大罪の器・魔術など
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/11 09:34 UTC 版)
「七つの大罪シリーズ」の記事における「大罪の器・魔術など」の解説
原罪者 (Original Sinner) 「イブ=ズヴェズダ」(後のイブ=ムーンリット)のこと。 エヴィリオス歴001年、彼女がとある事件を起こし、その際に「七つの大罪」全てを含んだ「原罪」が生まれた。 イブはエヴィリオス年代記初の犯罪者であり、「最悪の罪人」とも呼ばれている。 彼女自身は後に養子であるヘンゼルとグレーテルによって殺されるが、燃やされた遺骸から七つの罪(悪魔)が分かれ生まれた。この七柱の悪魔を双子が浄罪のためとして様々な形でばら撒いたことから、世界に災いをもたらすようになったとされる。 大罪の器 (Vessels of Sin) 「大罪の悪魔」を宿した七種の器物。「神の双子」がイブとアダムの身体と魂を素材に、小屋にあった家財を使って作り出した。そのせいか総じて器自体に美術的価値はさほどないとされ、中にはあからさまなガラクタさえ混じっている。これにはセト=トワイライトの作為があったためとされる。 宿る悪魔に心を委ねることによって超常的な力を発揮できるが、人格の変容など大罪に関わる様々なデメリットを発する。 悪魔は当初目的意識などを持たず、周囲に災厄をもたらすだけの存在だったが徐々に所有者に似せた人格を得るようになっていった。悪魔自体ははじめ具体的な姿を持たず心弱い人間を誘惑するに留まるが、侵食するにつれ所有者の自我を蝕み、肉体まで翼や爪の生えた異形に変容させることもある。多くの悪魔は「つまらない」が口癖のようである。 どの悪魔も共通して六枚の羽を生やしている。 基本的に「大罪の器」は専門職である魔道師か悪魔に憑かれたことのある者にしか扱えず、力も同類の悪魔でなければ打ち消せない。例外的に悪魔と契約することでその力を十全に振るうことが出来、通常の手段で致命傷を負わせようと殺すことは出来ない。この場合は悪魔じみた姿への変化も本人の意志で行える。 器に宿る悪魔こそが本体と言えるものであり、器の外に出て心弱い人間に囁き寄り憑く悪魔はいわば分身。分身は器から離されると力を損ないやがて消滅するものの、分身自体をいくら祓ったところで本体に影響を与えない。また、器自体も不変でなく悪魔本体が異なった器に移動することもある。そのため悪魔の活動を抑えるには本体が潜んでいる時に、器そのものを魔術的な方法で封ずるしか無い。 基本的には各器に対応する悪魔が宿るが、魔力による刺激を与えると悪魔を強制的に他の器に移し替えることが可能である。また一つの器に複数の悪魔を封じることも可能である。 七つ全てを集めれば願いが叶う、「死者蘇生」も行えるなどの情報が文献によっては見当たるが真相は不明。これは後にシックルにより嘘だと判明している。 大罪の器は七つとされていたが、後に「神の双子」が作った大罪の器は六つだけであり、「怠惰の器」だけが全くの別起源であることが判明する。 後に、悪魔はもともと神々の元に存在した「眷属(=セカンドピリオドの住人)」と同様のものであり、ヘンゼルとグレーテルのリバースデーによって悪魔として転生した存在であることが判明した。 悪ノPの新作小説「悪ノ物語」シリーズにおいて、セトとイブを除いた同名の5体の悪魔が登場し、エヴィリオスの大罪悪魔と称されていたが、関連性は不明である。 ヴェノム・ソード (Venom Sword) 「色欲」を象徴する蛇国様式の刀。 鞘に蛇国語が書かれているが製造されたのは蛇国ではないらしい。 所有者は貞操観念や世間体を無視し、恋愛沙汰に衝動的になる。契約者は視線を交えるだけで異性を虜にする力を手にし、刀を媒介とした記憶操作や顔を変える魔術などを行える。デメリットとして異常なほどに性欲が増大し、定期的に性交して精気を摂取しなければならない。 悪魔と化した時は翼による飛行や高い治癒力の他、両手足が歪んだ形に変化し、山羊に似た悪魔の角が生える。ただし戦闘能力という点では他の悪魔に劣る。山羊は色欲の大罪に対応する動物である。 最初は銘を持たなかったが、最初の契約者であるヴェノマニア公にちなんでアイアールによって命名された。 宿る悪魔は成人男性らしき口調をしている。 悪魔の姿は「羊」のようであるが、鳥のような二本の足を持ち、尻尾は蛇のような形をしている。また、大きな羽を二枚、小さな羽を四枚、計六枚の羽を持つ。 セカンドピリオド時代の名前はジル=ドリエ。宇宙学者であった。 終末直前、イリーナとレヴィアの空いた枠を埋めるためにMaに取り込まれる。 グラス・オブ・コンチータ (Glass of Conchita) 「悪食」を象徴するワイングラス。 