形而上学
けいじじょう‐がく〔ケイジジヤウ‐〕【形×而上学】
形而上学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/06 04:08 UTC 版)
形而上学(けいじじょうがく、英: metaphysics)は、感覚ないし経験を超え出でた世界を真実在とし、その世界の普遍的な原理について理性(延いてはロゴス)的な思惟で認識しようとする学問ないし哲学の一分野[1][注釈 1][注釈 2]。世界の根本的な成り立ちの理由(世界の根因)や、物や人間の存在の理由や意味など、感覚を超越したものについて考える[2]。対する用語は唯物論[1]。他に、実証主義や不可知論の立場から見て、客観的実在やその認識可能性を認める立場[1]や、ヘーゲル・マルクス主義の立場から見て弁証法を用いない形式的な思考方法[1]。
注釈
- ^ アリストテレスは形而上学を「第一哲学」と位置づけていた。それは個別の存在者ではなく、存在するもの全般に対する考察であり、だからこそ形而上学という語は「meta」と「physics」の合成語として成り立っている。
- ^ 形而上学の「形而上」とは元来、『易経』繋辞上伝にある「形而上者謂之道 形而下者謂之器」という記述の用語であったが、明治時代に井上哲次郎がmetaphysicsの訳語として使用し広まった。中国ではもとmetaphysicsの訳語に翻訳家の厳復による「玄学」を当てることが主流であったが、日本から逆輸入される形で「形而上学」が用いられるようになった。牧田英二「中国語・日本語の漢字をめぐって―中国語のなかに移入された外来語としての日本語―」『講座日本語教育』第10号、早稲田大学語学教育研究所、1971年7月、162-169頁、NAID 120000785141。。メタフィジカについては「メタ」を参照
- ^ 印欧諸語のmetaphysics、Metaphysikなどの訳語として、日本語をはじめとする漢字文化圏では、「形而上学」を当てており、これは『易経』繋辞上伝の“形而上者謂之道、形而下者謂之器”(形よりして上なる者これを道と謂い、形よりして下なる者これを器と謂う)という表現にちなんだ造語である。印欧語のmetaには、「〜の背後に」のほかにも「〜を超えた」という意味があり、自然を規定する超越者の学という意味では(語源を表現しきれていないことを除いては)学の内容をよくあらわしている。
出典
- ^ a b c d 『岩波哲学小事典』「形而上学」の項目
- ^ 竹田青嗣著『中学生からの哲学「超」入門』ちくまプリマー新書、2009年 pp74-76
- ^ a b c d 後掲加藤
- ^ 「書評:ヴィクトル・クラーフト「ウィーン学団」-科学と形而上学」大垣俊一(関西海洋生物談話会Argonauta7:20-30.2002)[1][2]
- ^ 黒河内晋「近代産業主義の起源--フランシス・ベーコン像の再評価」『ソシオサイエンス』第6号、早稲田大学大学院社会科学研究科、2000年、263-276頁、ISSN 13458116、NAID 120000792656。
- ^ 毛沢東「矛盾論」
- ^ 唯物辩证法终将代替形而上学 ——毛泽东哲学思想浅谈
形而上学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 16:37 UTC 版)
「チャールズ・サンダース・パース」の記事における「形而上学」の解説
パースの形而上学は1878年の「自然の秩序」などにその萌芽がすでに見られるが、その輪郭がはっきりしてくるのは1884年の「デザインとチャンス」および1887-1888年の「謎への挑戦」においてである。パースの初めての体系的な形而上学の著作は、1891-1893年にかけて『モニスト』誌上に掲載された「モニスト形而上学シリーズ」(Monist Metaphysical Series) である。その内容は以下の通りである。 「理論の建築学」(The Architecture of Theories;1891) 「必然性の教説再考」(The Doctrine of Necessity Examined;1892) 「精神の法則」(The Law of Mind;1892) 「人間のガラスのような本性」(Man's Glassy Essence;1892) 「進化的愛」(Evolutionary Love;1893) また1898年に行われたケンブリッジ連続講演「推論と事物の論理」(Reasoning and the Logic of Things)も、パースの形而上学が体系的にまとまっているテクストである。以下、これらのテクストに沿ってパースの形而上学の主要な教説を概観する。
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形而上学
