前科・前歴とは? わかりやすく解説

前科

(前科・前歴 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/25 14:52 UTC 版)

前科(ぜんか)は、過去に懲役禁錮罰金刑罰(または執行猶予)を受けたことがある経歴をいうが、法律上の定義はないため、以下のようにいくつかの異なる意味で用いられる。

概要

広義には、過去に有罪判決の言渡しを受けた事実そのものを指す。実刑および執行猶予付き判決の他、罰金科料も前科に含まれるが、交通違反の経歴は含まれない。この意味では、時間の経過により刑の言渡しの効力が失われても前科は残る。

検察庁が作成・管理している前科調書では、拘留科料のような軽微な刑もすべて記録しており、刑の言渡しの効力が失われても抹消されず、広義の前科にほぼ対応する。なお、前科調書は一般人照会することはできない。

狭義には、時間の経過により刑の言渡しの効力が失われたものは前科には含めない(後記#刑言渡しの効力の消滅の項参照)。各市区町村で管理される犯罪人名簿では、狭義の前科があるものを記載している。

また、通俗的には単に過去に犯罪を犯しことや刑罰を「前科」と呼ぶこと。この場合、主に懲役刑や禁錮刑を指し、科料未満の軽微なものは含めないことが多い。また、前科がある者を俗に「前科者」と呼ぶ。転じて過去に(犯罪とは限らない)失敗を犯した者を「前科者」と呼ぶことがある[1]

上記のような前科は、戸籍住民票住民基本台帳などに記載されることはない。現在は廃止されている明治5年式戸籍(壬申戸籍)には、犯罪歴に関する記載があったとされる[2]

企業などの採用選考では、履歴書に賞罰欄がある場合は前科を全て正確に記載する必要があるとされる。前科を隠して採用された場合、経歴詐称として懲戒解雇となりうる。ただし、経歴詐称で懲戒解雇ができる要件は「使用者が労働者の真実の経歴を知っていたならば労働契約を締結しなかったであろうと認められるほど重大なものである場合」としている(東京地裁昭和54年3月8日判決)。

前科と似た用語として前歴がある。前歴とは捜査機関から被疑者として捜査された履歴のことを指す。捜査の結果、起訴され刑罰を受ければ前歴と前科ができることになるが、捜査や逮捕されても不起訴や無罪判決により刑罰を受けなければ前歴はついても前科はつかない。[3]

刑言渡しの効力の消滅

刑法27条及び34条の2は、刑の言渡しの効力の消滅について定める。この規定は、刑の言渡しによって失った資格および権利(後述、前科と制限を参照)を回復させる「復権」であると解されている。具体的には次の場合に刑の言渡しの効力が消滅する。

  • 禁錮以上の刑の執行を終わり、またはその執行を免除された者が、罰金以上の刑に処せられないで10年以上経過したとき(刑法34条の2第1項前段)。
  • 罰金以下の刑の執行を終わり、またはその執行を免除された者が、罰金以上の刑に処せられないで5年以上経過したとき(同項後段)。
  • 刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予期間を経過したとき(同法27条)。

また、刑の免除の言渡しを受けた者が、言渡しが確定した後、罰金以上の刑に処せられないで2年以上経過したときは、刑の免除の言渡しは効力を失う(同法34条の2第2項)。

これらの場合も最高裁の判例によれば、「刑の言渡しを受けたという既往の事実そのものまで全くなくなるという意味ではない」とされる[4]

犯罪人名簿

犯罪人名簿の根拠規定

過去には「本籍人犯罪人名簿整備方」(大正6年4月12日内務省訓令第1号)、「入寄留者犯罪人名簿整備方」(昭和2年内務省訓令第3号)に基づき、市区町村が犯罪人名簿を作成や管理していた。

1947年(昭和22年)の地方自治法により犯罪人名簿の作成や管理は市区町村の業務から外れため、それ以降は犯罪人名簿の作成や管理を各市区町村に義務付けたり根拠付ける法規は存在しない[5]。しかし、市区町村は後述するように選挙人名簿を作成する必要があることから、地方自治法上の自治事務[注釈 1]として、明確な根拠規定のないまま(公職選挙法公民権関連の規定があるのみである)、犯罪人名簿の作成保管を続けている[5]

