残燃料
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 15:53 UTC 版)
「ユナイテッド航空173便燃料切れ墜落事故」の記事における「残燃料」の解説
機体の燃料計は、規定範囲内の誤差で正常に動作していたことが事故後に確認されており、また、直前の離陸地であるステイプルトン国際空港でのチェックにおいても、最終目的地であるポートランドまでの飛行に必要な規定通りの燃料を搭載していた。 脚の問題により待機旋回に入った時点(17時12分ごろ)では、まだ13,000ポンド以上の燃料が残っていた。 その後30分近くにわたり、クルーらは車輪が降りて正しくロックされているかどうかを知るためのいくつかの方法を試し、実際、航空機関士は、DC-8型機では主翼上面に設けられたダウンロックインジケータを目視にてロック状態であることを確認していた。 17時41分52秒に、操縦を担当していた副操縦士は航空機関士に対して「残燃料は?」と問いかけ、「5,000ポンド(およそ2.3トン)」との答えを得ている。また、48分54秒には、今度は機長に対して残燃料を質問している。これに対して機長は「5(5,000の意)だ」と答えている。この直後に残燃料が5,000ポンドを下回ったことを知らせる警告灯が点滅しはじめたが、機長は我が意を得たように「そろそろ点くころだと思っていたよ」と答えている。この警告灯が点灯し始めると、およそ25分後の18時15分には燃料を完全に使い果たすということは、運用規定にも書かれていた。 機長は、本当に全エンジンがフレームアウトするという危機を感じる寸前まで、実際の残燃料に関して混乱していた可能性が高い。 全エンジン停止のおよそ6分前、機長はNo.1メインタンクに1,000ポンドの燃料があると述べ、機関士もそれに同意している。同じときに、残燃料表示が1,000ポンドからゼロポンドに変わったと述べている。No.1メインタンクのゲージは1,000からいきなりゼロになることはなく、100ポンドずつ減っていくはずなので、機長はここで誤った読み取りをしていたことになる。実際、この時の表示は100からゼロに変わったものだった。 ユナイテッド航空では、個別のタンクの残燃料表示システムを、従来の直読デジタル式(故障が多かった)から、3桁表示でこれを100倍して読む方式のものに変更していた。そのうえ、同じく3桁表示の新しい総燃料表示(トータライザー)ゲージは個別タンク同様の3桁表示で、こちらは1,000倍して読む必要があった。強いストレス下で、個別のタンクの残燃料を読むときに機長と機関士の2人ともがこれらの乗数を混同して、100の代わりに1,000を用いてしまったのかもしれない。しかしながらこれ以前の発言からは、そういった間違いをしたという証拠はなく、この読み間違いを犯した時点では、事故はすでに不可避の段階となってしまっていた。
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