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「シャルトルのベルナルドゥス」の記事における「形而上学」の解説
ベルナルドゥスによれば、実在には三つの範疇がある: 神、質料、イデアである。神は至上の実在である。質料は神の創造の業によって無からもたらされ、イデアと結合することで感覚的事物の世界を構成する。イデアはそれによって世界が神意に対する永久の現在から生まれてきた元型である; イデアは摂理の世界を構成しており("in qua omnia semel et simul fecit Deus")、永遠の存在ではあるが神と共に永遠というわけではない。ソールズベリーのヨハネスによれば、質料と共に創造されたイデアのコピーである土着の形相が存在し、それが質料と結合するのだともベルナルドゥスは説いていたという。しかしながら、この問題に関してベルナルドゥスが本当に主張していたのはどういうことであったかを決定するのは難しい。彼は自身の形而上学的教説の中で多くのプラトニズム・ネオプラトニズムに特徴的な主張―イデアの居留地としての知性、宇宙霊魂、永遠の質料、不完全性の淵源たる質料など―を再生産していたのだと述べれば十分である。
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形而上学
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形而上学
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「エトムント・フッサール」の記事における「形而上学」の解説
フッサールは、近代科学と古い形而上学を厳しく批判して、生活世界を取り戻すことを主張した。そして、そのことによって近代科学を支える物理学的経験の基盤となる、感覚と理性を含む「生活世界の経験」が可能になると見た。これは、客観的存在に先立つだけでなく、これを可能にするものである。そのため、「超越論的経験」とも呼ばれる。これは、近代科学の客観性に先立つ限りで、主観的なものであるが、同時に基盤的なものである。そして、その最下層には、最も基礎的な「原事実」がある。この原事実は、世界・私・他者の存在であり、これらは絡み合って大きな歴史的存在を形作っている。これを研究・解明するのが、新しい形而上学であるとした。
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形而上学
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12世紀半ばのアリストテレスの『形而上学』の再発見の後、多くのスコラ学者(特にトマス・アクィナスとドゥンス・スコトゥス)がこの作品に対する注釈書を著した。普遍論争はこの時代に関心を惹いた主な問題の一つである。他の主題は以下: ヒュロモーフィズム(形相質料理論) - 個々のものは質料と形相からなるというアリストテレスの教義の拡張(彫像は花崗岩とそれに彫られたところの形相からなる) 存在 - 存在としての存在 因果性 - 因果性の議論はほとんどアリストテレス、中でも主に『自然学』、『天について』、『生成と消滅について』の注釈に終始した。この主題の領域に対するアプローチは中世に独特な、神にアプローチする方法とみなされた普遍の理性的研究であった。ドゥンス・スコトゥスによる神の存在証明は因果性の考えに基づいている。 個別化の原理。個別化の原理は人が何らかの与えられた類に属するものを個別化、つまり数的に区別する方法の説明である。問題は、それが同類の天使が互いに区別される方法を説明する際に生じる。天使は非物質的であり、数的な違いは彼らが別の物質でできているからというように説明できない。この議論に対する重要な貢献者はトマス・アクィナスとドゥンス・スコトゥスである
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形而上学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/26 19:32 UTC 版)
