外伝に登場したフレイムヘイズ
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「フレイムヘイズ」の記事における「外伝に登場したフレイムヘイズ」の解説
ユーリイ・フヴォイカ[Yuri Chvojka] 声 - 三瓶由布子 『魑勢の牽き手(ちせいのひきて)』の称号を持つ男性のフレイムヘイズ。S巻『マイルストーン』に登場。 気弱さと生真面目さを半々に含んだ、サイズの合わない大きな眼鏡を掛けた10代半ばの少年。神器“ゴベルラ”は古風な短剣型。 小動物や虫などの生物を使い魔として支配し、伝声や監視、計測に使役し、またそれらの力の奔流を竜巻の様に立ち上がらせ、攻撃と防御を行う自在法『隷群』を使うが、未熟なため、大雑把かつ小規模な物しか使えない。 契約してまだ1年余りという日の浅さから、性格は普通の少年そのものだった。 契約時の戦いで復讐相手を討滅したため“徒”への復讐心を持っておらず、大事な人を守れなかった後悔と生き続ける意味を失った無意識の虚無感だけを抱えている。そのため「誰かを守りたい」と言う「フレイムヘイズに不要な善意」を持ち、またフレイムヘイズが「戦い続けるため」に必要な「生への渇望」を持ち合わせていない。 元はウクライナ移民で、15歳のときアメリカへ向かう移民船の航海上で海魔(クラーケン)ラハブに襲われ、死の淵で契約し仇のラハブを討った。その後アメリカに渡り、外界宿『イーストエッジ外信』で働きながらフレイムヘイズの基礎教育を受けていた。当人は「誰かを守るため」の戦いを望んでいたが、他者のために簡単に命を捨てかねないその危うさを感じとったイーストエッジから戦いを禁じられていた。 1930年代のマンハッタンで『弔詞の詠み手』マージョリー・ドーと邂逅する。参戦を禁止されながら、“穿徹の洞”アナベルグと彼を護衛する“千変”シュドナイとの戦いに、マージョリーを助けるため参戦。アナベルグの相手を引き受け討滅したが、シュドナイに追い詰められたマージョリーを守るべく、無謀を承知でシュドナイへ突撃、シュドナイの一撃と戦闘の余波に巻き込まれて死亡した(S巻『マイルストーン』)。 尊敬するフレイムヘイズとして『弔詞の詠み手』マージョリー・ドーや先代『炎髪灼眼の討ち手』マティルダ・サントメール、二代目『極光の射手』キアラ・トスカナと『鬼功の繰り手』サーレ・ハビヒツブルグ、『輝爍の撒き手』レベッカ・リードや『理法の裁ち手』ヤマベを挙げていた。 アニメでは第2期に登場。“虺蜴の帥(きえきのすい)”ウァラク[Valac] 声 - 山川琴美 ユーリイ・フヴォイカと契約していた女性の“紅世の王”。炎の色は丹色。 会話の際、ときおり短剣型神器“ゴベルラ”の鯉口を鳴らす。常に気だるそうな口調だが、何だかんだ言いつつ己の契約者たるユーリイを気遣い見守る優しい性格。ユーリイの前にも契約者がいたが、全員復讐鬼で討ち死にした模様。カムシンには「生命の竜巻」と形容され、太古の“祭礼の蛇”との戦いにも、「虫愛づる姫君」と形容された当時の契約者と共に参戦した模様。 1930年代にユーリイが戦死したことで、“紅世”へ帰還した(外伝『マイルストーン』)。 新世界『無何有鏡』が創造された後、新世界へ渡り来た秩序派の“王”の一人として活動しており、シャナと出会って日本にいる[マカベアの兄弟]の構成員たちを、とある古びた陸上競技場におびき出す手引きをした模様(外伝『ホープ』)。 アニメでは第2期に登場。 ソロモン72柱の悪魔の一体にウァラクがいる。 クロード・テイラー[Claude Taylor] 『空裏の裂き手(くうりのさきて)』の称号を持つ男性のフレイムヘイズ。XV巻に登場。 頑強な外見の中年男性。神器“ソアラー”は左を向いた鷲のバッジ型。 『空裏の裂き手』の力の象徴である空色の衣『サックコート』を纏い、鷲の翼や頭、鉤爪を顕し戦う空中戦や格闘戦ではトップクラスの強力な討ち手。1863年に勃発した『内乱』外界宿サイドの東軍に所属し、カンザスの戦いで名を挙げてカンザス~セントルイス方面の哨戒網を統括するなどの活躍したようだが、19世紀末期にはフレイムヘイズの本来の使命から離れて[革正団]としてフレイムヘイズと敵対していた。 