その他の新選組隊士
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前述の3つの派閥に属さない隊士達。なお、土方は第20回で行われた隊士募集で、採用された隊士(河合・松原等)は後々近藤派に属する事になると語っているが、実際は谷兄弟や大石など、近藤、土方の思惑に反して、各自勝手に行動する者も少なくない。また、武田はどの陣営にも中立である事を逆手にとって、近藤と伊東派の融和を試みた事もあるが、失敗している。 島田魁(しまだ かい) 演:照英 諸士調役兼監察。美濃出身の浪人で、旧知の永倉の推薦で入隊した。怪力の巨漢で、戊辰戦争では完全武装した永倉を片手一本で塀の上につり上げる場面が見られた。強面に似合わず人情家で、涙もろい感激家。人懐っこい性格であり、養子縁組を頼まれては断れず何度も姓が変わっている(なお、出生時の姓は「近藤」だった)。権力や地位にも全く固執せず、新選組が直参に引き立てられても当人の希望により平隊士であり続けた。普段は監察方として偵察や見張りに従事している。粛清に関わる事もある。ひとたび戦が始まると重い鎖帷子を全身にまとい大暴れする。正月には屯所のある西本願寺を訪れた子供達といっしょに遊ぶ姿も見られた。また、相撲大会に参加してふんどしが切れ、不浄負けするという一幕もあった。 『新選組!! 土方歳三 最期の一日』でも新選組の頭取として活躍するが、土方の死を知り号泣し、永井尚志に諭され、新選組を後世に語り継ぐことに誓った。晩年は西本願寺の警備を務めたと最終回で説明されている。 武田観柳斎(たけだ かんりゅうさい) 演:八嶋智人 副長助勤・五番組長。出雲国母里の出身で甲州流軍学を学んでいた。常に眼鏡をかけている。体躯にも恵まれぬゆえ学問や参謀で身を立てようと、浪士組が新選組と名を改めてからの隊士募集で入隊。剣技には秀でていないものの池田屋事件では、宮部一派の拠点の襲撃を提案し、戦闘では近藤隊に属して参加した。軍師として池田屋事件をはじめ数々の局面で近藤を支え続けるも、自信過剰な性格で人望に薄い。しかし近藤をはじめ、新選組の為に頑張っている武田の努力を認めている人間も少なくなく、武田を快く思っていなかった土方でさえも、新選組に対する思いを聞いたときは否定しなかった。何かと自分の手柄を強調することが多く、「軍師ですから」「私が〜」が口癖である。 甲州流軍学が時代に遅れつつあることを感じ取り、最先端の西洋軍学を学ぼうと隊費を管理していた河合から50両借りたが、そのことが河合耆三郎切腹の原因となってしまう。これで評判を落とした武田は、直参取り立ての際に兵学師範であるということから他の副長助勤より格上の見廻組肝煎格への内示を受けるが、永倉、原田からは日頃の行いが悪く河合を切腹させた原因として不満だと異論が出た。そのため他の副長助勤と同格で納得するよう近藤に説得されるが、激怒して直参取り立てそのものを返上する。そして直参取り立てに不満な茨木、佐野、中村、富川らを御陵衛士へ参加するよう勧め、武田は話をつけに御陵衛士の元へ向かうが加納に参加を断られて立場の悪くなった四人が切腹してしまい、その事で新選組の隊士に尚更疎まれて居づらくなり、出奔。西洋軍学書を手土産に御陵衛士に参加しようとするが、伊東は既に西洋軍学書を手に入れており、しまいには「西洋軍学書を横取りして邪魔をした人間」として裏目に出てしまい伊東にはすげなく断られる。薩摩藩に縋ろうとするが、会津の軍事機密を持ってくるように西郷吉之助に言われる。行き場を無くしているところ、土方と沖田に隊に連れ戻される。本人は半ば自棄気味に切腹する覚悟は出来ていると嘯くが、近藤からは切腹を命じられることはなく、「自分のせいで死んだ者達の為にも生きる事で償え」「もう一度這い上がって来い」と諭され生き続けることを命じられる。