ばれたが、活動自体は保守的で、AIM などとは違い、若い世代からは「白人寄り」と批判された。

2004年には、この地に全米のインディアン部族の文化展示を目的とした「国立アメリカ・インディアン博物館」が開設された。

≪アメリカ連邦政府に公認要求中のインディアン部族≫

※「亀の島」はインディアンが北米大陸を指す呼び名

インディアン・カジノ

現在のところ、ワシントンD.C.でインディアン部族が運営する「インディアン・カジノ」は一軒もない。同地ではインディアン部族は存在しないことになっており、今後も開設される望みは薄い。

治安

ワシントンD.C.における殺人発生件数の推移(1986-2005年)

1990年代初頭に凶悪犯罪の波が訪れた時、ワシントンD.C.はアメリカの「殺人首都」 (murder capital) として知られ、殺人事件の発生数において、ルイジアナ州ニューオーリンズとしばしば肩を並べていた[83]。謀殺(計画的殺人)の発生件数は1991年に482件だったが、1990年代を通じて犯罪の激しさは大幅に緩和した。2006年までに、市内における謀殺の件数は169件にまで減少した[84]。窃盗や強盗など各種の財産犯も、同様の割合で減少した[85]。 また、2012年は殺人件数が88件と減少し1961年以来最低の値であった[86][87][88]。 そして、2019年は2012年の約1.9倍の166件であった[89]。人口比で見ると2019年は、23.5件(全米平均:5.0件)と全米平均より高く、州別で見るとワースト1である[89]

また、殺人事件被害者の8割前後が黒人男性であり、凶器も約8割が銃器を使用している。[90]

ワシントンD.C.における殺人事件発生地点の分布(2004-2008年)。NE(北東)とSE(南東)に圧倒的に多いことが分かる。

多くの大都市と同様、犯罪の発生率が高いのは違法薬物やギャングと関係のある地域である。より富裕な地域のワシントンD.C.北西地区(高級住宅街のジョージタウンなど)では犯罪発生率は低いが、東に行くに従って増加する。コロンビア・ハイツやローガン・サークルのように、一時は凶悪犯罪がはびこったものの、ジェントリフィケーション(高級住宅化)の影響を受けて安全と活気を取り戻しつつある地域も多い。その結果、ワシントンD.C.における犯罪は、さらに東方、メリーランド州プリンスジョージ郡との境界を越えるところまで追い払われつつある[91]

特に危険なのは市南東部のアナコスティア地区 (Anacostia) である。ワシントンD.C.で起こる殺人の約3分の1はこのアナコスティア地区内で発生している[92]1950年代までは白人の中流階級の住宅地だったが、州間高速道路の発達により人口が郊外へ流出、住民層が大きく変わり、治安が著しく悪化した。現在、この地区の黒人人口率は92%に達する。また、市の北東部も治安の悪い地域である(右図参照)。市境を越え、メリーランド州側にも治安の良くないエリアが広がっている。

2008年6月26日、連邦最高裁判所は、ワシントンD.C.対ヘラー事件において、ワシントンD.C.が1976年に行った拳銃の所持禁止は、アメリカ合衆国憲法修正第2条で定められた銃所持の権利を侵すものだと判示した[93]。もっとも、この判決は、どのような形での銃規制も一律に禁止するものではない。銃器の登録制を定める法律は依然有効で、ワシントンD.C.による殺傷能力の高い攻撃用武器の禁止も有効である[94]

治安機関として自治体警察ワシントンD.C.首都警察が置かれている。

経済

ジョージ・ワシントン大学のプロフェッサーズ・ゲート。同大学はワシントンD.C.の民間で最大の雇用を有する。

ワシントンD.C.では、経済が多角的に成長しつつあり、専門的職業やホワイトカラーのサービス業の割合が増加している[95]。ワシントンD.C.の2007年における州民総生産は938億ドルで、これは50州と比較すると35位に位置付けられる[96]。2008年3月の時点で、連邦政府がワシントンD.C.における雇用の27%を占めている[97]。このために、ワシントンD.C.は全国的な経済の停滞の影響を受けていないと考えられている。連邦政府の活動は景気後退期においても継続するからである[98]。もっとも、2007年1月時点で、ワシントン地域の連邦職員は、全米の連邦職員数の14%を占めるに過ぎない[99]。法律事務所、独立契約就業者(インディペンデント・コントラクター。軍事関係と非軍事の双方がある)、非営利団体、ロビー団体、全国労働組合、職業団体といった多くの組織が、連邦政府に近接した場所を求めて、ワシントンD.C.内またはその近郊に本部を置いている[65]。2008年5月現在、ワシントン首都圏の失業率は3.5%で、国内40の大都市圏の中で最も低い。これは、同時期の全国平均失業率の5.2%と比べても低い[100]