元は妻子と平和に暮らす平凡な農夫だったが、息子の結婚式に現れた“紅世の王”に息子とその嫁を喰われ、その怒りから契約した。フレイムヘイズとして強く生まれた事と『約束の二人』などの協力者を得た幸運で、わずか数年で仇敵の“王”を討滅するが、短期に復讐を遂げたためフレイムヘイズの使命に対する実感をほとんど持てなかった。 復讐を遂げた後は、人間時代への未練から、契約で絆を失い赤の他人となっていた妻と娘の元へ逃げ戻る。そして妻や娘との関係を再度構築するが、その中で自らの愚かさを自覚する。やがて耐え切れず、妻に自分がかつて夫だったことと「この世の本当の事」を教え、使えば命を失う宝具『ヒラルダ』を渡し逃走。自身の愚かしい過去から逃れるため、世界を変える思想を持った集団[革正団]の一員となった。 しかしキアラやサーレ、宝具『ヒラルダ』を使った妻から依頼を受けた『約束の二人』に[革正団]の計画を阻止され、妻の遺言を聞くと、自らフレイムヘイズの契約を解除して死亡した。 息子を失った事実を認められずフレイムヘイズへ「逃げ」、フレイムヘイズの使命感を持てず捨てたはずの妻子へ「逃げ」、妻子を通じて自身の愚かさを知り[革正団]へ「逃げ」、自身の家族を重ね合わせた[革正団]の同志ハリエット・スミスの行く末から「逃げ」、最期まで逃げ続けた。“觜距の鎧仗(しきょのがいじょう)”カイム[Caim] クロード・テイラーと契約していた男性の“紅世の王”。炎の色は空色。 かなり口が悪く、契約者のクロードを「腰抜け」とよく罵っていた。クロードがフレイムヘイズの使命から離れた後も彼と共に行動していた理由は明確ではないが、使命から離れたクロードに付き合っていたのは曰く、彼の力が惜しかったからとの事。 1901年にクロードが契約を解除したことで、“紅世”へ帰還した。 『ゴエティア』においては53番目に記述されるソロモン72柱の悪魔の一体にカイムがいる。 セシリア・ロドリーゴ[Cecilia Rodrigo] 『荊扉の編み手(けいひのあみて)』の称号を持つ女性のフレイムヘイズ。外伝『ヴァージャー』に登場。 容姿は褐色の長髪をした20歳前後の女性。髪と同じ褐色のジャケットとスカートを纏い、似合わない真っ白な獣毛の襟巻きを巻いているため『襟巻きさん』と渾名される。神器は牙を並べたペンダント型の“エスピナ”。 心が弱く感情的で、思慮が浅い自分勝手な性格をしている。クレメンスの関すること以外はどうでもいいと考えており、シャナからは『偏執狂』と形容されていた。 戦闘力は低いが、防御に特化した討ち手で、形質強化を行う防御系の自在法『アルカサル』を使用するが、設置までに時間がかかる。 『大戦』の頃に大量に粗製濫造された討ち手たち「ゾフィーの子供たち」の1人。『大戦』では、わけもわからぬ危機感のまま後方で戦い、『大戦』終結後も目的はなく、心の弱さから軽侮されて1人で行く道に迷っていたところを『大戦』で知り合った『戈伏の衝き手』クレメンス・ロットに声をかけられ、旅の相棒となる。クレメンスが攻撃を、彼女が防御を担当するコンビネーションで数多の“徒”を討滅した様子。自分に手を差し伸べ行路を示してくれたクレメンスを妄信的に慕っていた。真っ白な襟巻きもクレメンスから贈られた物で、とても大切にしており、襟巻きに触ろうとした者を怒鳴りつける程である。 ある時クレメンスから故郷の話を聞かされ、それに強い関心を抱くが、彼が全てを話してくれない事に哀しみを覚える。その思いは『ヴァージャー』より1年前、クレメンスが殺された際に弾け、その思慕からクレメンスが故郷に遺した品を入手しようとオーストリアの森に埋もれた廃村に向かう。しかし幾度も交戦しクレメンスを殺した“紅世の王”“皁彦士”オオナムチに阻まれ、クレメンスの遺品をオオナムチに横取りされると思い深い怒りを覚えたセシリアだが、独力ではオオナムチを突破できず、そこで遺品を手に入れる為に足止めとなる討ち手を欲して外界宿へ救援要請を行う。