小笠原流煎茶道とは? わかりやすく解説

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小笠原流煎茶道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/28 07:34 UTC 版)

小笠原流煎茶道(おがさわらりゅう せんちゃどう)は、日本の煎茶道の流派の一つ。1916年(大正5年)に創流された。[1]本部は兵庫県芦屋市に置かれ、公益財団法人として運営されている。[1]

全国各地および海外に支部を展開しており、[2]全日本煎茶道連盟の副理事長を務めるなど、[1]煎茶道界において重要な役割を果たしている。

成り立ち

小笠原流は、鎌倉時代に武家礼法を体系化した小笠原長清を祖とする礼法の流派であり、その精神と作法が煎茶道に応用された。小笠原流煎茶道は、文人趣味の煎茶文化に小笠原流礼法を融合させた点に特色を持つ。[3]

歴史

小笠原流煎茶道は、1916年(大正5年)に創流された。[1]唐津藩主の末裔である小笠原長生が、頭山満らとの協議を経て、初代祐道宗匠に創流を委嘱したと伝えられている。[1][3]

1991年(平成3年)、財団法人小笠原流煎茶道として認可を受けた。[1]その後、公益財団法人へ移行し、現在に至る。[3]

2016年には創流100周年を迎えた。[1]

理念

小笠原流煎茶道は「和敬清閑(わけいせいかん)」を基本理念とする。この語は、「和を悟り、尊敬と信頼を深め、常に公平で誠意に満ちた清い心と、肉体的・精神的にもゆとりを持つこと」を意味するとされている。[4][1]

また、以下の「五箇条」を掲げている。[5]

  1. 心技をおごらないこと
  2. 誠を持ってのぞむこと
  3. 華美を誇らないこと
  4. さびた中にも気品あること
  5. わが心を師とすることなく、心の師となること

これらの理念は、茶の湯を通じた精神修養と社会貢献を重視する同流派の特徴を表している。

活動

国内活動

全国各地で定期的な稽古や茶会、講習会などが開催されている。[6]特に教育機関との連携に力を入れており、小学校から大学まで幅広い教育機関において煎茶道の授業や体験会を実施している。[1][3]

2021年には、ABCテレビのニュース番組で新型コロナウイルス禍における煎茶道の活動が取り上げられた。[7]

国際展開

小笠原流煎茶道は1980年代から国際的な活動を展開している。1986年には中国での煎茶道紹介を開始し、[1]以降、中国との文化交流を継続的に実施してきた。

2017年には中国国際放送局で文化交流活動が報じられた。[8]2018年には日中平和友好条約締結40周年を記念し、上海日本国総領事館において煎茶道講演会と茶会を開催した。[9]

北米では2013年に南カリフォルニア支部が創立40周年を迎えた。[10]

台湾では現地メディアで活動が取り上げられている。[11]

ヨーロッパにおいては、2015年にパリ日本文化会館で家元による講演会が開催されたほか、[4]ルーマニア、[12]チェコなどでも文化交流活動が報告されている。[13]

全日本煎茶道連盟での活動

全日本煎茶道連盟において、2018年4月より副理事長を務めている。[1]これは、小笠原流煎茶道が煎茶道界において重要な位置を占めていることを示している。

組織

宗家

現在の家元は五代目小笠原秀道が務めている。[1]2010年(平成22年)には春の叙勲において旭日双光章を受章した。[2]

嫡男の小笠原秀邦家元嗣、嫡孫の小笠原秀貴とともに流派の運営と発展に携わっている。[2]

支部

国内に8総支部、9地区63支部を持つ。[2][14]

海外には以下の地域に支部を持つ。[15]

  • アメリカ合衆国 - 南カリフォルニア
  • 中華人民共和国 - 北京、上海、杭州、深圳、南京、舟山
  • 台湾 - 台北[16][17]
  • フランス - パリ
  • イギリス - リヴァプール[18]

本部は兵庫県芦屋市東山町に置かれている。[3]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l 和敬清閑、一煎の温もりを心の温もりに ― 小笠原流煎茶道 国立研究開発法人 科学技術振興機構 SciencePortal China、2020年7月9日。2025年10月26日閲覧。
  2. ^ a b c d 小笠原流煎茶道 概要 公益財団法人 小笠原流煎茶道。2025年10月26日閲覧。
  3. ^ a b c d e 兵庫県芦屋市を拠点にする煎茶道の流派「小笠原流煎茶道」 日本茶生活、2023年9月29日。2025年10月26日閲覧。
  4. ^ a b 煎茶道 小笠原秀道家元による講演会 パリ日本文化会館、2015年9月18日。2025年10月26日閲覧。
  5. ^ 小笠原流煎茶道の五箇条 全日本煎茶道連盟オンラインショップ、2021年4月30日。2025年10月26日閲覧。
  6. ^ 小笠原流煎茶道 活動内容 公益財団法人 小笠原流煎茶道。2025年10月26日閲覧。
  7. ^ 【奪われた日常】"煎茶道"にかける2人の女性 屋外で茶出る稽古【コロナ禍を生きる】 ABCテレビニュース、2021年11月23日。2025年10月26日閲覧。
  8. ^ 中国で「小笠原流煎茶道」が文化交流活動を実施 中国国際放送局、2017年2月22日。2025年10月26日閲覧。
  9. ^ 紀念日中和平友好条約締結40周年 小笠原流煎茶道講家元演講及茶会 在上海日本国総領事館、2018年7月20日。2025年10月26日閲覧。
  10. ^ 小笠原流煎茶道:南加総支部が創立40周年 羅府新報、2013年11月26日。2025年10月26日閲覧。
  11. ^ 涵養日本禮儀的小笠原流煎茶道 從茶至心、由心至茶的人生之道 科技生活TechLife、2024年3月27日。2025年10月26日閲覧。
  12. ^ 海外における文化行事の紹介 在ルーマニア日本国大使館、2023年5月15日。2025年10月26日閲覧。
  13. ^ 文化行事に関する大使の活動 在チェコ日本国大使館、2023年。2025年10月26日閲覧。
  14. ^ 小笠原流煎茶道 活動内容 公益財団法人 小笠原流煎茶道。2025年10月26日閲覧。
  15. ^ 小笠原流煎茶道 各国の支部 公益財団法人 小笠原流煎茶道。2025年10月26日閲覧。
  16. ^ 台湾支部の活動 小笠原流煎茶道公式ブログ、2021年。2025年10月26日閲覧。
  17. ^ 小笠原流煎茶道台湾支部 台湾支部公式サイト。2025年10月26日閲覧。
  18. ^ 英国リヴァプール支部の活動 小笠原流煎茶道公式ブログ、2022年。2025年10月26日閲覧。

小笠原流煎茶道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 10:08 UTC 版)

小笠原流」の記事における「小笠原流煎茶道」の解説

小笠原流煎茶道(おがさわらりゅうせんちゃどう)は小笠原長清の父、加賀美遠光以来作法とされる小笠原流作法基礎とした煎茶道流派である。平成3年1991年財団法人小笠原流煎茶道が設立された。現在の家元小笠原秀道(しゅうどう)。

※この「小笠原流煎茶道」の解説は、「小笠原流」の解説の一部です。
「小笠原流煎茶道」を含む「小笠原流」の記事については、「小笠原流」の概要を参照ください。

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