トップをねらえ! トップをねらえ!の概要

トップをねらえ!

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/22 00:55 UTC 版)

トップをねらえ!
ジャンル ロボットアニメSFアニメ
OVA:トップをねらえ!
原作 山賀博之
監督 庵野秀明
脚本 岡田斗司夫、庵野秀明
キャラクターデザイン 窪岡俊之美樹本晴彦(キャラクター原案)
メカニックデザイン 宮武一貴
音楽 田中公平
アニメーション制作 GAINAX
製作 バンダイビクター音楽産業
発表期間 1988年10月7日 - 1989年7月7日
話数 全6話
映画:トップをねらえ!
監督 庵野秀明
制作 GAINAX
封切日 1989年6月10日
上映時間 170分
その他 テアトル池袋単館での全6話特別ロードショー
映画:トップをねらえ!&トップをねらえ2! 合体劇場版
配給 バンダイビジュアル
封切日 2006年10月1日
上映時間 トップをねらえ! 劇場版:95分
トップをねらえ2! 劇場版:95分
その他 全6話の再編集版
映画:トップをねらえ! OVA前編 / OVA後編
配給 バンダイナムコアーツ
封切日 2020年11月27日
上映時間 前編(1話~4話):104分
後編(5~6話):56分
その他 2ch オリジナル音声
テンプレート - ノート
プロジェクト アニメ
ポータル アニメ

概要

庵野秀明初監督作品。本作品は『王立宇宙軍 オネアミスの翼』だけを制作して解散するはずのガイナックスが興行不振により生まれた借金を返済するために作られたものである。地味な作風でアニメファンへ受けが悪かった同作の反省を踏まえ、本作ではキャラクター原案に当時『超時空要塞マクロス』などの美少女キャラクターで人気のあった美樹本晴彦を起用、そのタイトルに見られるようにアニメ『エースをねらえ!』や映画『トップガン』を始めとする往年の作品のパロディ的な構成とし、昭和時代のアニメ特撮作品に対するオマージュを盛り込むなど、一転して明るくとっつきやすい作風となった。

本作はパロディを中心に始まりつつも、次第にシリアスな内容になっていく物語構造を持ち[1]ジョー・ホールドマンのSF小説『終りなき戦い』から着想を得て、「ウラシマ効果」を積極的にストーリーに取り入れるなど、根底には重厚なSF描写や細かい科学設定がある。最終回の第6話はほぼ白黒で、作品題名とラストシーンにごくわずかな着色があるのみ(リマスター版収録のノートリミング版に至ってはその部分も白黒になっている)。ラストは企画段階ですでに構想されており、庵野と岡田は「これならいける」という確信があったという。

企画立案の際、岡田のコンセプトは「作り手がやりたいSF・女の子・メカをそのまま出すのではなく、1万本売れる様に、1万円払った人が満足できるビデオを作る」を提示し、そこに庵野は「もし岡本喜八がアニメーションを監督したらどうなるか?」というテーマを持ち込んだ。そこから「しゃべる人間の顔を必ず映す」「キャラクターがあまり動かずに、切り返しを多くする」「ロケとセットもきっちり分けて、セットは今あるものの中に小道具スタッフが作ったものがポンとあるだけ」という表現を多用した。それはセル画の枚数をかけずに面白く見せるために開発した手法でもあった[2]

家庭用ビデオデッキの普及を背景に「バブル育ち」と形容されるようなOVA作品が数多く作られた1980年代にあって[1]、映像やドラマ性を重視した本作は「OVAの金字塔」とも形容された[1]。ビデオ1巻につき2話収録。1巻あたりの制作費は2500万円。1巻あたり3万本を販売[3]VHSベータマックスLDVHDビデオCDの5方式にて各全3巻リリースされている。

発売当時の宣伝などでは主人公タカヤ・ノリコとその声優である日髙のり子、オープニングテーマ『アクティブ・ハート』・エンディングテーマ『トライAgain…!』を歌っているアイドル歌手酒井法子トリプルノリコを売りにしていた。岡田によれば、当初は酒井にノリコ役を依頼しようと検討されていたという。

なお、登場人物の名前はスタッフやガイナックス関係者に近しい人々の名前から取られているものが多く、主人公のタカヤ・ノリコは当作品の美術スタッフ・高屋法子から。オオタ・コウイチロウは岡田斗司夫の友人である漫画家・みんだ☆なお(眠田直)の本名[注 2] からなどである。

まず岡田斗司夫が企画を立ち上げてプロットを書き、それを元に山賀博之が脚本を書き上げた。岡田斗司夫名義にした理由について山賀は「小さい下請け仕事を、山賀の次回作という形で世間に出すわけにはいかない」「脚本をまとめた僕としては、“脚本:岡田斗司夫”というクレジットは匿名脚本家としての共同ペンネームのつもりでした」[4] と語っており、共同ペンネームとして当時ガイナックスの代表だった岡田斗司夫の名前が使われた。4話以降は半分以上が庵野によって書き直された[2]