結果、四度の派遣でやってきた五人の討ち手たちは全てセシリアが『アルカサル』を設置し終える前にオオナムチに殺害された。 そして五度目の派遣でやってきた『贄殿遮那』のフレイムヘイズ(=シャナ)を、見た目通りの若輩者と侮って怒りを露わにするが、オオナムチとの最初の接触でシャナが炎髪灼眼の姿を表したことから彼女が『炎髪灼眼の討ち手』だと気付いた。そしてシャナとの2度目の探索時、彼女とオオナムチが戦闘に突入したのを見計らって両者を『アルカサル』で形成した檻に閉じ込め、その隙にクレメンスの故郷である廃村に辿り着く。その狂喜のまま、クレメンスの遺品が入った木箱を見つけ駆け寄るが、それを止めようとしたシャナに襟巻きを掴まれ、命の危機に晒されている事にも気付かずシャナを突き飛ばす。それが命取りとなり、後ろから迫っていたオオナムチに胴を両断され、クレメンスの遺品を入手したと思い込んだまま、満足げな笑顔を浮かべながら遺品の正体も知らずに死亡した。“欺蔽の套子(ぎへいのとうし)”クエレブレ[Cuelebre] セシリア・ロドリーゴと契約している男性の“紅世の王”。炎の色は柳色。 シャナやアラストールがいくら話しかけても答えようとせず、セシリアの最期の時に一言だけ暗く沈んだ声で話し、“紅世”へ帰還した。セシリアの身勝手過ぎる行動を止めなかったのは、彼曰く「哀れではないか」との事。 数百年前に“棺の織手”アシズが引き起こした『都喰らい』によって生じた史上空前の「世界の歪み」と『壮挙』に、大災厄への危機感を覚えて急遽契約に踏み切った“王”の1人でもある。 スペイン北部に、クエレブレという同名の伝説上の大蛇が存在する。 クレメンス・ロット[Clemens Rott] 『戈伏の衝き手(かふくのつきて)』の称号を持つ男性のフレイムヘイズ。外伝『ヴァージャー』に登場。神器はランプ型の“マーニ”。 不可視不可知の力を自在に操る、攻撃に特化した討ち手。その能力故に集団戦には向いておらず、『大戦』では連絡将校を務めていた。 かつて故郷であるオーストリアの村で妻と妻のお腹の中にいた子供を“徒”に喰われてしまい、その怒りからフレイムヘイズとして契約。妻子への手向けから、妻の名を刻んだ安産祈願の蝋細工を製作して故郷に残してきた。 その後『大戦』で『荊扉の編み手』セシリア・ロドリーゴと知り合い、『大戦』終結後に、1人で行く道に迷っていたセシリアに声をかけて相棒とした。旅を続ける間にセシリアから慕われるようになり、ある時つい彼女に自分の故郷のことを少し話してしまい、すぐにそれを後悔する。その理由は、故郷に残した蝋細工をセシリアに決して見られたくない為であり、セシリアのことは大切に思っていた模様。 そして外伝『ヴァージャー』の一年前、幾度も交戦してきた“皁彦士”オオナムチに致命傷を負わされてしまい、前述の後悔の念から敵であるオオナムチに、自分が故郷に残した蝋細工をセシリアに決して見せないで探して壊してほしいがセシリアは殺さないで欲しいと頼み込んで死亡した。 かつてセシリアに真っ白な獣毛の襟巻きを贈り、彼女はそれをとても大切にしていたが、その襟巻きや遺品である蝋細工などを含めた彼女のクレメンスに対する思慕が、結果的にセシリアの命取りとなった。“利鋭の暗流(りえいのあんりゅう)”ノート クレメンス・ロットと契約していた“紅世の王”。炎の色は“消炭色”。 外伝『ヴァージャー』の一年前、クレメンスがオオナムチに殺害されたことで、“紅世”へ帰還したと思われる。 北欧神話の夜の女神にノートという同名の女神がいる。 デデ[Dede] 『燿暉の選り手(ようきのえりて)』の称号を持つフレイムヘイズ。炎の色は鴨羽色。外伝『ジャグル』に登場。 外見は深緑の旅装を着た、大柄な中東系の男。神器は硬玉の耳飾り型の“アルシアー”。 身体の周囲に鴨羽色に輝く小楯を数十枚作り出し、宙に浮かぶそれを自在に操って攻撃・防御を行う。 本編開始の二年前に、外界宿[故崖窟]の近辺で『露刃の巻き手』劉陽とコンビを組んで、天山山脈で活動する[仮装舞踏会]の捜索を行っていたが、休息のためにカシュガルに向かった際に[百鬼夜行]のバスから降りた“戯睡郷”メアらと遭遇し、彼女を討滅しようとした。