煎茶とは? わかりやすく解説

せん‐ちゃ【煎茶】

読み方:せんちゃ

緑茶一種茶葉新芽製したもの。

葉茶煎じて飲むこと。また、その煎じ出した

煎茶の画像
煎茶の

煎茶

読み方:センチャsencha

葉茶を湯で煎じだすこと。中級緑茶


煎茶

お茶には、ウーロン茶紅茶緑茶など数多く種類ありますが、それぞれの種類適したはあっても、「お茶」はみな基本的には同じで、その違い製造工程茶葉発酵させる度合いの差から生じます
煎茶とは、緑茶の中の一つ種類を指す名称であり、玉露かぶせ茶番茶などと対比して使用されます。

煎茶

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/08 18:44 UTC 版)

チャノキ >  > 緑茶日本茶 > 煎茶
せん茶 浸出液[1]
100 gあたりの栄養価
エネルギー 8 kJ (1.9 kcal)
0.2 g
0.2 g
ビタミン
リボフラビン (B2)
(4%)
0.05 mg
ナイアシン (B3)
(1%)
0.2 mg
パントテン酸 (B5)
(1%)
0.04 mg
ビタミンB6
(1%)
0.01 mg
葉酸 (B9)
(4%)
16 µg
ビタミンC
(7%)
6 mg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
3 mg
カリウム
(1%)
27 mg
カルシウム
(0%)
3 mg
マグネシウム
(1%)
2 mg
リン
(0%)
2 mg
鉄分
(2%)
0.2 mg
(1%)
0.01 mg
他の成分
水分 99.4 g
ビオチン(B7 0.8 µg
カフェイン 0.02 g
タンニン 0.07 g

浸出法:茶 10 g/90 °C 430 mL、1分
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
煎茶の茶葉
煎茶の水色

煎茶(せんちゃ)は、日本で作られる緑茶の製法の1つ[2]

広義には深蒸し煎茶を含み[3]、深蒸し煎茶を含まない狭義の煎茶を区別のため普通煎茶と呼ぶ事もある[3]

さらに広義には抹茶のような挽いて作る茶の対義語として用い[4]玉露(高級品)と番茶(低級品)を含み[4]、これら2つの間に挟まる中級のものが通常の意味での煎茶である[4]

煎茶は中国の同種の茶種が江戸時代前期にから日本に伝わって発展したものである。

日本の煎茶と中国緑茶は茶葉の発酵を止める(殺青)方法が異なり、日本では蒸熱(蒸す事)により茶葉の酵素を失活させて製造するのに対し、中国では釜で炒って加熱する方法が一般に用いられる。

なお少数ではあるが日本にも釜炒り茶が存在し、釜炒り製玉緑茶がこれに相当する。

定義

公益社団法人日本茶業中央会は以下のように煎茶を定義している:

茶葉を蒸熱、揉捻、乾燥して製造したもの[5]
公益社団法人日本茶業中央会、緑茶の表示基準 表1 名称

一方、深蒸し煎茶は下記のように定義されているため、深蒸し煎茶は煎茶に含まれない:

煎茶と同様な製造で、茶葉の蒸し時間を煎茶の 2 倍以上の時間で製造したもの[6]
公益社団法人日本茶業中央会、緑茶の表示基準 表1 名称

消費者庁の食品表示企画課による食品表示基準Q&Aにおいても、上記と同一の分類が採用されている[7]


それに対し全国茶生産団体連合会・全国茶主産府県農協連連絡協議会の説明[3]では深蒸し煎茶も煎茶の一種としており、深蒸し煎茶を含まない狭義の煎茶を普通煎茶と呼んでいる[3]

さらに広義には抹茶のような挽いて作る茶の対義語として用い[4]玉露(高級品)と番茶(低級品)を含み[4]、これら2つの間に挟まる中級のものが通常の意味での煎茶である[4]

名称の由来

最初に茶が日本に伝わった平安初期には茶葉を煮出して飲む「煎茶法」(せんちゃほう。烹茶法(ほうちゃほう)とも[8])で茶を飲むのが一般的で[9]、「煎茶」の名称はこの手法による[9]


しかし今日では煎茶はその名に反し、茶葉を湯に浸してそのエキスを飲む「淹茶法」(えんちゃほう)で飲むのが一般的である[9]。この方法は江戸時代前期にから伝わったものである[9]

