前科とプライバシー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 08:45 UTC 版)
前科情報がプライバシーとして保護されるかが問題となった事件として、1975年に起きた「前科照会事件」が挙げられる。この事件で、最高裁判決は、前科は人の名誉および信用に深く関わるものであるから、前科のある者についても、これをみだりに公開されないという法律上の保護に値する利益を有するとし、地方公共団体が弁護士からの前科情報についての照会に漫然と応じた行為を違法と認定した(最高裁昭和56年4月14日判決)。 多数意見は前科(情報)についてその保護を認めながらも、「プライバシー」という語を用いることを避けているが、裁判官の伊藤正己による補足意見では、「前科等は、個人のプライバシーのうちでも最も他人に知られたくないものの一つ」と前科がプライバシーに当たることを正面から認めた上で、「前科等にかかわる事実の公表が公的機関によるものであっても、私人又は私的団体によるものであっても変わるものではない」旨が述べられている。 全国連合戸籍事務協議会(戸籍事務担当者の団体)は“慣例により”市町村で名簿が作成され続けている現状を憂い、「法に根拠のない犯歴事務は行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に抵触する」と法整備を求めている。
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