東中央支部
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薬屋 大助(くすりや だいすけ) / “かっこう” 声 - 浅沼晋太郎 本作の主人公。特別環境保全事務局(以下、特環)東中央支部に所属している監視班 火種一号指定の同化型虫憑き。憑いている“虫”は緑色のかっこう虫(作者の岩井恭平は、ほぼ自分の想像でできた虫と語っている)。“虫”を自身の肉体や銃に同化させて、身体能力や銃の威力を大幅に上げる。 数少ない同化型の虫憑きの一人であり、本編及び外伝で特環に確認されている4人の同化型虫憑きの中では、最も古い虫憑き。 黒い髪に黒い瞳を持つ(普段は髪は寝ているが、ゴーグルをつけていると、髪は立っている)。 彼が「薬屋大助」である時と“かっこう”である時とでは、口調や態度を使い分けているため、二人が同一人物であることを知る者は、かなり少ない(二人と面識がある詩歌ですら、二人が同一人物である事実を知らない)。 能力そのものは特殊能力などに乏しく単純だがその強さは圧倒的で、「最強にして最も冷酷な虫憑き」とされている。最も多くの虫憑きを欠落者にし、敵味方問わずあらゆる虫憑きから畏怖され憎悪されている存在。特環局員中でも最強であり、成虫化した際に止められる者がいない為、特環内でも危険視されている。また戦闘だけでなく情報収集や追跡等の能力も非常に優秀。ただし物理的な攻撃手段しかないため、特殊型の“虫”を完全に殺すことはできない。 4年前に初任務で“虫”に夢を食い尽くされようとしていた“ふゆほたる”と出会い、彼女の命を救うために欠落者にする。その際に「自らの夢を決して諦めない」と約束をしている。 その圧倒的な戦闘能力と、虫憑きには容赦のない非情な性格により、味方であるはずの特環局員からでさえ「悪魔」と呼ばれ、恐れられている。しかし虫憑きを殺したことは一度もなく、“ふゆほたる”との約束や“虫”のみを標的とする自分のスタンスをひたすらに守り、憎まれる「悪魔」として振舞っているが本来は他人を気にかける優しい少年。他者を足手まといと言って一人で戦うことも、死地では自分しか生き残れないと思っての他者を守ろうとする不器用な優しさゆえのものである。その優しさゆえに自ら憎まれ役を買って出ることも多く、そのせいで(本人の意図するところではあるが)さらに多くの誤解を招いている。 利菜の監視のために高校に潜入していたが、その時期が原作とアニメとでは違う。 利菜と「詩歌の居場所になってあげて」という約束をしており、離れ離れになっている詩歌とはクリスマスの再会を約束している。 戦歴は凄まじく、茶深曰く「虫憑きをめぐる戦いの、まさにド真ん中を突っ走ってきたよーなヤツ」。しかしあまりにも長く戦い続けてきたために限界が近く、成虫化の兆候が見えており、利菜との最後の戦い以降ではそれを抑えるために力を制限し、最早全力を出せるのは一度きりとなっている。“浸父”の本体との戦いで残っていた力をすべて使い果たし倒れた後、成虫化しかけるが“ふゆほたる”により欠落者にされる。この時の“かっこう”の成虫化はアニメ版の成虫化と酷似した容姿に羽の生えた物になっている。飛行能力を手に入れたかは不明。その後ガーデンに移送途中、茶深一派により奪取され、佐藤陽子と茶深の能力で刺激を与えられ、再びアリアヴァレイを宿した姉の鮎川千晴によって、夢を取り戻し再び虫憑きとして復活させられようとしている。 一号指定の虫憑き全員と何らかの因縁がある。 夢は「自分を必要としてくれる居場所を見つける」こと。 土師 圭吾(はじ けいご) 声 - 平川大輔 特環東中央支部長。虫憑きではないが策謀に長けており、中央本部も彼を警戒している。 “かっこう”に銃を教え、自身も高い射撃技術を持ち、虫憑き相手に互角以上の戦いをするなど戦闘能力も高い。“かっこう”と“レイディー・バード”の戦闘の際に瓦礫の下敷きになり、現在は昏睡状態に陥っている。 妹の千莉を溺愛しており、妹が虫憑きであるという事実を千莉本人に秘密にし、特環西南支部には黙認させていたほど。 普段は冷静で皮肉屋だが、心の中は熱いものを持っている。特に肉親を裏切ったり利用するようなことを決して許さない。未来ある子供たちの夢を食いつぶす虫を激しく憎んでおり、中央本部とは違って“始まりの三匹”を滅ぼそうとしている。その手段を選ばないやり方によって敵味方問わず殆どの虫憑きから“かっこう”と並んで嫌われているが、虫憑きを恐れていないため“かっこう”とは相棒と言える関係にある。 物語が始まる以前から“始まりの三匹”を滅ぼすために様々な策謀を巡らせていたようで、意識不明に陥った後も彼の張り巡らせた策略が、まるで未来を予知していたかのように“かっこう”を始め、虫憑きたちを助けることとなる。 なお、原作イラスト・漫画版ではメガネをかけていないが、作中描写・アニメ版ではメガネをかけている。 