犯罪人名簿の作成

犯罪人名簿は、通常、市区町村ごとに管理される。これは、前述の内務省訓令が、市区町村に、各市区町村に本籍を置く者の犯罪人名簿の作成保管を義務付けたことに基づく。市町村は、犯歴事務規程(法務省訓令)に基づいて地方検察庁から送付される既決犯罪通知書をもとに、犯罪人名簿を作成する。

犯罪人名簿の記載対象

犯罪人名簿に記載されるのは、以下に該当する者である(犯歴事務規程第2条、第3条、第7条)。

  • 道路交通法などの違反による裁判以外で、罰金以上の刑に処せられた者(少年のときに犯した罪にかかる裁判で、確定時にその刑の執行を受け終えたことになる者、刑の執行を猶予された者、刑の執行を免除された者を除く)。
  • 道路交通法などの違反による裁判で、禁錮以上の刑に処せられた者(少年のときに犯した罪にかかる裁判で、確定時にその刑の執行を受け終えたことになる者、刑の執行を猶予された者、刑の執行を免除された者を除く)。

犯罪人名簿の取扱い

犯罪人名簿に記載されている個人情報は、人権保護の観点から極めて重要であるため(後述「前科とプライバシー」も参照)、各市区町村とも、極めて厳重な取扱いを行っている。具体的には、当の本人でさえ閲覧できず、閲覧できる職員が極めて限定されている[注釈 2]

犯罪人名簿からの削除

刑の言渡しの効力の消滅に合わせて、市区町村の犯罪人名簿から記載が削除される(前科記録の抹消)[7]

検察庁による犯歴管理

市区町村による犯罪人名簿の作成管理とは別に、検察庁も犯歴事務規程に基づいた犯歴管理を行っている。これは、上記の既決犯罪通知書を作成する際に、当該裁判を把握する手続をとることで行われる(こちらは市町村の犯罪人名簿とは違い拘留科料などの軽微な罪も記載される)。なお、これに基づいて「特定の者が有罪の裁判を受けこれが確定した事実の有無」を照会することができるのは、検察官または検察事務官に限られる(犯歴事務規程13条)。

この犯歴管理の記録は、市区町村における犯罪人名簿と異なり、該当者の死亡によってのみ抹消される(犯歴事務規程18条)。

警察による犯歴管理

都道府県警察では、照会センターを設置している。照会センターでは前歴、行政処分履歴、行方不明届などの個人情報をすべて電子データ化している。

職務質問を行う地域警察官機動捜査隊員から照会要請を受けると対象者の氏名生年月日、免許証番号をもとに電子データとの照合が行われ、何らかの犯歴があれば「A号ヒット」と照会センターから返答があるほか、指名手配犯ならB号、行方不明者届が出されていたならばM号などと独自の通話コードで返答がある。

また、自動車警ら隊員などが対象者の身分証などから身元照会を行う際に利用するのがパトカー照会指令システムである。この照会システムは、照会センターの電子データにパトカーの車載端末からアクセスすることで対象者の照会を可能としている。

前科と権利・資格制限

選挙権・被選挙権

上述したように、市区町村は選挙人名簿を調製するために、犯罪人名簿を管理している。これは公職選挙法(以下「法」)が「過去に犯罪を犯した一定の者について、選挙権及び被選挙権を有しない」と定めていることによる(いわゆる「公民権停止」)。復権まで、選挙の投票所入場券は送られて来ないし、立候補も出来ない。具体的には、以下のような者が該当する。

選挙権を有しない者

  • 禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く)(法11条1項3号)
  • 公職にある間に犯した、収賄等の罪またはあっせん利得処罰法第1条の罪により刑に処せられ、その執行を終わりもしくはその執行の免除を受けた者で、その執行を終わりもしくはその執行の免除を受けた日から5年を経過しない者、またはその刑の執行猶予中の者(同項4号)
  • 法律の定めによって行われる選挙等に関する犯罪により禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行猶予中の者(同項5号)
  • 公職選挙法の罰則規定(236条の2第2項、240条、242条、244条、245条、252条の2、252条の3、253条を除く)に違反し罰金の刑に処せられた者で、裁判の確定から5年(221条、222条、223条、223条の2の罪につき刑に処せられ、さらに221条から223条の2までの罪につき刑に処せられた者については10年)を経過しない者またはその刑の執行猶予中の者(法252条1項、3項)
  • 公職選挙法の罰則規定(253条を除く)に違反し禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わりもしくはその執行の免除を受けた者で、その執行を終わりもしくはその執行の免除を受けた日から5年(221条、222条、223条、223条の2の罪につき刑に処せられ、さらに221条から223条の2までの罪につき刑に処せられた者については10年)を経過しない者、またはその刑の執行を終わらずもしくは執行の免除を受けず、未だ刑の執行を受けることがなくならない者および執行猶予中の者(法252条2項、3項)