しかし、その前に偶然通りがかった“壊刃”サブラクの八つ当たりにより殺害された。“爛班の炉(らんばんのろ)”シャフレワル デデと契約していた“紅世の王”。炎の色は“鴨羽色”。 本編開始の二年前、デデがサブラクに殺害されたことで、“紅世”へ帰還した。 ゾロアスター教の善神アムシャ・スプンタの一柱フシャスラ・ワルヤの別名に同名の女神がいる。 劉陽(りゅうよう) 『露刃の巻き手(ろじんのまきて)』の称号を持つ男性のフレイムヘイズ。外伝『ジャグル』に登場。 外見は精悍な顔立ちの偉丈夫で、スーツの腰には露草色の帯を巻いている。武器でもある神器は大刀型の『羽淵』。 震脚を行った場所から膨大な水を噴出させ操る自在法『巴字奔瀑』を使う。作り出された水は劉陽の意のままに動き、劉陽の移動の補助や、激流や九本の大蛇など自在に形を変えての直接攻撃に使われる他、この水が生む水煙の中の物体や“存在の力”の動きを感知し、劉陽に伝える効力もある。 本編開始の二年前に、外界宿[故崖窟]の近辺でフレイムヘイズ・デデとコンビを組んで、天山山脈で活動する[仮装舞踏会]の捜索を行っていたが、カシュガル近郊でデデの消息が途絶えたことで彼の死を知り、友の仇を討つためカシュガルを訪れる。そして仇である“壊刃”サブラクと遭遇。共にいた“戯睡郷”メアの『ゲマインデ』が夢の世界であることをすぐに見破り現実に復帰するが、デデ同様にサブラクに三十分足らずで殺害された。“瘴煙の鉦(しょうえんのかね)”相柳(そうりゅう) 劉陽と契約していた女性の“紅世の王”。炎の色は露草色。 しとやかな声の“王”。本編開始の二年前に劉陽が戦死したことで、“紅世”へ帰還した。 古代中国神話に同名の怪物・相柳が登場する。 ノーマン・パーセル [Norman Purcell] 『氷霧の削ぎ手』の称号を持つ男性のフレイムヘイズ。外伝『ソロー』に登場。 外見は髭を生やした西洋系の白人で、『内乱』ではインディアン然とした身なりをしていた。神器はマントの留め具型の“ヨークトル”。 氷の斧を作り出す『アクス』、氷の槍を作り出す『ゲイル』、氷の分身を作り出して五人に増えて攻撃することができる『スペイキル』などの三つの自在法を行使した。中でも自在法『スペイキル』の最大の特徴は、作り出した分身は銃弾でも砕けて消え去るほどに脆いものの、敵がどういう順番で攻撃してこようと、自分自身は最後になるという点である。つまり五体の内に一体の本体と四体の分身がいるのではなく、最後の一体になるまでは本体はいなくなり全てが分身となる。 当初はアメリカの外界宿の重鎮であったが、17世紀~19世紀までの白人の新大陸侵略を看過したことで原住民が圧殺されていく様を悔いて、『内乱』が勃発すると『大地の四神』側の西軍に参加した。しかしその経歴のために信頼されず、フレイムヘイズとアメリカ原住民である人間の混成部隊[パドゥーカ]を率いての開拓村の襲撃やアメリカ軍の砦への攻撃といった、重要度の低い任務へと回された。任務の最中、ビリー・ホーキンの住んでいた開拓村を潰して彼の恨みを買い、それが結果的に“狩人”フリアグネの来襲へと繋がった。 1864年、とある狭隘地で[パドゥーカ]を待ち伏せしていたビリーとフリアグネと遭遇。部下たちを皆殺しにした二人に怒りを抱きながら交戦し、ビリーに致命傷を負わせるも戦闘の最中に作り出された宝具『トリガーハッピー』の最初の犠牲者となって爆死した。“凜乎の涌沸(りんこのようふつ)”スリュム ノーマン・パーセルと契約していた男性の“紅世の王”。炎の色は錆浅葱色。 厳しい老爺の声の“王”。1864年、『内乱』の最中にノーマンが交戦した“狩人”フリアグネとビリー・ホーキンを勇者だと評価していたが、二人が作り出した宝具『トリガーハッピー』によってノーマンが爆死したことで“紅世”へ帰還した。 北欧神話に登場する霜の巨人ヨトゥンの王に同じ名前のスリュムがいる。
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