一五部隊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/29 09:11 UTC 版)
東雲 一真(しののめ かずま) 海洋遠征軍に新たに入隊した青年。185cmを超える長身で、細身ながらも鍛え上げられた均整な体軀をしており、立ち姿はまるで鋼の剣が通っているかの様な安定感がある。 300年前の時代に生きていた人間で、この時代には存在しない「(大和民族ではない)日本人」。如何なる理由か、環境制御塔内の粒子体を生成していた炉心の中で300年眠り続けていた。 古流剣術の家元の家庭の子供であり、“平成の剣聖”と呼ばれた祖父から学んだ剣術で、時代が時代なら大剣豪になれるだけの技量を持つ。剣の腕を披露する機会は剣道の試合だけだが、公式戦では無敗の全勝を貫いていた。流派習得の過程で心臓などの不随意筋を制御下に置く高度な生体自己制御(バイオフィードバック)を身に付けており、感情の制御や肉体の出力管理を全て意識的に行うことが出来る。身体能力と状況判断能力だけでなく、祖父から叩き込まれた武の術理を極めているが故の高い危機管理能力(生存能力)を持ち、弱みを見つければ即座に踏み込み、未知の攻撃には即座に距離を取るというセオリー通りのヒットアンドアウェイを徹底している。敵対対象の最適解を見抜く力に長け、対象の力の流動と可動域を把握する事で次の攻撃を予測する技術を身につけており、純粋な物理攻撃だけなら体長30m強の相手の打撃すら防御できる。さらに、粒子体無しでも90秒間全力の無呼吸運動ができる優れた心肺機能も持つ。 得意分野は身体強化型や放出型だが、知覚操作にも適性がある。星辰粒子体の海に300年沈んでいた事により、体内の細胞が粒子体に極めて高い数値で適合しており、純適合率は人類史上第2位、3位に並ぶ44.8%、粒子蓄積量は人類史上第3位の897万という凄まじい潜在能力を持ち、理論上体内で運動する粒子は最速で光速の5倍を超えるとされる。膨大な粒子量の高さから、瞬間消費量と瞬間回復量がほぼ同じなので、人体のメンテナンスを考えなければ半永久機関のような粒子放出も可能。B.D.Aを使って身体能力を向上させているとはいえ、その異常な健脚は並みのE.R.A兵器を遥かに上回る速度を発揮し、水深20mの海中に沈んだ20トンのコンテナを流体操作なしの純粋な身体能力で投げ上げる。ただ、初等教育で感覚を培っていないので、現代なら誰でも使える流体操作や圧力操作は使えず、体内の粒子体操作を生体自己制御によって補っているのが現状。また、その資質の高さから汎用B.D.Aでは全力を発揮できず、無理に使えば加速回路が焼き切れてしまう為、龍次郎が現役時代に使っていた加速器を借用している。主に刀を武器として用いる為、巧緻な剣術が意味をなさないほど巨大な相手とは相性が悪い。 かつては港区にあった伯父の経営する割烹料理店でアルバイトをしていた経験があるので、人並み以上に料理が得意。リズム感と音感、腹式呼吸が出来ているので意外なほどに歌が上手いが、カラオケに行く機会がなかったので300年前から自覚はなかった。射的などの縁日の出店にある遊びも一通り得意とする。 退廃の時代にあっては珍しい誠実な人物。趣味は読書と釣り。1巻から僅か3ヶ月前に目覚めたばかりなので、300年後の世界に関する常識がない。ジェネレーションギャップもあるが、それ以上に天然気質でもあり、周囲からは変な奴だと思われてもいる。 アラビア海の大海賊によって発見された後で奴隷商人に売られ、他の奴隷たちを救出して力尽きたところで龍次郎に救われた。滅びた世界で家族がどうなったのかを知ることを望んだ為、国賓級の扱いで極東へ送られる。その後、過去の資料の閲覧権限を得る為、新設された那姫直轄の討伐部隊“関東開拓第一五部隊”の部隊長に就任し、“赤服”を与えられる。Override in Far East Crown.(限定解除 極東の王冠) 龍次郎のB.D.Aを起動させる為のPower of Word。己の粒子を変換する技術はまだ無い為、超流動を纏った刀身から光輝の斬撃を放つだけだが、その光撃は光速の3倍以上の速度に達しており、あらゆる質量兵器を速度のみで食い千切る為、速度で超えない限り肉体硬化などで防ぐことは不可能。同様の現象を人類最盛期の技術で再現するなら、ハドロン粒子加速器が200台必要になる。消費量は即座に補充されるので連射も可能だが、大量放出には限界があり、肉体が熱を持って炎のように燃え上がってしまう。 