五郎丸 柊子(ごろうまる とうこ) 声 - 高木礼子 意識不明の土師に代わって特環東中央支部長代理を務める女性。土師曰く「今はまだ無能な人間」。自他共に認める無能な人間で最初は本部の言いなりになっていたが、次第にリーダーシップを掴んだ行動をしている。無能とは言うが、魅車の鎖の笑みの前でも自分を失うことのない数少ない人物で、ここぞという場面では一歩も引くことなく相対することができる。 愛車はビートル、ローンがまだ残っているらしい。身なりはスーツのボタンを掛け違えたり、髪に寝癖がついていたりなど、社会人としても女性として少々問題がある。 高校時代に土師に家庭教師をしてもらったことが縁で同じ大学へ進学し、特環に就職することになった。 土師 千莉(はじ せんり) / “火巫女(ひみこ)” 異種三号の特殊型虫憑き。憑いている“虫”は火蛾で陽炎を媒体とする。能力は索敵・戦闘など多岐に渡る。無意識に他人の夢を食べる特徴がある。 土師圭吾の妹であり、中学生に大助が鴇沢町に住んでいたころは同じ家に住んでいた。そのため大助を兄のように慕っている。 生来盲目で、緒里や有夏月、純といった友人によく助けられている。盲目であることと“虫”が自分の夢を食べないことが相まって当初は自分が虫憑きであることすら認識出来ていなかった。 “始まりの三匹”に通じる特異性によって監視対象になっていたが、虫憑きであることを自覚したことによって“虫”が他人の夢を食べるということはなくなる。能力の制御法を習うために師事した“あさぎ”には優秀な生徒であると言われ、訓練を受けた後は有夏月とともに東中央支部の主要戦力となる程の力を身につけるほどの素質の持ち主。温度を感知し、多少は周囲のことを把握できるようになった。 大切な友人である有夏月が大助に対して復讐心を燃やしていることに対して心を痛めている。 ちなみに、台詞はない上に数秒だけだったが、アニメ版にも登場している。 夢は大切な人たちに「自分は大丈夫だよ」と伝えること。 緒方 有夏月(おがた あかつき) / “エフェメラ” / “月姫(かぐや)” 火種二号の分離型虫憑き。憑いている“虫”は黄金色のヒメカゲロウの“陽炎(ひえん)”。腹部の空洞から熱球を発射する。また現在唯一亜成虫化することができる“虫”であり、亜成虫化後の能力は二本の尾で周囲のエネルギーをかき集め、純粋な熱へと変換しレーザーとして射出する。攻撃に特化した決戦型の能力で破壊力は高く、加えて長い有効射程と高い連射性によって広範囲への攻撃も可能である。また実態のない特殊型にダメージを与えることも可能なようで、更には特殊型の隔離空間を破壊することもできる。 緒里と共に千莉を守ることを誓っており、鴇沢町に来た大助とは当初、千莉を守る仲間として友人になった。 元はむしばねのサウスリーダーで、スパイとして特環西南西支部に所属していた。むしばねが土師圭吾の妹である千莉を襲撃しようとしたため、千莉を守る為にむしばねを裏切る。大助が利菜の仇として探し求めていた“かっこう”だと知り、千莉を守りつつ“かっこう”を殺して利菜の仇を討つために東中央支部に移った。 長い間、利菜を救えなかった自分への後悔から、利菜を殺した“かっこう”への憎しみに囚われ、過去に縛られて前に進めずにいたが、愛恋とともに魔王を追う中で利菜の死の真相を悟り、それを受け入れて過去へ決着をつけ未来に向かって逃げずに戦い抜く覚悟をする。その中で、“かっこう”が孤独な戦いを続けていたことを知り、“かっこう”に追いつくことを心に決める。 利菜の死を受け入れてからもしばらくは“かっこう”に対する態度は冷淡なままだったが、時を経て赤牧市での戦いの際には“かっこう”への憎悪はほとんど見られなくなっただけでなく、“かっこう”排除命令に躊躇さえ見せた。 夢は「戦いをしたくない」 大蔵 倭(おおくら やまと) / “兜(かぶと)” 声 - 浜田賢二 戦闘班に所属する火種五号の分離型虫憑き。憑いている“虫”は巨大なゴホンツノカブト。巨体を活かした攻撃や、角を射出したり空を飛んだりする。また、アニメでは超音波のような攻撃も使用していた。任務の成功率が高く、多くの戦いで生き残ってきた優秀な局員である。機転がきくというよりは質実剛健なタイプ。豊富な実戦経験から、いざというときに意外なところに気がつくことがある。“かっこう”への確執などはあまり見られず、普通に接している。暴走した“かっこう”を止めるために戦った。 本名は作中に登場しておらず雑誌の特集で明らかになった。 “あさぎ”の教え子であるような描写がされている。 “まいまい” 情報班に所属する特殊型虫憑き。憑いている“虫”はカタツムリ。 自分の“虫”を仕込んだ機器を操ることができ、“虫”自体のシステムも相まって寄生型のコンピュータとも言える能力を持つ。 