改心して平隊士からやり直す決意をしたが、自分が恨みを買っていると自覚しているがゆえに、嫌がらせをされぬよう相部屋ではなく個室を所望した。しかしその直後、屯所を抜け出して河合の墓参に行ったのを沖田に見つかり、事情を話したことで見逃してもらうが、そのすぐ後に脱走と決めつけて追って来た大石鍬次郎らに背後から急襲され、落命する。 改心した矢先での突然の死に、直前まで話をしていた沖田と信頼していた近藤が武田の死を惜しんだ。 河合耆三郎(かわい きさぶろう) 演:大倉孝二 勘定方。播磨の商家の出身。武術の才は皆無だがそろばんが得意で勘定方として隊の金銭面を支え続けた。愛想のいい人柄で、人の良いところを見つけるのが上手く、多くの人に好かれている。同郷の松原とは特に仲が良い。西洋軍学習得に熱意を燃やす武田観柳斎に兵法書の購入資金を捻出したことから、同じ本を狙っていた土方に勘定帳と隊費の数字が合わないことを詰問される。武田のことは口を割らず、親元から50両届けさせることを条件に勘弁してもらうように願い出て許されるが、親元から10日経っても50両は届かず切腹させられることになる。死への恐怖から、腹を切ろうとはしなかったが、ついに覚悟を決めた折に、介錯の谷三十郎がしくじってしまい血の海でもがいているところを沖田がとどめをさした。先述の切腹の際に往生際の悪さを見せてしまったものの、最後の最後まで武田を恨むことはなかった。親元からの金を届ける飛脚が到着したのは、皮肉にも切腹の直後だった。 山崎烝(やまざき すすむ) 演:桂吉弥 諸士調役兼監察。鍼医師の家の出身。浪士組が新選組と名を改めてからの隊士募集で入隊。三回入隊を志願してその度に断られていたが面接していた土方たちは覚えておらず、その人に覚えられにくい容貌や変装を利用して主に探索役を務める。内山彦次郎の悪事や伊東と倒幕派との密会、脱走を試みる隊士等を密かに探索する。また医術にも明るく、病に冒された沖田の病状を察知し、さらには西洋医学も学び伏見街道で御陵衛士の残党に狙撃された近藤を治療する。鳥羽・伏見の戦いで、土方、斎藤と共に不動村の屯所に戻った後、大坂へ引き揚げる途中に官兵に不意に顔を斬りつけられ重傷を負う。江戸へ向かう船の中で島田、尾関、尾形に看取られてひっそりと息を引き取った。 松原忠司(まつばら ちゅうじ) 演:甲本雅裕 四番組長。角刈りが特徴。剣術に加え関口流柔術の心得もあり、入隊時の立ち合いでは素手で斎藤を取り押さえるほどの腕前を見せる。事あるごとに「えいーやあー!!」と気合の掛け声をあげている。自分が殺した長州藩士の妻・お初を捨助が起こした祇園の火事から救うなどなにかと面倒をみている。しかし、そのことを「士道に背いた」と土方に糾弾され、本気で切腹を決意するほどに思いつめていたところ、「お礼がしたい」とお初に食事に招かれ、油断したところを刺され致命傷を負う。しかし斎藤がお初を殺そうとしたとき最後まで彼女を庇い、斎藤に斬られて絶命する。その後、葛山同様斎藤の夢の中に出現した。 尾関雅次郎(おぜき まさじろう) 演:熊面鯉 力の強さを見込まれ旗持ちを務める隊士。池田屋では屯所の守りについたが論功行賞が行われると、屯所の守備についた隊士は対象外という土方の方針により恩賞はもらえなかった。また永倉の建白書の一件では不本意ながらも永倉らと行動を共にして謹慎させられる。鳥羽・伏見の戦いでは銃弾を受けてもなお旗を振り続ける気迫を見せ、永倉率いる抜刀突撃でも先陣を切った。後に宇都宮、函館の戦いにも参戦している。 尾形俊太郎(おがた しゅんたろう) 演:飯田基祐 副長助勤。土方が十番組編成を提案した際の名簿では、後に採用された際とは異なり彼の名前が九番組長として記されていた。