第57衛生分遣隊指揮官とは? わかりやすく解説

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第57衛生分遣隊(患者後送ヘリ)指揮官

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/01 14:57 UTC 版)

チャールズ・ケリー (パイロット)」の記事における「第57衛生分遣隊(患者後送ヘリ)指揮官」の解説

ケリー少佐ベトナム最初に飛行したのは、1964年1月6日のことであった1964年1月11日には、タンソンヌット空軍基地Tan Son Nhut Airbase)で第 57衛生分遣隊 (患者後送ヘリ) の指揮官就任した当時航空患者後送負担増大に伴い、第57衛生分遣隊への第3陣のパイロット搭乗員、および整備員追加配置が行われていた。装備するヘリコプターは、1963年製のUH-1Bであり、パイロットのほとんどは操縦課程卒業したばかりの新米であった。そんな状況であってもケリー少佐は、「不愛想で頑固で献身的な戦士であり、いかなる障害があろうとも任務達成諦めことはなかった」と言われている。それから6か月間にダストオフパイロットたち発揮した勇気献身は、終戦はおろか21世紀に至るまで模範とされ続けることとなった。 第57衛生分遣隊南部戦闘地域への移動開始の遅れは、ケリー少佐活躍する機会増加させた。1964年3月1日ベトナム軍事援助コマンドU.S. Army Support Group, Vietnam)は、プレイククイニョン配備されていた航空部隊対しデルタ地帯への移動命じた。2機のヘリコプターと5機のパイロットは、第57衛生分遣隊患者後送ヘリ)A分遣隊臨時)を編成しソクチャン米軍基地へと移動した。かつてフランスおよび日本戦闘機基地であったソクチャンは、水田囲まれたおよそ1,000 x 3,000フィート(約305メートル × 約915メートル)の施設であった南方への移動正し選択であったことは、すぐに証明された。ベトナム避難民の数はが2月193人から3月の416人へと増加したのである。A分遣隊は、1964年10月米国から到着した82衛生分遣隊患者後送ヘリ)に任務引き継ぐまで、デルタ地域での戦闘支援継続した1月11日に第57衛生分遣隊指揮官上番し、A分遣隊と共に南に移動したケリー少佐は、そのままソクチャンに留まった。サイゴン地上勤務を行うよりも現地飛行することを望んだからである。 ソクチャンのA分遣隊は、敵の迫撃砲などの地上攻撃から防護するため、土嚢および掩蔽壕囲まれ粗末な東南アジア」風の小屋居住していた。A分遣隊以外の57衛生分遣隊は、エアコン風呂食堂バーなどが完備したサイゴンの隊舎で居住していた。その差は歴然としていたが、ほとんどのパイロットソクチャンでの勤務希望した。ここが、ケリー少佐とその部下たちがダストオフの勇敢かつ献身的な支援の伝統築き上げる場所となったまた、アメリカベトナムへ関与2年延長されたことも、ケリー少佐彼の部下たちの活躍機会増加させた。1964年の春までに、アメリカは、南ベトナム16,000人の軍人(3,700人の将校12,300人の兵士)を展開していた。これらのうち10,100名を占めていた陸軍は、南ベトナムにおける航空機の機数を1961年12月40機から1963年12月370機へと増加させていた。2年前の到着以来初めて、第57衛生分遣隊は、パイロット全員忙しくなるほどのダストオフ要求受領するようになっていた。 しかし、第57衛生分遣隊着任したケリー少佐は、1つ大きな問題直面していた。第57衛生分遣隊前年受領したヘリコプターは、その耐用命数に近づいていたが、ベトナム軍事援助コマンド司令官のジョセフ・ウォーレン・スティルウェルジュニア准将は、分遣隊新し航空機供給できないでいたのである旧式UH-1B残っていた飛行時間は、平均800時間ほどであった。しかし、だからといって新人パイロットたち任務実施思いとどまるはずはなく、それぞれが月に100時間上の患者後送任務行ったパイロットたち中には月間飛行制限時間超過理由航空医官から飛行停止処分受けないように、飛行時間が140時間以上になった場合には、記録行わない者もいた。 A分遣隊は、新しチームとして、単に任務継続するだけではなく夜間における運用強化行った1964年4月には、110時間夜間飛行行い99名の患者後送した。