ワシントンD.C.では政府関連の産業、特に教育、金融、科学研究の分野が成長している。非政府関連としては、ジョージ・ワシントン大学ジョージタウン大学、ワシントン病院センター、ハワード大学連邦住宅抵当公庫が市内における雇用主体の上位5位である[101]。ワシントンに本拠を置くフォーチュン1000企業(フォーチュン誌が選ぶ上位1000企業)は5社あり、そのうち2社はフォーチュン500にも入っている[102]。ワシントンD.C.は、国際不動産投資においてはロンドンニューヨークパリに次ぐ先進的地位を得ている[103]。2006年、「エクスパンション・マガジン」誌は、D.C.を国内で最もビジネスの拡大に適した10の地域の一つに挙げた[104]。ワシントンは、商業オフィスの面積に関しては、ニューヨーク、シカゴに次いでアメリカで第3に大きい商業地域を有している[105]

ワシントンD.C.では、ジェントリフィケーション(高級住宅化)の努力が実りつつあり、特にローガン・サークル、ショー、コロンビアハイツ、Uストリート地帯、14番ストリート地帯の近隣で著しい[106]。いくつかの地域では、1990年代末の地下鉄(メトロ)グリーンラインの敷設により開発が進んだ。地下鉄網によって、これらの地域は商業地域と結ばれた[107]。2008年3月にコロンビアハイツにできた新しいショッピングモールは、ワシントンD.C.で40年ぶりの新しい大規模ショッピングセンターとなった[108]。多くの都市と同様、ジェントリフィケーションはワシントンD.C.の経済を活性化させているが、その利益が均等に配分されているとはいえず、貧困層にとっては直接の救いになっていない[106]。例えば、ワシントンD.C.の失業率は市の中で大きく異なっている。2008年5月において、北西地区北部の裕福な第3地区では失業率が1.7%だったのに対し、南東地区の貧しい第8地区では17.2%であった[109]。2005年において、アメリカの50州と比較すると、ワシントンD.C.は1人当たり収入が高いものの、貧困率もまた高く、全住民における経済的格差を際立たせている[41]


注釈

  1. ^ 同様な計画都市としては旧満州国新京(現在の中華人民共和国吉林省長春市)、オーストラリアキャンベラブラジルブラジリア(共に首都)がある。
  2. ^ 通常、都市圏や広域都市圏の名称では人口の多い都市の名が先にするが、ワシントン・ボルチモア・北バージニア広域都市圏は例外的に首都であるワシントンD.C.の名称を先にしている。
  3. ^ 1790年までに、南部州アメリカ独立戦争の外債をほとんど返済していた。これに対し、北部州は返済が進んでおらず、新しい連邦政府に未払いの負債を引き継いでもらいたいと考えていた。これは、南部州が北部州の負債を肩代わりすることを事実上意味していたので、その見返りとして、南部州は連邦の首都を自分たちの農業地域・奴隷使用地域の利権の近くに置くようロビー活動を行ったのである。前掲Centennial History of the City of Washington, D. C.124頁参照。
  4. ^ 1871年にこの地区がコロンビア特別区 (the District of Columbia) と正式に命名されるまでは、現在では「〜領」を意味する "territory" と「〜区」を意味する "district" の2語が互換的に用いられていた。参照:Get to know D.C.” (英語). The Historical Society of Washington, D.C. (2004年). 2008年3月15日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2008年5月27日閲覧。
  5. ^ ワシントン大統領は、ランファンが市の設計を余りに細部まで管理することを主張したため、最終的に彼を解任した。ランファンとともに市の測量に携わっていたアンドリュー・エリコットがその後の任務を引き継ぎ、記憶を基に計画を完成させた。エリコットは、いくつかの点で表面的な変更を加えたものの、ランファンはなお都市計画全体の功労者として認められている。参照:The L'Enfant and McMillian Plans” (英語). 国立公園局. 2019年11月11日閲覧。
  6. ^ オルタナティブ紙 (Alternative newspaper) とは、一般的なニュースを網羅的に取り上げるのではなく、オピニオン的な論評やコラム、最先端の話題のリサーチ、地元の人や文化についての雑誌的な特集などを内容とする若者向けのローカル新聞である。英語版ウィキペディア参照。
  7. ^ アメリカ合衆国大統領選挙では、初参加となった1964年から直近の2016年の選挙に至るまで、全ての選挙で民主党候補が7〜9割台の得票率で圧勝している。特に、1972年1984年の選挙では、民主党候補(ジョージ・マクガヴァンウォルター・モンデール)は50州中1州(マクガヴァンはマサチューセッツ州、モンデールはミネソタ州)でしか選挙人を獲得出来ず、共和党候補(リチャード・ニクソンロナルド・レーガン)に惨敗したが、それらの選挙においてもD.C.は民主党候補が8割前後の得票率(マクガヴァンは78.1%、モンデールは85.4%)で圧勝している。

出典

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