朝鮮 「朝鮮/韓」などの相違

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朝鮮

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/17 10:05 UTC 版)

「朝鮮/韓」などの相違

日本語を含む漢字文化圏では、「○○半島」(○○반도、○○バンド)、「○○民族」」(○○민족、○○ミンジョク)、「○○語」(○○、○○オ)などの様々な局面において、この地域を何と呼称するかが問題となる。

現地における呼称

現地の朝鮮語では、統治する国家によって南北で2種類の異なる呼び方がなされている。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)では「朝鮮」(조선、チョソン)、大韓民国(韓国)では「大韓」(대한、テハン)ないし「」(、ハン)ないし「韓国」(한국、ハングク)と呼ばれ、互いに他方の名で呼ばれることを好まない。これらは北半分や南半分の一方を指す名称ではなく、共に全体の名称である。

これは、直接には両国における自称の国名が北朝鮮では「朝鮮」になったのに対し、韓国では朝鮮という国名は使われなくなり、「韓」が国家のみならず民族や半島をも含めた名称として受け入れられているためである。従って、現在の韓国では「朝鮮民族」や「朝鮮半島」という呼称はめったに使われず、「韓民族」「韓半島」が使用される。

この煩雑さを避け、政治的中立性を保つ意図で「コリア」、稀に「高麗」(こうらい、고려、コリョ)と呼ばれることがある。

日本語における呼称

この記事名である「朝鮮」(歴史的仮名遣では「てうせん」)は、この地域や民族の名称として日本語において広く用いられる呼称である。古くは、この地域の人々を指す言葉として「韓人」(からひと)、「高麗人」(こまびと)などがあり、李氏朝鮮時代には李朝の国号から「朝鮮人」(ちょうせんじん)という呼称が生まれた。李氏朝鮮が大韓帝国に国号を変えると、「韓国人」(かんこくじん)という呼称が生まれた。

韓国併合によって大韓帝国が消滅すると、日本は韓国の地名を朝鮮とし[18]、朝鮮に本籍地を有する日本臣民となった者が法律上、「朝鮮人」と称されることになった。本国(内地)と植民地という力関係を反映し、「朝鮮人」やこれを略した「鮮人」という呼び方には見下すようなニュアンスがこめられがちであるため、「朝鮮出身者」「朝鮮の方」といった遠まわしな言い方がしばしば使われた。朝鮮総督府は内地人に「鮮人」と呼ばないようしばしば呼びかけ、多くの文書で「朝鮮(半島)同胞」との呼称を用いた。旧陸軍においても朝鮮人兵士に対して「朝鮮人」や「鮮人」の語を使用しないよう指導がなされていた[19][20][21]

日本の朝鮮統治が終わった後もこのような傾向は続き、現在に至るまでも面と向かって「朝鮮人」と言うのを憚る風潮が存在する。しかし、「朝鮮」を統一名称とみなしている、または韓国を支持しない等々さまざまな理由から、在日朝鮮人が好んで「朝鮮人」を自称するケースもあるため、必ずしも蔑称とはみなされていない。韓国・北朝鮮の成立後は、全体を漠然と指すときは従来通りの「朝鮮人」が多く用いられ、特に韓国の国籍を保持する者を「韓国人」と呼んで区別している。「韓国人」の対立概念として「朝鮮人」を使用する場合には、北朝鮮を正統国家として支持する者や、または朝鮮籍の在日朝鮮人を限定して指すこともある。マスコミでは、「韓」と「朝鮮」との区別が問題になることを避けるために漠然と「朝鮮民族」と称することが多い。

日本語では朝鮮族という言い方も存在するが、これは中国吉林省延辺朝鮮族自治州を中心に、中国東北部満州)やロシア沿海地方などに住む朝鮮民族を特に指す語として使われる。

その他の言語における呼称

英語など、漢字文化圏以外の多くの言語では、中世高麗王朝に由来する Korean Coréen Koreaner などで呼んでおり、朝鮮と韓との区別はない。


注釈

  1. ^ 原文「朝音潮 直驕反 鮮音仙 以有汕水故名也 汕一音訕」
  2. ^ 「國在東方 先受朝日之光鮮 故名朝鮮」
  3. ^ 意味によって発音も異なり、鮮麗の鮮は「xiān」、鮮少の鮮は「xiǎn」である(郑春兰『传统文化经典读本 汉字』四川辞书出版社, 2018.01, P.209)。

出典

  1. ^ "North Korea". World Reference Atlas (2nd American ed.). New York: Dorling Kindersley. 1996. p. 413. ISBN 0-7894-1085-0
  2. ^ "South Korea". World Reference Atlas (2nd American ed.). New York: Dorling Kindersley. 1996. p. 498. ISBN 0-7894-1085-0
  3. ^ MT.co.kr
  4. ^ a b c 「地域・国名編-朝鮮」【監修】伊藤亜人+大村益夫+高崎宗司+武田幸男+吉田光男+梶村秀樹『[新版] 韓国 朝鮮を知る事典』平凡社、2014年3月19日 新版第1刷発行、ISBN 978-4-582-12647-1、580頁。
  5. ^ Wikisource 中国語版 「史記三家註/卷115」冒頭
  6. ^ 世界大百科事典Korea』 - コトバンク
  7. ^ a b 矢木毅 2008, p. 46
  8. ^ a b 矢木毅 2008, p. 45
  9. ^ 矢木毅 2008, p. 41,50
  10. ^ 矢木毅 2008, p. 61
  11. ^ 矢木毅 2008, p. 50-51
  12. ^ a b 矢木毅 2008, p. 43
  13. ^ a b 矢木毅 2008, p. 44
  14. ^ 矢木毅 2008, p. 40
  15. ^ 黄文雄『日本の植民地の真実』扶桑社、2003年10月31日、137頁。ISBN 978-4594042158 
  16. ^ 矢木毅 2008, p. 41
  17. ^ 矢木毅 2008, p. 49
  18. ^ 韓国ノ国号ヲ改メ朝鮮ト称スルノ件(明治43年勅令第318号)
  19. ^ アジア歴史資料センター、レファレンスコードC01007778900
  20. ^ アジア歴史資料センター、レファレンスコードC01007819700
  21. ^ アジア歴史資料センター、レファレンスコードC01007867000
  22. ^ 毎日新聞』2002年4月10日朝刊
  23. ^ 日本経済新聞』2002年4月10日朝刊
  24. ^ 憲法の規定により、北朝鮮は朝鮮労働党によって指導されるため、本職にある者が同国の事実上の最高指導者となる。
  25. ^ 憲法には「委員長は国を代表する」とあり、これにより国家元首とされる。
  26. ^ 一般的な国家における国会議長に相当するが、対外的な国家元首として、外国使節の信任状および召喚状を接受する。






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