デルタ地帯での夜間飛行任務容易にするため、パイロットたちは、復数回にわたる特別な偵察飛行実施し降着能地域の形状特徴的な地形地物の場所、航法無線受信可否記録したケリー少佐は、そのための飛行実施中ベトナム空軍固定翼機であるT-28が墜落したことを無線傍受した捜索開始すると、すぐに機体発見することができた。しかし、上空旋回しながら降着地域への進入方法決定しようとしている最中に、地上ベトコンから射撃受けてしまった。1発の弾丸が、開放されていたカーゴ・ドアを通過し天井当たったケリー少佐は、動じることなく、T-28の近く着陸したが、四方八方からの射撃を受けることになった着陸すると機付長と衛生兵降機し、短機関銃ベトコン向かって掃射しベトナム空軍パイロット機体無線機破壊しM60機関銃取り外すのを掩護した。それ以上損害を受けることなく離陸することに成功したケリー少佐は、当該ベトナム空軍パイロット所属部隊帰還させた。ケリー少佐たちのその日飛行距離は、500マイル(約805キロメートル)に及んだ4月2日ソクチャンからサイゴン飛行していたA分遣隊搭乗員が、北西方向の攻撃受けたとの無線連絡受けたメコン川カンボジアから南ベトナム流れ込む地域にあるカイカイ着陸すると、そこには、夜の間にベトコン殺傷され多く村人たち横たわっていた。兵士たち陣地の中で、女性子供たち撃たれた場所で倒れていた。ダストオフチームは、その日一日中かかって死傷者搬送行った子供たちは、1つ担架2、3人が一緒に乗せられた。 その春のある夜、A分遣隊パイロットであるパトリック・ヘンリー・ブレイディ大尉アーネスト・J・シルベスター少尉勤務中、固定翼機であるA1-Eスカイレイダーがラックジアという町の近く墜落したとの通報受けた墜落現場向かって飛行中誘導していた空軍レーダー操作員から、ベトコン対空機関砲存在する警告された。燃え上がっているA1-Eにダストオフ機に近づいたとき、付近飛行中別のA1-Eのパイロットから、ベトコン対空機関砲は既に撃破したという無線連絡があった。にもかかわらずブレイディ大尉シルベスター少尉降着地域近づくと、ベトコンからの射撃始まったコックピット被弾し機体制御不能になった。いずれのパイロット軽傷であったため、なんとか機体制御取り戻し、その地域から直ち離脱した。2機目のA1-Eは、ベトコン射撃により撃墜されてしまった。まもなく3機目のA1-Eが到着して敵の火力制圧した後、ソクチャンから派遣された2機目のダストオフ機が降着地域着陸した最初墜落機パイロットは既に死亡していたが、2機目のA1-Eからベイルアウトしたパイロット発見しソクチャンまで帰還させた。 ブレイディ大尉は、南ベトナム陸軍サイゴン北東にあるファンティエット近郊実施する強襲作戦支援することになったブレイディ大尉ダストオフ機が敵地上火力の射程外を周回飛行している間に、地上部隊乗せた輸送ヘリコプター着陸した降機した地上部隊は、ベトコンによって強固に防御され森林地帯への移動開始した。ところが、まもなく南ベトナム陸軍兵士たち数名負傷者発生しダストオフ要求された。ブレイディ大尉機体は、降着地域への進入離脱時に敵からの射撃を受けつつも、かろうじて負傷者救い出すことができた。ブレイディ大尉ファンティエット機体の損傷状況確認していると、ひとりのアメリカ軍顧問が、包囲されている南ベトナム陸軍部隊を救うため、現地に戻る際に弾薬輸送するように依頼してきた。ブレイディ大尉副操縦士は、赤十字標識付けた機体弾薬を運ぶことの妥当性について話し合った後、それを「予防薬」と見なすことにし、降着地域まで輸送することにした。降着地域戻ったブレイディ大尉は、ベトコン撃墜されL-19観測機発見した墜落現場駆け寄ると、アメリカ人パイロット視察者が死亡していた。衛生兵と機付長は、遺体残骸から引き出しヘリコプターまで運んだブレイディ大尉は、弾薬卸下し、死者搭載して離陸した任務終えてタンソンヌットに戻ると、第57衛生分遣隊のほとんどの隊員待ち構えていた。当時は、まだベトナム戦争始まったばかりであり、アメリカ人死亡したというニュースは、瞬く間伝わっていた。ケリー少佐は、この事件踏まえ、第57衛生分遣隊の任務には遺体輸送含まれていないものの、それを行うことを奨励した。その一方で弾薬輸送することについては、疑問呈したブレイディ大尉も、この事件事実について語っている。着陸したブレイディ大尉は、ケリー少佐から脇に呼ばれた厳しく叱責されると思ったが、弾薬運び込み遺体運び出した理由聞かれただけだったブレイディ大尉は、弾薬は「予防薬」であり、遺体は「天使」だった、それらの輸送拒絶することはできなかったと答えた。