プログラミング プログラミングの概要

プログラミング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/12 01:09 UTC 版)

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インターネットチェスのプログラムLichess人工知能のプログラミングの例。もしb3にいる白のビショップがa2に移動すれば、黒のナイトを取ることができる。プログラムは黒に対して最も有利な移動を探索するように設計されているため、その後、b1のポーンがビショップを取る可能性が非常に高いと計算する。黒のプレイヤーはポーンをc2に移動したところである。

プログラミングをするときに関係するタスクには、テストデバッグソースコードのメンテナンス、ビルドシステムの構築、コンピュータープログラムの機械コードなどの生成されたアーティファクト英語版の管理などがある。これらのプロセスはプログラミングのプロセスの一部と考えられるが、広義のプロセスはよく「ソフトウェア開発」と呼ばれ、実際にコードを書く行為に対しては、「プログラミング」、「実装」、「コーディング」という名前が使われることが多い。ソフトウェア工学(software engineering)は、エンジニアリングの技術をソフトウェア開発の実践と組み合わせたものである。「リバースエンジニアリング」はこの逆のプロセスを表す。「ハッカー」とは、技術的な知識を使って問題を解決する技術のあるすべてのコンピュータの専門家を表す言葉であるが、一般的な用語では「セキュリティハッカー英語版」と同じ意味でも使われている。

歴史

エイダ・ラブレス、Luigi Menabrea英語版の論文の最後には、解析機関の処理のために設計された最初のアルゴリズムについて書かれた彼女のメモが記載されている。彼女は、世界史上初のコンピュータープログラマーであると考えられている。
パンチカードのつまった箱。プログラムデッキがいくつかある。
IBM 402 Accounting Machineのための配線された制御パネル。

最古のプログラマブルな機械(プログラムによって動作の変化を制御できる機械)としては、1206年にアル=ジャザリが作った二足歩行ロボットがあると言われている。アル・ジャザリのロボットは、ボートに4体の演奏人形が乗ったもので、宮廷のパーティで池に浮かべて音楽を演奏したと言われている。プログラムはカムにあり、それによって小さなてこを押して、打楽器を演奏する。カムは実際には円筒にペグが突き刺された形であり、このペグの配置でプログラミングし、演奏パターンを変更した[3]

1801年に開発されたジャカード織機がプログラマブルな機械の起源とされることが多い。この機械は、穴を開けた一連の厚紙(パンチカードの原型)を使った。穴の配列が布を織る際のパターンに対応している。従って、カードを入れ替えることで全く異なる布を織ることができた。1830年ごろには、チャールズ・バベッジパンチカードを使った解析機関を考案した。

このような先駆者の発明をさらに発展させたのがハーマン・ホレリスであり、1896年にタビュレイティング・マシン・カンパニー(Tabulating Machine Company、後のIBM) を設立した。彼はホレリス式パンチカード、タビュレーティングマシンキーパンチ機などを発明した。これらの発明が情報処理産業の基礎となったのである。1906年には、タビュレーティングマシンにプラグボードを追加することで、組み替えれば様々な仕事ができるようになった。これがプログラミングへの第一歩である。1940年代には、プラグボードによるプログラマブルな機械が各種登場していた。初期のコンピュータにもプラグボードでプログラムを組むものがあった。

フォン=ノイマン・アーキテクチャの発明により、プログラムをコンピュータのメモリに格納できるようになった。初期のプログラミングは機械語のコードを直接並べる(「コーディング」の本来の意)ことで行われた。入力方法としては穿孔カードや鑽孔テープが利用された他、スイッチなどで直接入力したり、まだ半導体技術などのない時代のため、ROMに相当する電気的配線を直接変更したりすることもあった。しかし、機械語の命令は人間にとって扱いにくく、代わりにニーモニックと呼ばれる略語を割り当てたアセンブリ言語により、プログラマは命令をテキスト形式で記述できるようになった。しかし、アセンブリ言語は機械語と同様にプロセッサの種類ごとに異なるため、(意図的に互換性があるように設計された機械以外では)他機種にはそのまま流用できなかった。また(人間から見れば)単純な処理でも、機械が操作できる基本的な処理命令は細粒度であり、大量に記述する必要があった。

そこで、特定のコンピュータに依存しない記述方法で、処理の内容をより抽象的に記述するためのプログラミング言語が開発された。そして、プログラミング言語によって記述されたプログラムを、コンパイラを利用して機械語に翻訳することで、実行プログラムを作成することが一般的になった。1954年、最初のプログラミング言語の1つであるFORTRANが開発された。これにより、演算を直接数式のように記述できるようになった(例えば、Y = X*2 + 5*X + 9)。このプログラムの記述(あるいは「ソース」)はコンパイラと呼ばれる特別なプログラムで機械の命令に変換される。他にも様々な言語が開発された(ビジネス用途のCOBOLなど)。プログラムの入力は依然としてパンチカードやさん孔テープで行われていた。1960年代後半、記憶装置や端末の価格が低下してきたことにより、キーボードから直接コンピュータにプログラムを入力できるようになってきた。また同じ頃、コンピュータによる処理対象のデータとしての文書についてもコンピュータ自身を利用して編集されるようになり[4]最初はラインエディタ、続いてスクリーンエディタといった、テキストエディタが開発され、それらによってソースコード自身がコンピュータ上で編集されるようになった。

コンピュータの能力は時と共に飛躍的に向上した。このため、より抽象化されたプログラミング言語が開発されるようになっていった。抽象化レベルの高い言語はオーバーヘッドも大きいが、コンピュータ自体の性能の向上が激しいため、多少オーバーヘッドが増えても以前よりも高性能な動作が実現された。このような抽象化レベルの高い言語の利点は、習得が容易であることと、プログラム作成時間が短縮されること。そして何より、バッファオーバフロー等の危険性を孕んだプログラムを書く余地が無いこと、である。しかしそれでも、巨大で複雑なプログラムや、高速性が何よりも重視されるプログラムでは、現在でも比較的低レベルな言語を使っている。

