形而上学的段階
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/23 01:05 UTC 版)
神話による説明に代えて、合理的な人間の理性によって諸現象を説明しようとする。しかし、その説明は事物の観察にもとづくものではなく、頭のなかだけで考えた抽象的な概念による説明にとどまっている。コントはこの段階を形而上学的段階という。コントが形而上学的段階の説明として、主に念頭においているのは、これまでの授業で説明したような啓蒙主義の思想である(第2章)。 形而上学とは、経験的には知ることができない究極の原理について考える哲学のことである。コントはこの言葉を頭のなかで捏ねあげた根拠のない推論という否定的な意味でもちいている。コントによると、人間がなぜ社会をつくるのかということの説明に、人間が社会をつくる以前の自然状態を想定して議論する啓蒙時代の社会契約説は、神学的説明よりも合理的にみえるが、事実関係から遊離している点では神学的説明とそれほど変わるものではない。
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