淹れ方・飲み方

急須に茶葉を入れ、お湯を注ぐ。一定時間待ち、急須から茶碗に少しずつ順番に注ぐ。この際の湯量・湯温・茶葉の量・待ち時間の目安は緑茶#淹れ方を参照。 水出し緑茶(冷茶)は、急須に茶葉を多めに入れ、冷水を注いで5分待つ。専用のティーバッグを使う、お湯で淹れて氷に注ぐ方法もある[10]

製法

煎茶、玉露、抹茶の製法は以下の通りである:

日本茶の製造工程[11][12](最初の工程が左)
茶農家の作業 茶問屋の作業
茶園での工程 荒茶の製造工程 仕上げ加工工程(典型例[11]
覆下栽培 摘採 蒸し 冷却 揉み 乾燥 選別 煉り乾燥 切断・選別 乾燥 合組 臼挽き
煎茶 [注 1]
玉露 [注 1]
抹茶

機械を使った煎茶の製法の各工程は下記のとおりである。参考のため手揉みでの製法の名称も載せた。

煎茶の製造工程[13]
工程 概要 目的
名称 手揉みの場合の名称
荒茶製造工程 蒸熱じょうねつ

(蒸し)

生葉を蒸す[13]

蒸し時間は普通煎茶では30~40秒程度[13]、深蒸し煎茶では60~120秒程度[13]

撹拌しながら蒸すものと、撹拌せずベルトコンベアーで運びながらむすものがあるが、葉が柔らかい深蒸し煎茶の場合は葉が細かくなりすぎないよう後者を使う[13]

熱で生葉の酵素を失活[13]

生葉の青臭さや悪臭を除去[13] 葉を柔らかくする[13]

揉み 粗揉そじゅう 葉振はふるい 熱風を当てて撹拌しながら揉む[13] 葉の水分を均一に蒸発[13]
揉捻じゅうねん 回転揉み 熱を加えずに揉む[13] 葉より乾きにくい茎から水分を揉み出し、水分を均一にする[13]
中揉ちゅうじゅう 揉み切り

(中揉み)

塊をほぐしながら、自然に塊がほどけるくらいまで熱風で乾燥[13] 葉を揉みながら乾燥し、

よりながら長くする[13]

精揉せいじゅう 転繰でんぐり揉み 揉圧盤で徐々に押しながら乾燥[13] 「茶の形状を針状に伸ばす」[13]
こくり 「茶の形を整え、光沢を出す」[13]
乾燥 水分が5%程度まで乾燥[13]
仕上げ加工工程 切断・選別 粉、小さな破片、茎などを篩で除去[13]

大きすぎる葉を切断[13]

乾燥 形状や大きさで分別したあと、適切な温度で火入れして乾燥[13]

火入れは鉄製ドラムで直火で加熱する方法と遠赤外線で加熱する方法がある[13]

新茶・上級茶の場合は低温で火入れして新鮮な低温で香りを残す[13]

中級茶・番茶の場合は高温で火入れして香ばしい臭いを出す[13]

合組ごうぐみ 複数の茶をブレンドする[13] 品質を整える[13]

歴史

お茶を挟んで挨拶する女性。1931年


当初の「煎茶」は文字通り「煎じる茶」の意味で、茶葉を湯で煮出すことによって成分を抽出するため今日のように急須で手軽に淹れられるものではなかった。中世以降の日本における茶の服用方法には「煎じ茶」と茶葉をですりつぶした「挽茶」があり、当初は摘んだ茶葉を蒸すか湯がくかして酸化酵素の働きを止め日光と焙炉(ほいろ)により乾燥させるものだったが、近世には「揉み」の行程が入るようになっていった。永谷宗円青製煎茶製法を開発したことにより現在の煎茶の製法が確立・普及し、山本嘉兵衛(山本山の創業者)が江戸で煎茶の商業的成功に至ったことにより、急須で出せる茶(「だし茶」)は現在の日本茶の主流となっている。

明治時代以降、手揉みにかわる能率的な機械製法が考案され、現在では蒸熱、粗揉、揉捻、中揉、精揉、乾燥の6工程で製造されている。品質としては形状が細く針状のものを良とし、香気は特に一番茶新芽の新鮮な香りを保持したものが良い。また、滋味には特有の旨味と適度な渋みのバランスが重要である。このような品質上の特性を重視することから、その製造工程においては茶葉の短時間の蒸熱とそれに続く低温乾燥というきめ細かな注意が払われている。

脚注

注釈

  1. ^ a b 火入れによる乾燥[11]

