零崎
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 06:41 UTC 版)
《零崎一賊》。殺し名第三位。理由無く人を殺す「殺人鬼」。人数は20 - 25人程度。「血縁」ではなく「流血」で繋がっている異端のためか、殺し名で唯一対極となる呪い名をもたない。男性が多く、女性の零崎は希少(男性は識、女性は織が名前につく)。一賊体を一つの「家族」と見做しており、殺し名の中では珍しく、集団内の結束が非常に強い。そのため、一人の構成員を敵に回すことは一賊全体を敵に回すことと同義であり、一人が傷つけられると一賊の殺人鬼全員がその復讐に乗り出し、標的とその関係者全てを徹底的に殺戮する。そのため、少人数でありながらも殺し名の中でも最も恐れられ、忌み嫌われる存在となっている。無差別殺人を始める際は、個人によって言い回しが異なるが、「零崎を始める」と言う。面影真心の暴走により、構成員の大半が死亡した。生き残りである舞織と人識も、潤との約束により「零崎」としての活動はしていない。 零崎 人識(ぜろざき ひとしき) 零崎一賊の一員である殺人鬼で、表の世界では「汀目 俊希(みぎわめ としき)」と名乗っている。 年齢は19歳前後と推測される、5月13日(金)に「ぼく」と出会う。「ぼく」に出会う以前はこれという二つ名は無かったが、「ぼく」に「人間失格」という異名をつけられる。「ぼく」の対偶的存在。可愛らしい顔面(右頬)に刺青を彫り、右耳に三連ピアス、左耳に携帯ストラップをつけており、髪を白髪まだらに染めている。まるでこの世の混沌を全てない交ぜにしてぶち込み煮つめたような奇妙に底の無い闇が瞳の中に存在していた。身長は150cm弱で、男性としては小柄。アホ毛がある。好みのタイプは身長170センチメートル以上の背の高い女性。ナイフにも血の跡どころか血の臭いさえつけずに人を殺すことが出来、一度も返り血を浴びたことがないという触れ込み。反面、好みのタイプは殺さず、甘味が好き、犬が好きなどと、ある程度は常人と同じ感性を持っている模様。放浪癖がある。 ダガーナイフ、ドローイングナイフ、サバイバルナイフ、錠開け専用鉄具(アンチロックドブレード)など無数のナイフを所有し、衣服のあちこちに仕込んでいる。双識の話によると、幼い頃から鋭いものや尖ったものであれば何でも好きらしく、そのためにこれと言った得物を定めていない。また、数年前に「病蜘蛛(ジグザグ)」と共同戦線を張ったときに、曲絃糸を習得したが、本人は「自分向きではない」とし、使用することは少ない。射程距離は3m以内。 双識以外は家族とは思わないと言っていたが、『人間関係』では市井遊馬に匂宮出夢との関係を聞かれたとき、「家族のようなものだ」とも証言しており、後には「好きだった」とも言っている。双識以外の一賊の者も決して嫌っているわけではない。 通っていた中学校は、その周辺ではかなり名の知れた私立進学校だった。当時のクラスメイトを虐殺した出夢と殺しあったことで進学を断念することになる。その後放浪をつづけ、京都で自分探しのために連続殺人を行っている最中「ぼく」と出会う。 殺されかけた「ぼく」を度々助けたり、怪我をした「ぼく」に応急処置を施すなど、いい加減に見えて割と面倒見がいい。偶然同行した西条玉藻の事も面倒を見ていた。 父は「究極の殺人鬼」零崎零識、母は「絶対の殺人鬼」零崎機織。その間に生まれた彼は周囲から生粋の殺人鬼と考えられていたが、実際には零崎一賊の持つ殺人衝動を持ち合わせていない。しかし殺人の才能自体は高いレベルで持ち合わせていたため、「家族」の一員としてそれに合わせて零崎を続けていた。その結果、違和感を抱えたまま酷使された肉体は、精神に追いつく事が出来ず寿命を迎えようとしている。絵本園樹がこの差異を気づいていると察して以来、彼女のことを怖がっている。また、彼女によれば既に末期であるため、少しでも"殺人を行わない"終末医療を薦められていた。しかし、8年後もまだ生きている模様。 なお、『このライトノベルがすごい!2006』では男性人気キャラクターランキング6位、「このライトノベルがすごい!2007」では同ランキング3位を獲得している。 