ストーリー

人類が宇宙に進出するようになった21世紀初頭、人類は「宇宙怪獣」と通称される正体不明の宇宙生物群 (STMC) の脅威にさらされていた。その脅威に打ち勝つため、地球はマシーン兵器の最強型決戦兵器であるバスターマシン「ガンバスター」の建造を進めていた。

宇宙怪獣との遭遇で消息不明となった「るくしおん」艦隊艦長タカヤ・ユウゾウの娘タカヤ・ノリコは、沖縄に所在する宇宙パイロット養成学校、沖縄女子宇宙高等学校に通い、父を探しにゆくことを夢見て宇宙パイロットを目指していた。しかし、ノリコはずば抜けた体力だけが唯一の取り柄でマシーン兵器の操縦はからっきしな劣等生だった。彼女の特別な才能を見出したコーチことオオタ・コウイチロウによる厳しい特訓や、同級生による嫉妬やいじめ、憧れの「お姉様」であるアマノ・カズミとの交流といった経験を経て、自信の持てない落ちこぼれであったノリコは努力や根性によってその才能を開花させていく。そして学校の卒業を待たずしてパイロット候補生となり、戦場である宇宙へと旅立つことになる。

ライバルとなるユング・フロイトとの出会いや、ウラシマ効果で遭難直後の姿のまま漂流していた父の乗艦との遭遇といった出来事を挟みつつも、物語は宇宙怪獣との戦いへと移っていく。ノリコの未熟さを懸念したカズミからコンビ解消を言い渡されたショックを引きずっていたノリコは、ひょんなことから親しくなった男性パイロット、スミス・トーレンと心を通わせ新たにパートナー同士となるが、スミスは「リーフ64会戦」の戦闘で帰らぬ人となる。初めての戦闘で何もできないままスミスを失った失意とトラウマで戦えなくなったノリコをよそに、宇宙怪獣に太陽系への侵入を許したことにより始まった「火星沖会戦」の戦況は絶望的なものとなっていく。共に戦うカズミやユングも追い詰められていくが、辛うじて迷いを振り切ったノリコは、未完成の状態にあった人類側の切り札、ガンバスターに搭乗して出撃、死闘の不利な戦況を覆し宇宙怪獣に一矢報いることに成功する。

ノリコとカズミは人類の未来を担うガンバスターの正式なパイロットとして「太陽系絶対防衛戦」など二人一組での戦いを続けていく。ウラシマ効果でずれていく地球との時間差を織り込みつつ、宇宙で戦うカズミと宇宙放射線病に冒されたコーチとの恋愛模様や苦悩も描かれる。やがて宇宙怪獣の殲滅を決意した人類は、宇宙怪獣の本拠地である銀河系の中心いて座A*をブラックホール爆弾「バスターマシン3号」を用いて丸ごと消滅させる「カルネアデス計画」を実行する。太陽系絶対防衛戦後にコーチと結ばれ、沖女のコーチとなっていたカズミも15年のブランクを経て最終決戦に志願し、バスターマシン3号と共に遅れて出立。カズミは先行していたエルトリウム内でノリコと久方ぶりの再会を果たし、共に最後の任務に臨む。

地球人類の存亡を賭けた最終決戦において、人類側は大破・轟沈1,700隻、中破4,500隻、未帰還機28,800機の多大な犠牲を払いつつバスターマシン3号の爆縮開始までの時間を稼ぐが、宇宙怪獣の攻撃により傷ついたバスターマシン3号は出力不足に陥り、爆縮は失敗してしまう。ノリコはバスターマシン1号の縮退炉を誘爆させてバスターマシン3号の爆縮を再起動する事を提案し、タシロ艦長の了承を得ぬまま単身バスターマシン3号に突撃する。バスターマシン2号に搭乗するカズミはバスターマシン1号との強制合体を行い、ノリコと共にガンバスターにてバスターマシン3号内に侵入する。ユングも二人の後を追いバスターマシン3号内に突入するが、ノリコとカズミに説得され、地球に戻った二人に「おかえりなさい」と歓待する事を約束し、バスターマシン3号を後にする。ガンバスターの縮退炉により再起動したバスターマシン3号の爆縮により生じたブラックホールに、ノリコとカズミは巻き込まれてしまう。事象の地平面をかろうじて振り切るものの、超重力の影響により地球では既に12,000年もの膨大な月日が流れ去っていた。明かりのない地球を目の当たりにした二人は人類の存続を半ば絶望視するが、まもなく地球の表面には永劫の時を超えて帰還した英雄を歓迎するためのメッセージ「オカエリナサイ」が映し出された。二人は歓喜の涙と共に、大きく損壊したガンバスターに別れを告げ、地球へと降下した。