その任務参加した隊員たちのもとに戻ったケリー少佐は、これこそが第57衛生分遣隊が行うべき任務だと述べたブレイディ大尉は、この任務について、ケリー少佐が全責任を負うつもりであることを悟ったダストオフ機は、任務遂行中に敵の攻撃を受けることが少なくなかったベトナム軍事援助コマンドから機体赤十字標識取り外し可能にして全般支援任務を行うように指示されケリー少佐は、患者後送任務さらなる充実図ろうとした。既に北部輸送ヘリコプター攻撃ヘリコプターにも取り外し可能な赤十字標識装着されていたことを受け、部下たちに、医療専用ヘリコプター特性最大限発揮することにより、第57衛生分遣隊存在価値証明する必要がある語ったそれまで要求され任務のためだけに飛行していた第57衛生分遣隊が、自ら任務探し始めようになったケリー少佐自身も、毎晩のように飛行したケリーたちは、夕暮れが迫る頃にソクチャン出発し、第73航空中隊から派遣されチーム2つ通信部隊から派遣され分遣隊本拠地である南西のバクリュウに向かって湿地帯飛行した。それから、古くフランス最後まで排除できなかったベトミン本拠地であったカマウまでさらに南下した。さらに、カマウ半島先端近くまで南下し、ナムカンでセブンカナル地区向かって引き返したヴィータイン負傷者有無確認した後、北西進路変更しシャム湾のラチジャーを通過しその後カンボジア国境のセブンマウンテン地域向かった。それから14個のアメリカ軍小部隊の本拠地であるカントー戻り次に114航空中隊(軽空輸)の本拠地であるメコン川沿いのヴィンロンまで戻った最後に真東方向にあるベンチェ向かい次に数人アメリカ軍顧問がいるフー ヴィンまで南に向かいその後ソクチャン本拠地戻った。その総飛行距離は、720キロメートル達した降着地に後送必要な患者がいた場合機内収容し、その容態直ちソクチャンに戻らなければならない状態でない限り残り経路飛行し続けた患者後送した後、元の経路戻って飛行再開する場合もあった。一夜10名から15名の患者後送することが多かったそうでなければ患者たちは朝まで治療を待つほかなかった。「スカーフィング」と呼ばれたこの降着地を渡り歩く飛行は、3月74時間夜間飛行時間記録し月間患者後送者数448名の4分の1近く占めようになった。この戦略効果発揮し、スティルウェル将軍は、第57衛生分遣隊赤十字標識取り外し可能にするという考え改めたデルタ地帯でのダストオフ任務は、そのほとんどが平坦な湿地行われるのだったが、A分遣隊は、カンボジア国近く厳しい山地帯任務遂行しなければならない場合があった。4月11日夕刻ケリー少佐は、2名の負傷した南ベトナム陸軍兵士アンザン省のベイ・ヌイ(ベトナム語で「7つの山」の意)のプノンクト山から後送する任務要請された。現地の上空に到着すると、地上部隊に近い着陸適地は、ベトコン占領され高地から見下ろされる高い木々囲まれ狭隘な場所しかなかった。山岳地帯特有の上昇気流、そして夕闇近づく中、ケリー少佐は、その降着地域への進入開始した。敵は、ケリー少佐機体向けて射撃開始し、それが降着地域周辺の木の中に吸い込まれるまで攻撃続けた機体は、片方スキッドしか接地させることができなかった。斜面が急すぎたのである降着地域には、2名の負傷者のうち1名しかいなかったケリー少佐たちは、南ベトナム陸軍がもう1名の負傷者搬送してくるまでの間、不安定な状態で機体バランスをとり続けなければならなかった。ようやく2名の患者の収容完了すると、ケリー少佐は、再び敵火を潜り抜けながら離陸した衛生兵は、直ちに2名のベトナム人の手当を開始した。1名の兵士は、5か所を負傷していた。2名の負傷者は、いずれも一命取り留めることができた。 ケリー少佐は、天候悪化したり、敵から攻撃受けた場合であっても最後まで任務遂行諦めなかった。何とかして負傷者のもとに到着し救い出す方策模索し続けた。ある任務遂行中、敵の攻撃により、患者収容する前に降着地域から離脱することを余儀なくされた。1時間後、彼は、まったく同じよう着陸試みた。敵火の中ではあったが、今回患者無事に収容することができた。ベトコンは、機体赤十字標識表示されているにも関わらず衛生兵や機付長が負傷者収容している最中でさえも、小火器自動火器および迫撃砲攻撃してきた。1発の弾丸が、主燃料タンクドレンバルブに当たり、航空燃料JP-4流れ出したケリー少佐は、ベトナム到着以来、自ら指導してきたとおり、何よりもまず負傷者収容し戦場から離脱することにした。そして、ソクチャン管制塔に、燃料漏れのため残燃料少ないので、他機に優先して着陸させてもらいたいことを無線伝えた管制官は、優先することを承諾したうえで、他に何か必要なことはないかと尋ねたケリー少佐答えた。