PMBOK
・米国プロジェクトマネジメント協会(PMI:Project Management Institute)が提唱する、プロジェクトマネジメントのための標準的なフレームワーク(知識体系:body of knowledge)──すなわちプロジェクトを実施する際の基本的な考え方、手順をまとめたもの。
・以下の8つのマネジメント項目と、それを統合的に管理する“統合マネジメント”の9つの知識エリアで構成される。
1.スコープ(開発の目的とその範囲)
2.タイムスケジュール
3.コスト管理
4.品質管理
5.人的リソースの管理(顧客、開発サイド含む)
6.コミュニケーション(コミュニケーションの方法と適用シーンの決定)
7.リスク管理
8.調達管理
・PMBOKの特徴は、これら8つの項目を「統合(インテグレーション)」してマネジメントしながら、計画立案・実施していくことで、「各領域をきちんとやる」のではなく、バランスをとりながら、QCD(quality, cost, delivery)を保証することを指向している。事前にタイムスケジュールや品質において起こり得るリスクを認識し、何か問題が起こった際のコミュニケーションの方策や対処法などを事前に決めておくことで、トラブルの長期化を防止する。
・プロジェクトの提案段階から評価に至る一連のプロセスにPMBOKを適用することで、プロジェクトをより効果的に実施できるようになる。
PMBOK
PMBOK
PMBOK
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/11/05 04:53 UTC 版)
PMBOK(Project Management Body of Knowledge、頭字語として「ピンボック」と読まれることがある)は、プロジェクトマネジメントの知識体系を指す。その全体と、主要な知識・実務を取り上げた書籍『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド』(英語: A Guide to the Project Management Body of Knowledge、略称:PMBOKガイド、PMBOK Guide)は区別される。ガイドはプロジェクトマネジメント協会(PMI)が発行している。[1]
概要
PMBOKガイドは、プロジェクトに関わる人々の間で用語や実務を共有するための共通の枠組みとしてまとめられている。初版では、広く認められた知識や実務を扱う一方、それらをあらゆるプロジェクトに一様に適用することを意味しないと説明されている。何をどこまで用いるかは、対象となるプロジェクトに応じて判断する。[1]
PMBOKガイドは、広く認められた知識と実務を整理したガイドである。[1]また、建設、製造、ソフトウェア開発などを含む幅広いプロジェクトに適用できるプロジェクトマネジメントの基盤を提供する[2]。
PMBOKガイドはプロジェクトマネジメントの専門用語とガイドラインを提供する書籍である。PMIが監修し、英語版のほか、アラビア語・中国語・フランス語・ドイツ語・ヒンディー語・イタリア語・日本語・朝鮮語・ポルトガル語・ロシア語・スペイン語で発行している。第8版の英語版は2025年11月に刊行された[3]。
歴史
成立と標準化
PMBOKの成立には、プロジェクトマネジメントを専門職として位置付けるため、共通の知識、倫理、教育・資格の基準を整備するという背景があった。PMIは1981年に倫理・標準・認定に関する検討を承認し、1983年にその特別報告を発表した。報告に含まれた知識体系は、その後の検討を経て、1987年に独立した文書として刊行された。[1]
1996年には、体系の名称自体と、それを紹介する書籍を区別する『A Guide to the Project Management Body of Knowledge』が刊行された。序文は、プロジェクトマネジメントの知識全体を一冊に収めることはできないため、書名を知識体系そのものではなく、その「ガイド」としたと説明している。[1]1999年9月には、PMBOKガイドが米国国家規格協会(ANSI)により米国国家規格として承認された。[4]
改訂の展開
2000年に第2版が出版された。2004年には大幅な変更を加えた第3版が出版された。2008年12月31日には第4版の英語版が出版され、他言語版は2009年の後半に出版された。2013年1月には第5版(英語版)、2017年9月には第6版(英語版)[5]、2021年に第7版(英語版)が出版された[6]。
2025年11月には第8版の英語版が刊行された[3]。
| 英語版刊行年 | 版 | 構成・特徴 |
|---|---|---|