池田屋の論功行賞が行われたときに登場(それ以前にも近藤がつねに一筆啓上する際の回想で姿を見せている)。時勢を冷静に分析出来る人物で、山南の死後仲間達の解説役を担当することが多い。山南の遺言により新撰組の活動を詳細に記録していた。近藤の江戸帰還に同行する。近藤が流山で捕らえられたのを機に新選組に再起の道はないと隊を離脱した。新選組そのものともいうべき近藤の行く末を見届けるべく板橋の刑場に出向くがそこで(近藤を救出すべく殴りこみをかけてきた)原田左之助とばったり再会、その後、官軍兵に見つかったため2人して逃亡する。 浅野薫(あさの かおる) 演:中村俊太 諸士調役兼監察。大した実力も度胸も無いのに、功名心と自尊心だけは人一倍強い。池田屋の時には島田魁と共に見張りを担当するが、志願し近藤勇の隊に属する。しかし、斬り合いに怯えて茂みに身を隠す。論功行賞では、さしたる働きが無いまま近藤隊に所属しただけで恩賞をもらっており、一部始終を見ていた永倉が不満を抱く一因になっている。隊内部で繰り返される隊士粛清に身の危険を募らせていき、組長の一人である谷三十郎の粛清に関わったことが脱走を決める決定打となる。近藤周平をそそのかして脱走を図り、斎藤に追い詰められるが見逃され、そのまま何処かへと姿を消した。 谷三十郎(たに さんじゅうろう) 演:まいど豊 七番組長。谷三兄弟の長兄。土方があからさまに嫌悪するほどの甲高い笑い声が特徴。良家の出で槍術を学んでおり、新選組では槍術師範を受け持つ。浪士組が新選組と名を改めてから三兄弟揃って入隊した。弟である周平を近藤家の養子に出すことを近藤に持ち掛けた張本人であるが屯所移転の際、周平が近藤の養子になったことを理由に彼を個人部屋にするよう求めるも却下されて不平不満を漏らすなど、良家の出なのをいいことに横柄な態度を取る。武術の腕前も新選組内では大したものではなかったことから周囲からの信頼は低く、池田屋事件では、少数精鋭である近藤隊への所属を期待していたが、近藤や土方に「すまん、あんたじゃない」といなされ結局実現しなかった。河合が切腹することになった際の介錯を務めるも失敗、狼狽しているところを沖田が河合に止めを刺す、という武士にあるまじき醜態を晒したため、隊内で完全に孤立。その居心地の悪さを「わしの思っていた新選組とはかなりの隔たりがあった」、「そもそもこちら側から(新選組に)入ってやったんだ」と半ば逆恨み同然に新選組に見切りをつけると、弟達に脱走を持ちかけるが、近藤への恩に報いたい周平からは断られた為、仕方なく次弟である万太郎と2人で脱走を図るも山崎に察知され、先に屯所を抜け出して万太郎を待っていた所に斎藤、島田、浅野に捕捉される。切腹を勧められるも抵抗し、斎藤に槍で挑むも一太刀で切り捨てられる。新選組の体裁のために死因は見回り中に不逞浪士に切られたと島田によって偽装された。死後、土方からは「家柄がいいことに局長に取り入り、いい思いをしようとしたつまらん奴」と扱き下ろされている。 谷万太郎(たに まんたろう) 演:若松力 谷三兄弟の次男。池田屋事件では弟の昌武と共に近藤隊に所属し、池田屋の玄関先で死闘を繰り広げた。兄の三十郎と共に脱走を図るが、その際に半ば身勝手な理由で隊を抜ける事には若干の躊躇する様子を見せていた。その後、三十郎が殺された現場には姿を見せることなく逃亡した。 谷周平(たに しゅうへい) (谷昌武→近藤周平→谷周平) 演:浅利陽介 谷三兄弟の末弟。長兄に無理矢理参加させられる形で入隊。当初の名は谷昌武で、のち近藤勇の養子となる。池田屋の時には近藤勇隊に属していたが、近藤の命により別働隊の土方、松原に浪士たちが集結していることを知らせる。