注釈

  1. ^ AIM FOR THE TOP! GUNBUSTER」の表記はLDディスクジャケットで使用されているが、それ以外の媒体では映像中のアイキャッチを含めて「GunBuster」表記のみである。
  2. ^ ただし眠田は本名を公開していないが、『トップをねらえ!』リマスター版DVD収録の映像特典『シズラープロジェクト』で、エンディングイラストで「眠田 直(オオタコウイチロウ)」とクレジットされている。
  3. ^ 所在地は〒904-42 沖縄県嘉手納市金柱一丁目。実在しない架空の住所である。
  4. ^ 実在しない架空の学校である。原作・脚本の岡田斗司夫の出身校が、一文字違いの大阪市立三稜中学校であった。
  5. ^ 漫画『アストロ球団』に登場するジャコビニ流星打法に由来。
  6. ^ ただし、アマノはオオタとのデュエットで「男と女のラブゲーム」を第3話のアバンタイトルで披露しており、その時の歌唱力は普通に巧かった。
  7. ^ 原理は不明だが、音波を浴びた宇宙怪獣は踊りながら逃げていく。
  8. ^ 建造中止された同型艦と言うと、3番艦用の船体を使用しているととれる表記となるが、確定している事はヱルトリウム級が最低2隻建造された事と、14282年に稼動可能なように見える同型の艦が発見されている事だけである。コミックにおいてアレクシオンが起動する前の段階で、既に地球の科学技術は衰退しており、単素粒子船体の製造技術も失われている。シリウスを目的地として出発しており、後の時代に搭載されていたグレートガンバスターがシリウスに到着している事が確認されている。
  9. ^ トップ世界では、冥王星準惑星ではなく第9番惑星のままであり、更に惑星の基準は現実世界での基準とも異なる。具体的には『トップをねらえ2!』では、旧雷王星は残存核と呼ばれ、太陽系絶対防衛戦で誕生したブラックホール・エグゼリオが新11番惑星とされている。従って「木星」と言う名前の(太陽公転)軌道都市なのではなく、ヱルトリウム級の艦体を利用した人工惑星が新たな「木星」である。
  10. ^ 同名の組織が『新世紀エヴァンゲリオン』にも登場している。
  11. ^ 後部から見ると、ヱクセリオン級は船殻が半円状になっているが、ツインヱクセリオン級は左右非対称な菱形となっている。
  12. ^ 現実世界では2012年CERNによって存在が確認された。
  13. ^ 最初に発売されたOVAでは「励起」が「迎起」と誤記されており、再販DVDで訂正されている。
  14. ^ a b 岡田は名義貸しで第一話と第二話のみ執筆。残りは山賀が執筆。
  15. ^ イは左右反転
  16. ^ 『トップをねらえ! Vol.3』のVHS/VHD/レーザーディスク版に映倫マーク(審査番号113002)がついているのはこのため。
  17. ^ 【例】劇場版の「科学講座」では「『宇宙船』や『アニメージュ』を創刊から廃刊まで揃えています」となっていたものが、ビデオソフト版では「廃刊まで」が削除されている。

出典

  1. ^ a b c オトナアニメ』 vol.21、洋泉社〈洋泉社MOOK〉、2011年8月8日、44-45,111頁頁。ISBN 978-4-86248-772-8 
  2. ^ a b 学習研究社刊「アニメV」1989年7月号「なぜ、今、白黒なのか!!?『トップをねらえ! Vol.3』庵野秀明監督、大論陣!!」pp.39-43より。
  3. ^ 『オタク学入門』粋の眼 -3 美少女キャラの文脈”. 未来編集研究所. 2016年1月15日閲覧。
  4. ^ クイック・ジャパン』 Vol.18、太田出版、1998年3月。ISBN 4-87233-374-8 
  5. ^ 最終話での彼の墓標が映るシーンより。
  6. ^ 公式設定資料集『コンプリートガンバスター』より。
  7. ^ BSアニメ夜話における考案者の岡田斗司夫の発言から。
  8. ^ 劇場アニメ『蒼きウル』、『トップをねらえ3』、TV番組『レスキューアカデミア』など新作アニメ製作のお知らせ” (2018年9月7日). 2018年9月7日閲覧。
  9. ^ “【庵野監督・特別寄稿】『エヴァ』の名を悪用したガイナックスと報道に強く憤る理由”. DIAMOND online. (2019年12月30日). p. 7. https://diamond.jp/articles/-/224881?page=7 
  10. ^ トップをねらえ2! 最新情報、GAINAX/TOP2委員会
  11. ^ 庵野初監督作「トップをねらえ!」、全6話一挙劇場公開、AV Watch、2020年11月6日
  12. ^ 庵野秀明初監督作品 伝説のSFロボットアニメ『トップをねらえ!』11月27日(金)よりTOHO シネマズ池袋 他にて“OVA全話一挙劇場公開”決定!、バンダイナムコアーツ、2020年11月6日
  13. ^ 「トップをねらえ!」OVA劇場上映は発売当時の2chオリジナル音声で実施!、GAME Watch、2020年11月20日
  14. ^ 庵野秀明の初監督作品「トップをねらえ!」、公開3日間全回満席の大ヒットスタート!、アキバ総研、2020年11月30日
  15. ^ 「トップをねらえ!」劇場上映、東京は3日間全回満席の大ヒット、AV Watch2020年11月30日






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