キムの形而上学研究の最大の焦点は出来事と性質にある。 キムは出来事同一説を展開させたが、最近ではそれを擁護していない。出来事同一説の立場によれば、出来事が同一と言えるのは、同じ時間同じ場所でそれが起こっており、しかも同一の性質を持っている場合に限る。例えば10本の指を振った場合、いくつかの出来事が起こる。偶数本の指を振ることや、5の倍数の数の指を振るという出来事や、10の倍数の数の指を振るという出来事もある。もっとも、この考え方に従うと出来事の数が増えすぎてしまうと批判する意見もある。 またキムの説によれば出来事は構造化されている。キムは出来事の性質例化に訴えた説明によって有名である。出来事は対象、性質、時間ないし時刻系の3つから構成されている。出来事は[x ,P, t]という演算を用いて定義される。 一つの出来事は、存在条件と同一性条件という2つの原理によって定義される。存在条件とは、「[x, P, t]が存在するのは、対象xが時間tにおいて性質Pを体現している場合であり、またその場合に限る」ということである。この条件が満たされなければ一つの出来事とは言えない。同一性条件とは、「[x, P, t]が[y, Q, t`]であるのは、x=y, P=Q, t=t`の場合であり、またその場合に限る」ということである。
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形而上学
出典:『Wiktionary』 (2021/10/20 01:22 UTC 版)
発音
名詞
翻訳
- アイルランド語: meitifisic (ga) 女性
- アルメニア語: բնազանցություն (hy), մետաֆիզիկա (hy)
- イタリア語: metafisica (it)
- イディッシュ語: מעטאפיזיק (yi) 女性
- イド語: metafiziko (io)
- インターリングア: metaphysica (ia)
- インドネシア語: metafisika (id)
- 英語: metaphysics (en)
- エスペラント: metafiziko (eo)
- オランダ語: metafysica (nl)
- カタルーニャ語: metafísica (ca) 女性
- ギリシア語: μεταφυσική (el) 女性
- クメール語: បរមត្ថវិជ្ជា (km) (pakrakmat vityea), អស្តិរូបវិជ្ជា (km) (ɑhsdə ruup viccie)
- スコットランド語: metapheisics (sco)
- スペイン語: metafísica (es) 女性
- スロヴェニア語: metafizika (sl) 女性
- スワヒリ語: metafizikia (sw)
- タガログ語: higliknayan (tl), labawsugnayan (tl)
- チェコ語: metafyzika (cs) 女性
- 中国語: 形而上學 (cmn), 形而上学 (cmn) (xíng'érshàngxué), 形上 (cmn) (xíngshàng)
- 朝鮮語: 형이상학 (ko) (形而上學 (ko))
- ドイツ語: Metaphysik (de) 女性
- トルコ語: metafizik (tr), mabaduttabiyye (tr)
- ノルウェー語: metafysikk (no)
- ハンガリー語: metafizika (hu)
- フィンランド語: metafysiikka (fi)
- ブルガリア語: метафизика (bg) (metafízika) 女性
- ベトナム語: siêu hình học (vi)
- ポーランド語: metafizyka (pl) 女性
- ポルトガル語: metafísica (pt) 女性
- マケドニア語: метафизика (mk) (metafízika) 女性
- ラテン語: metaphysica (la) 女性
- ラトヴィア語: metafizika (lv) 女性
- ロシア語: метафизика (ru) 女性
「 形而上学」の例文・使い方・用例・文例
- ドイツの形而上学者
- 形而上学
- 形而上学的な方法で
- 彼は形而上学的に考える
- 深い形而上学の理論
- 形而上学の性質に関連する、または、それの
- 論理と形而上学と倫理と詩学と政治学と自然科学を扱うアリストテレスの哲学
- 基本原理と神学は、底辺に数学があり上部に社会学のある科学の階層によって形而上学と神学が置き換えられるべきであるというオーギュスト・コントの実証主義の哲学
- 存在と存在の本質の形而上学的研究
- 宇宙の起源と自然の形而上学の研究
- 形而上学的質問を扱う神秘的な自然のヒンズーの後期の神聖な文字
- 哲学者と学者の17世紀の秘密結社のメンバーで、神秘論、形而上学、また、練金術の学問を教えた
- 英国の聖職者および形而上学詩人で、伝道者として賞賛される(1572年−1631年)
- 物質の特性が得られるとされる単一の形而上学的存在物
- 形而上学という学問
- 形而上学説において,宇宙の絶対的な精神
- 形而上学を研究する人
- 単子論という形而上学説
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