| 1996 | 初版 / First edition | 知識体系全体と、それを扱うガイドを区別[1] |
| 2000 | 第2版 / Second edition | 39プロセス[7] |
| 2004 | 第3版 / Third edition | 44プロセス[8][7] |
| 2008 | 第4版 / Fourth edition | 2008年12月刊行の英語版[9] |
| 2013 | 第5版 / Fifth edition | 2013年1月刊行の英語版[10] |
| 2017 | 第6版 / Sixth edition | 5プロセス群・10知識エリア・49プロセス[11] |
| 2021 | 第7版 / Seventh edition | 12原理・原則・8パフォーマンス領域[12] |
| 2025 | 第8版 / Eighth edition | 6原則・7パフォーマンス領域・40プロセス[13] |
刊行年の分布を以下に示す。点は刊行時点であり、各版の有効期間を表すものではない。
日本での参照
日本の行政では、建設省が1998年12月に公共事業へのプロジェクトマネジメントシステム導入の検討を発表した。そこでは品質・費用・工程などの関係を調整し、事業全体を管理するという考え方が示され、参考資料でPMBOKの管理要素と統合マネジメントが紹介されている。[14]
産業界では、情報サービス産業協会(JISA)が2013年の解説で、日本の情報サービス業界にもPMBOKを基にしたプロジェクトマネジメント手法が多く取り入れられていると述べている。[15]人材育成の面では、情報処理推進機構(IPA)が公開するITスキル標準対応の研修ロードマップにおいて、知識項目を整理する際に参照する知識体系の一つとしてPMBOKが挙げられている。[16]
デジタル庁は、2024年の政府情報システムに関する標準ガイドライン群の改定説明で、PMBOKガイド第7版でも扱われるテーラリングが一般的になっていることを挙げ、プロジェクトの特性に応じて管理方法や成果物を調整する考え方を示した。[17]
位置付けと利用
共通言語と専門職の知識体系
PMBOKガイドの役割には、管理の技法を集めることに加え、関係者が共通の用語で計画・実行・問題を議論できるようにすることがある。1996年版は、職業資格の認定や教育課程のための基本的な枠組みとしての用途も示していた。[1]Morrisらの研究は、1970年代以降に専門職団体が整備した知識体系と資格認定制度を、プロジェクトマネジメントの専門職化という観点から検討している。同時に、専門職を固有の知識体系で定義することや、資格認定の価値をめぐる問題も論じている。[18]
PMIによるプロジェクトマネジメント・プロフェッショナル(PMP)は個人を対象とした資格であり、PMBOKガイドという書籍とは区別される。PMP試験の範囲は試験内容の概要(Examination Content Outline)に定められ、PMBOKガイドやアジャイル実務ガイドなどは、その理解を支える参照資料に位置付けられている。[19]
適用とテーラリング
PMBOKガイドは、すべてのプロジェクトに同一の手順や文書を課すものではない。第7版で説明されるテーラリングは、予測型、適応型、ハイブリッドなどの開発アプローチを選び、組織の要件やプロジェクトの規模・重要性などに応じてプロセスや実務を調整し、実施中も見直すことを含む。[20]第8版でも、プロセスの指針は一律の手順を規定するものとしてではなく、状況に応じて用いるものとして再導入されている。[3]
評価と理論的検討
KoskelaとHowellは2002年の研究で、当時のPMBOKガイドに読み取れる計画・実行・統制の理論的前提を検討し、作業の指示だけでなく双方向のコミュニケーションや実行者のコミットメント、逸脱の原因を学習して改善する過程を重視すべきだと論じた。これは1996年版を参照した理論研究である。[21]
山崎秀夫は2006年、日本の電子政府にPMBOKやEAなどの手法が取り入れられる一方、要求仕様の整理、関係者との情報共有、主体的な管理と監視、利用者が参加する検証などの基本動作を定着させる必要があると論じた。[22]
他の知識体系との関係
プロジェクトマネジメントの知識体系や標準はPMBOKだけではない。Crawfordらは各国の主要な標準を比較し、用語や強調される内容に相違があることを指摘している。[23]
日本で開発されたP2M(Project & Program Management)は、個別プロジェクトの管理と、複数のプロジェクトを組み合わせて使命や戦略を実現するプログラムマネジメントを扱う知識体系である。経済産業省の委託事業としてエンジニアリング振興協会が開発し、2001年にガイドブックが刊行された。[24]日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)は、その特色として、価値創造を目指し、構想から実行・事業運営までを結び付けるプログラムの考え方を説明している。[25]
