じょうしんえつこうげん‐こくりつこうえん〔ジヤウシンヱツカウゲンコクリツコウヱン〕【上信越高原国立公園】
上信越高原国立公園
[浅間山]
浅間山といえば、すぐに島崎藤村や北原白秋の作品を連想する人が少なくない。「暮れ行けば浅間も見えず歌哀し佐久の草笛」(藤村)、「からまつの林を過ぎて、からまつをしみじみと見き。からまつはさびしかりけり。たびゆくはさびしかりけり。」(白秋)。
また、堀辰雄や立原道造を想起する人もあるだろう。佐久とか千曲(ちくま)川と人がいうとき、あるいは落葉松や高原という言葉にあってさえ、それによって喚起されるイメージの背後には、しばしば山巓に噴煙をまとわりつかせた浅間がある。そして、そのような心象の中で、詩人の心の幽かなそよぎが、読む人に伝わるのだ。
日本第2の広さを誇る国立公園
山岳と高原の国立公園である。上越国境から浅間にかけての山々が、戦後間もない昭和24年に指定され、31年に区域が拡張され、西北に離れた妙高・戸隠(とがくし)地域が加わった。大雪山に次ぎ、日本第2の広さを持つ国立公園である。
上越国境の山地は、東から谷川岳(1,978m)、苗場(なえば)山(2,145m)、岩菅山(2,295m)、志賀高原、本白根山(2,171m)を経て、この公園の最高峰浅間山(2,568m)に至る。吾妻(あづま)川を弧状に抱くような配置であるが、一つながりの山地ではなく、成因や地質はさまざまである。
[谷川岳]
谷川連峰は、急峻な山腹と幅広い稜線が対照的な姿の山地で、標高は低いがアルペン的な山容を持ち、一の倉沢をはじめとする切り立った谷壁は、多くのロッククライマーを引きつけてきた。苗場山から志賀高原に至る一帯は、古い火山が基盤になってできている。このうち苗場山の山頂部は平坦な溶岩台地で、池塘の多い高層湿原となっている。また、志賀高原は志賀火山の溶岩流がつくったものであり、ここにも高層湿原がある。
火山性の山々
白根山と浅間山は活動中の火山である。白根山は頂部に火口湖の湯釜があり、周辺に火山荒原が広がる。また、本白根山には火口湖の鏡池や弓池がある。
浅間山は日本有数の活火山で、近世以降も噴火を繰り返し、山麓に大きな災害をもたらしてもいる。黒色の溶岩が幅1.5kmにわたって累々と重なる北麓の鬼押出しは、天明3年(1783)の大噴火の際のもの。南麓の溶岩台地上にある軽井沢は、明治初期から避暑地として有名である。
浅間山の北西には独立峰の四阿(あずまや)山があり、西方の溶岩台地に菅平がある。
妙高・戸隠地域のうち、妙高は火山性の山である。火打山(2,462m)はハイマツが生育し、高山植物が多い。また、個体数は少ないが、ライチョウが生息している。妙高山(2,454m)は、二重式火山で中央火口丘が明瞭。戸隠山(1,904m)は屏風のような岩壁を連ねる非火山性の山である。山麓には戸隠高原が広がり、戸隠神社は、かつて戸隠三千坊といわれるほど繁栄した霊場であった。この地域の東方に離れて、せき止め湖の野尻湖がある。
多様なレクリエーションエリア
これら多くの火山の裾は、一般にゆるやかな地形であり、車で行ける場所が多い。公園全体として、原始性の高いところは少なく、むしろレクリエーションエリアとしての性格を強く持っている。志賀、菅平、鹿沢(かざわ)、妙高、戸隠などの高原は、いずれもすぐれた夏季の保養地である。
また、日本海型気候の影響を受けて積雪の多い地域には、万座、谷川、苗場、志賀、赤倉、妙高など、多くの著名なスキー場がある。火山活動の盛んな地域であるだけに温泉地も数多く、草津、四万(しま)、法師(ほうし)、赤倉、野沢などがある。
関連リンク
- 上信越高原国立公園 (環境省ホームページ)
上信越高原国立公園
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/19 02:23 UTC 版)
上信越高原国立公園(じょうしんえつこうげんこくりつこうえん)は、日本国の群馬県(上野国)、長野県(信濃国)及び新潟県(越後国)の3県の境界にまたがる国立公園である。上信越国立公園[5]とも言う。
出典
- ^ “上信越高原国立公園の区域図(東部)” (PDF). 環境省. 2012年10月8日閲覧。
- ^ “上信越高原国立公園の区域図(西部)” (PDF). 環境省. 2012年10月8日閲覧。
- ^ “上信越高原国立公園 公園紹介 基礎情報”. 環境省. 2020年11月14日閲覧。
- ^ “国立公園の利用者数(公園、年次別)” (PDF). 環境省. 2020年11月14日閲覧。
- ^ 上信越国立公園 志賀高原の公式サイト"[1]"
- ^ 環境省 国立公園の歴史
- ^ 西田正憲「日本統治時代における台湾の国立公園」『奈良県立大学研究季報』第22巻第2号、奈良県立大学、2012年1月、97-136頁、CRID 1050001338809392512、ISSN 13465775。
- ^ a b c d “環境省_上信越高原国立公園”. www.env.go.jp. 2020年9月6日閲覧。
- ^ 国際スキー連盟「1973年アルペンスキーワールドカップ苗場大会」
- ^ 日本オリンピック委員会「長野オリンピック1998」
- ^ 厚生労働省「長野パラリンピック冬季競技大会
- ^ 同日厚生省告示第183号「上信越高原国立公園指定」
- ^ 同日厚生省告示第177号「上信越高原国立公園指定の件の区域に新潟県糸魚川市の一部等の区域を追加指定する件」
- ^ 同日環境省告示第15号「上信越高原国立公園草津・万座・浅間地域の公園区域を変更する件」
- ^ “上信越国立公園、分割へ…「妙高・戸隠」新指定”. 読売新聞. 2014年4月18日閲覧。
- ^ “国立公園:妙高戸隠連山を指定 32番目に”. 毎日新聞. 2015年2月16日閲覧。
- ^ “「妙高戸隠連山国立公園」誕生へ=32カ所目、「上信越高原」から分離”. 時事通信社. 2015年2月16日閲覧。
- ^ 「日本の典型地形、都道府県一覧の作成」(丹羽俊二,1998年)
- ^ 環境庁『日本の自然景観 北関東版・甲信越版』(1989年9月30日発行)
- ^ “志賀高原漁協原種保存指定河川”. 2020年10月6日閲覧。
- ^ 環境省自然ふれあい推進室"表II-9 国立公園内ビジターセンター等利用者数"自然公園等利用者数調(2020年9月30日閲覧。)
- ^ a b c みなかみ町観光協会
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- ^ 野沢温泉観光協会
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- ^ 十日町市観光協会
- ^ かぐら・みつまた観光協会
- ^ 田代・二居観光協会
- ^ 苗場観光協会
注釈
「上信越高原国立公園」の例文・使い方・用例・文例
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