零崎 双識(ぜろざき そうしき) 零崎一賊の長兄にして特攻隊長。零崎一賊三天王の1人。異名は「自殺志願(マインドレンデル)」、「二十人目の地獄」。後者は零崎を名乗る以前から名乗っていたらしい。「大戦争」時に20歳前後であることから、『人間試験』で死亡した際は30歳前後と推測される。 針金細工のような体つきで、手足が不自然なほど長い。特別仕様の3つ揃えの背広(内側に得物をしまうポケットがある)に、銀縁眼鏡(伊達)のいで立ち。軋識、曲識からは、異名から取って「レン」と呼ばれている。人識曰く、「鋏振り回して喜んでる妹マニアの変態」。 異名と同名の「自殺志願(マインドレンデル)」という大鋏を使用する(ただし入手は大戦争より後)。彼自身もその名で認識されているが、敵味方ともに認めるほど、圧倒的に「自殺志願」を使わないときの方が強く、ブービートラップを用いたゲリラ戦術も得意。 幼少の頃にどこかから攫われてきて、長い間檻に閉じ込められていた所を「両親」に救われて以来、零崎を名乗るようになった。このため、零崎以外の名前を持たない。潤の大ファンであり、彼女の影響で大の漫画好きとなった。一賊きっての変わり者で、自称「平和主義者」「白い鳩のような男」。嫌いな言葉として「不誠実、無責任、非人情」を挙げている。特技はコサックダンスだがよほど気分がいいときにしか披露しない。 人に会うたびに「人間試験」を行い、「不合格」と判定した者を惨殺する(ただし、家族に対しては行わず、「失格」と判定する)。他方、家族思いで、弟の人識を心配して日本中を探し回ったことが多々ある。人識との会話では微妙に口調が異なる。また「妹」という存在にかなりの思い入れがあり、その他女性を過度に褒めたり、女子学生の制服や下着について熱弁を振るったりするため、正体を知るかなりの人間に変態と認識されているが、実際に会ったことのない者たちの間では、紳士的な殺人鬼として認識されている。 萩原子荻と竹取山で出会った後は、正体を知るまでメル友となる。後にある事件により死亡した。 零崎 軋識(ぜろざき きししき) 零崎一賊史上、最も荒々しく、最も容赦のない手口で、最も数多くの人を殺し、(公式の記録上では)最も長生きをした殺人鬼。零崎一賊三天王の1人。竹取山決戦時に27歳であることから、零崎壊滅時は32歳前後と推測される。 麦藁帽子に首にかけた白いタオルと、だぼだぼのズボンという牧歌的ないでたちと、肩から下げた細い竹状のバッグがトレードマーク。愛用する武器はバッグの中に収めた、釘バット(鉛を鋳造した完全一体性の凶器。バットと言うより、金属製の棍棒に近い)の「愚神礼賛(シームレスバイアス)」で、大戦争以前から使用。軋識自身はそれを一撃必殺の得物であると信仰している。異名も同じく、「愚神礼賛(シームレスバイアス)」。人識曰く、「釘バットくるくるさせてる麦藁帽子のとっぽい大将」で、人識からはそのまま「大将」、双識、曲識からは、双識同様、異名から取って「アス」と呼ばれている。 語尾に「だっちゃ」をよくつけるが、これは単なるキャラ作りらしい。元「チーム」のメンバー、「式岸 軋騎(しきぎし きしき)」という名も持っている(一賊加入より後に「チーム」に参加)。「式岸軋騎」のときは普通の口調になる(どちらかと言えばそちらが地に近いらしい)。玖渚友に心酔し、愛しているといっても過言ではないが、他の零崎にバレることを恐れており、また、彼女と家族とどちらが大切なのかということで苦悩している。なお、双識には「チーム」としての正体をある程度は見破られている様子。 友の命令を遂行していた最中、哀川潤と出会い、彼女に振り回され、石凪萌太の襲撃に怯えるなど、意外に普通の感性の持ち主であり、恐らく零崎の中で一番交流しやすい人物。 『ネコソギラジカル』より、式岸軋騎として生存している可能性があるが、「零崎」としては死んだ模様。 零崎 曲識(ぜろざき まがしき) 零崎一賊三天王の1人。かなりの長さの黒い長髪にタキシード姿のいでたち。「大戦争」時に15歳であったことから、零崎壊滅時に25歳前後と推測される。 「自殺志願」「愚神礼賛」の二枚看板に知名度で劣るが、その実力は勝るとも劣らない殺人鬼。