虹
星虹
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 09:53 UTC 版)
星虹(せいこう、英語: starbow)とは、光速近くで移動する宇宙船から星空を眺めると、ドップラー効果と特殊相対性理論の効果によって、星の見かけの位置が進行方向前方に移動し、進行方向を中心とした同心円状に星の色が変化して虹のように見える、といわれている現象である。英語のスターボウ(starbow)は、雨が作る弓型であるrainbowから、星が作る弓型という意味で作られた造語。また星虹はその直訳語である。 通過する救急車のサイレンや、電車内から聴く踏切の警報など、音源からの距離が連続的に変化することで周波数を圧縮・延伸され、音が歪んで聞こえる現象(ドップラー効果)は日常的に体感することができるが、これらの音波と同じように、相対的に接近し遠ざかってゆく星々から、飛行中の宇宙船に向かって飛んで来る光の波長が圧縮・延伸されることにより色が歪んで見えるため、全体が虹の様に色を帯びて目に映るのではないかと仮説したもの。 しかし、仮に全ての恒星などからの光がすべて単一の波長であるならば赤から紫まで明瞭に色が分かれた虹に見えるであろうが、実際には様々な星が様々な波長の光を放出しているため、七色に分かれた一般の虹のように見えることはない。星のスペクトルを黒体輻射と仮定してドップラー効果による色変化を検証した科学論文によれば、ドップラー効果による色変化は星温度の変化と同様で虹にもドーナツ状にもならないことが示されている。シミュレーションソフトで再現した場合も進行方向に明るく青っぽくなり、側方、後方の星は赤く暗くなる色変化は観測されるが星虹は出現しない。 いずれにせよ亜光速で飛行できる宇宙船が実際に在ると仮定した場合にのみ、観測が可能となる空想科学上の現象であり、現代の科学技術ではそのような宇宙船はまだ理論の上にも現されていない。
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