内容
PMBOKガイドは、『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド』と『プロジェクトマネジメント標準』の2部から構成されている。構成は版によって異なり、第6版までのプロセスを中心とする体系から、第7版では原理・原則とパフォーマンス領域を中心とする体系へ移行した[12]。第8版ではこの構成を引き継ぎつつ、原則と領域を再編し、プロセスの指針を再び取り入れている[3]。
体系を構成する概念
プロジェクトのライフサイクルと、プロセス群は異なる区分である。ライフサイクルのフェーズは、例えば設計、構築、試験といった成果物や作業のまとまりを表す。一方、立上げ、計画、実行、監視・コントロール、終結というプロセス群は管理活動の分類であり、フェーズそのものではない。[26]
第6版の「知識エリア」は、スコープ、スケジュール、コストなど、管理する観点による分類である。同じプロセスをプロセス群と知識エリアの二つの軸で整理する構成になっている。[11]第7版以降では原理・原則とパフォーマンス領域が構成の中心となり、版によって分類やプロセスの扱いが異なる。[12][13]
第6版では49のプロセスを5つのプロセス群と10の知識エリアに分類している[11]。第7版は12の原理・原則と8つのプロジェクト・パフォーマンス領域を示している[12]。第8版では6つの原則と7つのプロジェクトマネジメント・パフォーマンス領域に再構成され、40のプロセスが示されている[13]。
PMBOKガイド第8版
第8版は、第7版の原則とパフォーマンス領域を基礎とし、6つの原則と7つのパフォーマンス領域に整理されている。プロセスについての指針も再び取り入れられているが、一律に手順を規定するものではない[3]。PMI日本支部は、従来のプロセス群が「重点分野」として再導入され、7つの領域に40のプロセスが含まれると説明している[13]。
『プロジェクトマネジメント標準』は価値実現システム、原則、プロジェクト・ライフサイクルを扱う。『PMBOKガイド』はパフォーマンス領域、テーラリング、インプットとアウトプット、ツールと技法を扱い、付属文書にはプロジェクトマネジメント・オフィス、人工知能、調達などが含まれる[13]。
価値を中心とする定義
第8版では、プロジェクトを、独自の状況のもとで価値を生み出すために行う有期の取り組みとして説明する。価値には財務的な利益だけでなく、利用者にとっての利便性、社会や環境への効果なども含まれる。投入する資源と生み出す価値を関係付け、プロジェクトを投資として捉える視点が示されている。[27]
6つの原則
6つの原則は、実務を整理するパフォーマンス領域に横断的に関わるものであり、原則と領域が一対一に対応する構成ではない。[28]英語の見出しは次のとおりである。[29]日本語は日本語デジタル先行版の各節見出しによる。[28]
| 日本語 | 英語 |
|---|---|
| ホリスティックな視点を採用する | Adopt a Holistic View |
| 価値に焦点を当てる | Focus on Value |
| プロセスと成果物に品質を組み込む | Embed Quality Into Processes and Deliverables |
| 説明責任を果たせるリーダーとなる | Be an Accountable Leader |
| すべてのプロジェクト領域に持続可能性を統合する | Integrate Sustainability Within All Project Areas |
| 権限付与された文化を構築する | Build an Empowered Culture |
日本語デジタル先行版では、「価値に焦点を当てる」は原則の一覧で「価値に注力する」とも表記されている。[28]
7つのパフォーマンス領域と5つの重点分野
パフォーマンス領域は、互いに関連する管理活動をまとめたものである。7つの領域は独立した段階ではなく、プロジェクトのライフサイクルを通して相互に影響する。[30]
| 日本語 | 英語 | プロセス数 |
|---|---|---|
| ガバナンス | Governance | 9 |
| スコープ | Scope | 6 |
| スケジュール | Schedule | 3 |
| 財務 | Finance | 4 |
| ステークホルダー | Stakeholders | 7 |