相良 当麻(さがら とうま) “相良商会”会長の息子。自己中心的な噂が多く、頭が悪く度々自滅するが、義侠心が強く根が善人なので慰留民などの一部の者からは人望がある。 外籍遺留街との衝突が起きた際、遺留民の側に立ち自分の父親を民衆の前で殴り飛ばしたことがある為、商会内部でも反感が多い。 商会の跡取りとして功を焦っており、そこを突かれて中華大陸連邦に踊らされる。食料支援を受ける為に父の調印を勝手に持ち出して中華大陸連邦と取引しようとしていたが、輸送していた骨董屋が“海獅子”に襲われて、積荷が密輸扱いで開拓部隊に買い取られてしまった為、代わりに有機粒子体300トンを生産するべく、“海獅子”襲来時に第二警戒態勢を無視し、居住区の有機流体物の生産ラインを停止させず避難を送れさせ、命令無視と生存圏の侵害という重罪を犯し、結果戦艦1隻、多脚型戦車17機が破壊されてしまう。組織間の遺恨を残さないために温情措置に見せつつ、新設の討伐部隊である一五部隊へ配属されて最前線へ一兵卒として送られるという処分を下される。 斎条 比奈(さいじょう ひな) 遠征軍に所属する女性兵士。元は大阪に駐屯していた開拓部隊の人員で、千尋の下で働いていたが、一五部隊が新設される際に那姫に預けられた。太平洋遠征の期間中の昼間は国営慰安所のウェイトレスとしても働いている。父親は桜島観測所の出身で、再現部門の統括をしている。 数値だけなら平均をかなり上回っており、一五部隊に配属される際に新型の多脚型戦車を支給されている。 藤堂 綱吉(とうどう つなよし) 遠征軍の最初期から所属している大ベテラン。経験豊富なだけでなく、人間性も出来過ぎなくらいにいい人。以前は龍次郎の片腕を務め、王冠種との約30回にも及ぶ戦闘を生き延びた歴戦の兵士である。 粒子適合率が低い為、自らの意志で体の一部を機械化して補っている。鋼の義眼は知覚拡張型に空間把握型を足したもので、身一つで探索や索敵を行うことができる。 遠征軍の索敵部隊から引き抜かれて一五部隊に配属された。部隊内では大人のベテランということで一真の補佐役となっている。 高耶 誠士郎(たかや せいしろう) 開拓部隊に所属する将官候補生。一真の補佐役として一五部隊に配属される。年齢は12歳ほど。身長は160cm未満。気難しいが、頭も良く知識もあり、次世代の赤服候補と期待される実力は本物で、純粋な戦闘能力なら開拓部隊でNo.2、龍次郎以外では唯一単身で一真の戦闘についていけるとされる。だが、やはり高適合者特有の悪癖で、単独で勝手に前に出てしまう欠点を指摘されている。 日本に取り残された外籍遺留民の子孫という少々特殊な生まれで、長い金髪とスカイブルーの瞳が特徴。生きている身内は祖母だけだが、軍人嫌いなので半ば勘当状態にある。外籍遺留街と極東の衝突時、遺留民側に立ってくれた当麻のことは恩人として味方している。 系統は世にも珍しい異種同調型。本人の適合率は11歳の時点で27%だが、“天悠骨・十束剣”を外部加速器としてプラスすることで30%の大台に乗る。“大山祇命”との戦いを経て遂に生身で30%に乗った。 身体強化と虚数操作によって加速した機動力に遠心力による加速を加えた二刀流を使う。ただ、剣術の技量では一真に劣り、自身の軽い重量を補う工夫はあるが、ただでさえ体重を乗せにくい二刀流を実戦で使うには身長が最低でも20cmは不足している。 九州での“大山祇命”との戦いではシャンバラ軍と共に深緑の巨人を迎え撃ち、3国連合での決戦では陽動として“ドレイクⅡ”に乗船し、城山で義手義足の男と交戦、痛打を浴びせたものの捕縛は叶わなかった。天悠骨・十束剣(アヴァター・トツカノツルギ) 天悠種“迦具土神”の骨を加工した、2本の曲刀型B.D.A。大気の熱膨張によって雷鳴が轟き、アストラルノヴァを曲刀へ集約させ、刃先を超流動している粒子により、接触した物体を驚異的な速度で無理やり「搔き切る」。超流動曲刀には稲妻に酷似した性質が秘められ、力を高めた状態で刃と刃が鍔ぜり合えば、非同調者電子運動により、相手は感電した様に一瞬で焼け焦げる。 “天悠骨・迦具土神(アヴァター・カグツチ)”のPower of wordと共にB.D.Aを起動させると、戦艦の装甲に穴を開けるという“迦具土神”の龍の息吹を再現した、稲妻に似た「直進」する粒子を放出、十文字に虚空を斬った双剣から2つの波動が放出されて敵を斬り裂く。
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