形而上学における第一原理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/24 08:10 UTC 版)
「第一原理」の記事における「形而上学における第一原理」の解説
互いに無矛盾な命題からなる形式論理系では、別の文を次々と推論(演繹)してゆくことができる。たとえば三段論法の有名な例として、「すべての人間は死ぬものである。ソクラテスは人間である。ゆえにソクラテスも死ぬものである。」というのがあるが、三つ目の文は前の二つから演繹されたものである。 ユークリッド幾何学では、いくつかの定義、そして公理(自明と思われる命題)がはじめに与えられる。これらが第一原理で、これから何百もの命題が演繹される。アリストテレスはこのような原理が数学のみならず、世界そのものを記述しているということを証明しようとした。それはやがて形而上学と呼ばれるようになった。 形而上学は手を尽くして第一原理を見つけ出そうと試みた。考える人は自分の知識がちゃんと理にかなっているということを知りたがり、そのためには一般に認知される第一原理が必要だったのである。 バートランド・ラッセルはすべての数学的事実を論理の中に含めようと試みた。しかしクルト・ゲーデルが、無矛盾の論理系は不完全で、完全な系は自己無矛盾ではありえないことを証明した[要出典](ゲーデルの不完全性定理)。つまり第一原理は第一原理であることを論理の内部では証明できず、外から与えるしかないのである[要出典]。ただし実際の不完全性定理が示したものは、数学用語の意味での「特定の形式体系Pにおいて決定不能な命題の存在」であり、一般的な意味での「不完全性」とは無関係である。すなわち不完全性定理以降の時代にも、数学上の意味で「完全」な理論は存在し続けているが、“不完全性定理は数学や理論の「不完全性」を証明した”というような誤解が一般社会・哲学・宗教・神学等によって広まり、誤用されている。 「不完全性定理が成立しない体系」および「ゲーデルの完全性定理」も参照
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