| 資源 | Resources | 5 |
| リスク | Risk | 6 |
重点分野は、立上げ(Initiating)、計画(Planning)、実行(Executing)、監視・コントロール(Monitoring and Controlling)、終結(Closing)である。これらはプロジェクトのフェーズの名称ではなく、管理活動を整理する区分である。[31][29]
40のプロセス
各プロセスは、パフォーマンス領域と重点分野の二つの軸で整理される。次表は、書籍の対応表に掲載されたプロセスを区分ごとに数えたものである。0はその区分に掲載されたプロセスがないことを表し、その場面で当該領域の活動が不要であることを意味しない。[32][33]
| 領域 | 立上げ Initiating |
計画 Planning |
実行 Executing |
監視・コントロール Monitoring and Controlling |
終結 Closing |
合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ガバナンス Governance |
1 | 2 | 3 | 2 | 1 | 9 |
| スコープ Scope |
0 | 4 | 0 | 2 | 0 | 6 |
| スケジュール Schedule |
0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 3 |
| 財務 Finance |
0 | 3 | 0 | 1 | 0 | 4 |
| ステークホルダー Stakeholders |
1 | 2 | 2 | 2 | 0 | 7 |
| 資源 Resources |
0 | 2 | 2 | 1 | 0 | 5 |
| リスク Risk |
0 | 4 | 1 | 1 | 0 | 6 |
| 合計 | 2 | 19 | 8 | 10 | 1 | 40 |
個別のプロセス名は次のとおりである。日本語はデジタル先行版の本文見出し、英語と分類はPMIドイツ支部掲載資料の一覧に対応する。[32][33]
ガバナンス(Governance)
| 日本語 | 英語 | 重点分野 |
|---|---|---|
| プロジェクトまたはフェーズの立上げ | Initiate Project or Phase | 立上げ |
| プロジェクト計画書の統合と整合 | Integrate and Align Project Plans | 計画 |
| 調達戦略の計画 | Plan Sourcing Strategy | 計画 |
| プロジェクトの実施マネジメント | Manage Project Execution | 実行 |
| 品質保証のマネジメント | Manage Quality Assurance | 実行 |
| プロジェクト知識のマネジメント | Manage Project Knowledge | 実行 |
| プロジェクト・パフォーマンスの監視・コントロール | Monitor and Control Project Performance | 監視・コントロール |
| 変更の評価と実施 | Assess and Implement Changes | 監視・コントロール |
| プロジェクトやフェーズの終結 | Close Project or Phase | 終結 |
スコープ(Scope)
| 日本語 | 英語 | 重点分野 |
|---|---|---|
| スコープ・マネジメントの計画 | Plan Scope Management | 計画 |
| 要求事項の引出しと分析 | Elicit and Analyze Requirements | 計画 |
| スコープの定義 | Define Scope | 計画 |
| スコープ構造の作成 | Develop Scope Structure | 計画 |
| スコープの監視・コントロール | Monitor and Control Scope | 監視・コントロール |
| スコープの妥当性確認 | Validate Scope | 監視・コントロール |
スケジュール(Schedule)
| 日本語 | 英語 | 重点分野 |
|---|---|---|
| スケジュール・マネジメントの計画 | Plan Schedule Management | 計画 |
| スケジュールの作成 | Develop Schedule | 計画 |
| スケジュールの監視・コントロール | Monitor and Control Schedule | 監視・コントロール |
財務(Finance)
| 日本語 | 英語 | 重点分野 |
|---|---|---|