被選挙権を有しない者

  • 禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く)(法11条1項3号)
  • 公職にある間に犯した、収賄等の罪またはあっせん利得処罰法第1条の罪により刑に処せられ、その執行を終わりもしくはその執行の免除を受けた者で、その執行を終わりもしくはその執行の免除を受けた日から10年を経過しない者またはその刑の執行猶予中の者(同項4号、法11条の2)
  • 法律の定めによって行われる選挙等に関する犯罪により禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行猶予中の者(法11条1項5号)
  • 公職選挙法の罰則規定(236条の2第2項、240条、242条、244条、245条、252条の2、252条の3、253条を除く)に違反し罰金の刑に処せられた者で、裁判確定から5年(221条、222条、223条、223条の2の罪につき刑に処せられ、さらに221条から223条の2までの罪につき刑に処せられた者については10年)を経過しない者またはその刑の執行猶予中の者(法252条1項、3項)
  • 公職選挙法の罰則規定(253条を除く)に違反し禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わりもしくはその執行の免除を受けた者で、その執行を終わりもしくはその執行の免除を受けた日から5年(221条、222条、223条、223条の2の罪につき刑に処せられ、さらに221条から223条の2までの罪につき刑に処せられた者については10年)を経過しない者、またはその刑の執行を終わらずもしくは執行の免除を受けず、未だ刑の執行を受けることがなくならない者および執行猶予中の者(法252条2項、3項)

その他の法律上の資格制限

各種の行政法規において、特定の資格・職業(公務員弁護士医師を始めとする国家資格業務独占資格など)について、禁錮以上の刑に処せられた者を欠格事由を定めているものや、裁量によって免許を与えないとしているものが多い[注釈 3]

弁護士などの重要な国家資格や業務独占資格については「禁錮以上の刑に処せられた者」が欠格事由とされているが、この場合には、執行猶予期間(最長5年)の満了によって「刑が消滅」すれば、資格が回復する。逆に、禁錮以上の実刑を受けた場合は、10年以上経過し、刑の言渡しの効力が消滅しなければ資格は回復しないこととなる。

欠格事由が「禁錮以上の刑を受け、その執行を終わりもしく受けることがなくなった日から5年を経過しない者」と定められている場合、執行猶予の場合は猶予期間が経過すれば刑自体が消滅することにより「禁錮以上の刑を受け」に該当しなくなるので、資格は回復するとされる。禁錮以上の実刑の場合は、刑の言渡しの効力は消滅していなくても、その執行を終わり(刑の満期を迎えてから)5年以上経過すれば欠格事由はなくなる。この規定は、前者の「禁錮以上の刑に処せられた者」に比して欠格事由を緩和したものである。ちなみに、この規定による「受けることがなくなった」ものに該当する例は、刑の時効の完成(刑法31条)や恩赦による刑の執行の免除などをさす。なお、執行猶予期間の満了については、「刑自体が消滅する」見解と、「刑の言い渡しの効力が消滅するに過ぎない」見解がある。

少年のときに犯した罪の特例

少年のとき(20歳未満)犯した罪により刑に処せられてその執行を受け終わり、または執行の免除を受けた者については、人の資格の適用に関する法令についてはその時点から、将来に向かって刑の言い渡しを受けなかったものとみなされ(少年法60条1項)、少年のとき(20歳未満)犯した罪により刑に処せられ刑の執行猶予を受けた者は、その猶予期間中、刑の執行を受け終わったものとみなされ(同法2項)、刑の執行猶予を取り消された場合は、その時点で人の資格の適用に関する法令の適用については、その取り消されたとき、刑の言い渡しがあったものとみなされる。

例えば19歳のときに犯した犯罪で、20歳になってから実刑判決を下された場合でも、刑の満期を経過した時点で、たとえば「禁錮以上の刑に処せられた者」に対する欠格事由が定められていても満期後10年以上経過しなくてもその者については欠格事由の適用を受けず、執行猶予判決が言い渡された場合は、執行猶予期間中においても欠格事由の適用を受けないことになる。

