あま‐くだり【天下り/天▽降り】
天下り
天下り(あまくだリ)
それまで勤務していた官庁と密接な関係にある私企業や公団・公社などに、退職した公務員が再就職することをいう。離職後の2年間は、原則として禁止されているが、人事院が承認すれば天下りができる。
天下りは、公務員がその地位を利用して退職後の就職を有利にしたり、官庁の内部事情に精通した人材を取り込みたいとの企業の思惑が交錯するなど、公務の公正な執行を妨げる恐れがある。そのため、天下りをするには人事院の承諾を得なければならないと国家公務員法に定められている。
人事院は毎年、天下りの実態を明らかにするため、国会と内閣に「天下り白書」を報告している。2000年に行われた国家公務員(本省準課長級以上)の天下りの件数は40件であり、調査を始めた1963年以来、最低の水準となっている。
国家公務員のキャリア組には、同期に入省した者の中から事務次官を出すと、残りは勇退するといった慣行があるようだ。そのため、50歳前後から退職・再就職に向けた準備をするのが通例で、民間企業へ再就職しているという実態がある。
(2001.04.04更新)
天下り(あまくだり)
中央省庁を退職した公務員がそれまでの職務と関係の深い民間企業に相当の地位で就職すること。人事院による一定の制限を守る限り、法的に認められている。
公務員にとっては手厚い待遇で再就職できる利益があり、受け入れる業界には中央省庁との太いパイプが持てるとあって、天下りは日常的に行われている。一方で、行政と業界の癒着を生み、例えば談合事件で不当な金額で国の事業を受注するなど、国民の納税者としての利益が損なわれているとの指摘も出ている。
日本経団連の奥田碩会長は、恒常的な天下りが橋梁談合事件など官製談合の原因になっているとして、天下りの受け入れを停止する方向で検討に入った。会長・副会長会議で同意を得て、1500を超える会員企業と業界団体に正式に要請する。
(2005.07.04掲載)
天下り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/28 16:16 UTC 版)
(あまくだり)は次の二つの用法がある。本項目では後者について解説する。
注釈
出典
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天下り(英: descent from heaven)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 15:36 UTC 版)
「天下り」の記事における「天下り(英: descent from heaven)」の解説
神道の用語で、神が天界から地上に下ること(天孫降臨など)を指し、この場合は「天降る」と表記される。
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天下り(英: revolving door)
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「天下り」の記事における「天下り(英: revolving door)」の解説
世代ごとの出世競争決着ごとに同期の官僚を退職してもらって、若い官僚に回るようにピラミッド型の組織を新体制にするためにする。中途退職した官僚が出身官庁が所管する外郭団体、関連する民間企業や独立行政法人・国立大学法人・特殊法人・公社・公団・団体などに最終到達ポストに応じた就職斡旋を受ける利権行為を指して批判的に用いられる。民間企業の上位幹部が子会社の要職に就く際にも使われる場合がある。
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天下り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 17:47 UTC 版)
2011年度の専務理事の小川陽一は国交省出身である。2010年度まで理事長であった百武伸茂は宮内庁出身である。のみならず、都市緑化基金は、平成21年の時点で、専務理事、常務理事については、いわゆる天下りが5代以上続いている。
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天下り
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「卑弥呼の庄」の誘致を担当した桜井市産業経済部長が退職後の2010年4月に「大和さくらい」に天下りして役員に就任したことも問題視された。谷奥昭弘市長は「市の訴訟相手への役員就任は、誤解を招き、好ましくない」として不快感を表明し、市職員の再就職先について、規定の策定等を検討指示を出した。この元市職員は、「卑弥呼の庄」の事業内容を審査する農業委員にも就任していた。
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天下り
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日本では、財務、経産、外務、法務・検察の有力OBが社外取締役に天下りする傾向がある。「仕事は少なく」「実入りは多く」「責任は限定的」(損害賠償などの免責範囲が広い)なことが背景にある。
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天下り
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上記の通り既得権益に批判を示す一方、自身は2013年7月に投稿したブログの記事にて「あましたりまであと3年、がんばろっと」と記述するなど、3年後の天下りへの意気込みと決意を表明した。
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天下り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 06:39 UTC 版)
旧日本政策投資銀行や旧日本開発銀行の総裁職は、旧大蔵省事務次官経験者の指定席だったが、日本政策投資銀行発足後の2007年、天下り批判が高まったため、元伊藤忠商事社長の室伏稔が社長に就任した。以降は民間出身者や生え抜き組が社長を務めている。その一方で日本政策金融公庫や国際協力銀行は近年財務省OBが総裁職に就任している。2015年6月26日に発足した日本政策投資銀行の新体制では、元財務事務次官の木下康司が副社長に就任した。木下は、2014年7月の次官退任後には財務省事務所のあるニューヨークでコロンビア大学のポストを得ていた。 消費税増税のレールを敷いた元財務事務次官の勝栄二郎が読売新聞東京本社非常勤監査役に、前財務事務次官で弁護士の真砂靖が日本テレビホールディングスと日本テレビ放送網の社外取締役に就任しているが、読売新聞は軽減税率導入前に財務省側が還付制度を提案した際に猛反発し批判を展開した。新聞各社は消費税率の引き上げで経営に大きなダメージを受けるとみられたため、読売のほか産経新聞、毎日新聞が、財務省の還付案を社説で批判し還付案の撤回と「本来の軽減税率制度」の導入を要求した。
※この「天下り」の解説は、「財務省 (日本)」の解説の一部です。
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天下り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/03 03:59 UTC 版)
過去に日本道路公団のいわゆる天下り先であった、すなわちOBを受け入れていた事を指摘されている。
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天下り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/11 01:30 UTC 版)
2007年6月1日の衆議院内閣委員会で、民主党の細野豪志議員が天下りに関して質問を行った。この中で、元社会保険庁長官の正木馨氏の天下りによる報酬と退職金が、合計で2億9000万円以上に上ることが明らかにされた。 この項目は、人物に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:人物伝、Portal:人物伝)。
※この「天下り」の解説は、「正木馨」の解説の一部です。
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