| 財務マネジメントの計画 | Plan Financial Management | 計画 |
| コストの見積り | Estimate Costs | 計画 |
| 予算の策定 | Develop Budget | 計画 |
| 財務の監視・コントロール | Monitor and Control Finances | 監視・コントロール |
ステークホルダー(Stakeholders)
| 日本語 | 英語 | 重点分野 |
|---|---|---|
| ステークホルダーの特定 | Identify Stakeholders | 立上げ |
| ステークホルダー・エンゲージメントの計画 | Plan Stakeholder Engagement | 計画 |
| コミュニケーション・マネジメントの計画 | Plan Communications Management | 計画 |
| ステークホルダー・エンゲージメントのマネジメント | Manage Stakeholder Engagement | 実行 |
| コミュニケーションのマネジメント | Manage Communications | 実行 |
| ステークホルダー・エンゲージメントの監視 | Monitor Stakeholder Engagement | 監視・コントロール |
| コミュニケーションの監視 | Monitor Communications | 監視・コントロール |
資源(Resources)
| 日本語 | 英語 | 重点分野 |
|---|---|---|
| 資源マネジメントの計画 | Plan Resource Management | 計画 |
| 資源の見積り | Estimate Resources | 計画 |
| 資源の獲得 | Acquire Resources | 実行 |
| チームのリード | Lead the Team | 実行 |
| 資源の監視・コントロール | Monitor and Control Resourcing | 監視・コントロール |
リスク(Risk)
| 日本語 | 英語 | 重点分野 |
|---|---|---|
| リスク・マネジメントの計画 | Plan Risk Management | 計画 |
| リスクの特定 | Identify Risks | 計画 |
| リスク分析の実施 | Perform Risk Analysis | 計画 |
| リスク対応の計画 | Plan Risk Responses | 計画 |
| リスク対応策の実行 | Implement Risk Responses | 実行 |
| リスクの監視 | Monitor Risks | 監視・コントロール |
日本語デジタル先行版では、本文と一覧表の間に「予算の策定/予算の作成」「リスク対応策の実行/リスク対応の実行」などの表記差がある。[32]
人工知能の扱い
第8版は、標準本文でも生成AIによる定型作業の自動化や計画支援に言及し、付属文書X3「人工知能」(Artificial Intelligence)で導入と利用上の課題を詳述する。付属文書は、導入戦略、市場の状況、ユースケース、責任ある利用と倫理を扱う。[34][29]AIは独立したパフォーマンス領域として追加されたものではなく、既存の管理活動を支える技術として位置付けられている。[34]
AIの利用は「自動化」(Automation)、「支援」(Assistance)、「拡張」(Augmentation)に分けて説明される。定型的な処理を代替する利用から、人が出力を反復的に確認・修正する利用、複雑な判断や発想を補う利用まで、作業の複雑さと人間の関与の程度を区別している。[34]
| 管理上の対象 | 例示される用途 |
|---|---|
| ガバナンス | 報告書・議事録の作成、計画の予測分析、進捗の監視、意思決定の支援 |
| リスク | リスクの特定と評価、影響度の分析、リスクを考慮した投資評価 |
| ステークホルダー | 感情分析、相手に合わせたコミュニケーション |
| スケジュール | 動的なスケジュール調整、競合の解消、リスクの影響分析 |
付属文書は、AIの出力に含まれる偏りや誤り、プライバシー、安全性、透明性、著作権、資源消費などにも注意を向けている。出力を検証すること、意思決定について人間が説明責任を持つこと、組織の倫理指針とAI方針に従うことが論点となる。[34]
PMBOKガイド第7版
PMBOKガイドの第7版では、内容が以前のプロセス・ベースから原理・原則ベースに変更され、予測型だけでなく、適応型やハイブリッドなどの開発アプローチを扱う[12]。前半では価値実現システムと12のプロジェクトマネジメントの原理・原則を説明し、後半では8つのパフォーマンス領域を説明している[35]。プロセスを支える ITTOs(インプット、ツールと技法、アウトプット)よりも、成果のデリバリーや価値の実現を重視するようになった。