国外渡航・永住等の制限

日本国外渡航や日本国外永住申請等の際に、犯罪経歴証明書の提出が必要となることがある。相手国の法律によっては、査証(ビザ)の免除が受けられないことや、渡航や永住が認められないこともある。例えば米国の場合、犯罪歴のある者の入国には査証が必要となることがあり[8]オーストラリアの場合、服役の有無にかかわらず12か月以上の懲役または禁錮刑を受けたことのある者の入国には査証が必要となることがある[9]

前科とプライバシー

前科情報がプライバシーとして保護されるかが問題となった事件として、1975年に起きた「前科照会事件」が挙げられる。この事件で、最高裁判決は、前科は人の名誉および信用に深く関わるものであるから、前科のある者についても、これをみだりに公開されないという法律上の保護に値する利益を有するとし、地方公共団体弁護士からの前科情報についての照会に漫然と応じた行為を違法と認定した(最高裁昭和56年4月14日判決[10])。

多数意見は前科(情報)についてその保護を認めながらも、「プライバシー」という語を用いることを避けているが、裁判官の伊藤正己による補足意見では、「前科等は、個人のプライバシーのうちでも最も他人に知られたくないものの一つ」と前科がプライバシーに当たることを正面から認めた上で、「前科等にかかわる事実の公表が公的機関によるものであっても、私人又は私的団体によるものであっても変わるものではない」旨が述べられている。

全国連合戸籍事務協議会(戸籍事務担当者の団体)は“慣例により”市町村で名簿が作成され続けている現状を憂い、「法に根拠のない犯歴事務は行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に抵触する」と法整備を求めている[11]

前科の誤登録

前述のように、いったん前科が付いてしまうと法律上・行政上の権利・資格制限など、様々な不利益を受けることになる。このため、手違いで覚えのない前科が誤登録されてしまうことでの不利益は計り知れない。2010年6月には、警察庁の犯歴データベースに覚えのない前科を16年間に亘り誤登録され人格権を侵害されたとして警察庁を相手取り訴訟を起こした男性について、人格権の侵害を認定し慰謝料などの支払いを命ずる判決が出されている[12]

比喩表現

転じて、過去に犯した過ちや失敗など、悪しき前例の意として使われている。

脚注

注釈

  1. ^ 第174回国会において、木村太郎衆議院議員の「犯罪人名簿に関する質問主意書」(平成22年3月2日提出質問第191号)に対して、内閣は、犯罪人名簿の調製に関する事務は「地方公共団体の自治事務として実施されているものであり、法律又はこれに基づく政令の根拠を必要とするものではなく、……」という答弁書を閣議決定している(平成22年3月12日、内閣衆質174第191号)[6]。なお、地方分権一括法による改正前の分類では、犯罪人名簿の調製は、固有事務
  2. ^ たとえば、沖縄市犯罪人名簿取扱規程3条 「名簿は、第1条の目的(注:身分証明及び選挙人名簿の調製等)のためにのみ整備及び保管され、その登録されている事項は、人権に重大な影響を与えるので取扱いを厳重にし、担当職員以外にみだりに閲覧させてはならない。」
  3. ^ 同じ業務独占資格でも、無線従事者については、「電波法及びこれに基づく命令に違反し――」と定められており、電波法及び関連法令への違反で処罰されない限りは欠格事由にならない。運転免許についても道路交通法違反や自動車運転過失致死傷・危険運転致死傷のみが対象になる