かつての家庭環境が影響して、左目が見えず渦巻き模様の眼帯をしている。声を発することが出来ないが、“虫”の能力でデジタル化した音声を喉に巻いた特殊なチョーカーを通して発する。 “あさぎ”の教え子。 南金山叶音(なかやま かのん) ウソつき。分離型虫憑きで、憑いている“虫”は真っ白な林檎の木。他人の“虫”を預かる代わりに、自身の一部を失う。 性別は男であるが外見は女の子そのもので、娘を欲しがっていた父親に女の子の服しか与えられなかったことも影響して女の子のような言動をしている。 ウソが下手であるが、それでもウソをつき、食べること以外は何も出来ないほど弱い。過去に「虫を消せる奇跡の力がある」とウソを付いてしまい、それを環が悪戯で触れまわったことがきっかけで、“カノン様”に“虫”を消してもらいたい者たちが集まる組織が形成され、特環やむしばねも巻き込む大きなウソとなっていく。人の名前を覚えるのが苦手の為、虫を消す順番の番号で皆を覚えていたが、集まった虫憑きたちの「夢」など、一人一人の特徴はしっかり覚えていた。 ウソがバレて組織も失った後に、欠落者となる寸前のニィを救うため、自身の身体の一部と引き換えに本当に他者の“虫”を消せる虫憑きとなる。“かっこう”に発見され、東中央支部に保護される。 その能力によって物語終盤、”始まりの三匹”を倒すうえで重要な役割を果たす。 夢は「みんなの“虫”を消して、救ってあげたい」。 喜多沢環(きたざわ たまき) / “ミミック” ウソが上手で、ウソを本当にするとまで言われる虫憑きの少女。 カノンのウソをよりリアルにするため、“カノン様”を中心とする組織を作った。虫を消す代わりにその虫憑きを欠落者にしたり、特環・むしばね・ハルキヨを敵に回しながら、カノンのウソがばれないように尽力し、最後は自分を犠牲にしてカノンに虫憑きたちの夢を託そうとした。 憑いている“虫”は不明。他者のイメージの中にある人物に化ける能力を持つ。虫憑きの能力もコピーすることができ、集めたイメージによって強さが変わる。多くのイメージを取り込んでイメージを固めることでより本人に似せていくことができるため、イメージを得る相手が対象に近しい人間であればあるほど変身の精度は上がるが、対象本人からはイメージを吸収できない。あくまでイメージのコピーであるため、イメージを収集した相手が知らない対象の個性や能力があった場合はもちろん、対象本人すら知らない能力があった場合はそれを真似ることは出来ない。 ストックは3人までと言っているが、対象が虫憑きでない場合、あるいは能力を除いて姿だけを真似ることには制限がないようにも見える。また、自分の実力より高い能力を使うと著しく消耗するという弱点がある。 ハルキヨと戦い怪我を負ったところをむしばねに救われた。カノンと合流するためにむしばねを脱走し、特環東中央支部に向かう。 “C”殲滅作戦の決死隊に兜の姿で加わる。“C”の寝所に辿り着いたものの窮地に陥った隊を生還させるため、“寝台”からレイディー・バードの夢を転送し、レイディーの姿をとる。しかし、強い思いを受け入れたために環の自我が消失して元に戻れない可能性がある。 堀崎 梓(ほりざき あずさ) / “みんみん” 声 - 田村ゆかり 戦闘班に所属する火種五号の分離型虫憑き。憑いている“虫”はセミ。鳴き声による超音波攻撃と、力をためた上での体当たりで攻撃する。鳴き声の攻撃は特殊型などに有効。土師に恋愛感情をいだいていたが裏切られ、むしばねのスパイになり、その後土師に利用され二重スパイになる。“かっこう”に欠落者にされたかのように振る舞い特環に戻り“ふゆほたる”捕獲に参加するも“ふゆほたる”に返り討ちにあい欠落者となる。 その後の特環での研究の際に一時的に“浸父”の分身となり欠落者から復活するも再び欠落者に戻る。 夢は「大きな目的を持っている人の手伝いがしたい」 高鍬 みのり(たかくわ みのり) / “なみえ” 火種五号指定の分離型虫憑き。 詳細は高鍬 みのりを参照。 高鍬 雷(たかくわ あずま) 土師の前任者である特環東中央支部長。“ふゆほたる”事件の際、東中央支部を率いてクーデターを企てたが土師と“かっこう”によって阻まれ失脚した。 高鍬家は代々国の重鎮であり、“虫”によって国が疲弊することを嫌い、クーデターを起こすことで虫憑きを世に知らしめ、外威を受け入れ“虫”を殲滅しようとした。 目的のためには手段を選ばず非情に徹し、娘であるみのりも囮にする。「虫憑きであるだけで最後には必ず排除しなければならない存在」と言い放った。 “八角(ほずみ)” 異種六号の虫憑き。“ふゆほたる”事件の際のクーデターに参加した。憑いている“虫”は甲殻の甲羅と八本の足をもつ巨大な虫。地面に潜ることができる。“かっこう”により欠落者にされた。
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