零崎一賊の中で唯一無差別殺人を嫌い、少女しか殺さない。そこからついた異名が「少女趣味(ボルトキープ)」。当初は、双識や軋識と異なり自分の得物を持っていなかった(必要としなかった)ため、得物の名前ではない二つ名を持っていたが、後に罪口積雪によって黒いマラカスを製造してもらい、「少女趣味(ボルトキープ)」と名付けている。双識、軋識からは異名から取って「トキ」、人識からは「曲識のにーちゃん」と呼ばれている。また、戦争が大嫌いで、自分にとって嫌な状況になると真っ先に逃げることから「逃げの曲識」の異名も持つ。 音使いで、音による精神感応と衝撃波を両方を極めている。ファゴットやピアノを始め、あらゆる楽器を弾きこなすことが可能であり、自分の歌声や口笛、更には超音波に至るまで、自由自在に音を操り、相手の肉体を支配する戦法を得意とする。その戦い方から、「殺し名」というよりは「呪い名」に近いとされることもしばしば。 口癖は「悪くない」。禁欲者にして、究極のベジタリアン。双識に絶対の信頼を置いている。某道の繁華街の一角でピアノバー「クラッシュクラシック」を経営。音楽をこよなく愛しているため、人識がバンドを始めたと嘘を言った際は素直に感動するなど、思い込みが激しく、やや天然なところもある。人識によると「内臓を抉ってその小腸を身体に巻きつけるのが趣味のベジタリアン」らしい。ただし、現在のところ、作中においてそのようなシーンが描写されたことはない。 10年前の「大戦争」で、哀川潤(そのときはまだ名前がない)と対面する。その時彼女に恋をした曲識は、いつの日か彼女と再会し、彼女との約束を果たすまで少女しか殺さないという誓いを立てる(異名はこれ以降名乗るようになった)。その約束は零崎壊滅時に果たされ、死亡する。 無桐 伊織(むとう いおり) 県で1番進学率の高い私立高校に通う女子高生。17歳。4月23日生まれ。A型。 背丈は高め、目方は軽め。一年中ニット帽を被っている。普段の仕草からとても想像できないが成績はかなり優秀。部活には所属しておらず、何事にも深入りしない性格。下級生からは皮肉を込めて「舞姫」とのあだ名をつけられている。好物は豚の腎臓炒め煮。 ある出来事を境に、殺人鬼の才能が目覚めた。その才能を双識に見抜かれ、紆余曲折を経て「一賊」の仲間入りを果たし、双識から「自殺志願」を受け継ぐ。「自殺志願」を常に身に付ける事を双識に対する愛情として命を懸けて守っている。同時に名前を「零崎 舞織(ぜろざき まいおり)」に改名したが、本名を捨てていない数少ない零崎。 上述の一件の最中に、早蕨の兄弟に手首を切断されるが、罪口積雪作の義手をつけるようになる。また、常にスパッツを履き、メイクなどにもこだわるおしゃれな女子である。 〈物語〉シリーズとのコラボ作品『混物語』にも登場。零崎一賊と奇野師団の抗争の最中に奇野大地を殺害した疑惑を掛けられたことで、約束を破ったと見做され哀川潤の始末対象となり、旧老倉邸に潜伏していた。旧老倉邸を訪れた暦に顔を見られたことで彼を捕らえた。暦が冤罪を晴らすために推理をこじつけたことで潤に投降することを決め彼を解放した。久々に普通の人間に戻れた気がしたと暦に人間試験の「合格」を与えている。 零崎 零識(ぜろざき ぜろしき) 究極と呼ばれた殺人鬼。一賊の父にして、人識の実の父親。既に故人。 零崎 機織(ぜろざき はたおり) 絶対と呼ばれた殺人鬼。一賊の母にして、人識の実の母親。既に故人。 零崎 常識(ぜろざき じょうしき) 詳細不明。「寸鉄殺人(ペリルポイント)」の異名を持つ、零崎の中で最も有名な爆熱の殺人鬼。爆弾遣い。軋識や曲識、人識からは、異名から取って「リル」と呼ばれている。 零崎三天王よりも少し年上で、高笑いしながら人を殺す。人識からは「不愉快爆弾」と呼ばれる高威力の爆弾を作成し、10年前の「大戦争」においても、曲識が常識から受け取った手榴弾を所持していた。相当目立つ人物だとの噂。 想影真心や右下るれろと戦ったことがある模様で、実力はるれろ曰く、軋識よりも上らしい。 零崎壊滅時に死亡したと思われる。
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