排他的経済水域
「排他的経済水域」とは、国連海洋法条約に基づき天然資源の探査や経済活動・海洋の科学的調査・海洋環境の保全などについて領海基線から200海里以内で設定できる水域のことを意味する表現。
日本の排他的経済水域
日本の排他的経済水域は、約447万平方キロメートルとなっており、国土面積の38万平方キロメートルの約12倍に相当し、この排他的経済水域の広さは世界で第6位である。排他的経済水域と領海の違い
領海とは領土の沿岸から12海里までの海域を指し、その国が治めることができる領域における海の部分に相当する。 領海内は国の範囲となるため、政治や経済・軍事などあらゆる点で、他国に支配されない主権を持つが、他国の船舶も平和や安全を害さない限り通航することが可能となっている。 一方で、排他的経済水域とは、海岸線から200海里以内の水域のうち領海を除いた部分に相当する。 排他的経済水域自体は、領域の外側に位置するが、天然資源の開発や人工島などの構築物の設置および利用、また海洋の調査や環境保護などの権利が認められている。排他的経済水域に他国が侵入した場合
排他的経済水域に他国の船舶が侵入した場合、安全に沖合を通過することは問題はない。これは「領海」であっても同様である。 しかしながら、排他的経済水域は自国が経済活動を行う主権を持つため、外国船が排他的経済水域のなかで漁業を営んだり、資源の探査活動・海洋の科学的調査などを行ったりする場合は、沿岸国の許可が必要な場合がある。排他的経済水域にミサイルが着弾した場合国際法上問題か?
沿岸国は領海内では「主権」を持つ一方で、排他的経済水域では国連海洋法条約上「主権的権利」のみを有することになっている。 このため、排他的経済水域では「主権」を行使することはできす、また、国連海洋法条約上の「主権的権利」の定義も必ずしも明確ではない。 しかしながら、排他的経済水域で沿岸国は経済的主権を持つため、この経済活動が脅かされるような場合は国際法上問題となりうる可能性がある。 また、国連海洋法条約上では、排他的経済水域内で軍事演習などを実施する際には「沿岸国の権利及び義務に妥当な考慮を払う」ことが求められているため、この観点から問題となることもあり得る。 あるいは、他国が何かしらの要求を行いつつその要求を受け入れさせることを目的としてミサイルを発射するような場合は、国連憲章にて規定されている「武力による威嚇」に該当し、この場合も国際法上問題となる可能性がありうる。イー‐イー‐ゼット【EEZ】
読み方:いーいーぜっと
排他的経済水域
【英】: exclusive economic zone
略語: EEZ
排他的経済水域は、領海の外側に領海の基線から測って 200 海里までの距離内に設定される水域である。 沿岸国は、排他的経済水域において、(1) 上部水域、海底およびその下の生物・非生物資源の探査、開発、保存および管理のための主権的権利、並びにこの水域の経済的な探査と開発のための他の活動に関する主権的権利、(2) 人工島、設備および構築物の設置と利用、海洋の科学的調査並びに海洋環境の保護と保全について条約で定める管轄権、(3) 条約に定める他の権利、を行使する。他方、すべての国は、航行と上空飛行の自由、海底電線・パイプライン敷設の自由、並びにこれらの自由に関連する他の国際的に適法な海洋使用の自由を享受し、また、排他的経済水域の制度と抵触しないかぎり、公海に関する国際法の規則もこの水域に適用される。沿岸国は、この水域における生物資源の保存と最適利用を促進する。そのため、沿岸国は、この水域の生物資源の漁獲可能量を決定し、自国がこれに達する漁獲能力を有しない場合には、余剰分について他国に漁獲を認めなければならない。漁獲を行う他国民は、沿岸国が定める保存措置その他の条件を遵守しなければならない。沿岸国は、この水域の資源にかかわる法令の遵守を確保するために必要な措置をとることができる。なお、この水域の海底資源に関する沿岸国の権利は、大陸棚に関連して規定されている。 |

排他的経済水域
(EEZ から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/03 07:43 UTC 版)
排他的経済水域(はいたてきけいざいすいいき、英: Exclusive Economic Zone; EEZ、仏: Zone économique exclusive, ZEE、独: Ausschließliche Wirtschaftszone, AWZ)とは、海洋法に関する国際連合条約に基づいて設定される、天然資源及び自然エネルギーに関する「主権的権利」、並びに人工島・施設の設置、環境保護・保全、海洋科学調査に関する「管轄権」が及ぶ水域のことを示す。
- ^ 東シナ海における資源開発に関する我が国の法的立場_外務省
- ^ 「ミャンマーとバングラデシュの領海問題 国際海洋法裁判所「大陸棚の境界は中間線を基本」、FNNニュース、2012年3月15日
- ^ a b “沖ノ鳥島を基点とする大陸棚限界延長申請への勧告 ― 国連大陸棚限界委員会の審査手続と中国・韓国の口上書 ―”. 国立国会図書館デジタルコレクション. 国立国会図書館. 2023年5月7日 17:57閲覧。
- ^ “南シナ海、中国の主張認めず=「九段線」に法的根拠なし-初の司法判断・仲裁裁判所”. 時事通信 (2016年7月13日). 2016年7月13日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “南シナ海問題 仲裁裁判、フィリピンのねらい”. 時事ドットコムニュース (NHK). (2016年7月11日). オリジナルの2016年7月12日時点におけるアーカイブ。 2016年7月14日閲覧。
- ^ "all of the high-tide features in the Spratly Islands (including, for example, Itu Aba, Thitu, West York Island, Spratly Island, North-East Cay, South-West Cay) are legally “rocks” that do not generate an exclusive economic zone or continental shelf." : page 10
“THE SOUTH CHINA SEA ARBITRATION”. The Hague Justice Portal (2016年7月12日). 2016年7月14日閲覧。 - ^ Sea Around Us – Fisheries, Ecosystems and Biodiversity, Sea Around Us 2017年4月1日閲覧。
- ^ “海面上昇してもEEZは現在のままで…政府が各国に採用呼びかけ、太平洋島嶼国との連携狙う”. 読売新聞オンライン (2023年10月3日). 2023年10月3日閲覧。
- ^ INC, SANKEI DIGITAL (2018年9月3日). “【国際情勢分析】カスピ海は湖か? 海か? 20年越しの論争が決着 権益めぐりイランが譲歩、背景に米の圧力(1/4ページ)”. 産経ニュース. 2023年10月3日閲覧。
- ^ “イラン:カスピ海の法的地位協定に署名”. 公益財団法人 中東調査会. 2023年10月3日閲覧。
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