出典

  1. ^ 前科者(ぜんかもの)とは何? Weblio辞書”. www.weblio.jp. 2021年4月5日閲覧。
  2. ^ 情報公開・個人情報保護審査会 平成13年諮問第12号 「同戸籍(注:明治5年式戸籍)には,族称,職業,寺氏神等が記載されることとされている上,犯罪歴の記載のほか,(明治4年)8月に廃止された賎称が誤って記載されているものもあった。」
  3. ^ 前科がつくとどうなる?前科の影響を弁護士が解説|刑事事件の中村国際刑事法律事務所
  4. ^ 最高裁判所昭和29年3月11日第一小法廷判決・昭和27(あ)3419・刑集8巻3号270頁-最高裁判例情報
  5. ^ a b 犯罪人名簿の調製に係る事務の法整備等について、戸籍、第885号 (平成25年6月)、pp.56-57。
  6. ^ 第174回国会 191 犯罪人名簿に関する質問主意書”. www.shugiin.go.jp. 2022年4月21日閲覧。
  7. ^ 沖縄市犯罪人名簿取扱規程10条 「名簿に記載された者が、次の各号の一に該当する場合は、名簿を閉鎖し、破毀又は焼却する。 (1) 刑法(明治40年法律第45号)第34条の2の期間を経過したとき。」
  8. ^ 米国大使館 ビザ免除プログラム 「有罪判決の有無にかかわらず逮捕歴のある者、犯罪歴(恩赦や大赦などの法的措置がとられた場合も含む)がある者、(中略)に該当する旅行者は、ビザを取得しなければならない。ビザを持たずに入国しようとする場合は入国を拒否されることがある。
  9. ^ オーストラリア移住市民権省ウェブサイト "ETA (Visitor) (Subclass 976)"、2012年3月10日閲覧。 - "You must not have any criminal convictions, for which the sentence or sentences (whether served or not) are for a total period of 12 months duration or more, at the time of travel to, and entry into, Australia."
  10. ^ 最高裁判所昭和56年4月14日第三小法廷判決・民集35巻3号620頁(前科照会事件)-最高裁判例情報
  11. ^ 犯罪人名簿、市町村任せ 国も実態把握せず共同通信2010年2月20日
  12. ^ 犯歴誤登録:損賠訴訟 16年間登録、国に1万円賠償命令--大阪地裁 毎日新聞 2010年6月11日

関連項目

外部リンク


前科・前歴

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/17 14:04 UTC 版)