第6版以前
PMBOKガイドは第6版まではプロセスベースの体系であり、多数のプロセス(手順、処理)を実施することで目的を実現する。このアプローチは、ISO 9000、CMMI、ISO 31000(en) など、他のマネジメント標準とも同じであり、ISO 21500(en): 2012 Guidance on Project Managementと一貫している。プロセスは、プロジェクトやその局面(フェーズ)の中で、重なり合い、相互に作用する。
プロセスは以下の用語で記述される。
- インプット(ドキュメント、計画、設計など)
- ツールと技法(入力を処理するメカニズム)
- アウトプット(ドキュメント、製品など)
PMBOKガイド第6版
PMBOKガイド第6版は、49個のプロセスを、幅広いプロジェクトに適用可能な5個の基本的なプロセス群と10個の知識エリアとに分類する。
5個のプロセス群
- 立上げプロセス群: プロジェクトやフェーズを開始する認可を得ることによって、新規プロジェクトや既存プロジェクトの新しいフェーズを定義するために実行されるプロセス群。
- 計画プロセス群: プロジェクト・スコープの確定や目標の洗練、さらにプロジェクトが取り組むべき目標の達成に必要な一連の行動を規定するために必要なプロセスである。
- 実行プロセス群: プロジェクトの要求事項を満たすために、プロジェクトマネジメント計画書に定義された作業を完了すべく実施するプロセスである。
- 監視・コントロール・プロセス群: プロジェクトの進捗やパフォーマンスを追跡し、レビューし、統制し、計画の変更が必要な分野を特定し、それらの変更を開始するために必要なプロセスである。
- 終結プロセス群: プロジェクト、フェーズ、または契約を正式に完了または完結するために実施するプロセス。
10個の知識エリア
- プロジェクト・統合・マネジメント:プロジェクトマネジメント・プロセス群内の各種プロセスとプロジェクトマネジメント活動の特定、定義、結合、統一、調整等を行うために必要なプロセスおよび活動。
- プロジェクト・スコープ・マネジメント:プロジェクトを成功のうちに完了するために必要なすべての作業を含み、かつ必要な作業のみを含むことを確実にするために必要なプロセス。
- プロジェクト・スケジュール・マネジメント:プロジェクトを所定の時間で完了するようにマネジメントする上で必要なプロセスからなる。
- プロジェクト・コスト・マネジメント:プロジェクトを承認済みの予算内で完了するための、計画、見積り、予算化、資金調達、財源確保、マネジメント、およびコントロールのプロセス。
- プロジェクト・品質・マネジメント:ステークホルダーの期待を満たすために、プロジェクトとプロダクトの品質要求事項の計画、マネジメント、およびコントロールに関する組織の品質方針を組み込むプロセス。
- プロジェクト・資源・マネジメント:プロジェクトを成功裏に完了させるために必要な資源を特定し、獲得し、そしてマネジメントするプロセス。
- プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント:プロジェクト情報の計画、収集、生成、配布、保管、検索、マネジメント、コントロール、監視、そして最終的な廃棄を適時かつ適切な形で確実に行うために必要なプロセス。
- プロジェクト・リスク・マネジメント:プロジェクトに関するリスク・マネジメントの計画、特定、分析、対応計画、対応策の実行、およびリスクの監視を実施するプロセス。
- プロジェクト・調達・マネジメント:プロダクト、サービス、所産をプロジェクト・チームの外部から購入または取得するプロセス。
- プロジェクト・ステークホルダー・マネジメント:プロジェクトに影響を与えたりプロジェクトによって影響を受けたりする可能性がある個人やグループまたは組織を特定し、ステークホルダーの期待とプロジェクトへの影響力を分析し、ステークホルダーがプロジェクトの意思決定や実行に効果的に関与できるような適切なマネジメント戦略を策定するために必要なプロセス。
10個の知識エリアは、プロジェクトマネジメントを効果的に達成するために必要なプロセスを含む。
『プロセス群:実務ガイド』との関係
『プロセス群:実務ガイド』は、予測型アプローチに向けてプロジェクトマネジメントのプロセスを説明する、PMBOKガイドの姉妹書である。立上げ、計画、実行、監視・コントロール、終結の5つのプロセス群と49のプロセスを扱い、それらに関連するインプット、ツールと技法、アウトプットを説明している[36]。