出典

  1. ^ 文部科学省 「日本食品標準成分表2015年版(七訂)
  2. ^ 煎茶と緑茶の違いとは?用語の意味を知ってお茶をさらに楽しむ”. 煎茶堂東京. 2021年6月5日閲覧。
  3. ^ a b c d 茶ガイド-全国茶生産団体連合会・全国茶主産府県農協連連絡協議会”. www.zennoh.or.jp. 2024年3月26日閲覧。
  4. ^ a b c d e f 薬草園歳時記(16)チャノキ(茶の木)と茶 2022年4月 | 大学案内 | 静岡県公立大学法人 静岡県立大学”. www.u-shizuoka-ken.ac.jp. 2024年5月7日閲覧。
  5. ^ 緑茶の表示基準”. 公益社団法人日本茶業中央会. p. 21. 2024年3月19日閲覧。
  6. ^ 緑茶の表示基準”. 公益社団法人日本茶業中央会. p. 21. 2024年3月19日閲覧。
  7. ^ 消費者庁 食品表示企画課 (平成27年3月(最終改正 令和3年3月17日消食表第115号)). “食品表示基準Q&A”. p. 24. 2024年3月20日閲覧。
  8. ^ #改訂版 日本茶のすべてがわかる本 p.57.
  9. ^ a b c d #橋本 p.12.
  10. ^ おいしい冷茶のつくり方 4つの方法”. All About. 2017年4月24日閲覧。
  11. ^ a b c Japanese Green Tea”. 農林水産省. pp. 5-6. 2024年3月19日閲覧。
  12. ^ 荒茶と仕上げ茶について深く知る(その1)”. 日本茶専門店の組合【東京都茶協同組合】. 2024年3月20日閲覧。
  13. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z #改訂版 日本茶のすべてがわかる本 p.100-108

出典

  • 橋本素子『日本茶の歴史』淡交社、2016年7月6日。ISBN 978-4473041449 
  • NPO法人日本茶インストラクター協会 (編集, 企画・原案), 日本茶検定委員会 (監修)『改訂版 日本茶のすべてがわかる本: 日本茶検定公式テキスト』農山漁村文化協会、2023年6月6日。ISBN 978-4540231162 

関連項目


煎茶(広義)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/05 09:35 UTC 版)

「煎茶」の記事における「煎茶(広義)」の解説

煎茶(せんちゃ)とは緑茶すなわち不発酵茶一種である。緑茶加熱により早い段階茶葉発酵止める殺青)ことで作られる茶のことで、日本では蒸熱により茶葉酵素失活させて製造する(蒸す)方法主流である。中国では釜で炒って加熱する方法釜炒り茶)が一般に用いられる当初の「煎茶」は文字通り煎じるの意味で、茶葉を湯で煮出すことによって成分抽出するため今日のように急須手軽に淹れられるものではなかった。中世以降日本における服用方法には「煎じ茶」と茶葉を臼ですりつぶした挽茶」があり、当初摘んだ茶葉を蒸すか湯がくかして酸化酵素働き止め日光焙炉(ほいろ)により乾燥させるのだったが、近世には「揉み」の行程が入るようになっていった。永谷宗円青製煎茶製法開発したことにより現在の煎茶の製法確立普及し山本兵衛山本山創業者)が江戸で煎茶の商業的成功至ったことにより、急須出せ(「だし」)は現在の日本茶主流となっている。 明治時代以降、手揉みにかわる能率的な機械製法考案され、現在では蒸熱、粗揉、揉捻、中揉、精揉、乾燥の6工程製造されている。品質としては形状細く針状のものを良とし、香気は特に一番茶新芽新鮮な香り保持したものが良いまた、滋味には特有の旨味適度な渋みバランスが重要である。このような品質上の特性重視することから、その製造工程においては茶葉短時間蒸熱とそれに続く低温乾燥というきめ細かな注意払われている。

※この「煎茶(広義)」の解説は、「煎茶」の解説の一部です。
「煎茶(広義)」を含む「煎茶」の記事については、「煎茶」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「煎茶」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「煎茶」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「煎茶」の関連用語



3
交床 デジタル大辞泉
100% |||||

4
煎じ茶 デジタル大辞泉
100% |||||


6
降紅 デジタル大辞泉
92% |||||



9
煎茶式 デジタル大辞泉
74% |||||


煎茶のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



煎茶のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
サントリーサントリー
COPYRIGHT © 1995-2024 SUNTORY LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.
サントリー株式会社お酒・飲料大事典
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの煎茶 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの煎茶 (改訂履歴)、4-メルカプト-4-メチル-2-ペンタノン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS