『明解国語辞典』以降
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明解国語辞典 三省堂(1943年〔初版〕、1952年改訂版)金田一京助〔編・監修〕、小型『小辞林』を基に現代語を中心に編纂。現代の小型国語辞典の嚆矢。改訂版は表記欄の見出し漢字に当用漢字表・音訓表の表内字=表内音訓・表外字・表外音訓の印を付け、後発の辞書がそれにならった。1997年に初版の復刻版が刊行された。 言林 全国書房(1949年)新村出1961年に小学館から新版。 ローマ字で引く国語新辞典 研究社(1952年)福原麟太郎・山岸徳平、小型一語一語に英訳を付記。2010年復刻版。 辞海 三省堂(1952年)金田一京助研究者、国語教師などから高く評価されたが、実際の販売は好調とは言えず、改訂されることなく品切れとなった。1974年新装。 広辞苑 岩波書店(1955年〔第1版〕、2018年第7版)新村出、中型敗戦と国語改革を経た後、初めて出版された百科兼用の中型国語辞典。広く支持され、代表的な国語辞典と見なされるなどベストセラーとなる。第3版で国語辞書としていち早くCD-ROM版が開発された。以降、さまざまな形態のデジタル版がある。 例解国語辞典 中教出版(1956年)時枝誠記、小型語釈・用例について評価が高い。ほぼすべての項目に用例(作例)を付した。時枝文法による。送り仮名の付け方(1973年)を付録とする増訂版がある。1977年まで版を重ねた。 角川国語辞典 角川書店(1956年〔初版〕、1969年新版) 新選国語辞典 小学館(1959年〔初版〕、2022年第10版)金田一京助・佐伯梅友・大石初太郎・野村雅昭、小型収録した語の数とその内訳を詳しく示す。巻末の「漢字解説」は熟語を構成する漢字の意味を知るのに役立つ。 新言海 日本書院(1959年)大槻文彦〔著〕大槻茂雄〔補〕、小型『言海』の現代版として編まれた辞典。 三省堂国語辞典 三省堂(1960年〔初版〕、2022年第8版)見坊豪紀・市川孝・飛田良文・山崎誠・飯間浩明・塩田雄大、小型新しく定着しつつある言葉を見逃さず取り入れることでは他の追随を許さない。見坊は、この辞書の編纂のために生涯に約140万語に及ぶ現代語の採集カードを作った。語釈は平易な言葉を使い簡潔。第7版にはプロ野球3球団仕様がある。第8版では仮名見出しにアクセントを加えるなど全面改訂を行った。第7版以降にはモバイルアプリケーションがある。 旺文社国語辞典 旺文社(1960年〔初版〕、2013年第11版)山口明穂・和田利政・池田和臣ほか、小型日常生活に必要な語をはじめ、科学技術・情報・医学などの最新語、和歌(百人一首・現代短歌)・現代俳句や、人名・地名・作品名などの固有名詞、故事ことわざ・慣用句を豊富に収録。常用漢字・人名用漢字はすべて見出しとして収載。 岩波国語辞典 岩波書店(1963年〔第1版〕、2019年第8版)西尾実・岩淵悦太郎・水谷静夫・柏野和佳子・星野和子・丸山直子、小型スマートな語釈に定評があり、例えば「右」の語釈に「この辞典を開いて読む時、偶数ページのある側を言う」とあるのは秀逸とされる。単漢字を造語成分とみて「漢字母」項目として立項する。第7版以降にモバイルアプリケーションがある。Googleで第7版新版の語釈が表示されることがある。 新潮国語辞典 新潮社(1965年〔初版〕、1995年第2版)山田俊雄・築島裕・小林芳規・白藤禮幸、小型現代語、古語をあわせ収める。字音語に対する仮名見出しを片仮名にする。多くの語に用例と出典を示す。 新明解国語辞典 三省堂(1972年〔初版〕、2020年第8版)山田忠雄・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之、小型主幹・山田の個性を反映した独特の語釈で人気がある。ある動詞がどのような助詞を取るかなどについての情報も詳しい。 日本国語大辞典 小学館(1972年〜1976年〔第1版〕、2000年〜2002年第2版)、大型松井栄一が中心となり、ほとんど学界総がかりで編集に当たる。第1版は全20巻、後に縮刷版全10巻で語数は約45万語。第2版は全13巻で語数は約50万語になった。現存するあらゆる日本語の文献を視野に用例を取り、最古例・主要例を示す。第2版は有料オンライン辞書・事典検索サイトジャパンナレッジのコンテンツの一つ。 角川国語中辞典 角川書店(1973年)時枝誠記・吉田精一、中型現代語を先に記述する方式を採った最初の辞書。見出し語数は約15万語。1982年に見出し語数5000語程度の増加をもって『角川国語大辞典』を出版する。 学研国語大辞典 学習研究社(1978年〔初版〕、1988年第2版)金田一春彦・池田弥三郎中辞典ながら百科項目を排し、国語辞典に徹する。用例は近現代の実例が多い。 新潮現代国語辞典 新潮社(1985年〔初版〕、2000年第2版)山田俊雄・築島裕・白藤禮幸・奥田勲、小型漢語に強い。字音語に対する仮名見出しを片仮名にする。近現代の文学作品から用例を多く採り、実例を示す。 現代国語例解辞典 小学館(1985年〔第1版〕、2016年第5版)林巨樹〔監修〕、小型『日本国語大辞典』の成果を踏まえて編まれた小型国語辞典。類語の違いを他の言葉との組み合わせによる適否で示す類語対比表、可能な表記より一般的な表記を重視することに特徴がある。 国語大辞典 言泉 小学館(1986年)林大〔監修〕、中型『日本国語大辞典』をベースとしていることが特徴。他の『言泉』との関連はない。 大辞林 三省堂(1988年〔初版〕、2019年第4版)松村明、中型『広辞林』の改訂では『広辞苑』に対抗できないと認識した三省堂が、倒産をはさんだ28年間をかけて編纂した。語釈を、現代広く使われているものから順に記すなど、現代語主義を採る。インターネット上で第2版、第3版が提供された。第3版・第4版にはモバイルアプリケーションがある。 日本語大辞典 講談社(1989年〔初版〕、1995年第2版)梅棹忠夫・金田一春彦〔監修〕、中型国語辞典と百科事典の特徴を併せ持つ。同辞典の冒頭の「序」によると、国際化が進む中での日本語の現状を、情報処理の能率も鑑みながら、日本語の歴史的な背景も視野に入れ、将来を含めて考察するための材料を提供することを目的とする。 集英社国語辞典 集英社(1993年〔初版〕、2012年第3版)森岡健二・徳川宗賢・川端善明・中村明・星野晃一、中型に近い小型語数は約9万4000語。この規模の辞書では初めて横組み版も発売された(第2版まで)。文法項目の用例に分かりやすい唱歌などを用いている。一般語にNHKのアクセントを示す。 辞林21 三省堂(1993年)松村明・佐和隆光・養老孟司〔監修〕、中型横組み。語数は約15万語。百科事典、カタカナ語辞典、人名事典、地名辞典、アルファベット略語辞典、ワープロ漢字字典としての機能を併せもつ。1998年の『新辞林』は本書の改題改訂版に当たる。 角川必携国語辞典 角川書店(1995年)大野晋・田中章夫、小型間違いやすい言葉の使い分けを丁寧な解説によるコラムで紹介する。文法などの国語関連の項目を載せ、百科事典のような項目を幅広く採用している。漢字に詳しく、書き順も示すほか、古語や類義語も充実している。 大辞泉 小学館(1995年〔初版〕、2012年第2版)松村明〔監修〕、中型現代語を重視し、新聞や放送、インターネットからも広く語彙を集める。第2版は横組みで刊行された。ジャパンナレッジ、コトバンクといったウェブサイトやモバイルアプリケーションを通じて提供される『デジタル大辞泉』はかつては年3回、2022年3月時点では年2回の更新を継続し、新語・時事用語などを収録する。固有名詞の収録に特色がある。 三省堂現代新国語辞典 三省堂(1998年〔初版〕、2019年第6版)小野正弘〔編集主幹〕・市川孝ほか、小型『三省堂現代国語辞典』(1988年初版)の改題改訂。高校教科書密着型を謳い、評論文のキーワードなどを重視する。第6版では「ググる」「スクショ」などの俗語や「沼」「ギガ」などの新用法を収録し「バズる」(これも新たに立項)。 明鏡国語辞典 大修館書店(2002年〔初版〕、2020年第3版)北原保雄、小型文法項目に力を注ぎ、たとえば助詞の「が」の説明だけで1ページ以上ある。言葉の「誤用」への言及が多い。第2版以降にモバイルアプリケーションがある。 小学館日本語新辞典 小学館(2005年)松井栄一、小型類語の使い分けが詳しい。意味などがよく問題になる語について、コラムで詳述する。顔文字のような記号によって、日常語にこもる感情がプラス(称賛)かマイナス(非難)かを示す。 精選版 日本国語大辞典 小学館(2005年〜2006年)、大型『日本国語大辞典』第2版の「エッセンスを凝縮し精選」した30万項目全3巻の縮約版であると同時に、約1500語・用例約5000例の増補が施されている。モバイルアプリケーションで提供されるほかコトバンクで引くこともできる。
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