拡張性
PMBOKガイドは、大半の場合に大半のプロジェクトを管理するための一般的なガイドを提供するが、分野別の公式拡張版として以下のものがある。
- ソフト開発拡張版:初版(日本語版発行済み)
- 建設拡張版(日本語版発行済み)[37]
- 政府発注拡張版:第2版(英語版のみ)
PMIは、各知識エリアを補完(詳細な定義・解説・実務への展開など)する目的で次の実務標準を発行しており、PMI日本支部から日本語版も発行している。
- ワーク・ブレークダウン・ストラクチャー (WBS) 実務標準 第2版
- プロジェクトマネジャー・コンピテンシー開発体系 (PMCDF) 第2版
- プロジェクト・リスク・マネジメント実務標準 初版
- プロジェクト・コンフィギュレーション・マネジメント実務標準 初版
- プロジェクト見積り実務標準 初版
- スケジューリング実務標準 第2版
- アーンド・バリュー・マネジメント (EVM) 実務標準 第2版
出典
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- ↑ Project Management Institute『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第8版+プロジェクトマネジメント標準』(日本語デジタル先行版)Project Management Institute、2026年、標準69–72、ガイド8–9頁。
- 1 2 3 Project Management Institute『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第8版+プロジェクトマネジメント標準』(日本語デジタル先行版)Project Management Institute、2026年、ガイド9, 17–98頁。
- 1 2 Helmut Schneider (2026年2月). “Deep Dive: PMBOK Guide 8th Edition 2025 & neue PMP ECO 2026” (PDF) (ドイツ語). PMI Germany Chapter. CPS Consulting & Projektmanagement. p. 21. 2026年11月5日閲覧。
- 1 2 3 4 Project Management Institute『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第8版+プロジェクトマネジメント標準』(日本語デジタル先行版)Project Management Institute、2026年、標準4、ガイド237–244頁。
- ↑ PMI日本支部 訳『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第7版+プロジェクトマネジメント標準』PMI日本支部、2021年。 ISBN 9784990634575。
- ↑ “プロセス群:実務ガイド”. PMI日本支部オンラインショップ. 一般社団法人PMI日本支部. 2026年11月5日閲覧。
- ↑ “PMBOKガイド 建設拡張版”. PMI日本支部. 2026年11月5日閲覧。
関連項目
基本概念と技法
知識体系・標準・方法論
- P2M
- PRINCE2 - イギリス商務局 (OGC) が開発したプロジェクトマネジメントの方法論
- Vモデル - ドイツ政府関連のソフトウェア開発工程を規定するために開発されたプロジェクトマネジメントの方法論
- 能力成熟度モデル統合 (CMMI) - 組織のプロジェクトマネジメント力を5段階評価で表した指標
- ISO 10006(en) (JIS Q 10006 - プロジェクトにおける品質マネジメントの指針)
- ISO 21500(en) (JIS Q 21500 - プロジェクトマネジメントの手引き)
- 共通フレーム (SLCP-JCF) - ITシステム開発の作業規定。プロジェクトマネジメントの視点も定義。
- Information Technology Infrastructure Library (ITIL)
団体・資格
- プロジェクトマネジメント協会 (PMI) - PMBOKの策定やPMPの資格認定などを行っている非営利団体
- プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル (PMP) - PMIによるプロジェクトマネジメントの個人資格
- プロジェクトマネージャ試験(情報処理技術者試験)
外部リンク
- PMBOKのページへのリンク