「そうだな。着陸したら、アイスクリーム食べたい滑走路着陸した直後に、燃料タンクが空になり、エンジン停止してしまった。航空救難車が機体取り囲んだ車両機体ところにかけつけた基地司令は、1クォート(約0.946リットル)のアイスクリームケリー少佐手渡したベトコン除けば当時の第57衛生分遣隊最大問題パイロットの不足であったケリー少佐ベトナム到着した後、衛生勤務科のパイロット9名が第57衛生分遣隊配属された。もっと多くパイロット必要だったが、軍医総監航空部署(Surgeon General's Aviation Branch)は、ダストオフ任務厳しさをあまり理解してないようであった1964年の春、衛生科以外のヘリコプター部隊衛生勤務科の新人パイロットたち配属されようとしていた。ダストオフ任務よりも戦闘訓練の方がパイロット育成に役立つと考えられていたのである1964年6月15日ケリー少佐次のような手紙軍医総監航空部署に送り付けた。 「第57衛生分遣隊パイロットたちは、戦闘支援任務通じてベトナムのどの飛行部隊よりも多く戦闘経験してます。その誰もが航空患者後送任務遂行積極的に取り組んでます。多用戦術輸送ヘリコプター中隊などの一般飛行部隊衛生科パイロット配置することは、敵を利することにほかなりません。私には作戦全体のことが良く把握できていないかも知れませんが、分遣隊の任務は、負傷者戦場から後送することなのです分遣隊は、昼夜問わず掩護機もない状態でこの任務遂行し続けてます。私がベトナム派遣され以来1,800名の負傷者後送しました過去3カ月の間には、242.7時間夜間飛行行いましたこのような成果上げた部隊は、ほかにありません。衛生部以外の飛行部隊は、十分な武装装備し昼間編隊任務遂行することがほとんどのはずです」 ケリーは、続けた。 「衛生勤務科のパイロットに価値のある経験を積ませたければ、第57衛生分遣隊配置すべきです。我が分遣隊は、衛生科部隊です。戦闘職種将校配属欲していません。このようなことを申し上げることは、今後もう二度ないでしょう衛生勤務科のパイロット利益衛生航空将来のため、衛生勤務パイロットをもって57衛生分遣隊を完全充足することを、ぜひご検討ください。」 ケリー少佐は、自分部隊の任務独特なものであり、ダストオフ機で飛行すること以上に効果的な訓練はないと考えていたのであるケリー少佐は、次のように手紙結んでいる。 「お忙しい思いますので、返信はいただかなくてけっこうですこれまで述べたことがすべてです。私は、『患者後送ファーストArmy Medical Evacuation FIRST)』の精神最善尽くし続けますデルタ地帯およびサイゴン周辺での戦闘激化するにつれ、第57衛生分遣隊は、部隊からの後送要求のすべてに応えることが難しくなってきた。アメリカ陸軍ヘリコプター強襲中隊も、一部航空機患者後送用に控置するようになったが、衛生兵配備されておらず、医療機器装備されていなかった。陸軍パイロットの不足と戦闘支援任務優先順位のため、衛生勤務科は、ベトナム新たなダストオフ部隊編成できるだけパイロット保有していなかった。ベトナム以外の陸軍航空患者後送部隊は、どこも編制定数よりも少なパイロット運用されている状態であったベトナムにおける陸軍航空は、1961年以来、相当な成長遂げてきたが、1964年の夏には、その人的・物的資源はその任務、特に患者後送遂行するために必要なレベル下回っていた。 しかしながらケリー少佐は、陸軍においては人員・装備不足しているのがあたりまえで、与えられたもので最善尽くなければならないことを理解していた。 ケリー少佐は、サイゴンにいるよりも、現場で飛行することを望んでいたが、タンソンヌットに戻った方が良い効果もたらすではないか考え始めたブレイディ大尉からの繰り返し意見具申を受け、ケリー少佐は、7月1日ソクチャンでの第57衛生分遣隊のA分遣隊指揮解きサイゴンに戻ることにしたが、その後少なくとも1ヵ月間、デルタ地域での滞在延長する伝えた

※この「第57衛生分遣隊(患者後送ヘリ)指揮官」の解説は、「チャールズ・ケリー (パイロット)」の解説の一部です。
「第57衛生分遣隊(患者後送ヘリ)指揮官」を含む「チャールズ・ケリー (パイロット)」の記事については、「チャールズ・ケリー (パイロット)」の概要を参照ください。

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