大罪の器としては珍しく、美しいと評されている。悪魔に憑かれたものは異常な食欲の増大などを見せ、契約者はそれに加えてありとあらゆるものを食することが可能になる。 ベルゼニアの風土病「グーラ病」を発生させる他、それによって死亡したものを生ける屍「屍兵」として蘇らせ操る能力を持つ。 なお、これらの能力はバニカ=コンチータをモデルにした御伽話『吸血娘ヴァニカ』での記述と一致している。 宿る悪魔は赤く禍々しい豚バエムの姿を取っていたが、契約者たるバニカ=コンチータが成り代わった。彼女はグラスの中に潜みつつ、近代に至るまで生前の人格と外見を保持し続けている。その戦闘能力は傲慢に次ぐ程の力だが、バニカの気紛れな性格上契約者にその力全てを与える事は滅多にない。 また器の中には、ヘンゼルとグレーテルの魂(ヘンゼルはE.C.611年、グレーテルはE.C.505年以降)が、「サーバンツ」として存在している。 本来の悪食の悪魔のセカンドピリオド時代の名前はウラド=ツペルシ。非常に大食漢な人物であり、バイオテクノロジーの権威でもあった。 長らくバニカに取り込まれていたが、フォースピリオドが創られた時には経緯は不明ながら解放されていた。グーラ病 (Gula Illness) 悪食の器たるグラスと共に発生する奇病。 悪魔を宿したバエムの血肉を身体に取り込むことで発病し、五公「コンチータ」の家人がその犠牲となった。罹患者は絶え間無い食欲に襲われるが、手近に食物が存在しない場合は草や鉄などの異物を胃袋に詰め込み、その結果命を落とす。 病名は魔道師AB-CIRが最初に発生した村の名前を取って便宜上名付けたものだが、一日に死ぬのは一人だけ・十年凌ぎきれば完治する・病というには端的過ぎる症状などから分かるように、こちらは症状として定期的な高熱を起こす他味覚異常を起こし、異常食に走る。厳密に前者の呪いと同一の現象であるかは不明だが「グラス・オブ・コンチータ」がその発生源であることは確かであり、グラスから作成された病原体と語られている。 後のアルスI世が起こしたベルゼニア侵攻を切っ掛けに大陸全土に伝播し、皮肉にもその国王夫妻をはじめとして多くの人物がこの病を得て亡くなっている。特効薬は後世になってプエリック=ログゼによって開発された。 屍兵(Corpse Soldiers) かつてグーラ病によって息絶えた死体が悪食の器たるグラスの力によって蘇った生ける屍。 漂白されたかのような全身と中空となった眼窩が特徴的な異形の化物であり、行動原理も基本的なゾンビのそれと言って差し支えない。人間以外の動物にも適用可能で、死体の状態が白骨であろうと、生前を偲ばれなくもない程度には肉付けされた状態となる。基本的にグラスを使用した者の命令には従うが、知性が乏しいのか細かい命令は聞かない。そのため、痛覚がないという利点を活かしても真っ当な軍事利用には不向きであった。現に要塞等の内部での混戦では、敵味方の区別なく襲いかかる危険な側面を晒した。 後に精霊が屍兵となった存在である「死神」が現れた。該当するのはリッチ=アークロウとイーター=サーベアの2名。 「悪徳のジャッジメント」以降、悪食の器によるものではない屍兵の集団「アウトロー」が各地に出現するようになる。その正体はかつてのコンチータ家の従者達。アモスティアにより解放される。 ルシフェニアの四枚鏡 (Four Mirrors of Lucifenia) 「傲慢」を象徴する二対の鏡。 自分より美しいものはないという心からか『粗末』と言ってよい手鏡に作られている。悪魔に憑かれたものは自信が増大するが、過ぎて傲慢となってしまう。 悪魔と化した際には色欲同様の外見の変異を起こし、六枚の翼を生やした飛行や高い戦闘能力を与える。その戦闘能力は大罪の悪魔たちの中でも高く憤怒に次ぐ程だが、他に特殊能力を持たない。 元は一枚だったが、アビスI.R.の手によって四枚に分けられる。鏡を通じて他の器に宿る悪魔を移し替えることが可能で、鏡自体も例外ではない。そのため、四枚全てを封じない限り悪魔の活動に影響を与えることが出来ない。 悪魔の姿は、手のひらに収まってしまうほど小さい。ネズミのような姿をしている。 悪魔の名前はマリー=アネット。箱舟「罪」の乗組員の中でも最年少の歴史学者だった。 終末直前、イリーナとレヴィアの空いた枠を埋めるためにMaに取り込まれる。 カヨの鋏 (Kayo's Scissors) 「嫉妬」を象徴する和鋏。 元は「レヴィアンタの双剣」と呼ばれる双剣でるが、ルシフェニア革命が終わった直後ミハエル=アサエフからシャルテットの父に破壊するように依頼されるが破壊できなかった。「新生四騎士事件」を機にシャルテット=ラングレーの手に渡る。蛇国に移った彼女が追っ手の目を誤魔化すために鋏の形に加工したことから現在の形となった。