渋谷駅駅員銃撃事件」の記事における「前科・前歴」の解説

熊谷は以下のような前科・前歴を有していた。 少年時代 - 窃盗4回・軽犯罪法違反1回非行事実で計5回にわたり検挙された。このうち1957年昭和32年)に検挙され窃盗非行事実により中等少年院送致されたほか、1959年昭和34年)・1960年昭和35年)にはそれぞれ窃盗非行事実特別少年院送致され、それぞれ収容施設内で矯正のための教育受けた1961年昭和36年) - 1967年昭和42年) - 成人後盗癖改善されず、手っ取り早く金が欲しいなどと思って侵入窃盗などを繰り返し前後6回(窃盗5回・窃盗未遂1回)にわたり懲役刑処され服役した1967年8月18日東京簡易裁判所懲役1年10月実刑判決確定し福岡刑務所服役した1969年昭和44年6月17日出所)。当初更生することを決断していたが、所内工場別の受刑者喧嘩になって怪我をさせたことで懲罰房入れられた。一方同所服役していたヤクザの大親分右翼大物から影響を受け、出所後には強く慕っていた右翼幹部仕えたこのころには心身共に充実した日々送り、「将来大金握ったら、薬物犯罪追放運動展開して世の中のためになろう」と考えていた。やがて横浜戸部住みベトナム戦争から帰還した米兵賑わっていたディスコ働いたり、スナック経営スロットマシン売上などで金を儲け台湾出身女性最初の妻)と出会い結婚した。しかし彼女は札付きギャンブラーで、「賭博はするな」と言った数日後に彼女(妻)が賭博で1,500万円負け作ったことに激怒し、いったんは離婚決意その後思い直したが、後述強盗事件で服役した1979年離婚した1975年昭和50年)・1976年昭和51年) - 賭博遊技機による賭博手を出すようになり、賭博罪で計3回にわたり罰金刑処された。 1977年昭和52年) - 常習賭博罪により逮捕され横浜地方裁判所懲役1年6月執行猶予4年判決受けた1978年昭和53年1月 - 傷害罪罰金刑処された。 1978年10月31日 - 15時55分ごろ、賭博ゲーム喫茶代わる新たな事業資金捻出するため強盗企て地下鉄日比谷線秋葉原駅地下通路銀行から出てきた男性(55歳)を追いかけ白昼地下鉄駅構内柳刃包丁押し付けるなどして、手提げ鞄などを強取し、男性に左腰部刺傷全治1週間)の傷害を負わせた。そのまま逃げようとしたが、地下鉄乗客駅員らに追いかけられて取り押さえられ、強盗致傷銃砲刀剣類所持等取締法銃刀法違反容疑万世橋警察署警視庁)に逮捕され1979年昭和54年3月14日東京地方裁判所懲役5年実刑判決受けた。これにより常習賭博執行猶予取り消され刑期1年6月加算され府中刑務所服役した1985年昭和60年1月31日仮出所し、再びスロットマシン設置・台湾からの烏龍茶輸入事業などで働き伊勢佐木町事務所働いていたところ、保険外交員女性と恋に落ち、彼女の妊娠機に結婚横浜中華街マンション新妻連れ子当時11歳とともに新婚生活を送り披露宴から3か月後(1987年昭和62年10月9日)には娘が誕生した中華街中華料理店「酔泉」を経営したり、歌舞伎町東京)で中華饅頭販売をしたりして成功収め中国人留学生2人アルバイトとして採用したが、中華饅頭製造元との軋轢抱えたり、銀座新たに開店した店舗裁判中物件であることをオーナーから知らされなかったことなどに不信感覚え、店を早々閉めるようなこともあった。しかしそのような中でも原宿表参道渋谷で、中華饅頭販売成功し1989年平成元年11月3日文化の日)には代々木公園商売始める。当時商売上々で、当時営んでいた屋台村テレビ取材受けてさらに売上伸ばし本格的に銀座進出1992年平成4年) - 1993年平成5年)ごろには「(人生で)一番忙し時期」を迎えていた。しかしこのころアルバイト中国人女性専門学校生)が退職帰国直前に、熊谷順調な仕事ぶり嫉妬した男子留学生からそそのかされ売上金盗もうとした事件発覚しそれ以降徐々に売上落ちていった。また、この頃には本格的に事業を興そうとしていたが、妻から「そんなお金はない」と告げられていた。 また熊谷中華饅頭屋台経営していた1993年平成5年)、地回りから因縁つけられることに備え護身用として知人から拳銃購入した。この拳銃が後の犯行用いた回転式拳銃38口径・計5発を装填可能)で、横浜市内公園に穴を掘って隠していた。 1995年平成7年3月 - 傷害罪罰金刑処された。この事件1994年平成6年)ごろ、事業落ち目になっていた際、屋台を出す場所を巡ってトラブルになり、相手ビール瓶殴ったことで高島平警察署警視庁)に逮捕されたもので、東京簡裁から罰金20万円言い渡されたが、妻は留置中(約1週間)に一度熊谷の下へ面会訪れず、罰金も払わなかった。これ以降露天仕事見切りをつけ、横浜警備会社警備員として働いたが、3か月後(1995年3月ごろ)に退職。やがて妻との関係冷え込み、妻が娘に夫(熊谷)の前科吐露したこときっかけ熊谷激怒し出刃包丁を妻に突きつけて「今まで俺が渡した金を出せ」と脅した。しかしこの時は娘が体を張って制止し熊谷包丁連れ子長男渡して家を去った(約10日後に離婚成立)。 離婚後熊谷タクシー運転手として働くため第二種運転免許取得しようとしたが、結局は失敗終わり、再び犯罪手を染めた熊谷1996年平成8年1月神奈川県横浜市中区路上地方銀行支店嘱託職員金属製工具殴り小切手などを強奪する事件起こし同年2月2日強盗致傷容疑伊勢佐木警察署神奈川県警)に逮捕された。同年5月強盗致傷罪問われ熊谷は、横浜地裁懲役6年実刑判決を受け、網走刑務所服役したが、その間も(後に本事件用いた拳銃用いてキヨスク事務所から売上金強奪する強盗計画練り続けた。そして、「東京駅キヨスク両替所には駅の各売店から現金集まってくるだろうから、大金があるはずだ」と漠然と考えるようになり、次第に「キヨスク集金事務所」(実在しない)の襲撃強く決意していった。 その後仮釈放され、2002年平成14年1月9日網走刑務所出所したが、先述強盗計画実行に移すために自動車を盗む事件起こした。これにより、同年9月玉川警察署警視庁)に逮捕され11月には窃盗罪懲役1年2月処された。2003年平成15年)から福島刑務所服役したが、その間、その窃盗事件強盗目的であることや、拳銃隠匿所持していることをすべて隠していたほか、服役中強盗計画抱き続け、そのための体力づくりに励んだ。そして2004年4月11日熊谷刑期終え、翌12日福島刑務所出所した

※この「前科・前歴」の解説は、「渋谷駅駅員銃撃事件」の解説の一部です。
「前科・前歴」を含む「渋谷駅駅員銃撃事件」の記事については、「渋谷駅駅員銃撃事件」の概要を参照ください。

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