周囲からの過剰な期待とは裏腹に当人は常にその重圧に苦悩しており、長兄三十郎から脱走を提案された際にはそれを断るも、その後、兄達がいなくなった事で周囲からの重圧や嫌がらせが更に増長する事となり、苦悩の末、浅野薫の脱走計画に半ば無理やりとはいえ参加してしまった事で近藤、沖田の怒りを買い、井上の必死の嘆願のおかげで切腹は免れたものの、養子縁組はいったん取り消しとなり、もとの谷姓に戻される。 それでも近藤家の跡取りにふさわしい男たらんと勉学、剣の稽古に励む彼を勇は最後は「近藤周平」と呼んだ。鳥羽伏見の戦いにも参加するが、官軍の猛攻を前に逃げ遅れ、結果的に井上が戦死する一因を作ってしまう。流山で勇の薦めによって隊を離れた。この時、彼を思う勇から「命を惜しめ」という、士道とは正反対のいたわりの言葉を与えられた。 大石鍬次郎(おおいし くわじろう) 演:根本慎太郎 若手で一番の人斬りである隊士。近藤と同じ多摩の出身で、本人は「腕だけを頼りに新選組に入った」と豪語するが、浅野曰く「思いっきり縁故で(新選組)に入っている」と評される。新選組の中でも特に過激な性格の持ち主で、新選組に仇なす者は誰であろうとも決して容赦せず、また一度でも新選組に対する反逆や、それをうかがわせる不穏な行動をとった者に対しても、如何なる理由があっても許さない程の疑心暗鬼と猜疑心の塊。それ故に血の気が多く、思い込みなどから暴走行為や軽率な行動に走りやすい危険な一面もある。 近藤の懐の深さを前に改心した武田や、同じく近藤と和解した伊東を、それぞれ独断で暗殺する等、結果的に近藤の想いを水泡に帰し、新選組に混乱や災厄を齎す騒動を度々起こしているが、本人はそれらの行動が新選組の為であると疑いもしない。 また、周平を身内の七光りと見下し、ことあるごとにいじめていたが、剣の試合で敗れて和解した。 葛山武八郎(かづらやま ぶはちろう) 演:平畠啓史 諸士調役兼監察。池田屋事件の前に入隊。池田屋では、浪士と交戦し、追い詰められるが斎藤に救われている。さしたる理由もなく入隊した地味な男だが一方で読みが鋭く、建白書騒動では、隠密で行動したにもかかわらず近藤が事前に察知して登城していた状況から「建白書を出した一派の中に間者(斎藤)が潜んでいたのでは」と疑っていた。山南曰く「筆が立つ男」。永倉との掛け合いが多い。山南に頼まれ、永倉らが松平容保に提出した建白書を起草する。その一件で謹慎していたが、近藤が江戸に戻り、山南が外出している間に建白書を起草したことを理由に土方に切腹させられる。その際、斎藤が土方に顛末を密告していたことを悟り、「裏切り者!」と叫んで絶命する。その後、斎藤の夢の中に出現。以後、斎藤はしばらくこの事に苛まれる事になる。また、この騒動が、山南が脱走へと至る決定的なきっかけとなってしまった。 安藤早太郎(あんどう はやたろう)・新田革左衛門(にった かくざえもん) 演:河西祐樹(安藤)・赤堀二英(新田) 史実では、副長助勤であり野口が切腹する際の介錯を務めている。池田屋事件にて近藤勇の隊に所属するも、深手を負いその後亡くなる。 奥沢栄助(おくざわ えいすけ) 演:松島圭二朗 池田屋事件にて近藤勇の隊に所属し戦死する。 茨木司(いばらき つかさ)・佐野七五三之助(さの しめのすけ)・中村五郎(なかむら ごろう)・富川十郎(とみかわ じゅうろう) 演:大塚幸太(茨木)・安藤聖(佐野)・鈴木慶太(中村)・長倉正和(富川) 新選組隊士の直参取り立てに不満を持ち、武田に唆され御陵衛士に参加しようとするが断られ、京都守護職屋敷で自害する。 箱館新選組(新選組!! 土方歳三 最期の一日オリジナルキャラのみ記載) 相馬主計(そうま かずえ) 演:小橋賢児 市村鉄之助(いちむら てつのすけ) 演:池松壮亮 蟻通勘吾(ありどおし かんご) 演:山崎樹範 山野八十八(やまの やそはち) 演:鳥羽潤
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