能力は不明だがミハエル=アサエフ曰く「終末と創世を司る」。 以降シャルテットからヴェノマニアに酷似した青年の手へ、その後時を経てカヨの手に渡った。 悪魔の姿は、全身が鱗に覆われていて魚のような形をしている。他の悪魔同様羽(ヒレのようにも見える)は生えているが、飛ぶよりも泳いだほうが速いという特徴を持つ。一人称は「わたくしめ」。 正体はレヴィアの母、ラハブ=バリーゾールである。転身の有資格者でもあり、レヴィアが勤務していた病院の副院長も務めていた。高名な精神科医であり、社会的身分も高かったが、一方で頻繁に愛人を取っ替え引っ換えしたり、愛人の元へ転がり込んだりしている生活を常日頃から送っている。また、レヴィアの父親はラハブの愛人の誰か一人だろうと推測されている。上記のような事を繰り返してきたためか、レヴィアの記憶を共有するMaからは「色ボケ」と評された。 終末直前、イリーナとレヴィアの空いた枠を埋めるためにMaに取り込まれるが、ラハブは頑なに抵抗し続けた模様。 『第7次Ma計画』(Maサバイバル)の際にリィ=リーが使用していた双剣が嫉妬の器の原型ともいわれる。 主な系譜者はループ=オクトパス族。 マーロン・スプーン (Marlon Spoon) 「強欲」を象徴する匙。 所有者は金運に恵まれ、事業なども順風満帆になる。対象のみを指向して狙って燃やす青い炎を発する事ができる。唯一、詳細があまり判明していない器で、能力は青い炎を放つ以外は一切不明である。 メリゴド高地の決闘以降、この器にアダム=ムーンリットが宿る事になる。 悪魔の本名はセイラム=ダンバー。英国紳士気取りで彼の淹れる紅茶は非常に美味しかったという。元は経済学者でもあった。 終末直前、イリーナとレヴィアの空いた枠を埋めるためにMaに取り込まれる。 主な系譜者はイリーナ=クロックワーカー。 クロックワーカーズ・ドール (Clockworker's Doll) 「怠惰」を象徴する人形。 原罪者の姿をそのまま象ったぜんまい仕掛けの人形で、全ての大罪の悪魔の「母」と呼ぶべき存在。 所有者は他に所有する大罪の器の力を使うことが出来る。特定の条件の下でなら、魔術の門外漢にも真価を発揮することが可能である。 元の器は人間であり、悪魔はミクリア=グリオニオ及びその先祖達に代々宿っていたが、原罪者を模した人形に魂を移し替えたことによって形を得る。他の器とは違い、後天的かつ人為的に作られた存在で、魔具の一種と解釈することも出来る。名も製作者のアイアールの本名に因んで命名されている。 宿る悪魔は一人称「僕」の少年らしい口調だが、怠惰の悪魔らしく面倒くさがりで、何をするわけでもなくずっと眠っていたらしい。 その正体は原罪者イブ=ムーンリットの魂そのものであり、本来なら存在しなかった「怠惰の悪魔」に成り済まして、様々な形で歴史に介入していた。他人だけでなく自分自身ですら自分を普通の人間だと思い込んでしまう程の強力な催眠の力を持ち、時代ごとに自身にそっくりな人間として活動していた。 後にこの器には記憶を無くしたイリーナ=クロックワーカーが宿り、「人形館長」として活動する事になる。また人形の身で新たな「イレギュラー」を身ごもり、産み落とした直後世界は滅びた。 グリムジエンド (Grim the End) 「憤怒」を象徴する黄金の鍵。 この器だけは決まった姿を持たず、温度の変化によって十字架状やナイフの形など様々な形状に変化する。七種の器で唯一、映画館にない最後の器。 基本的に悪魔の力によって不死となっている大罪契約者を殺害することができる器であり、大罪の器の中では最強を目される存在。ヴェノマニア公を刺殺した短剣、バニカ・コンチータを弱体化させた黄金の粉末、クラリスがリンを刺殺しそうとした際に振り上げた短剣、首藤禍世を斬首した刀、レミー・アベラールやガレリアン・マーロンを射殺した弾丸、アレンが大罪契約者とMaを分離するために使った剣はすべてこの器が変形した物である。 この鍵を削って作られた粉末は強力な毒を持つが、とてもすごいタコのスミと一緒に服用すると万能薬になる。 大罪の器が関わる事件で何らかの形で登場しており、持ち主はいずれも大罪の器の持ち主を殺害しようとする共通点がある。『悪ノ娘』の時代ではエルド派修道院の院長であるイヴェットが修道院に封印していたが、アビスI.R.が修道院を訪れた時には憤怒の器は封印の場所から無くなっていた。 中に宿る悪魔は「セト=トワイライト」であり、彼は元「眷属」でありながら人間に転生し、人としての死後に「憤怒の器」の中に宿ったと推測される。また彼と共に「アダム=ムーンリット」の魂も存在しており、大罪の器の持ち主を殺そうとするグリムジエンドの意思でもある。
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