20世紀後半を通して、先進国ではプログラマが魅力的な職業の1つとされてきた。しかし、発展途上国の安い労働力をプログラミングに利用する傾向が強まっている。この傾向がどれだけ続くのか、それによってどのような影響があるのかは未知数である。

プログラミングの過程

BASICによるプログラム例

まず、そのプログラムの目的、さらには「本当に解決したい問題は何なのか」ということについて十分な検討が必要である(ワインバーグの著書などを参考のこと)。

続いて、全体のスタイルをおおまかに2つに分けると「トップダウン設計」と「ボトムアップ実装」[5]になる。「なんとかの設計と実装」といったようなタイトルの本が多くあるように、どちらも重要だが、一般に対象についてよくわかっているものについてのプログラミングでは前者のスタイル、よくわかっていない場合は後者のスタイルとする。「設計された通りに実装することは不可能」といった場合に開発体勢の問題などから正しい対処がされないまま、設計と実装がちぐはぐになったプロダクトは悲惨である。また反復型開発では、あまりに大きなプログラムを一方通行のプロセスで書くことは最初から避けるものとされる。

目的のプログラムを書き始める前に、まずテストを書く、というスタイルもある(これを、「テストファースト」という。詳しくは、テスト駆動開発を参照)。あるいは対象が有限オートマトンプロセス計算など、形式手法的な方法でモデル化できるのであれば、まずはそのようにすべきである(本来はモデル主導というのはそのような意味のはずである)。

最初の段階として、トップダウン設計では軽量プログラミング言語や、非形式的な記述が適している場合には擬似言語擬似コード)などで全体設計を検討する。ボトムアップ実装では、階層構造の「葉」にあたるサブルーチンの実装を検討する[6]。なお、流れ図フローチャート)はコンピュータの黎明期である1940年代後半に、当時のプログラムは機械語[7]で読むのも書くのも難しかったことから、補助のために使われその当時には有用性が高く(en:Herman Goldstine#The First Draftに当時の流れ図がある)、MIXという機械語を使っている教科書『The Art of Computer Programming』などでは使われているが、現代のプログラミング言語でも有用と信じられていることもあるようである。

プログラミングの過程で、ソースコードを記述することを特に指してコーディングという。元々は機械語が符号であること、またはアセンブリ言語のニモニックがまるで暗号みたいである(正確には「コード」は暗号の1分類。コード (暗号) を参照)というところからコンピュータプログラムに「コード」という語が使われ、それを書く作業というきわめて限定された意味の語だったが、近年はHTMLを書くという意味にも使われるなど濫用され気味である(なお、デモシーンでは機械語のテクニックを駆使して高効率のプログラムを書く、というような本来の意味に近い意味で使われている)。

可能な限り避けたいものではあるが、プログラムにはバグ(bug)の混入が避けられない。場合によっては仕様にバグがあることもある(もっとひどい場合には標準規格のようなものでもバグがある)。デバッグ(debug)とはバグを取る作業であり、プログラミングの過程に必要なものとして見積りなどでは含めておかなければならない[8]

一旦の完成の後も、ある程度の期間使われるプログラムでは、使用しているうちに、プログラムの性能や機能に新しい要求が発生したり、プログラムの設定を変更する必要がでてきたり、テストにより発見できなかったバグが見つかることがある。このような事態に対応するため、プログラムを保守していく作業が必要になる。




  1. ^ Shaun Bebbington (2014年). “What is coding”. 2014年3月3日閲覧。
  2. ^ Shaun Bebbington (2014年). “What is programming”. 2014年3月3日閲覧。
  3. ^ A 13th Century Programmable Robot. University of Sheffield.
  4. ^ これは、タイムシェアリングシステムの発達とも関連する。
  5. ^ http://catb.org/jargon/html/B/bottom-up-implementation.html
  6. ^ たとえば、アクションゲームで1フレーム中に行わなければならない計算が可能かどうかが、開発の最後までわからなかったりしては困るだろう。
  7. ^ ないし極く単純なアセンブリ言語
  8. ^ ただし、デバッグがあることをあてにしてルーズにプログラムを書くことは厳に戒められねばならない。バグにも種類があり、たとえば、インタプリタでも最初の構文解析で検出されるような簡単なものなら問題ないが、突き止めるのが極めて困難な部類のバグ(特異なバグを参照)はできる限り早い時点で回避されるに越したことはない。
  9. ^ 荒井省三、いげ太『実践F# 関数型プログラミング入門』技術評論社。ISBN 978-4-7741-5127-4
  10. ^ Survey of Job advertisements mentioning a given language
  11. ^ 株式会社エクス コラム 「ノンプログラミング が熱い!7つの背景」 2017年11月13日閲覧
  12. ^ Paul Graham (2003年). Hackers and Painters. http://www.paulgraham.com/hp.html 2006年8月22日閲覧。. 
  13. ^ Paul Graham『ハッカーと画家』オーム社、2005年 ISBN 978-4-274-06597-2
  14. ^ s:プログラマが知るべき97のこと/コードは設計である
  15. ^ 2019年度(令和元年度)秋期まではCOBOLが選択可能だった。
  16. ^ 元々は初級システムアドミニストレータ試験(初級シスアド)に出題されていたが、2009年より基本情報技術者試験に移行した。初級シスアドは2009年春期を最後に廃止された。
  17. ^ 2011年まではPerlが出題対象に含まれていた。


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